帰省中

JUGEMテーマ:日記・一般

121118-1

一時帰国して帰省中です。去年は帰りに台風で空港に足止め、その後のスケジュールが狂って大変なことになったので、今回はロンドンー東京と、東京から地方へのフライトの間を開けて、別々に取った。AIRDOにも乗ってみた。普通に快適。紙コップが可愛いし(笑)。

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(↑これは電車)無糖ブラックコーヒーの冷たいのが、壊れてない自販機でいつでも買えるのも、すごいことだ。

家に着いたらどうせ暇だからと仕事も持って来たが、時差ボケ修正後もけっこう忙しくて、あまりはかどってません。休暇だからペース落ちますと伝えてあるので大丈夫。だと思う。

曇りや雨のぱっとしない天気。でも暖かくて雪がないのは非常に楽、過ごしやすい。

たまに虹も出る。

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日本から切干大根や粉寒天や粉末緑茶や、いろいろ買って帰ろうっと♪(食べ物ばっかり?)

あ、フェルメールは見ます!

 

 

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| ろき | できごと・日常 | comments(4) | - |
『Aufbruch』(Departure)

JUGEMテーマ:映画

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ケンブリッジ映画祭は地味な佳作が多い。ここ数年は家族連れが楽しめるアニメ部門なども開拓しているようだが、わたしが見るのはやはり派手なところが全然ない作品だ。オーストリア映画、ドイツ語の『Aufbruch』(出発)を鑑賞。ルードウィッヒ・ヴュスト(あるいはヴスト)監督が主演もしている。

Director: Ludwig Wüst
Writers: Ludwig Wüst, Claudia Martini
Stars: Claudia Martini, Ludwig Wüst

偶然会った他人同士、どちらも若くなく、人生でがっくりすることがあった。そういう人は他人が抱えている悲しみも分かるのだろう。何となく助け合う。お互いほとんど話さず、自分の中に沈みこみながら、行動を共にする。女性が向かっている目的地に男性が同行してやっているという感じだが、助けてもらっても「ありがとう」も言わない彼女。自分を助けることで実は彼も助かっているのだ、ということがわかるのかも。

文学的な映画。女性はロシア詩人の詩集を持ち歩いてメモを書き入れたりしていた。誰のだか不明。

途中でイモを焼いて食べる。絶望していても、腹はすく。スティルリッツの食べ方と違うかも…というか、イモが長い。オーストリアでさつまイモを作ってる?と余計なことが気になる。やけにおいしそうだった。絶望して、戸外で食べているからかな。

特に風光明媚でも、目立つ建物があるのでもない、普通のヨーロッパの田舎の景色がきれい。

監督は小津安二郎が好きだそうで、小津ファンの監督、世界中で多いねー。すごい影響力です。

しいて言えば音楽が好みでないけど、人生こういうこともあるよな、としんみりしました。イギリスでのプレミア上映だそう、今後一般公開するのだろうか。

誰もしゃべらないトレイラー:

 

 

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『万引き家族』

JUGEMテーマ:映画

291018-1

『万引き家族』をやっと見た。ケンブリッジ映画祭の一環、カンヌ映画祭最高賞受賞ということもあり、一番大きいスクリーンでの上映が満席だった。ちなみに英題は「Shoplifters」、ショップリフターズか、なんかドリフターズみたいっすね。

監督    是枝裕和
脚本    是枝裕和

<キャスト>

柴田治:リリー・フランキー
柴田信代:安藤サクラ
柴田亜紀:松岡茉優
柴田祥太:城桧吏
柴田初枝:樹木希林

ストーリーはご存じのとおり、柴田さんちは貧しいが仲良く暮らしている。ばあちゃんの年金と少ない収入、それに万引きで生計がなりたっている。父と息子のチームワークで上手に盗む。おいおい。

ある寒い夜にお腹をすかせた幼い女の子を保護。ご飯を食べさせて家に返そうとするが、連れていってみると、どうも帰らせてはまずい状況の家庭のようだ。そのまま、家で育てることにしてしまう。厳密にいって、いや適当な意味でも誘拐?

保護された子は家になじんで元気になり、万引き見習いまでするようになるが…こういうのはいつかはバレ、捕まることになる。警察沙汰になってみると、仰天の真実が続々と明らかになり…。

さすが是枝監督、表面的でない、何層もある作品になっている。道徳というか人間社会のルールに独自の解釈をして、結果大幅にずれているが、心の温かい人たち。どういう人間に育てられても、いつかは自分で考えるようになる子供。血はつながっていてもダメな関係しか作れない場合、家族とは何か、など、観た後もぐるぐると考えてしまう。ベテランから子役までみんな演技力があって印象深かった。

個人的な感じだけど、是枝監督はロシアのズビャギンツェフ監督と似ている。どちらも自国以外の人に見られると「うわーまずいな」と感じる恥ずかしい面をあっさり描いている。『万引き家族』も、底辺家族の暮らしぶりもそうだが、アヤしいJKビジネスがヤバい。みんな(こんなの日本では普通だろう)という顔して見ていたのがまた恥(笑)。

つい字幕を読もうとしてしまって可笑しかった。日本映画しばらくぶりなので、字幕がなくてもわかるのを忘れていた。

面白かったのは、友達の旦那さん(イギリス人)の疑問。行方不明だった女の子が数か月ぶりに見つかって両親の元に帰った。翌日たくさんの報道陣がやってきていろいろ聞いた中に、「お嬢さんは昨日何を食べました?」という質問がある。

「なんでそんなこと聞くの?大事なの?」とすごくびっくりしていた。そうか、変かな。何をどういう風に食べたかで、いろいろ情報が得られると思うけど、イギリスでは気にしないのか。

 

 

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スケッチ会、病院再訪

JUGEMテーマ:アート・デザイン

3日連続締め切りで、こんなことしている場合じゃないけど。

去年、病院スケッチ会で窓から建設中の現場を描いて1年(以上)、同じ場所を再訪するという企画が。

ボケたスケッチですが、クレーン好きなのでこれはこれで楽しかった。

今年の風景は…。

え。ほぼ完成した建物、これかー。予想しなかった。ガラスばりでギザギザしている。

はっきりいって、普通だったらあまり描こうと思わないものだ。しかしすぐ横の建築家は「難しい〜♪」と言いながらよろこんで描いている。やるしかないか。

色鉛筆と、少しペンのところも。描いているうちにまあ面白くなってきたけど、ヘナヘナなスケッチでございます。直線描けないし。

水彩鉛筆だから、後でさっと水を入れてもいいかもしれません。

他の人たちの作品はすばらしいです。

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みんな建物好きだ。自然の風景好きや、人を描くのが好きで得意な人間と、脳の特徴とか違うのだろうか。そんな研究している人いないよね。

この日はみんなで病院のカフェでランチしてから、午後はロシア語のレクチャーに行ってきた。場所が自転車で5分しか離れていなくて便利だった。その話はまた。。

 

おまけ、その前日の朝霧。

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バレエ『Mayerling』@映画館

JUGEMテーマ:エンターテイメント

151018-1

本当はロイヤル・オペラハウスでのエドワード・ワトソンの回の『Mayerling』(邦題は「うたかたの恋」)を予約していたのですが、彼は負傷してしまったそうで、代役となり、行く気をなくしてリセールに出してしまった。ロイヤルではキャンセル・返金はできないが、リセールに出してもらってそれが売れたら手数料を引いた金額の返金となる。または別の公演に交換することもできるが、たいてい売れます。

また別キャストだが、映画館で中継されたものを観た。マックレーとラムのペア。

<Credits>
Choreography -- Kenneth MacMillan

Music -- Franz Liszt

<Performers>
Conductor -- Koen Kessels
Crown Prince Rudolf -- Steven McRae
Baroness Mary Vetsera -- Sarah Lamb
Countess Marie Larisch -- Laura Morera
Empress Elisabeth -- Kristen McNally
Princess Stephanie -- Meaghan Grace Hinkis
Mitzi Caspar -- Mayara Magri
Bratfisch -- James Hay
Emperor Franz Joseph -- Gary Avis
Colonel Middleton -- Nehemiah Kish

演劇的バレエを得意とするマクミランの、男性ダンサーを中心に置いた心理的な、しかし踊りはめっちゃ大変な作品。

1889年、オーストリア=ハンガリー帝国の皇太子ルドルフが恋人の男爵令嬢マリー・ヴェッツェラと心中するという大スキャンダルを題材に、政治的に緊迫する重苦しい宮廷内で追い詰められ破滅にむかう皇太子を描く。よくバレエにしたもんだ。

無理に政略結婚させられたルドルフ、お妃が嫌いでいじめる。母のエリザベート皇后(美貌のシシー様)にはでかい図体で甘えようとして拒絶され、すねる。女性全般との関係がこじれたのはこの辺に原因が?

十代の少女マリーを紹介されると夢中になって、「いっしょに死んでくれ」と言う。マリーも若くてのぼせているから、恋のために死ぬワタシ、に酔って、盛り上がってしまう。危ない。

昔見たときはあまり細かいところがわからなかったけど、映画館の大画面でときにアップで見ると、それぞれの女性との関係がパ・ド・ドゥの違いにはっきり表れている。パートナーの体を投げるわ、肩にのせて回すわ、からまるわ、超絶ワザの連続。

インタビューでサラ・ラムがジョークで「お家で真似しないでね♪」と言っていた。無理だから心配しなくて大丈夫。

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堅苦しそうな宮廷から自堕落な娼館などを舞台に、王室内DVとかクスリ漬けとか18禁だ。ダークでヘンタイ、すばらしかった。2人がこれから死のうというときの踊りはもう、呼吸をするのを忘れるくらいスピーディかつスリリングな展開。座って観ているだけで疲労した。これを1978年に創ったマクミラン、おそろしいわ。

ダーシー・バッセルの紹介するリハーサル風景、「ちょっと簡単すぎるから変えるわよ」とか言って、コーチが鬼(笑):

 

 

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ドキュメンタリー(とドラマ)『Nureyev』

JUGEMテーマ:映画

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20世紀有数の男性ダンサーで大スター、ルドルフ・ヌレエフ(Рудольф Хаметович Нуреев、1938 - 1993)のドキュメンタリー映画。

Directors: David Morris, Jacqui Morris
Writers: David Morris, Jacqueline Morris

Russell Maliphant  ...    choreography

走行中のシベリア鉄道の列車内で誕生し、田舎からレニングラードに出てワガノワ・キーロフバレエ学院に学ぶ。1961年に西側に亡命、ダンサーとして世界で活躍、80年代はパリ・オペラ座芸術監督、AIDSで54歳で死去。というドラマチックな生涯を映像やインタビュー、知人の証言などで綴り、ドラマ・パートはラッセル・マリファントの振付でダンスで表現される。

アメリカでのファンの興奮ぶりなど、ロックスター並みの人気だったことが理解できた。彼は民族的にはロシア人でなくタタール系だそうで、初めて知った。気性は激しそう。お父さんは軍人で、息子が踊りたいというと「バレエだとお?」とぶん殴ったとか。でも踊るべき人はやはり踊らざるを得ないんですね。

ロイヤル・バレエでのマーゴ・フォンテーンとのパートナーシップは有名。今見ると、マーゴの方はエレガントなんだけど最近のアスレチックなバレリーナたちに比べ、テクニック的に最高とは感じないような。でもヌレエフはテクニックもスピードも魅力もすごいのがわかる。ソ連は彼に逃げられて損した。「その手があったか」と彼に続いたダンサーなど芸術家も多かったし。

一人亡命すると、その家族、友人たちへの影響は計りしれない。お父さんはたぶん軍人としてのキャリアは終わったのじゃないか。アカデミックな友人たちも大学にいられなくなり、苦労した。そういうことを考えて思いとどまる人もいたわけだが、やっぱり止められない人もいる。

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マリファントの振付けたバレエ場面が、彼独特のくるくる流れるように回る動きが美しく、きれいだった。こんな場面と別の映像が次々に切り替わって忙しく、やや疲れるが、一生動き回ったヌレエフにふさわしいのかも。

ゴルバチョフの時代になってやっと里帰りできた彼が、最初に地元でバレエを手ほどきしてくれた先生に会ったシーン、100歳を越えるお婆さんになった先生はヌレエフを覚えていて、「Мой мальчик!」(My boy!)と歓迎していた。間に合って良かったな。それが1987年。彼本人の死まで6年しかなかった。すごい速さで踊りきった人生だ。

ところで10月1日の「世界バレエ・ディ」でボリショイの部を見ていたら、ヌレエフを描いた新しい(去年の暮れが初演)バレエをリハーサルしていて、ヌレエフがパリのブーローニュの森で女装のお兄さんたちにとり囲まれる(そして嬉しそう?)なシーンや、恋人でデンマーク人ダンサーのエリック・ブルーンとのパ・ド・ドゥなどを見られた。すんばらしい、さすがボリショイ。見たいわ。

ボリショイでなく、このドキュメンタリーのトレイラー:

 

 

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イアン・マッケランの「リア王」

JUGEMテーマ:エンターテイメント

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プーシキンハウスでのスパイ・ドラマ上映中、拍手が上がったシーンがある。SSの上官があまり酷いことをするので、ドイツ兵が逆らう場面(というかボスを攻撃!)。組織の人間でも、自分の倫理観を優先した行為ですね。

「リア王」にも似た場面あったなあ、と考えていたら、イアン・マッケラン主演の舞台が映画館で中継されるではないか。直前に気づいたためあまり良い席はなかったけど、何とか見られた。

サー・イアンは10年前にもリア王を演じている(ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー版)。今回のプロダクションはナショナル・シアターだが、チチェスタ―の小劇場向けの作を、ロンドンのウエストエンドに持ってきたもの。

『KING LEAR』
Duke of York's Theatre
Directed by Jonathan Munby

Luke Thompson    . . . . . . . . . . .    Edgar
Kirsty Bushell    . . . . . . . . . . .    Regan
Sinéad Cusack    . . . . . . . . . . .    Kent

Claire Price    . . . . . . . . . . .    Goneril
Anita-Joy Uwajeh    . . . . . . . . . . .    Cordelia
Anthony Howell    . . . . . . . . . . .    Albany
Jake Mann    . . . . . . . . . . .    Burgundy

Ian McKellen    . . . . . . . . . . .    King Lear
James Corrigan    . . . . . . . . . . .    Edmund
Daniel Rabin    . . . . . . . . . . .    Cornwall
Danny Webb    . . . . . . . . . . .    Gloucester

背景、衣装は完全に現代風。リア王の時代にユニオンジャックなんてないが、気にしない。

時代劇風だと「そんなもんか」と見る芝居も、普通にその辺にいる姿(王族はわたしの近くにいないけど)で見ると、今起きていることのようだ。今もよくある話かも、富豪の相続で子孫がもめるとか、親子、兄弟間の確執とか。

リア王は3人の娘に「わしを愛してる順」に財産分けをしようとして、本当は一番ひいきの末娘が「何いってるのお父さん、あほらしい」と反抗したら激昂、その場で勘当してしまう。

忠臣からの慕われ方からして以前は立派な賢王だったようなのに、認知症かな。突然発症したのか、みんな気づかなかったのだろうか。

弱った親をどんどん迫害する上の娘2人は血も涙もないが、よっぽど妹贔屓がひどかったのかな、と思ったり。

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キャスト紹介写真から、左からゴネリル、コーディーリア、リーガン

歳も違うが、お母さん違うよね?(笑)

もう最近は劇内家族で人種混ざっているのは珍しくないですが。そうそう、今回は忠臣ケントが女性でしたね(一番上の写真のスーツの方)。「悪い姉」2人の性格もくっきり区別して描かれていて、BBCの現代ドラマに出てきそうだった。

そしてグロスター伯の腹違いの兄弟。

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エドマンドとエドガー。

こちらは婚外子だからって分かりやすく差別されてきたエドマンドが、兄に濡れ衣を着せて追放させ、父の地位までも奪うも、最後は撃ちとられる。悪いやつだが、ひねくれちゃうのも理解できる。エドガーは辛い思いはしないで育った分、ぼーっとして人の悪意が想像できず、ひどい目に遭って初めてびっくりする。父親に対する愛情には疑いや曇りがなく、まっすぐだ。でもこの父ちゃん、奥さんの妊娠中に浮気してたんだよ、とんでもないな〜。昔の人は「エドマンドは成敗されて当然」で片づけたのでしょうか。やっぱり「ちょっと気の毒だ」と思ったよね。

舞台で本格的に土砂降りの雨になったりして、さすらう老リア王の体調が心配になっちゃいますが、彼は平気だそうです。役者は体力ある。そしてシェイクスピア劇ならではのキレのいい英語のセリフ、気分が良い。3時間40分と、ロンドンで観たらその日に帰るのは大変な時間、映画館で観られて楽だった。

イアン・マッケランがプロダクションについて語る:

 

 

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スティルリッツ・ジョーク

JUGEMテーマ:趣味

280918-1

「ミュラーはアホ」と落書きするスティルリッツ。

またスティルリッツ・ネタですみません。まだ頭から離れません、ははは。

ロシア人なら誰でも知っているスパイドラマのヒーロー、再放送も定期的にされているので、若い世代にもおなじみ。親しまれているめやすとして、ジョークのネタになっている。ネットでスティルリッツ・ジョーク(アネクドート)を調べまくりました。わたしは何をやっているのだ。

生真面目で考え深い性格がジョークにしやすいようです。また、スティルリッツを相当追い詰めるがちょっと抜けたところもある愛すべきおっちゃんに描かれているゲシュタポの長ハインリヒ・ミュラーとのからみも多い。わたしが気に入った例をいくつかご紹介。

<推理編>

- スティルリッツはドアを押した。開かない。強く押した。ドアは少しも動かない。足で蹴った。それでもダメだった。全身の力でドアにぶつかった。何も起こらない。
「閉まっている」とスティルリッツは推論した。

- 「猫のにおいがする」スティルリッツは思った。
「この人間はなんで俺の前足を嗅いでいるのか」と猫は思った。

- スティルリッツはドアに近づいてそっと開けた。明かりがついた。ドアを閉める――明かりが消えた。スティルリッツはは再びドアを開ける――明かりがついた。ドアを閉めると、明かりが消えた。スティルリッツは三たびドアを開けた。明かりがついた。ドアを閉じると、明かりが消えた。
「冷蔵庫だ」スティルリッツは推論した。

<イモネタ>

- スティルリッツが制服のままジャガイモを食べている。戦争は終わった、もう服を汚すのを気にしないでいいのだ。

<いっちゃってる系>

- スティルリッツがゲシュタボ本部の廊下を、木馬に乗り剣をふりかざして走り回っている。誰も注意を払わなかった。今日は2月23日、彼が赤軍の日を祝っているのを皆知っているのだ。

<ミュラーとのからみ編>

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- ミュラーがスティルリッツを呼んで疑いの目で聞く、「スティルリッツ、われわれは以前にもどこかで会ったと思わないか?」
「40年にポーランドでしょうか、局長?」
「いや、もっと前だな」
「36年にスペインではないでしょうか」
「違うな、スティルリッツ」
「では、もしかしたら」
「あっ、お前、ペーチャか?」
「ワシーリー・イワノヴィッチ!!」(ミュラーもソ連人というオチ)

- スティルリッツがミュラーといっしょに酒を飲んだ。
ミュラーが言う。「スティルリッツ、君がロシア人でスパイなのは知っている。確かに我々は負けたよ。しかし帰国して本当に歓迎されると思っているのか。銃殺されるかも、シベリア送りになるかもしれんぞ」
「そんなことはありません。工作員は国に帰れば尊敬してもらえます」
「夢を見ているがいいさ。ひょっとしたらロシアは元スパイが大統領になるかも、ドイツはスカートをはいた首相が出るかもな」
スティルリッツはニヤリと笑った。

<最近の作らしい編>

- バーのカウンターの向こうで、防護服を着た男がフラスコで化学薬品を混ぜていた。
「ノビチョクだ!」スティルリッツは思った。

---ノビチョクには「新米」という意味があり、新入りバーテンダーだな、という意味と、例の、イギリス在住の元スパイが殺されかけた事件で使われたと言われる毒物とをかけている。

説明すると面白くなくなるけど、じわじわくるジョークがたくさん。スティルリッツ、愛されてます。

おまけ。このところ3日くらい頭の中で鳴っている音楽。同じくミカエル・タリヴェルディエフ作曲「春の道」。民間人の牧師さんをミッションのため中立国のスイスに送り届けるシーン。いい曲だ〜:

 

 

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『Семнадцать мгновений весны』マラソン上映会

JUGEMテーマ:映画

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行ってきました。ロンドン、プーシキン・ハウスで、ソ連時代の大ヒットドラマ『Семнадцать мгновений весны』(春の十七の瞬間)を2日で12話一挙に上映するマラソン・イヴェントに。

SEVENTEEN MOMENTS OF SPRING: PUSHKIN HOUSE TWO DAY SCREENING MARATHON

本当に「マラソン」って言葉が入っている(笑)。

11時から6時までの予定になってたけど、2エピソードごとに休憩も入れるので、2日目に終わって外に出たときは8時近かったよ。全部は見きれないまま行ったので、最初から英語字幕つきで見られてかなり理解が深まり、面白かった。

初日にパネルディスカッションがあって、BBC・ロシアのAlex Kan、ジャーナリストのDina Newman、映画評論家のIan Christieと、もう1人音楽関係のスティーブンという人が話し合い、ネタバレしない程度に前知識を分けてくれた。

1話が1時間以上x12回という連続ドラマは当時は異例で、そのため視聴者がクセになって人気が出たとか。

KGBは良い仕事をしていた、と宣伝したくてKGBが作らせてチェックもした「プロパガンダ・ドラマ」、にも関わらず、立派な人間ドラマになっているのが奇跡である。

ナチスも以前のソ連作品のように野蛮なだけのマンガちっくな扱いでなく、知的で奥行きのある尊敬すべき敵として描かれているのが画期的であること、など、傑作である所以を聞いてから上映へ。

ナチスに支配されるドイツ第三帝国に潜入して、親衛隊大佐になりすましているソ連のスパイ、スティルリッツ、今回のミッションは、「ナチス高官の中で、ひそかに西側と交渉しようとしている者がいる、誰かつきとめろ」というもの。

ナチ・ドイツの最大の失敗は戦争で二正面作戦をとってしまったこと。その1つの西が終息してしまえば、東のソ連に全力を注げる。やっと攻勢に転じたソ連が困るわけです。しかしナチスの高官(ゲーリングとかヒムラー級)にはそんなに易々とは近づけない。下手に動くと失敗する。スティルリッツは熟考を重ねて慎重に事を運ぶ。

ですよね。本当のスパイは、走ってる列車の上で乱闘事件起こしたりしないんだよ。地味です。何しろスティルリッツが走ったシーンはなかったと思う。静かに銃で一発で仕留めて殺したのが一度。暴力もほとんど使わない。強いていえば、これか。↓

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貴重なブランデーの瓶で…ははは。でも殺してないですよここでは。

一緒に働いていた無線通信士の家が空襲で壊れ、通信機が敵の手にわたったり、協力してもらっている民間人がヘマをして亡くなり心を痛めたり、そのうちスティルリッツの正体に疑いを持つ者が出て来て尾行されたりと、地味に大変だ。とうとうバレそうになる危機もある。それをうまく潜り抜けて任務を達成しようとするスティルリッツ。SSとゲシュタポの仲の悪さを利用して、綱渡り。非常にハラハラする、うまくできたドラマ。監督はタチアナ・リオズノワ、女性です。緊迫したシーンの後に筋に関係ない可愛い動物が出てきたりして、上手い。

Режиссёр -- Татьяна Лиознова

Сценарист -- Юлиан Семёнов

Композитор -- Микаэл Таривердиев

<В ролях>
Вячеслав Тихонов -- штандартенфюрер СС Макс Отто фон Штирлиц

Олег Табаков -- бригадефюрер СС Вальтер Шелленберг
Екатерина Градова -- Кэтрин Кин (Катя Козлова)
Василий Лановой -- обергруппенфюрер СС Карл Вольф

Андро Кобаладзе -- Иосиф Сталин

スティルリッツの「頼りになる男」感がすごいです。奥さんはソ連に置いて単身赴任、いろんなものを犠牲にして国のために危険を冒している。人気が出るわけだ。

しかしわたしが一番気に入ったのは、いつもはクールな彼がソ連のお祝いの日に自宅でロシア人の本性を表して、暖炉の直火でじゃがいもを皮が黒くなるまで焼いて食べ、郷愁にひたるたシーンですが。

パネルも言っていましたが、このドラマはプーチンさんがスパイになろうとしたきっかけではないかもしれないが、彼が政治家として少なくとも初期の頃は信頼されたことに影響があったかもしれない。ドイツで働いていた元スパイ―ースティルリッツに似ている。何となく仕事ができそう?と騙された人がいたかも。そのくらいスティルリッツは「アーキタイプ」になったということですね。

主役以外の俳優陣も豪華、名優オレーグ・タバコフがSSの情報機関SDの国外諜報局局長だったり、「アンナ・カレーニナ」でヴロンスキーを演じたイケメン、ワシリー・ラノボイが親衛隊上級大将カール・ヴォルフ役だったり。スターリン役が激似でびっくり。

音楽もアルメニア人作曲家ミカエル・タリヴェルディエフの控えめで純粋なメロディーが画面を引き立てる。

「ワルツ」のシーン。

 

若いガビーはスティルリッツに片思い(SSの大佐とも、ましてソ連のスパイとも知らないけど)、ザウリヒ?おばさんはワルツを弾いて2人に踊ってもらう。ガビーが「ザウリヒさんにとても親切ですね、お母さんに似ているとか?」と聞くと、「人類の中でわたしは特に老人と子供が好きなんです」と答えるスティルリッツ。「あ・・・そうなんですか。わたしはどっちにも属してないですね」「うん…そうだね」

ガビーちゃんあっさり失恋、という場面です。オネーギンの方がよっぽど優しいな。哀愁を帯びたワルツがきれい。

 

 

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BBCドキュメンタリー『Civilisations』(文明)

JUGEMテーマ:アート・デザイン

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次の仕事がつい面白くてはまっている。趣味と実益だ。たいして儲からないのが玉に瑕だけど。

BBC2で春に放送されていた『Civilisations』、ようやくキャッチアップ。BBCのサイトで来年3月まで見られる。美術史を軸に、文明という大きなテーマに取り組んだ9回シリーズ。

毎回1つのテーマに沿って、1人のプレゼンターが語っていく形式。

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左からDavid Olusoga、Mary Beard、Simon Schama。

BBCでは1969年に同じタイトルで、西欧文明を軸にした秀作ドキュメンタリー『Civilisations』があったそうで、これはその現代版として世界全体に目を向けている。プレゼンターの顔ぶれを見ても(バランスとってるな)と思わせる。

エピソードは、人間の文化の原動力や、人は人間の姿をどうとらえてきたか、宗教と芸術、イスラム文化のルネッサンスへの影響、文明同士の出会いと帝国主義、などなど、テーマに沿って自由に時間・空間を飛ぶ作り方。オープン・ユニバーシティと協力し、いずれも優秀な歴史学者たちの作った骨組みがしっかりして、毎回引き込まれる。

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Süleymaniye mosque、Istanbul

このモスクが建てられた頃に、イタリアではミケランジェロが巨大ドームを設計していた。ヨーロッパとイスラムのライバル関係も面白い。

ナイジェリア生まれ・イギリス育ちのデヴィッド・オルソガは異なる文明が出会ったときのインパクトを紹介。メキシコのアステカ文明はスペイン人の武力攻撃と、ついでに持って来た梅毒などの伝染病でほぼ全滅した。ひどい。

対照的に日本は九州の港に着いた西洋人を「がさつな奴ら」だと見て、出入りを制限し、キリスト教は否定し、科学技術面などいいとこ取りだけした。助かった。島国で地理的に有利だったのもあるけど、日本というのは面白い国だ。

芸術家は興味深いものをすぐ取り入れる。

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円山応挙、 氷図屏風 c.1780

西洋の遠近法を使いつつ、現代美術のようなすごい作品です。

これ、大英博物館にあるのね。今度拝みに行って来なくては。

ちなみに一番上の写真、16世紀アフリカの美しい象牙マスクも、頭にポルトガル人をくっつけているそうで。交流が始まっていたということですね。

最終回はサイモン・シャーマ(彼はユダヤ系)が、ゲットーに送られて子供たちに絵を教えていた女性画家が残した、ユダヤ人の子供の絵を紹介。描いた子の大多数は収容所送りになってしまった。たまにこうして「壊してしまう」、しかもその壊し方が年々凄くなってきた人類の悪癖を、アートは救えるのかと問いかけた。

火薬でアートを作っている中国人の蔡国强(Cai Guo-Qiang)氏の作品がすごい。火薬を発明したのは中国、最初は平和な目的で使っていたのだ。

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キャンバスの上に型紙?と色の違う火薬をうまく置き、爆発させて作るアート。何ともいえない不思議な効果がある。しかもこの後再び爆発させ、かなーり黒くなる。さらにその上に重ねて置いていたキャンバスに転写された像もできて、すべてが終わればこんなものか、みたいな無常感を覚える。

なにしろ文明黎明期の洞窟の牛の絵から、イスラムやインドの寺院、ゴヤからエル・グレコ、レンブラント、日本の浮世絵からピカソまで幅広くカバーしているのですごい情報量だ。まだしばらくは公開されているので、たまに見返そう。

子供の絵の話から始まる冒頭部:

 

 

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