お試しでオフィスに戻るが…

JUGEMテーマ:日記・一般

130820-1

リモート出勤が続く中、職場のグループでは本日オフィスにお試し出勤することになっていたので、行きました。

最初から天気にケチがついたのよね。数日続いた30℃以上の猛暑で雷雲が発達、朝なら大丈夫かと思ったが、降り出した。電車から降りたとたんにずぶ濡れになるレベル。自宅のお風呂の弱っちいシャワーよりよほど強力。仕方なく駅で少し休み、小雨になったころに出てみたら、道路が川になっていた(上の写真)。場所によっては深くて渦巻いていたりする、自転車では危険そう。(自動車もダメージですけどね)

長く勤めているが、こんなことは初ですよ。ルートを変えてたどり着いた。

オフィスはレイアウトを変えてスペースを作り、ドアはすべて全開、机の間に透明アクリル板をはさんで飛沫が届かないようになっている。共同給湯室を使わなくて済むよう、部屋ごとにコーヒーマシンがある。なかなか良い。

ところが、設備の人たちがレイアウト変更にともない机を移してくれたのはいいが、使えなかった。

もちろんオフィスに着いたとたんに使えるようになってるとは思ってませんよ。PCのケーブルなど自分でつなぐつもりで来た。が、コンセントがない場所だったんです。電話も使えず、ネットワークもつながってない。あははは、どうしろと?

自分は下っ端だからいいかもしれないが……わたしのすぐ前の席は知的財産管理のボスだよ? 孤島になっちゃう。

でも彼は今日は予定変更、来てなかった。さすが鼻が利くな(笑)。

わたしは1時間で帰れるので、IT担当者に相談メールしてから、予定されていた遠隔ミーティングのために自宅へ戻ったのだった。

その他、棚はいっしょに移ってないし、椅子が別の人のと入れ替わっている。忙しくない日に来てじっくり作業しないとダメっぽい。

後で話し合い、まだしばらくはリモートを続けようということになる。そっちのほうが楽でいいや。またお気に入りのカフェに朝の散歩へ行く日々に戻ります。

ただし出勤はやはり運動になるという意味ではよかった。自転車を乗り回し、いい汗(冷や汗も)かいたわ。

 

 

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トマス・エンゲル「Cursed」

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ランダムに選んで本を借りているのに、前の本と関係あるような要素があって面白い。またジャーナリストが主人公の、ノルウェー作家Thomas Enger (1973−)の『Våpenskjold』(2015年)(紋章って意味のようだ)を英訳で。英題は「Cursed」、呪われた、ですか。

シリーズ物の4冊めで、ジャーナリストのヘニング(Henning Juul)が主人公。別居中の妻ノラも新聞記者でバリバリ働いている。2人には幼い息子が亡くなるという悲劇があり、まだ心は癒えない(これは一生癒えないでしょうが)状態。

ノラの大学時代の友人でルームメイトだったヘッダが失踪した。イタリアに3週間リトリートに行くといって、帰ってこなかった(やられたかww)。しかし調べてみると、空港までは行ったが飛行機に乗った形跡はなく、リトリート施設でも「そんな予約は受けていません」というのだ。

実はヘッダの叔母さんが昔失踪、自殺したと思われる事件があった。最近父を亡くしたヘッダも傷心のあまり自ら…?と疑われる。しかし彼女を知っているノラは信じられず、記事にして世間に事件を知らせながら、自ら調査を開始。

一方で、息子の死の原因をつくった人間をつきとめようとしているヘニングは長期休暇中。調べる中で、なんとヘッダの家とのつながりが見えてくる。不動産業で財をなした名家だ。

作者は元ジャーナリストなので、彼らの行動や心理がくわしく描かれていて面白い。最近家族に悲劇があった人にコンタクトして事情を聴きだすなんて、タフだし、相手を傷つける。どう扱うか、など、良心的な報道関係者の気持ちがわかる。

ノルウェーの人口密度は13.86 人/ km2(ちなみに日本は347.1人)、みんな好きなところに住めそう(笑)ですが、そんなことはない、やはり望ましい不動産は高価であり、格差がある。いろんな欲の的になるわけです。戦争中のできごとから端を発した問題が掘り出される。

それにしてもヘニング、やくざっぽい連中に切り込む性質の仕事なら、武術か、せめてボクシングくらい習っておけば? 情報を聞き出すためにプロレスラーみたいな人にボコられたりしている。痛たた。

アクションもあるし、社会派だし、心理的掘り下げも過不足なくて、さすが「伝える」ことが上手なジャーナリストの作品と思った。主人公がヒーローっぽくないのも、応援したくなります。お互い好きなのに別居している奥さんと、どうなるのかな。こっちも重大な問題?が出てきて気になる。

 

 

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アナ・シャフナー『The Truth About Julia』

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これは「一般フィクション」だったんですが、ミステリかスリラーの要素あり、しかも重かった。

『The Truth About Julia』、Anna Katharina Schaffnerによる、2016年の処女作。

ロンドンで爆弾テロが発生した。都心のカフェで24人の死者を出す惨事。残念ながら、テロ事件はロンドンでたまにあることです。ところが今回、実行犯が自ら警察に出頭してみると、予想されるようなイスラム原理主義の(濃い顔の)男でなく、うら若い白人の美女で、中流出身の知的なジュリアだった。世間はショックを受ける。

マスコミも動き出す。こんな事件の場合、犯人をセンセーショナルに描くいいかげんな伝記が出るのは時間の問題。

ジャーナリストのクレアは、そうなる前に、できるだけ真実に迫ったルポを出したいと考えた。企画が受け入れられ、締め切りも設定される。時間との闘いの取材が始まった。

当然本人には簡単には直インタビューができない。家族、友人にコンタクトし、了解を取りつけ、会って話す。大変な作業だ。でもクレアはやりとげたい。実は彼女、過去に巨悪をあばく著作を出して、裁判で破れるという苦い経験があった。ペンが権力に負けたわけだ。今回、金儲け主義のヘンな本が出る前に、ぜひ真相に迫るものを書きたい。名誉回復のためにも。

しかし取材すればするほど、ジュリアという人がわからなくなる。

妹は、誰にも思いやり深い姉でいつも自分を保護してくれたと言い、兄は、あいつは生まれながらに邪悪な人間と言う。母は、父親が特別扱いしすぎたから、と言い、父はお前が冷たい母だったから、と言う。家族だけでも意見がバラバラ!

学生時代の友人や、いっしょにアジア・南米への長い旅をした(そして途中で棄てられた)元カレなどに聴いてもいっそう混乱するばかり。

時間のプレッシャーに焦るクレアに、とうとう、ジュリアの弁護士から連絡が来た。会えるという!

ああ、会わなければ良かったのに……。悪い結果は読者にわかるのだ。何しろクレアは拘置所から書いていることになっているから。

最後の最後に登場するジュリアが怖いですー。知能が高すぎ、相手の弱点を見ぬいてピンポイントで攻撃してくる、美しきハンニバル・レクターだ。

いろいろと追い詰められていたクレアは、ジュリアの手に堕ち、とんでもない行動に出てしまった。

150ページそこそこですが、凝縮されて、緊迫した読み物になっている。

これが処女作とは!と驚いて調べてみたら、著者のシャフナーさんは比較文学の学者で、ケント大学で研究・教えているようだ。ドイツの名門とイギリスの名門大学を出て、英独バイリンガル。医学から歴史まで、幅広く造詣が深い。フィクションは研究の副産物のような感じ、書いたのは30代後半くらい。

心理的攻防もさることながら、社会派の視点も厳しい。「正しいと信じることのために人を殺していいはずがない」というのは真実だと思うのに、それが揺さぶられる。いわゆる先進国で人が普通に生活しているだけで、地球のどこかでの奴隷労働を利用しているかもしれない、のもほぼ事実。

今だって、コロナで不自由、と文句を言いつつも生活できている人間は幸運だ。いきなり仕事がなくなり補償もなく、飢えるしかない人もいるよなあ。

と自分まで洗脳されそうになります。文章も緻密で読みごたえあった。

アブナい人物を取材するときは睡眠・栄養を十分とって、万全のコンディションで臨まないといけない、と教訓になりました。そういう機会はないことを祈る。

 

 

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リアン・モリアーティ『Nine Perfect Strangers』

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朝日を浴びるためと軽いウォーキングとして、いつも仕事前に近所のカフェにコーヒーを買いに行く。今日からテイクアウト・オンリーでなく席も稼働し、テイクアウトの人は注文したら室内でなく、外で待つことになっていた。いろいろ段階的に変化していく。

電子図書館、今回はオーストラリア作家のリアン・モリアーティ(Liane Moriarty、1966- )の『Nine Perfect Strangers』に当たった。ジャンル「ミステリ」で、読者対象「大人」、で今すぐ読める(借りられていない)ものを検索して適当に選んだもの。

オーストラリアの作家はほとんど知りません、これは読みごたえあった。

とある僻地(また・笑)の「健康リトリート施設」で10日間コースを過ごしに来た人々の話。そしてまた閉じ込められ系、やはり気分は選ぶ本にも関係するのかな。

最新の医学と健康テクニックに基づいて、自分を大改造できるというこのコース、メニューはそれぞれ個人の必要に応じたヨガや瞑想、軽い断食、エクササイズなど。携帯電話やタブレット関係、期間中は没収だ。

それに、ある期間は絶対にしゃべってはいけない、なるべく他人と目を合わさないように、と、コースが始まってから言われる。

ええ?聞いてないとか、いいの?

高いお金を払って来た9人のお客、10日もリトリートにこもりたいという人たちだから、真剣。いろんな悩みを抱えている。

ベテランのロマンス作家のフランシス、最新作が出版拒否されてショック、しかもオンライン・ロマンス詐欺に引っかかって大金を失った。痛恨のエラー(だからオンラインの出会いはやめとけとあれほど)。

マルコーニ一家は父母と大学生の娘。3年前に息子(双子のかたわれ)が自殺してしまい、その事件があった時期を過ごすのが辛い。隠遁するためにリトリートへ。

キャリアを捨てて4人のまだ幼い娘を育てているカーメル、夫が男子がほしくて妊活するうち4人姉妹に、しかしその夫、新しい女性に走ってしまった(オーストラリアにもいるんだ〜、こういうクズ男)。今の時期、4人の娘は夫と新妻とヨーロッパ旅行中、いたたまれなく、以前のようにスリムになりたくてこの施設に来る。

ベンとジェスの若い夫婦、高額宝くじを当てて超リッチになるも、周囲からたかられて人間不信になるわ、家族友人関係が悪くなるわ、不幸続き。最近夫婦仲さえおかしくなった。何とかしたい。

ーーまだまだ、9人分のいろいろ、がある。みんなきつそう。これに比べたら自分なんて悩みゼロだわ、と思えるほど。

そしてスーツケースにこっそり忍ばせたお酒やチョコが知らぬ間に抜き取られているなど、「ん?」と思いつつもコースは始まり…。

こういうリトリートってよくありますが、その後「別人」になりたいですか?わたしは嫌です。今のワガママでお気楽な自分の性格はそのままでいいから、ちょっと心身の健康が増進すれば十分。

しかし、主催者側はぐいぐい来る。生まれ変わったような自分になれる、それがあなたたちのため、と押してくる。

「ミステリ」ってジャンルを選ぶの忘れて「一般フィクション」にしてしまったかな?と疑ったくらい何も起こらないストーリーだったのが、途中から、何が何でも「癒そう」としてくるスタッフ(というか、ちょっとクセのある美人所長ね)と参加者たちの壮絶なバトルへ!ツボにはまる面白さだった。

確かにこういう場所って、携帯は預けちゃうし、飲食物は向こうにお任せだし、人質状態ですよね。合わないと大変なことになりますねえ。脱出できるんでしょうか?

完全に不利な立場で、他人同士だった参加者が協力して力を合わせ、お互いの理解が深まるプロセスも面白いし、人間全般に関して作家が温かい目で書いているところが良い。それはちょっとイっちゃった所長に対しても同じ。人間いろんな理由がある。

後日談まで丁寧で、気分が明るくなる読後感です。さすが年季の入った作家ですね。彼女の作はまた読みたい。関係ないがモリアーティって苗字もうらやましい。

 

 

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ヘレン・グラント『Ghost』

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読書と散歩以外の気晴らしは全然できない状態です。忙しいのは良いけど、終わった後のホリデーの行き先、どうしよう。

また知らない作家を電子図書館から。ヘレン・グラント(1964ー)の『Ghost』。

また「人里離れたスコットランド」の話です。あそこは何でもありなのか?ブルブル…。そっか、ここにホリデーに行けばいいか。

もう少しで18歳という少女、オーガスタがお屋敷で祖母と暮らしている。そこには電気もなく、電話もない。水は井戸から取り、冬の燃料は薪。祖母だけが時々「町」へ降りていって、必要な物を買ってくるが、オーガスタは行かない。たまに人が来ると、隠れなければならない。彼女は生まれてから一度も、祖母以外の人に会ったことがないのだ。ちなみに「ゴースト」とは彼女のあだ名です。オーガスタ→ガスタ→ゴースト。

奇っ怪な設定にまず面食らう。なぜ?外では「戦争」が起きていて、人に見られては危険、と祖母は言っている。戦争て、ドイツとのあれです。

でも今は、本当は2017年だった。

ある日買い物に行ったきり祖母が帰ってこなくて、本当にひとりきりになったオーガスタに救済者が現れる。一度屋敷の屋根を直しに来てくれた業者の息子、ほぼ同年代の少年トムだ。彼が21世紀の世界を紹介してくれるが、こいつを本当に信用していいのか?

そもそも祖母はなぜ、戦争の嘘を孫娘に吹き込み、誰にも会わせなかったのか。

2人は急接近していっしょに謎を解こうとしていくが……という、心理的要素の強い物語。

1945年の教育をされていた少女がインターネット時代に遭遇したらどうなる、っていうのは興味深い。

言葉づかいも考えてあるようだ。オーガスタがバイクのことを「モーターサイクル」なんて言う。

少年少女の恋については、まあそうだよね、と思う。「テンペスト」状態ですよ:お前はこれほどの男はいないと思っているが、それはこいつとキャリバンしか見たことがないからだ。(プロスペローのセリフ)

途中ちょっと退屈しながら、お祖母さんの「なぜ?」に惹かれて読んでいくと、理由がだんだんわかってくる。それにしてもそこまで?と思っているうち、ラストに向かって、新たな悲劇が加速して止まらない、ここがすんごく面白い。ちょっとダルいと思いつつ読んできた忍耐が報われます。ただし相当なバッドエンド(あっ、バラしちゃった)なので、気分がよくなりたい人向けではないかも。

途中から予測がつき、来た来た〜と普通に読んでいた自分がヤバい。優しい人なら「キャーダメよ、そっち行かないで」とハラハラするのかも。大丈夫かな、いろいろと。

スコットランド、気になります。とりあえず昨日は鹿肉のバーガー食べた。

 

 

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ルーシー・フォーリー『The Hunting Party』

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(表紙のデザインが良い)

パブや美容室も開店して良いことになった。長蛇の列になったところも。わたしはしばらく様子見します。幸い仕事が忙しいので、行っている暇もなし。というか…引きこもり生活があまりに快適で、外に出るのが嫌になりつつある。散歩くらいだけで十分かも。

先日、離島の結婚披露宴で起きた惨劇を書いたLucy Foleyの『The Guest List』が面白かったので、その1つ前の、2018年『The Hunting Party』を読んでみた。

フォーマットは全く同じ。殺人事件を軸に、複数の語り手が時間を行ったりきたりしながら、それぞれの話を語り、クライマックスへ持って行く。隔絶された場所という設定も似ている。次もこれと同じだったら嫌かもしれないけど、2作目くらいなら、慣れているのでむしろ読みやすい。

年末、極寒のスコットランド、人里離れたロッジに集まったのは、新年パーティのために4日間を過ごしに来た、オックスフォード大学出身者中心の30代前半のグループ。カップル3組に赤ちゃん1人、シングル女性1人。

周囲に誰もいない静かな環境の中、モダンなデザインのロッジで贅沢な食事とシャンペンを楽しみ、昼間は鹿撃ちの体験ができるという、まあロンドンの成功した若い人間が好みそうなプラン。鹿は増えすぎたため、たまに減らしてやる必要がある、という大義名分もあり。

大学卒業後、キャリアを積んだり結婚したり、生活が変化していく中、年末年始のパーティにだけは集まろうと決め、今年も場所を念入りに選んでやってきた。

メンバーを見ると:

華やかな美貌のお嬢様ミランダ、性格は基本良いが女王様でわがまま、たまにはとんでもなく意地悪なこともある。33歳になって子供がほしいが、なかなかできない。配偶者はイケメンで投資家のジュリアン。

医師のジャイルズ、ちょっと子供っぽいアホなジョークをかますタイプ。奥さんのサミラはミランダと同じくらい「パリピ」だったが出産して6か月目だし、赤ちゃんにつきっきり。

独身のケイティ、弁護士として猛烈に働いている。ミランダとは学校時代からの親友で、仲良しだがいつも日陰になることは免れない。このところ多忙を理由にミランダの誘いを断ることが多かった。

リッチな外交官の息子のニック、ハンサム。ビジネスで成功している。彼はゲイで、その彼氏ボーはアメリカ人、オックスフォード出ではない。

昔ミランダに振られたマーク、今は別大学出身のエマと結婚して落着いている。エマは後から入ったメンバーとして、まわりに溶けこもうと、やや必死な感じ。今回の場所を選んでいろいろお膳立てしたのは彼女。

というカラフルな顔ぶれだ。

若いころの友情も、それぞれ自分の人生を生きていくうちに、質が変化していく。それに昔は許せたことも嫌になってきたり、実は恨みがあったり、それに仲間内の裏切りがあったり、それがバレたり!

酔っぱらって羽目を外し、パーティが乱れに乱れ、言ってはいけないことが口にされ、罵声が飛び、ガラステーブルが割れ、もうめちゃくちゃになっちゃって面白ーい(笑)。

笑えるだけならいいが、新年早々ひとりが行方不明、やがて死体となって発見されてしまう。あいにく大雪となり、警察や救助隊のヘリさえ飛べない状況だ。

さらに、こんな辺鄙な田舎でロッジの世話係りとして勤務する女性と、狩りを案内し、狩場を整備する係りの男(しかも無駄にセクシーだ)、この人たちにも隠したい過去がある様子。

2作目同様、巧みなストーリー展開で、うまいです。

ただし『The Guest List』に比べて、本作品では犠牲者が殺されるほどひどいやつではない。人間の遊びのために殺された鹿の呪いかな。ダークサイドに堕ちちゃった犯人が、かなり恐ろしい。

ラストは、禍が転じて…の人もいるので、明るめのほの昏い終わり方でしょうか。これを反省材料として、次を書いたのかも。

 

 

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Tim Weaver 『No One Home』

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今年が半分終わっちゃいました、何てこった…。まただんだん日が短くなる。

これも電子図書館で借りた1冊。骨太でハードボイルドだった。ティム・ウィーバー(Tim Weaver, 1977 - ) の最新作、2019年の『No One Home』。

人の行方不明事件を捜査する元ジャーナリスト、デヴィッド・レイカー(David Raker)を主人公にしたシリーズ物。前の作はひとつも読んでいないけど、これは傑作だと思う。

何しろ規模がでかい。今回いなくなったのは、人里離れた村の住人9人だ。ハロウィーンの夜のこと、ある家に集まってディナー・パーティをしたご近所さんメンバーが全員忽然と姿を消した。跡形もない。イリュージョニストじゃあるまいし。

「それは…宇宙人にさらわれたんでしょう」くらいしか思いつきませんが、さすがベテランのレイカーです。彼らと別所帯の残された肉親・親族から依頼を受けて、コツコツ情報収集を始める。彼に協力する謎の男性がいるが、その人、わけありのようで、過去を抹殺して名を変えて生きている。バレるとレイカーの身もあぶないらしい。いろいろと複雑だ。

さらに、彼らの捜査と並行して、1980年代のアメリカ、ロサンゼルスで女性軽視やパワハラ、セクハラと戦いながら仕事する女性刑事の話も挿入される。当時、世間を騒がす連続殺人鬼が暗躍中、彼女はその主流事案から外されて地味な事件を任される。が、上司の出した結論に納得できないジレンマを感じる。

それと、イギリス北部の、農家が土地を利用して建てた3件の物件に住んで交流もあり、仲も良かった教育のあるご近所さんたちの失踪と、どういう関係が?

両方の話が進むにつれて接点が浮かび上がる手法が見事だ。そうきたか! やっぱり宇宙人の仕業じゃないわね。

犯人はわかりました。そろそろミステリ読むの慣れてきたかな?

でもこの作品の良さは、犯人探しではない。みんないい人なんですよね。常識と愛がある。もちろん犯人はサイコパスなんですが、そいつに協力せざるを得なかった人間の苦悩とか、愛する人の身を案じる気持ちとか、愛する人と永遠に離れなければならない痛みとか、静かにきちんと描かれて、じわっと来る。

ハードボイルドだから(?)拳銃の尻でぶん殴ったり、縛り上げられて監禁されたり、負傷したまま底なし森の中を歩いたり、けっこうフィジカルにきつい。その一方できわめて人間的、構造のしっかりした、腹にずっしりくる話だった。

シリーズをさかのぼって読みたいものだ。時間をおかないと、連続では体力的に無理な感じ。で、電子図書館には前の分がなさそう。

 

 

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エマ・ホートン『Now You See Me』

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イギリスは今週猛暑で、連日30℃超え。海水浴場がごったがえしている。やばいのでは。

夜も暑くて寝苦しく、眠ることを諦めて5時前に起きてみたら、さすがに爽やかだ。このまま朝型生活に切り替えれば時間も有効に使えそう、なんて言ってブログ書いてるけど。

「ズレイハ〜」をゆっくり読んでいる合間の休憩用の英語の本、何冊読んだかわからない。今はオーディオブックでヒュー・フレイザーの読むアガサ・クリスティーをかけている。「アクロイド殺し」、もう知っている作なので、BGMみたいに聴いている。

電子図書館で借りたのがEmma Haughtonの『Now You See Me』、2014年刊。ヤングアダルト向けに分類されているけど、いいおばさんが読んでも面白かった。

「Now You See Me」はマジシャンなどが、「さあ、見えていますね」と言うときの決まり文句、次に「Now you don't」はい、消えました、と続く。普通の意味で「これでわかったろう」ということも。意味深だ。

舞台はイギリス南西部、ハナとダニーは両親同士が仲良かったことから、半年違いの兄妹のように育った仲良しだった。ところが13歳の秋、ダニーが消えてしまう。じゃあまたね、と別れてそれっきり、帰ってこなかった。

大がかりな捜索がされても、何も手がかりがない。正気を失いそうなダニーの母を助けて、ビラ配りなどに協力するハナだったが、効果なく3年の歳月が過ぎる。

13歳の少年が事故にしろ家出にしろ、3年たってしまっていては、あまり良い結果は望めないだろう。が、もし帰ってきて、でも何かがおかしかったら?というのも怖い。

16歳になったダニーが発見された! もちろん外見はがらっと変わっている。一番変化する時期だから仕方ないが、こういう人だっただろうか。ハナにはわからない。飼い犬ははっきり拒絶している。

プロットはすぐバレますが、大人で読者の立場ならすぐ見えることも、ハナはまだ高校生、気づかなくてこっちが心配になる。

でも彼女は立派だ。十代の少女らしく、直接対決をいとわず、変だと思ったことを追究する。そのやり方は相当あぶなっかしいが、かつての親友への愛情と、自分の母が事故死してから面倒を見てくれた、彼の母親への思いから、優秀な頭脳と行動力を最大限に使って真相にせまる。

何でも本当のことを知るのは良いのか悪いのか。知らずに幸せな幻想を見ていて良いのか。という問題が、母の「事故死」の件にまで波及。おそろしいパンドラの箱が空くことになってしまう。2つの家庭が、けっこうぐちゃぐちゃです…。

ラストがしんみりして、後味は良い。この流れでどうしんみりできるのか、と思うが、ハナの成長と未来への光が見えて、明るかった。

よく見たら表紙に「実在の事件から着想」なんて書いてある。ひえー、こんなこと実際にあったとは。元はアメリカの話で、設定はかなり変えているそうです。

 

 

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グゼリ・ヤーヒナ『Зулейха открывает глаза』(ズレイハは目をひらく)

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突然、大量の急ぎ仕事が来た。ロックダウンで暇してたときに早めに言ってくれればいいのに、今頃、期限が迫ってるって何だよ。できるからいいが、あまり暇がなくなった。ズレイハを読了しておいて良かった。

そうです、やっと読み終えました。350ページだけど字がぎっしりつまっていて500ページくらいに感じる長編。わからないまま進んでしまったところも多々あるけれど、ストーリーは何とか追えました。ドラマで予習もできていたし。

1930年ころにスターリンの政策で故郷から強制的にシベリアに移住させられたタタール女性の物語。ドラマについては「半生を描いた」と書いたが、本では20年に満たない。あとで後日談をくっつけたんですね。

確かに小説では余韻を残して終わるのが良いかもしれないが、ドラマ8回やっておいて、そういう終わり方はないだろう、と視聴者は思うかも。30歳年上の夫に支配されて自立心ゼロだったヒロインが、シベリアの過酷な生活にもまれて強くなっていくが、相当苦労もするので、幸せな場面を最後に入れたいでしょう。プロデューサーは原作を書いたヤーヒナ本人、彼女も納得していたと思われる。

本とドラマの違いがよくわかる。ドラマは毎回何か山がないといけない。本ではとっくにいなくなった人物がかなりの回、居残ったり(そしてズレイハに意地悪する)、本では10分の1もないズレイハとイワンの恋愛にかなり時間をさいている。テレビですから。

本では一番最初の一冬の過酷さがとても長くて、3分の1を超えているかもしれない。とにかくきつく、長かった。ただ一人ピストルを持っている隊長のイワンが単身で毎日森に狩りに出て、30人が食べる食料を取って来る。あとは、大河(エニセイ川)のほとりだから魚も多少獲れる。それでも大変だ。この冬を生き延びたら後は資材も定期的に運ばれるようになり、生きるのが楽になる。猟銃も補充されたのでズレイハも猟ができるようになる。あとは少しずつ、難民施設みたいだったものが町の体裁を整え、人の生活の場となっていく。

とんでもない僻地に人を送りつけて開拓させるときに、医者や知識人、芸術家も適当に混ぜるのが「政策」の一環だったのだろう。お陰で文化の核が作られた。ズレイハの息子のユースフくんなんか、ドクターに解剖学の初歩を習うわ、帝国アカデミーで学んだ画家にデッサンなどの手ほどきをうけるわ、贅沢な教育を受ける。その結果「こんなところにいられない」とシベリアから出て行っちゃいますが。

だからといって強制的に人を移していいわけはない。この政策でどのくらい人生が変わってしまった人がいるのか、と思う。

境遇が激変したズレイハだが、降ろされた場所に根をはって生きていく。途中、こうなって良かったのだ、と考える場面が印象的。幸せか、と言われたら違うのかもしれないが、これで「良かった」という。生きる自信からきた言葉だ。

ドラマではイワンと、すっかり中年になっちゃった同士で幸せに暮らすみたいだし、人間生きていさえすれば何とかできる、という勇気を与えてくれる。和訳は出るかなー。

 

 

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ローラ・チャイルズ『Lavender Blue Murder』

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上司とビデオミーティングの必要があり、もう部屋の整頓するのも面倒なので、BBCからダウンロードした「フォルティ・タワーズ」(ジョン・クリーズ主演のコメディ)のセット写真を背景にしたら、それを見て向こうも「ドクター・フー」(SFドラマ)のセットにしてきた。よかった緩い会社で。

オーディオブック、今回は、多分コージーミステリの王道だと思われる「お茶と探偵」シリーズを初めて読んでみた。最新作(2020年3月刊)の『Lavender Blue Murder』、20冊近くあるシリーズのうち、図書館にはこれしかなく。

ティールームのオーナーのセオドシア・ブラウニングさんが、相棒の「お茶ソムリエ」ドレイトン・コノリーと地元のサウスカロライナ州チャールストンで起こる事件を解決する話。

ナレーターはバーバラ・マッカロー(Barbara McCulloh)、この人の声が低めではっきりしていて、慣れない米語でもとても聴きやすかった。

プランテーション経営のレジナルド・ドイル氏のハンティング・パーティに招かれたセオドシアとドレイトン。イギリス大好きのドイル氏の趣味に合わせ、「まるでダウントン・アビーみたい」な正統イギリス式狩りの服装の参加者たち。鳥を撃ちそこねたりしながら森を歩いていると、銃声が響く。(猟銃でなくピストル?)と気になったセオドシアが探すと、領地、じゃなかった、敷地内の森の外、お隣りのラベンダー畑にドイル氏が倒れていた。胸からは血が…。という始まり。

突然未亡人になって嘆き悲しむ奥さんのメレディスに頼られたからって事件に首をつっこむセオドシア、彼氏で刑事(?)のティドウェルが止めてくれというのを構わず突き進む。

調べていくとドイル氏の息子アレックスはメレディスの連れ子で血のつながりはないこと、アレックスは最近妻と不仲らしいこと、また仕事上でもドイル氏には敵がいたかもしれないことなどがわかってくる。

捜査しながら、ドイル氏が撃たれたラベンダー畑の主でこのハーブを使った商品を扱うスーザンと仲良くなって、ラベンダーをテーマにしたお茶会を自分のティールームで企画するセオドシア、アメリカ女性らしい明るい押しの強さで(皆がみんなこうじゃないですけどね)ぐいぐいいきます。

そのうちにアレックスの妻フォーンが失踪して誘拐事件まで起こる。セオドシアが車で犯人を追跡したり、なかなか勇ましい。ラストはあっさり簡単に済ませてしまい、頭を使わずに読める(聴ける)ように設計されたストーリー。紅茶を飲んでスコーンにクロテッドクリームを山盛りに塗って食べたくなる。そうそう、彼女のお店ではちゃんとデヴォンシャー・クリームを出しています。

レシピもいくつか最後にまとめて紹介されている。けど、オーディオブックではレシピはダメですね、作ろうと思ったら必死でメモしないと、流れていってしまう。「クリームチーズとグリーン・オリーブのティーサンドイッチ」など、きざんだナッツも入って美味しそう。

 

 

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