デッサン教室 色のディテール
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パステルの色の研究、継続中。

210112

先日のピンクの紙に描いたものをトレースし、緑の紙に写してみた。
5色くらい使ってます。

月曜のデレク先生の教室。
『Colour Detail』ということで、色使いをさらに発展させる。

色を選ぶには、
1 実際目に見える色をよーく観察する。
2 自分の直感で選ぶ。
3 描きながら自分の絵に反応するように色を見つけていく。
といった方法がある。

ルシアン・フロイドなどを参考にしようとのこと。
肌の色に緑や赤など微妙な色が混じっているのを誇張するように大胆に、かつ繊細に描いているフロイド。彼の展覧会がもうすぐナショナル・ポートレート・ギャラリーで始まるので、見てこなくちゃ。

最初は細部に関係ないクイックポーズ。

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2分半、A3。

モデルは新顔のプトレミー(みなさん仮名)。
初めての人は、プロポーションに慣れるのに時間がかかる。

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小柄で筋肉質、頭が比較的大きくて髪が黒い、目鼻立ちがはっきりしている人。

次に20分ほど。

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スレート色(ねずみ色)の紙。
色を使うと時間が足りなくて、まともに描けたのは腕部分だけ。
でもあまり色数使ってないけど。

最後も同じ紙、65 x 50cm。

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いちおう色を誇張してみました。
暗めの紙に、暗く描き、ちょっと汚いかも・・・いつもと違う色使いを試した価値はあるが、研究の余地(たくさん)あり。

今回は、いつも水彩やペンで描いているパステル嫌いのナディーヌが、オイル・パステルに挑戦していた。
「やったことのないことをするのが今年の目標」とのこと。見習いたい。

| ろき | 作品・習作 | comments(2) | - |
博物館で音楽と美術
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先週までフェルメールが来ていたケンブリッジのフィッツウィリアム博物館、友達が平日の朝一で行ったのに、すでに観光バス3台で乗りつけた団体がいて、3時間待ち。
午後に用事があったので泣く泣くあきらめたと言ってました。

大人気の「レースを編む女」が去った博物館はいつもの静けさを取りもどし、本日は今年初めてのプロムナード・コンサート。
19世紀の肖像画などが展示された広めの部屋で、Alda Dizdariのヴァイオリン独奏を聴いた。

プログラムは
バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 1944年 Sz.117
J.S. バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 BWV 1004

なんと贅沢な。入場料は無料で、好きなだけ寄付すればOK。

アルバニア生まれのアルダさん、まだ若いがロンドンのウィグモア・ホール・デビューも果たした成長株。
非常に力強く、パッショネートなバルトーク&バッハ。間近で聴かせてもらい、迫力だった。
目を閉じてうっとり聴いていたが、たまに目を開けると本人はすごい集中力で全身で演奏している。
ヴァイオリンも体力要る仕事だなあ、と思った。

In The Footsteps Of Bach


次の機会に彼女のヴァイオリン協奏曲を聴いてみたいと思った。

さて、音楽でいい気分になった後は、絵を鑑賞。

印象派の部屋がリニューアルされ、配置や出されている絵がちょっと変っていた。

ドガ22歳くらいの風景画。
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Castel Sant' Elmo, from Capodimonte
oil on paper, laid down on canvas
20 x 27 cm, circa 1856

グラファイト(鉛筆含む)のデッサンを集めた特別展示室にもドガがあった。
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Studies after two Italian Madonnas
graphite with traces of red crayon, on paper, laid down
262 x 340 mm

薄くて見えにくいんですが・・・。右上にマドンナの頭があります。
ドガもイタリア巨匠たちを勉強したのですね。

お茶はいつものスコーンと紅茶セットで。
いつの間にか、Duke of Cambridge(ウィリアム王子)タルトがメニューに加わっていた。
どんなお味なのかしら。次回は試してみようかな。

最後はいつものお気に入りを見て帰る。
せまい螺旋階段を上ったギャラリーにある、隠れた名画。

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Jesse Dale Cast(1900–1976)
Miss June Miell, 1956
Oil on canvas, 53.2 x 39 cm

本物はもう少し暗い色に沈んでいて、絶妙な薄塗り。ジューンさん性格がよさそう。
模写も試みているんだけど、通路がせまいギャラリーのため、人が来るとよける必要があり、落着いて描けたためしがない。

のんびり&リフレッシュできた日曜日でした。

| ろき | 音楽 | comments(4) | - |
デッサン教室 簡単パステル
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今回はデレク先生のデモンストレーションをじっくり見たので、自分のが少ない。
テーマは明・中間・暗の3色で描くパステル"Easy Pastels"。

珍しくいつもの白でなく、青い紙を使った先生、
明:黄色
中間:けっこうきつい朱色
暗:藍色

というラインナップ。明るいところに黄色は分かるが、中間に赤を持ってくるのが先生らしい。
手法は、まず一番明るい色でざっと形をとらえる。
次に明るい面を塗ってしまう。
で、中間色を陰の部分にいれ、かなり指でこすって混ぜる。
途中は色が混じってぐちゃぐちゃな印象になるが、その上からまたハッチングを入れたり、層にして描いていく。
最後に暗い色で要所を締めたり、クリアな線を引いてアクセントをつける。

というものでした。明るくて面白い色使い。
色の好みは人によって全く違い、クラスで他の人のを見ると勉強になる。

わたしはピンクの紙を使った。

1.
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65 x 50cm、20分。モデルはスヴィン(仮名)。
明:白に近い桜色、中間:濃い目のピンク、暗:深緑
にしてみたが、緑では締めが弱いため、最後にこげ茶も使った。

中間のピンクが紙色に近いから、もっと別の赤系の色でもよかった。

次は紙は同じで色を変えた。
2.
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明:薄い水色、中間:青紫、暗:こげ茶。
これは3色でおさまった。しかし人体に青い光はどうかな〜。

家で試してみて、事前に決めておいた色だが、実際に大きくモデルを描いてみると少し印象が違ってくる。
40分かけた2より、1の方が出来がいいかも。
クラスメートも、
「うーん、緑の方かな」と言っていた。

3〜4色でもかなり描ける。難しいのは、どの色を使うか決めること。
色の組合せは無限にあって迷うから、少ない色数から発展させていくのは良さそうだ。

| ろき | 作品・習作 | comments(6) | - |
映画「グリム兄弟」の、脇役
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テレビで2005年の『The Brothers Grimm』をやっていた。邦題は「ブラザーズ・グリム」って、やる気が感じられない(笑)。

監督:テリー・ギリアム
<キャスト>
ウィル・グリム:マット・デイモン
ジェイコブ・グリム:ヒース・レジャー
アンジェリカ:レナ・ヘデイ
ドゥラトンブ将軍:ジョナサン・プライス
鏡の女王:モニカ・ベルッチ

なにげに贅沢なキャストですよね。

19世紀、フランスに占領されているドイツのある地方で、魔物退治で名をはせているグリム兄弟。
実は元々魔物を自分たちででっちあげている、サギ師。
弟ジェイコブはおとぎ話に真面目に興味ある学者肌だが、兄ウィルは目に見えるお金とか女の子にしか興味なし。
実在したグリム兄弟とはあまり関係ない。だからわざと実在の兄ヤーコブと弟ウィルヘルムの年齢を逆にしたのかも。

とうとう占領軍のドゥランプ将軍にとっつかまって、近くの村で起きている連続少女失踪事件を解決しろ、と命令される。

人間が起こしている普通の事件だろうと捜査を始めるが、どうも本当に超自然の存在があるようだ。
兄弟は、村の猟師の娘アンジェリカに協力を請い、森に入る・・・。そこでいろいろと恐ろしいことが。

元モンティ・パイソンのギリアム監督らしく、ファンタジーにドタバタ要素あり、展開が早い中にグリム童話のプロットを盛り込んである。そのままついていくのは疲れるので、ちょっと引いて見ていたら。

ひときわ光る人物が。

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ドゥランプ将軍の従者だ。
白塗りの顔でいつも無表情。
「仕事ですから・・・」という態度で、悪役ドゥランプ将軍に仕えている。
そばに立っているだけで動きも少ないのに、妙に目立つ。

敵役側だからいずれはやっつけられてしまうが、最後の最後にすごい変顔をして死ぬのがすばらしい。
Martin Kavanという俳優で、チェコ人のようだ。(この作品はチェコで撮影)

彼のHPはまだ作っている途中で情報はなかったが、『Posta pro tebe』(お手紙ですよ、みたいな意味かな)というテレビ番組に出ていたことをつきとめる。

YouTubeで見てみたら、一般の人が出て、旧友や生き別れの肉親と会うという人探し?番組だった。
カヴァンは探しあてた人にメッセージを伝える郵便配達のお兄さん役で、普通にチェコ語でしゃべっていた。

映画のチョイ役でこれだけ存在感あるんだから、出世しそうだけど。
役者の世界は厳しいから、どうなるでしょうね。またどこかで見たいものだ。

すっかり主役の存在を忘れてしまったわ。
えっと、明るく元気なグリム兄弟で、悪い鏡の女王も退治してハッピーエンドだし、良かったんじゃないでしょうか・・・。

ヒース・レジャーも、活発な兄に隠れた弟役としていい味出しているのに、この2、3年後に亡くなってしまったのが惜しまれます。

| ろき | 映画 | comments(4) | - |
夏目漱石『それから』と『こゝろ』
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それから (岩波文庫)
それから (岩波文庫)

便宜上イメージを貼ったけれど、青空文庫でダウンロード、キンドルで読んだもの。

夏目漱石の1910年発行『それから』は、『三四郎』と『門』とを合せ前期三部作と呼ばれる。
どういう訳か、『それから』ばかり、年に一度は読み返している。

たまに読むものが途切れたり、英語がおっくうに感じるとき、これか、森鴎外の『雁』を読むのだ。
我ながら、どうしてこうも繰り返して読むのか分からない(そんな無責任)。明治時代の裕福な”高等遊民”の暮しぶり部分がのん気でいいからかな。

それに大して『こゝろ』(1914年発行)の方は、教科書に出ていたけど、ちゃんと読み通したことがあったかどうか。『彼岸過迄』、『行人』に続く、後期三部作の最後。
今回キンドルに入れて、2作とも読んでみた。

こころ (新潮文庫)
こころ (新潮文庫)

話のメインテーマは、

それから:
裕福な家の次男で働かず優雅な生活をしている代助は、過去に三千代という女性が好きだったが、、親友の平岡に彼女への恋心を打ち明けられると、友のために身を引いて、2人の縁談をまとめた。
ところが平岡が仕事で失敗、生まれた子がすぐ亡くなるなど、夫婦は幸福といえない。気の毒だと思いながら三千代と会っているうちに、昔の気持が再燃し、代助はいまさらの告白をしてしまう。

こゝろ:
前半は、若い学生の「私」と年上の「先生」との親交。
教育も教養もあるのに社会に出ない「先生」には、暗い秘密があるようだが、何なのかは分からない。奥さんさえ知らないようだ。

後半は、父の病気で帰省している私に届いた先生の遺書。
先生は学生のとき下宿先で奥さん(当時お嬢さん)を好きになった。ところが親友のKから彼女への恋心を打ち明けられる。あせった先生は、Kを出し抜いて先にお嬢さんの母親に結婚の承諾をとりつけてしまう。
それを知ったKは自殺。
先生はその罪の意識の重圧の元で生きてきた。そして明治という一時代が終ったタイミングで死ぬことにする。しかし事情は妻には打ち明けてくれるな、と念をおして遺書は終る。

『それから』の方が、時々過去の事情をはさみながらも時系列に話が追え、分かりやすく、すんなり読める。

『こゝろ』は最初若い「私」の目でミステリアスな「先生」を描き、後半でその謎が解けるわけだが、「私」の実家の事情など本筋とは別の話も交錯している。
これから死ぬつもりの「先生」が遠くの若い友人にあてて書いているということで、空間的にも時間的にも広がりと屈折がある。
かつ、先生が自殺に成功しているとしたら2人も人が死んでいる分、取り返しのつかなさが重い。

『それから』の方はまだみんな生きているので、代助は父から勘当されて経済的に困窮するだろうが、何とかなるんじゃないかという気もする。

勝手にひとことで表わすと、代助は”浅はかなお坊ちゃま”であり、「先生」は”真面目な卑怯者”である(あ、二言だった)。
ひとことで済まないから文学になる。

人間というのは間違いを起こす生き物だ。生まれてから死ぬまで一度も馬鹿なことをしない人なんて存在しない。卑怯だったり自分勝手だったりする心の動きを丁寧にたどることで、人間存在の深部(暗部)に触れることができる。

『こゝろ』では、”奥さん”の蚊帳の外ぶりが徹底しているのが興味深かった。
親友をだまし討ちにしてでも手に入れたかった愛する奥さんに、自分の悩みの原因も死ぬ理由も絶対に知らせない、というのは、ずいぶん利己的な愛である。彼女を傷つけたくないというよりは、自分が情けなくて言えないんじゃないの。
夫に悩みを秘密にされ、あげく自殺されて、奥さんが傷つかない訳にはいかないだろうに。

縁談も先生はまず母にかけあい、承諾をとりつける。直接気持を言い合うこともなく結婚が決まるもんなんですね、明治時代って。

これに対して『それから』では、三千代の方も結婚前からはっきりと、代助のことが好きだった。
他の男と結婚してしまった後に、遅すぎる告白を受けて、あんまりだ、と涙し、
「残酷だわ」「どうしてあの時棄ててしまったのです」と抗議する場を与えられている。
そりゃあ、好きな人から、「○○くんと結婚しない?」と言われたら、自棄になるよねー。

もしかしたら直接でなく、代助は彼女の父に話が持ちかけて縁談をまとめたのかもしれない、ということに今回気づいたが、それでも同じことだ。

今だったら、いくら大人しい女性でも、コップの水かけるくらいはするかも。

時代はずいぶん変っているけれど、本質的な人間の問題は変らない。何度読んでもいろいろなことを考えさせられる。
『こゝろ』ももっと読み返した方がいいな。



年末に森田芳光監督が亡くなったんですね。
彼の映画版『それから』を見て以来、三千代の顔が藤谷美和子に固定してしまって、どうしてくれる(怒)と思ったけど、画面がきれいだった記憶あり。

それから [DVD]
それから [DVD]
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デッサン教室 Xt3m Action
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110112

調子に乗ってダ・ヴィンチのIsabella d'Esteをコピーしてみたが、目の位置(と大きさ)を間違って子供っぽくなってしまった。
右向きの横顔は難しい。

今期は、なるべくモデルの右顔を意識してみることにする。

本日のテーマ、”Xt3m”と書いて、エクストリーム、なんだそうです。
デレク先生たら、若いわね。
大胆なアクションを、短いポーズと長いポーズで描く。

まず短いポーズでウォーミングアップ。

各2分半。

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すべてA4サイズで小さい。
モデルは大きなポーズが似合うロディ(みなさん仮名)。

動きをとらえるためにどんな方法を使ってもいい、輪郭線でも動線でも、面で表わしてもOKとのことで。

ハイライト部はベージュの”粉パステル”を白粉のようにプレスしたものをスポンジでとって紙にこすりつけたもの。ぼやっとした表現ができる。
その後、木炭でちょっと輪郭を加えた。

次に大きい紙に。これも各2分半。

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65 x 50cm。

陰部分は、紙色の補色である緑。

次は長めで20分。

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65 x 50cm。

これも影を緑にしてみたが、赤系でもよかったかも。

最後は40分。

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さっそく右横顔だけど、彼の顔は輪郭がくっきりしていて描きやすいのよね。

もともと左腕は下に下ろしていて見えなかった。
先生が見に来て、
「ねえねえ、向こう側の腕も描きたいでしょう」

「いえ、いいです(今さらめんどくさいし・笑)」
と言ったのに、思いついたら止まらない先生に、途中から向こうの腕も上げさせられるロディであった。

左腕を上げても、最初とポーズが違ってしまってそれは参考にならず、でっちあげて陰のように入れてみました。
一人おいて向こうのジョンの場所からはうまくおさまったみたいで、きれいに両腕を上げたポーズになっていた。

「わーい」ってどこかに飛び込むみたいですかね。
今期も楽しみます。

| ろき | 作品・習作 | comments(6) | - |
映画『Coriolanus』と、レイフ・ファインズQ&A
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090112

レイフ・ファインズ初監督作品、シェークスピア原作「コリオレイナス」の上映と、その後監督本人の質疑応答というイベントがあり、近くの映画館に出かけた。

<キャスト>
コリオレイナス: レイフ・ファインズ
タラス・オーフィディアス(ヴォルサイ将軍): ジェラルド・バトラー
ヴォラムニア(コリオレイナスの母): ヴァネッサ・レッドグレイヴ

ストーリーは:
ローマ貴族のコリオレイナスは優れた軍人だが、政治家として民衆の心をつかめず、反対派の陰謀もあり国を追われる。
復讐のために、宿敵であったオーフィディアスと組んでローマ侵攻を開始した彼、だが母親が訪ねてきてローマを救うよう懇願すると、折れて和平条約の締結に同意する。
オフィーディアスを裏切った結果となり、悲劇の最期へ。

映画は舞台を現代に移し、戦場シーンは臨場感ありすぎて恐ろしいほど。
セリフや場面などの冗長な部分はカットして、スピーディ&スリリングに仕上げている。
使者が到着して何か起こったことを伝える代りに、テレビニュースの画面でキャスターが速報を伝えるのが効果的。
本物のアナウンサー(チャンネル4ニュースのジョン・スノウ)が登場し、彼が韻文でニュースを伝えるのがウケた。さすがプロ、しっかり読めるものです。

壁のスプレー落書きがラテン語だったかも(笑)。

それにしてもジェラルド・バトラーがイケメンすぎる・・・うっとり。

などとアホな余韻にひたる間もなく、レイフ監督登場。青デニムに適当な(?失礼)ジャンパーをはおったカジュアルな格好。観客からの質問に丁寧に答えていた。

「戦闘シーンがすごい、まるでビデオゲームみたいですね」という青年の発言に会場が爆笑するなど、幅広い質疑応答の中で、印象深かったものの要点をあげると:

Q: なぜこの作品を映画化したか。
A: 11年前に舞台で演じ、やり残したことがあるように感じていたため。今回は映画なので、たとえば舞台ではできない顔の表情を伝えられる。

Q: 舞台を現代にもってきた理由は。またセリフを現代語に直すことは考えたか。
A: わたしたちは常に地球のどこかで殺しあっている。この話を今現在起きているとして感じてほしかったから。
セリフについては検討したが、やはりシェークスピアの言葉を変えたくなかった。彼のセリフは、役者としては音楽家が難しい曲を演奏するような、あるいは難解な本を読みとくような手ごたえとスリルを感じさせる。
それに彼の言葉は古いと言われるが、現代にも通用する生きた言葉だ。彼はいわば英語の世界のピカソ。だからそのセリフを活かしたかった。

Q: コリオレイナスのキャラクターをどう思うか。 
A: 彼は軍人として優秀だが、自国の民衆というものとどう対峙して良いか分からなかった。対応が分からない相手と向き合わなければならなかった人間として表現した。対照的に、ヴォルサイでオーフィディアスが気さくに民衆と語り合い、人々に愛されている姿も描いている。

Q: 取り上げている問題はいろいろあるが、基幹となるテーマは?
A: 母と息子の関係。そのため母を誰が演ずるかが大切だった。ヴァネッサは怖い母親をデリケートに演じてくれた。

-- なるほど。母(手駒として彼の妻と息子も連れて来るけど)とコリオレイナスの政治的交渉シーンは圧巻です。
レイフの撮りたかった”顔の表情”が100%とらえられている。

”優しいお母さん”ではない。わたしが思うに、貴族であり軍人・政治家の家系で、子育ては乳母の仕事だったんじゃないのかな。一流の家庭教師もつけて立派に育てたけれど、クールな母子関係。
でも子供はもっと甘えたかったような。
ハムレットとは違う性質のマザコンなのかも。

「コリオレイナス」はずいぶん前に読んで、ハードな政治劇と記憶していたが、実際演じられているのを見ると、きめ細かい人間劇にもなっている。シェークスピア最後の悲劇だけのことはある、と改めて思わされた。
そしてそれを現代の問題としてクリアに映画化したレイフ・ファインズもすごい。

ちなみに彼は戦争ビデオゲームはやったことがないそうです(笑)。

トレイラー:


邦題は「英雄の証明」だそうで。「コリオレイナス」じゃダメですかね。

| ろき | 映画 | comments(4) | - |
テレビ(というかPC)で鑑賞・バレエの覚書
 
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絵はがきから、鉛筆(一部色鉛筆)でタ・ヴィンチのコピー。
髪はバックが暗くて見えないので適当です〜。

年末にテレビ@オンラインで見たバレエの備忘録を書いておきます。

(1) ARTEで、秋のボリショイ劇場リニューアルオープン記念ガラがまだ視聴可能だった。
バレエとオペラを交互に、またボリショイ劇場の姿の変遷がわかる映像もはさまれる。

ボリショイ・バレエのスターに、歌手もホロストフスキーからナタリー・デセイ、アンジェラ・ゲオルギューと豪華。
プログラムは「眠りの森の美女」、「スパルタカス」(主役ワシーリエフ)、もちろん「白鳥の湖」(ザハロワがオデット)、「ドンキホーテ」etc. 書ききれない。

曲目にもよるけれど、バレエ音楽はチャイコフスキーのきめ細かさが目立つ。
ハチャトゥリアンの「スパルタカス」、騒々しいぞ(笑)。それよりも「パリの炎」が、元気で単純ですごいけど。
しっとりした「白鳥の湖」に、ほっとする。ザハロワは大人気。

一番気に入ったのは「黄金時代」のタンゴ。ニーナ・カプツォーワが色っぽくてクラクラする(笑)。相手はパーヴェル・ドミトリーチェンコだけど、はっきりいって男性ダンサーや周りのコール・ドは一切目に入りません。



(2) ARTEではボリショイの「眠り〜」も見られた。
オーロラがスヴェトラーナ・ザハロワ。デジレ王子がデヴィッド・ホールバーグ、優雅な王子だった。アメリカ人がボリショイに移籍して主役を踊るとは、時代は変ったと思わせられる。

ストーリーは単純だし、後半なんて婚礼の宴でいろんなおとぎ話のキャラクターが順番に中央に出てきて延々と踊るだけなのに、全員見ごたえがあって飽きない、ボリショイの実力だわ。

(3) ロイヤル・バレエの去年の新作「不思議の国のアリス」再放送もやっていた。

振付:クリストファー・ウィールドン
音楽:ジョビー・タルボット
美術:ボブ・クロウリー

アリス --- ローレン・カスバートソン
ドジソン先生/白うさぎ -- エドワード・ワトソン
ジャック -- セルゲイ・ポルーニン
アリスの母/ハートの女王 -- ゼナイーダ・ヤノウスキー

カラフルなセットでヘンな世界を構築。巨大チェシャ猫を数人であやつるなど、楽しいしかけがいっぱい。こういうユーモアのあるバレエが得意なロイヤルだ。
国際色が強いバレエ団でも、アリス役はやはり(DNA的に)イギリス人でないと。と期待を集めて主役をつとめたカスバートソン、ほとんど舞台に出ずっぱりでがんばっていた。
踊りの方は・・・どうもその前にボリショイを見すぎたせいか、大人しく感じる。

ハートの女王のヤノウスキーがすばらしい。



「眠り〜」のローズアダージョのパロディが笑える。美人がここまでやるか〜。

ここしばらく忙しくて夜ロンドンに行けず、生のバレエが見られなかったので、小さなスクリーンでもまとめて鑑賞できてよかった。
春にはロイヤルで何か見たいなー。

| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(8) | - |
ゲアハルト・リヒター展
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Reader
(Lesende), 1994
72 cm x 102 cm
Oil on canvas

クリスマス前にテート・モダンで、ドイツの巨匠ゲアハルト・リヒター(Gerhard Richter, 1932 -)の回顧展を見た。(日本語ではゲルハルトという表記もあり)

Gerhard Richter: Panorama (Tate Modern 6 October 2011  –  8 January 2012)

上の絵は写真かと思うが油絵で、しかも絶妙にピントを外して描かれているのが不思議で、つい引き込まれる。
もしかしてフェルメールを意識していないかな、これ。

彼は活動の初期から、写真を元に油絵を描く「フォト・ペインティング」という手法を使っている。

奥さんを描いたこれも、フラッシュをたいたような効果が出ている。

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Ema (Nude on a Staircase)
(Ema -- Akt auf einer Treppe), 1966
200 cm x 130 cm
Oil on canvas

人間がほとんど等身大、実にきれい。
写真は物を”ありのまま”に写すのが得意。写真の技術が発達している時代の絵画表現として、まるでそれを逆手にとるように写真を利用している。しかも美しくて、あっけにとられる。

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Mustang Squadron
(Mustang-Staffel), 1964
88 cm x 150 cm
Oil on canvas

ぎゃー、敵機だ〜。
彼はドレスデン生まれ。第二次大戦で連合軍の空襲にあって壊滅した町だ。
東西ドイツの行き来が遮断される前に西ドイツに移ったリヒター、ドイツの過去を振り返る作品も多く描いている。

彼の手法は写真を使った具象にとどまらない。抽象も多彩に開拓している。
この、色を1024つ作ってそれぞれ4度ずつ使った大きな作品が気持良かった。

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1024 Colours
(1024 Farben), 1973
299 cm x 299 cm
Oil on canvas

根気と根性あるな〜。

さらに二次元という枠も超え、ガラスや鏡を使った立体インスタレーションも試みるリヒター、探求精神旺盛だ。

きれいな抽象・・・と思ったら。

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September
2005
52 cm x 72 cm
Oil on canvas

違った。2001年のニューヨークだった。透きとおる空の青が悲しい。

1室がドイツ赤軍のバーダー・マインホフ・グルッペの逮捕と処刑に基づく作品にあてられていたり、彼は戦争やテロなどの暴力のインパクトをよくテーマにしている。
画面は感情を排除して、一歩引いた静けさを保っているのが逆に重みがある。

キャリアが長く、多作。巨匠リヒターのエネルギーが感じられた展覧会。

やはり、長年にわたって洗練度を増したフォトペインティングが好きだな。
どれだけ近づいても、筆跡もすっきりきれいなんですよね〜。

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Lilies
2000
68 x 80 cm
Oil on canvas

今週末で終ってしまうので、ロンドンで見たい方はお急ぎを。

| ろき | 美術館・展覧会など | comments(10) | - |
ナショナル・ギャラリー、行列のできるダ・ヴィンチ展
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 明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

昨日の大晦日は、朝5時半に起きて6時半の電車でロンドンへ向かった。

ナショナル・ギャラリーの展覧会『Leonardo da Vinci: Painter at the Court of Milan』(9 November 2011 – 5 February 2012)、うっかりしていたら、あっという間に前売り券がソールドアウトになってしまったのです。
混雑を避けるため入場時間を制限するシステムで、すべての日時が売り切れ。
オークションサイトで数百ポンドで出ているらしいけど、転売は禁じられているはずだし、さすがに何万円も出せない。
ということで、毎日500枚出る当日券をめざして早朝出かけたのだ。

7:50 -- 会場に着く。すでに一度曲がった長い列ができている。係りの人が数えに来て、だいたい170番目くらいだとのこと。チケットは確実に入手できることが分かり、あとは待つだけ・・・長い。
夢野久作の『少女地獄』を読み終えてもまだ時間があまる。
10:00 -- 美術館会場で列がゆっくりと動き出す。ちょっと動いてはすぐ止まる・・・。
11:10 -- やっと建物の中に入れた。
11:30 -- チケット購入!12時半から1時の間に入場する券を買えた。

入場まで1時間、カフェで紅茶を飲んで足を休ませる。ああ大変だった。気温が10度程度とマイルドだったので助かる。

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The Lady with an Ermine, about 1489 - 90
(白貂を抱く貴婦人)

展覧会は、レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452 - 1519)の生涯でも実り豊かだったミラノ時代(1482 - 1499)の仕事を集めたもの。
ミラノを支配していたルドヴィーコ・スフォルツァがパトロンとなった。上の美女はルドヴィーコの16歳の恋人(愛妾)チェチーリア・ガッレラーニ。

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Studies of a dog's paw, about 1485

動物のディテールにも正確さを求める。

科学者・エンジニアで音楽家、画家、建築家であったレオナルド、科学者の観察眼でデッサンし、科学イラストが芸術になっているという、手のつけられない天才。

わたしはこっちの人の方が好みかも。

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La Belle Ferronnière, c.1490

モデルはスフォルツァの正妻・ベアトリーチェかもしれないそうだ。
ミステリアスな、理想化した女性の美を精緻なタッチで仕上げている。

仕上げといえば、あっちこっちにアイデアがわきすぎる?レオナルド、完成までこぎつけないことも多くて、できあがった作品の数は多くない。

しかし下絵や練習でもすごさが分かる。パーツごとに納得いくまで研究している。

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Study of Hands, c. 1474
これはエリザベス女王の所蔵品、普段はウィンザー城にある。
英王室のダ・ヴィンチのデッサン・コレクションはなにげに充実してます。

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Woman's Head almost in profile circa. 1490

彼の作品以外に、同時代の作家や弟子の作も展示してあったが、差が歴然としていた。
デッサンが少しだけ狂っていたり、表情が硬かったり、動きが出ていなかったり。ダ・ヴィンチの傑出ぶりが目出つ。
やっぱりあれですかね・・・宇宙人。
それか、神様が人間に少しずつ才能を配分しているときに手がすべって、一人にザーッとたくさん入れてしまい、
「ありゃ・・・。まっ、いいか」とそのまま地上に送ったか。

目玉の一つ、「岩窟の聖母」2バージョン。

Virgin of the Rocks.
Left: the London version (1495-1508), Right: the Paris version (1483-1486)

どこなんですか、ここ。不思議な絵だ。天使がセクシーすぎ(笑)

右のルーヴルにあるものを先に描き、後年ほぼ同じ構図でロンドン(ナショナルギャラリー)版を描いたものらしい。
ロンドン版はまったく違った構図で描きたかったのを、依頼主の希望で元に戻したようだ、というのが下絵を検査して判明したとのこと。

この2枚が向かい合せに飾られている部屋に座っていると、いい気分です。

油絵やテンペラ画と数多くのデッサンが6室。短い解説映画の間があり、さらに別階の一室が「最後の晩餐」の実物大コピーと、準備のためのデッサンにあてられていた。
使徒ひとりひとり、動作や表情を周到に用意して描いた様子が分かる。
ところが本番に使った実験的な手法が失敗で、絵は壁画として定着せず、20年後にはダメになってしまった。
あまりに先端技術を使いすぎてうまくいかなかった一例で、たまにはこういうこともあるのが、ちょっと人間らしいダ・ヴィンチであった。

才能のせいにしてないで、彼のパワフルな好奇心と、妥協しない探究心を、少しは見習おうと思う。
朝8時前から並ぶ価値のある展覧会でした。

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