Анна Каренина (мюзикл) アンナ・カレーニナ(ミュージカル)@映画館

JUGEMテーマ:エンターテイメント

220119-1

ちょっと(だいぶ)サボってしまいました〜。

かなり前に観た「アンナ・カレーニナ」のミュージカル! モスクワ、オペレッタ劇場のプロダクション、録画されたものを映画館で。
<キャストはまとめて>

Екатерина Гусева, Сергей Ли, Наталия Быстрова, Александр Маракулин, Денис Дэмкив, Максим Заусалин, Андрей Александрин, Лика Рулла

言わずと知れたレフ・トルストイの名作。19世紀帝政ロシアで政府高官の妻アンナが青年将校ヴロンスキーと道ならぬ恋をして社会から押し出され、息子とも引き離され、苦悩して悲劇の最期を迎える。対比して、田舎で大地と共に生きる地主リョーヴィンが令嬢キティ(ヴロンスキーに振られる)と結婚して幸せな家庭を作る話も語られる。

映画は昔から多数作られている。ストレートプレイやオペラ、バレエまでならまだわかるが、ミュージカル…? あのアンナがガンガン歌って踊るの? ――見るかどうか迷ったけど、せっかく「ステージ・ロシア」が地元に比較的近いケンブリッジの映画館でやってくれるのだから、と行ったら、エネルギッシュでスピード感あり、ダンスも歌もノリノリなパワフルな舞台が見られた。

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テーマは鉄道のようだ、大きな駅のシーンから始まる。駅長?(誰?)が「旅にはルールがあるよ、ルートを外れるなよ」みたいな歌を歌う。汽車がドドド〜と入ってくる。ここが舞踏会上やモスクワのスケートリンクなどに早変わりする。

お上品な上流階級、でも人妻の恋愛なんて普通のことだった。こっそり、軽く、家庭に迷惑かけない程度なら、誰も何も言わない。

真面目なアンナはどっぷり真剣に愛して家庭を壊す。「外れて」しまった女に世間は冷たい。

一方キティは、もう婚約間近と見られていたヴロンスキーを、一度の舞踏会であっさりアンナに取られて絶望する。実は理想家の地主リョービンに一度告白されていたのだが、どうもぱっとしない男のように感じて断ってしまった。結局彼と結婚、田舎の広大な農地でよく働く夫(関係ないが小作農夫が皆シックスパックのやたらいい男・笑)と暖かい家庭を築く。

舞台を2分割してアンナとキティが同じ歌詞を違う意味で歌う演出が面白かった。

そうそう、ヴロンスキーとアンナの夫も同じく、「アンナはどうしてやったら幸せになるんだ?(おれにこれ以上どうしろと?)」と舞台に並んで悩む。彼女は息子のセリョージャくんがいないとダメなんですよね。

ヴロンスキーはセルゲイ・リー、東洋人の顔だった。韓国か中国系?

アンナのエカチェリーナ・グーセワは美貌だし歌唱力抜群、花のある女優さん。初めて見たけど、ロシアのミュージカルは初めてだから当然、知らない人ばかりです。

特に踊りが全員キレがあり爽快だ、さすがロシア。違和感のないアンナ・カレーニナ・ザ・ミュージカルでした。

映画館版のトレイラー:

 

 

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ピーター・スワンソン『The Kind Worth Killing』をロシア語で

JUGEMテーマ:読書

030119-1

ロシア語版の表紙の裏表を開いた図、デザインがきれい。

とっくに明けましておめでとうございます。今年もよろしかったらおつき合いください。

Peter Swansonの『The Kind Worth Killing』が、ロシア語だと「Убить лучше по-доброму」 (Свонсон Питер)になります。日本語訳が「そしてミランダを殺す」、どっちも意訳ですね。わたしだったらどうするかな。「殺して正解」とか?

ロシア語でもわりと平易なため、楽しく読めた。

旅先で偶然出会った人に(もう二度と会わないだろうし)とつい心の内を打ち明けるというのは、たまにあること。リッチなコンサルタントのテッドも、イギリスの空港のバーで会ったリリーとボストン行きの飛行機も同じで、「妻が浮気してるんだ、殺したいよ」とポロっと言ってしまう。

「ひどいわね。手伝ってあげる」といきなり乗ってくる美女リリー。ええっ。

冗談だろうと思いつつ、きれいなリリーにまた会いたい、とスケベ心を起こして再会を約束。しかし彼女は本気だった。テッドの不実な妻ミランダとその愛人を消すべく、プランを練り上げ…。

そんなプラン通りにうまく行くかい? と読んでいるうちに事態が激変。その後も思いがけない展開となって、あれよあれよ。面白い。語り手と視点が章ごとに切り替わる構成も、相手の知らないこちら側の過去などが明らかになるしくみだ。

登場人物みんなキャラが立っているが、少なくとも2人くらいはサイコパスというか、思考回路が、

困ったことになった→あの人がいなければいい→殺す

いいことがある→あの人がいないとうまくいく→殺す

というとんでもない人間。人が死んでも何とも思わず、良心だの罪悪感だのがないから淡々とすべきことを実行、だからけっこう成功率が高い。怖っ。しかし普通の感覚でないので、変なところがスポッと抜けていたりする。やっぱりバレるんじゃない?…

エンタメとして読むならいいけど、実生活で絶対出会いたくないタイプの人たちです。

わりとストーリーを追えたので気を良くしてイワン・ブーニンを読み出したが、やっぱり難しいわ。言葉のレベルが違うようです。
 

 

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ピーター・スワンソン『All the Beautiful Lies』

JUGEMテーマ:読書

25122018-1

Peter Swanson (1968〜)『All the Beautiful Lies

自分の分が終わるめどがついたら、チーム内の都合の悪くなった人の分が回ってきた。年末年始あるあるかも。時間あるからいいけど。

とはいえ休日らしいこともしたい。電子図書館から適当に借りたピーター・スワンソン、読みやすくて2日で読めた。

もうすぐ大学の卒業式というときに、ハリーは父の後妻アリスから、父が事故で亡くなった、と連絡を受け、急きょメイン州の実家に戻る。アメリカにメイン州なんてありましたっけ(無知ですみません)、東海岸の最北部なんですね。風光明媚なようです。

いつもの海岸の散歩コースを歩いている時に、崖から転落したという父。信じられないうちに葬式も済ませるが、ある日警察が訪ねて来る。事故死でなく、事件の可能性があるというのだ。

ニューヨークで開いていた古書店を地元でも開き、順調だった父に何が起きたのか? 卒業式も出ず、そのまま夏の休暇にとどまることにしたハリーだが、父の13歳年下、つまり自分より13しか年上でない、どういう人なのかほとんど知らない美人の「継母」アリスと2人きりになるのが楽しいような恐ろしいような…。

対比するように、アリスの過去の章もはさまれ、かなり特異な少女時代からの話が展開する。

心理的スリラーがはらはらさせて、面白く読めた。真犯人も、かなり後の方まで気づかなかった〜。ちょっと文句をつけるとすれば、どの人物も特に”友達になりたい”タイプでなく、どういう目に遭っても心は動きませんが。だからストーリーとして離れたところから楽しめるのかも。平易な文章で、読者の気をそらさないように書かれている。ロシア語訳で読むと疲れ過ぎずいい練習になりそう。と今は彼の「そしてミランダを殺す」をロシア語で読んでます。これも面白い。

季節感も何もない、今年最後のポストでした。みなさま良いお年を。

 

 

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ロシア語トーク、「お皿は立っている」

JUGEMテーマ:学問・学校

271218-1

ケンブリッジ北駅、もわっとしていた。じめじめと冷える、グレーな冬です。

だいぶ前に行ったロシア語についてのトークを今頃書きます。モスクワに10年以上住んでいるアメリカ人ジャーナリストのミシェル・バーディさんが放課後の学校で、英語の話者にとって理解が難しいロシア語の「立つ、寝る、座る」の使い方をテーマに話してくれた。

動詞Стоятьは立つ、Лежатьは寝る、Сидетьは座る、ですが、この意味が微妙にずれているのをミシェルさんは発見したのだ。

あるとき家で食事の用意をしていた彼女、友達に「お皿は棚にあるわよ」と言おうとした。ロシア語だと「お皿、棚の中」と言えば正しい文章であり問題ない。が、たまには動詞も使ってやろうと、

「お皿は棚に寝ているよ」と言った。すると友達は、

「あははは、変。お皿は”立っている”のよ」と訂正したそうだ。

ええ、平たいのに?とわたしも驚いたから、日本語も英語と似た感覚かも。

びっくりしたミシェルさん、そこから意識してこの3つの動詞の使い方の例を集めることに。コップが立つのは普通だけど、ネズミは座る、お金は寝る、など面白い発見をした。

<立つ>

皿、小鉢のたぐい。靴(ブーツもサンダルも)−−ただし床に乱雑に脱ぎすててあるやつは「寝ている」(ややこしい)

大き目の動物(犬とか)が四足で立っている場合。

<座る>

リスとかネズミなど小さい動物が止まっている状態、足が見えないときなど。

271218-2

これは足見えてるけど、座ってるっぽいかも。

蝶や昆虫などがどこかに止まっているとき。屋根(が家の上に)。キノコ。

ーーここで、ルドルフ・ヌレエフの故郷出身だという女性が「キノコは”立つ”っていいます」と反論、しばしロシア人同士でもめる。地域や教育、年代によってずれもあるとのこと。ややこしい。

あと、コルクの栓が瓶に詰まった状態や、監獄に入っているのも言うそう。

<寝る>

髪の毛、お金、食品(皿や入れ物に入っていない状態)、影、病気で家にいる状態のとき(これは日本語でも”伏せっている”というかも)。箱は通常寝ている。が、引っ越しなんかで段ボール箱が積みあがっている状態は”立って”いる。

うーん、分かるような分からないような。

その上、動詞がある。つまり立つべきものには「立たせる」という動詞を、寝るべきものには「寝かせる」という動詞を使わなければならない。ケーキを焼くときはオーブンの中に「立たせる」だそうだが、料理本などで「寝かせる」と言っていることも。気分次第? 冷蔵庫に入れるとき、ビールなら「立たせる」、食品は「寝かせる」。ただし人によって何でも「冷蔵庫に寝かせる」で済ます人もいるそう。(わたしもそうしよう…楽だ)

今まで「立つ、寝る、座る」について体系的な話を聞いたことがなく、とても面白かった。ロシア人は無意識に使っているので、「なぜキノコは座っているの?」と聞かれたら面食らうだろう。外国人だからこそ気づいたことで、たまに英語圏の人にロシア語を習うのもいいものだと思った。

彼女はモスクワ・タイムスにロシア語をネタにコラムを書いている「Michele A. Berdy」。最新投稿によると、ロシアの「今年の言葉」は「Новичок」(ノビチョク)! うおう、さすがロシア。

 

 

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メリークリスマス!

JUGEMテーマ:日記・一般

241218-1

あっという間にクリスマス、早くないですか? (毎年言っている気がする)

イヴの本日はわりと穏やかで暖か目、もちろん雪なんか降ってません。写真は今年初めのものです。

わたしは25日・当日のパーティ以外は仕事の追い込みです。先が見えてきた。

みなさま、風邪など引かないようにお過ごしくださいね。

 

 

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『Tulip Fever』

JUGEMテーマ:映画

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邦題は「チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛」だそうです、映画館の会員タダ券がまだあるので行ってみた。

『Tulip Fever』、2017

Directed by Justin Chadwick

Screenplay by  Deborah Moggach & Tom Stoppard

<Cast>
Dane DeHaan as Jan van Loos
Alicia Vikander as Sophia Sandvoort
Christoph Waltz as Cornelis Sandvoort, Sophia's husband
Jack O'Connell as Willem
Holliday Grainger as Maria
Judi Dench as the Abbess of St. Ursula

お目当てはアリシア・ヴィキャンデルのヒロインと、フェルメールの絵を意識したという画面づくりです。

背景は17世紀のオランダで起きたチューリップ・バブルの崩壊。オスマン帝国から輸入された可愛らしい花が大人気となり、球根の先物取引がされるようになると価格がどんどん高騰、相場にハマる人がたくさんいた。

ヒロインのソフィアは修道院づきの孤児院で育ち、美貌で選ばれリッチな商人の後妻となる。前妻をお産で亡くした旦那コルネリスは、早く子供がほしい。ソフィアも自分を「奥様」の身分にしてくれた夫の期待に応えようと思うが、ロマンチックさも何にもない子作り作業に疲れてくる。

そのうちコルネリスは、中流階級に流行っていた夫婦のペア肖像画を描いてもらおうと思い立ち、巨匠は高いから新進の若い画家に注文する。修道院育ちで若い男なんかあまり見たことがないソフィア、画家のヤンに恋してしまい、ヤンもソフィアの美しさに一目惚れ。何とか2人で生活したいが、画家は文無し。チューリップで大金が入れば?…と危険な賭けに出る、という話。

たしかに画面がきれいだ。フェルメールを意識しまくり。

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絵を見すぎて、ストーリーに注意がいかない。またその筋書がけっこう入り組んでいて、やや忙しい。長編小説の映画化で、原作者が脚本を書いたためか(さらにトム・ストッパードも参加したけど)、盛り込みすぎかな。

活気あるアムステルダムの港やウォールストリートばりの(?)取引所の喧騒などは、場面として面白く見られた。実はロケは多くがイギリスで行われたとか。

もう1組の、相場に翻弄されるソフィアの家の女中のマリアとボーイフレンドの魚屋さんや、修道院の元締め(とは言わないが、チューリップの栽培を取り仕切っていて、凄みがあってぴったり)のジュディ・デンチなど、多彩な顔触れ。

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人間の欲でふくらんだバブルはいつか崩壊するのが法則だ。夢が崩れるのはあっけない。でもそのスリルも含めて人生だよね。

この映画、批評家には「ごちゃごちゃしすぎ。話が浅い」と評判がよくなく、興行的にも失敗だったようですが、画面は美しいです。実際に肖像画を描いている現代人の画家さんも実力がある。ちょっと現代的すぎるのは、ヴィキャンデルが21世紀の美人なんだからしょうがない。

ロシア語のトレイラーを見てみた。「Тюльпанная лихорадка」

 

 

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フェルメール展、覚え書き

JUGEMテーマ:アート・デザイン

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Johannes Vermeer, The Milkmaid, 1658 - 60

映画「チューリップ・フィーバー」を見て来て思い出した、日本で行った「フェルメール展」のことを書いていませんでした。もうかなり昔の話になってしまった。

上野の森美術館で見た『フェルメール展』。

35点くらいしかないフェルメールの作品を9点日本に持ってきてしまうという大胆企画。ただし期間により入れ替えがあって、見られたのは8点。混雑を緩和するため、時間で区切って入場する方式。

――だったのですが、友達が3時に予約してくれたので10分ほど前に行ってみたら、もう長い列ができている。東京の混雑を甘く見ていました。並んでいる人の数が、時間枠内でこんなに入る?と思えるものだった。無秩序よりはまし、程度の効果ですね。

同時代の画家も、肖像や静物、風景など、船で世界に出て行ったオランダの景気の良い時代を反映して、面白い作品が多数。

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Wallerant Vaillant, Maria van Oosterwijck, 1671

当時は珍しい女性画家のポートレート。本当はこんなドレスで描いていないだろうけど、おめかしですね。

レンブラントの弟子、というヘラルト・ダウの作品もあった。

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Gerard Dou, Old Woman Reading, 1631 - 32

読んでいるのは「ルカによる福音書」19章だそうです。わかるように描いてる!すごっ。

船での貿易で潤っていたのがよく反映されている、港の絵も。

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Cornelis Wieringen, An armed merchant ship and other vessels in a seaport (Dordrecht?), c. 1620.

こんなに緑の海じゃなかった気がする、すみません。商船は貴重な商品を積んでいるので、武装してるんですね。活気がある。

このへんも十分混み混みでしたが、フェルメールの部屋に行くと人がびっしりでした。「入場時間制限」で安心して日曜の午後に行ったのが敗因か。平日の開館と同時くらい、あるいは夜が狙い目かも。

しかし人の列に従ってじっと並んで見る価値がある。一番上の、牛乳をそそぐ女中さんとか、周りがどんなにガヤついていても、絵の前に立つとシーンとします。

ニューヨークで見たような気がしていたけど、ワシントンにあるこの人も。

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Johannnes Vermeer, Girl with the Red Had, 1665 - 66

コンパクトな作品。フェルメールはカメラ・オブスクラを使うようになってからが特に凄い。惜しげもなく使った青色に対比する燃えるような赤い帽子、それに唇や頬の色も映って、生き生きしている。背景も面白いですね。

この作品は12月20日までの展示だそうなので、見たい人は急いで行ってみてください。

展覧会のガイドの小冊子の最後、地図と共にどの絵がどこにある、というのが書いてあって便利。作品数が多くないから、全部制覇は不可能ではありませんね(個人蔵もあるけど)。わたしももう半分以上は見たかも?

巨匠フェルメールがまだ子供だった頃、オランダでチューリップの球根の価格がやたら上がって突然下降した、バブル崩壊を舞台にした映画の話は次回に(たぶん)。

 

 

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『Ирония судьбы, или С лёгким паром!』(運命の皮肉)

JUGEMテーマ:映画

071218-1

ロシア語講座の中で、映画鑑賞があった。1975年ソ連製のラブコメ映画、タイトルは「運命の皮肉、あるいはいい湯を」。

そういえばオリガ先生のクラスでも、「ロシアのサウナ」を説明するときに一部を見せてもらった。

発表当時から大ヒットし、それから毎年、テレビで大晦日に放送され、みんなで見る映画として文化の一部になっているそうな。

Режиссёр -- Эльдар Рязанов

Композитор -- Микаэл Таривердиев 
<В ролях>
Андрей Мягков -- хирург Евгений Михайлович Лукашин
Барбара Брыльска -- учительница русского языка и литературы Надежда Васильевна Шевелёва
Юрий Яковлев -- жених Нади Ипполит Георгиевич

ソ連時代、どこも似たり寄ったりの殺風景な高層集合住宅が建てられた。見分けがつかないくらいそっくり。しかもどこの町も市も、通りの名前もありがちなものが多い。さらに、アパートの鍵もあんまりパターンがなくて、自分の鍵が他人に家のドアに合ってしまう可能性は十分あった、というのが予備知識として説明される。

大晦日の日、モスクワに住むジェーニャは恋人にプロポーズして、その夜は2人だけで過ごすことを約束。でもその前に、毎年恒例の友人たちとのサウナ・パーティに顔を出す。もちろんすぐ帰れるはずがなく、全員ひどく酔っ払い、その夜レニングラードに向かう別の友達と間違われて飛行機に乗せられるジェーニャ。着いた空港で目を覚ました彼は、なぜこんなところに?と戸惑うも、家に帰らなければ、とタクシーを呼んで自分の住所を言う。そしてレニングラードの同じ名の通りの似たようなアパートに着き、自分の鍵で中に入って寝る…。

そして本当の住人であるナージャさんが戻って来て、「え、だれこの人!」とびっくり。そこへ彼女がつき合っているイッポリート(ジョン・クリーズ似)もやって来て、フィアンセのアパートになぜズボンを脱いで寝ている男がいるのか!と怒りーーというドタバタ・コメディ。

岡目八目の視聴者には、元々の相手より、ジェーニャとナージャの方がカップルとして知的レベルも似て、性格的にも合いそう、とはわかるのですが、どうなることやら。

この映画が愛されている理由のひとつに、状況にぴったり合った、レベルの高い歌が挿入されていることがある。しかも歌詞は、多くが当時当局から禁止に近い扱いを受けていた詩人たち(ツヴェターエワ、エフゲニー・エフトゥシェンコなど)の作品。なにげに大胆だな。作曲はスパイ物「春の十七の瞬間」でも音楽を担当したミカエル・タリヴェルディエフなので、良い曲になっている。

あとで授業で詩を各々1編訳すことになって四苦八苦した。一流の詩が入った映画が幅広い視聴者に受けたというのがソ連の面白さだ。

アニメーションによるイントロはこちらです。

ところでヴェラ先生が、「この映画の続編も21世紀に作られたけど、箸にも棒にもかからないから見ちゃダメ」と言っていたので、チェックしてみました(笑)。

『Ирония судьбы. Продолжение』(続・運命の皮肉)、2007年

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Режиссёр -- Тимур Бекмамбетов
<В ролях>
Константин Хабенский -- Константин Евгеньевич Лукашин
Елизавета Боярская -- Надежда Ипполитовна
Сергей Безруков -- Ираклий Петрович Измайлов

あら豪華キャスト。ハベンスキーにボヤールスカヤ、それにセルゲイ・ベズルーコフ。

これはソ連時代の2人の子供世代の話で、似たような事態になる。偶然ではなく、誰かが裏で仕組んだものということがわかるが、こじつけ感は免れません。しかしオリジナルの2人が出ているのが驚く。特に新ヒロイン・ナージャの母のナージャ(ややこしい)がまだまだ美しい。それなりに楽しい娯楽作品で、ソ連時代の、ひょっとしたら上映禁止されるかも的な、すれすれの緊張感と矜持はないのは仕方ありません。

現代だとみんな携帯を持っていたり、オリジナルのナージャの恋人はソ連の役人(闇でいろいろ手に入る)で車はラーダ、21世紀のナージャの彼氏は携帯でのべつしゃべっているビジネスマンで車がトヨタ・カムリ(だったと思う)など、時代と体制の変化が面白い。

ポスターがにぎやか:

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ロシア映画祭@ケンブリッジ

JUGEMテーマ:映画

順番がぐちゃぐちゃですが、ロシア語合宿の前後にケンブリッジ・ロシア映画祭で2作品を見た覚え書き。

まず宇宙もの。

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『Салют-7』

Режиссёр -- Клим Шипенко
<В ролях>
Владимир Вдовиченков --  командир экипажа «Союз Т-13» Владимир Фёдоров
Павел Деревянко -- бортинженер «Союз Т-13» Виктор Алёхин

実話に基づいたストーリー。1985年、宇宙ステーション「サリュート7号」からの信号が途絶えた。そのときは無人の状態で、何が起きたかわからない。制御不能になり、このままでは地球に落ちる。

まだ宇宙開発戦争中でもあり、アメリカ側が、

「うちらが回収しましょうか?」なんて言っている。

それはまずい!というわけで、人類史上初、無人の宇宙船を追いかけて行ってドッキングし、修理を試みるというミッションが、ソユーズT-13号にあたえられる。その乗組員の体験する数々の困難を描く。

監督が挨拶に来ていて、T-13のミッションだけだと「退屈な映画になるので」他の宇宙ミッションのエピソードもてんこ盛りして作ったと説明、なるほどアメリカンな娯楽大作に仕上がっている。無重力の中、浮遊するウォッカをしゅるっと飲んだり(笑)。

質疑応答中、観客の中で最低2人はすごく怒っていた(まじで。たぶんロシア人)。事実とだいぶ違うのだろう。

「ぼくはソ連崩壊時に9歳だったんで、ソ連のことは知らないんだ」とアメリカ英語で話す35歳の監督、新世代ですね。

これはこれで楽しめたが、しっかりしたドラマ映画が面白かった。

『Не чужие』(他人じゃない、という意味)

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Режиссёр -- Вера Глаголева
Автор сценария --  Ольга Погодина-Кузмина

<В ролях>
Санжар Мади — Рустам
Татьяна Владимирова — мать Галины и Милы
Лилия Волкова — Мила
Анна Капалева — Галина

英題「Clay Pit」粘土採掘抗みたいな意味だと思う。そのまま、オリガ・パガジーナ=クズミナ?作の戯曲の題。

ミーラという若い(といっても30歳前後かな)女性がモスクワから田舎町に帰ってくる。仕事でも恋愛でもいろいろあって、夢破れて実家にもどったようだ。実家には母がひとり。姉のガリーナは近くに住み、最近自分よりだいぶ若い中央アジア出身・イスラム系の青年ルスタンと婚約している。前の夫はアル中で亡くなっていて、その息子が2人、まだ小学生。

ここからどういうドラマが展開するのかと見ていたら、すごいことに。(ネタバレするので、観る機会がありそうな方は読まないでね)

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ミーラは姉の幸せが不愉快なのか、暇つぶしか、姉の夫ルスタンを誘惑、あっさり不倫が始まる。

ルスタンにも何か辛い過去があるようで、感情が一部死んでいるみたいだ。ガリーナに「よその男の子供は育てたくない」と言い、ガリーナは亡夫との子を母に預けっぱなしにする。みんなひどいなあ。お母さんはまともなんだけど、娘2人が自分勝手で気の毒。そのうち不倫がばれ、子供がお母さんに捨てられたことを悟り…。家族でののしり合い、言ってはいけないセリフの応酬!「他人じゃない」関係がこじれた泥仕合はことさら壮絶なものがある。

これはオリジナルの劇で見ると迫力だろうなと思った。というか怖い。映画は非常に美しいカメラワークで質が高い。監督のヴェラ・グラゴーレワさんはこの作品の撮影途中でガンのため亡くなったそうで、残りはスタッフががんばって撮り終えたとのこと。ラストは戯曲と違っているそうで、その方が良かったと思う。でないと救いがまるでないところだった。緊迫した秀作です。

字幕がないけど、絵がきれい、というのはわかると思うトレイラー:

 

 

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ロシア語週末講座

JUGEMテーマ:趣味

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(窓からの眺め、天気はどんより)

去年も夏に行ったケンブリッジ大学の一般向け週末コース、ロシア語講座に参加中。金曜夜のディナーと夜のクラスから始まり、2泊で「ロシアのクリスマス」をテーマに学ぶ。朝から晩まで課題やクラスがあって忙しい。

今回は大学の宿泊施設に泊まれた。学生寮仕様で質素だが、寒くて雨がちな中、一度も外に出なくて済むのが助かる。

教室の方はなかなか豪華です。

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タイトルは「誰がロシアのクリスマスを盗んだのか?」、結論からいうと盗んだのは「宗教はアヘンだ」と排斥したボリシェヴィキ、と、ロシアの暦システム。最近はクリスマスは祝うようになったが、暦のずれで、12月ではなく1月7日。ややこしい。

クリスマス的なものは新年にいっしょにやるようになり、大晦日は「クリスマスツリー」やプレゼントやシャンパンで祝う。

書記長→大統領の挨拶も恒例だそう。

去年も教えてくれたインテリで博識なヴェラ先生が、いろいろ動画も紹介してくれる。ブレジネフ書記長の型通りの挨拶が面白い。さらに笑えたのが歌うプーチンさんとメドヴェジェフさんのパロディ。

今年の大晦日はこれを見て祝おうかと思う。

 

 

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