オーストラリア・バレエの「スパルタクス」

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バレエ「スパルタクス」といえばボリショイの十八番、ユーリー・グリゴローヴィチ振付の版しか見たことがない。オーストラリア・バレエが踊るというので物珍しさから映画館へ。当然ながら全く違う演出でした。

『Spartacus』

Choreographer: Lucas Jervies
Music: Aram Khachaturian

<Dancers>

Spartacus: Kevin Jackson
Flavia: Robyn Hendricks
Crassus: Ty King-Wall
Tertulla: Amy Harris
Hermes: Jake Mangakahia

ローマの捕虜となり奴隷の身分に落ちたトラキアの王スパルタクスが反乱を指揮し、一時は大勢力となるも、結局はローマ軍に破れて死す、という、一部史実に基づいた物語。ソ連版だとストーリーなんかはしょって単純化、男性的で力強くスピード感ある舞踏を披露する。

オーストラリア版は、英語圏だからかな、ちゃんと納得できる話に仕上がっている。スパルタクスが奴隷になって妻フラヴィア(ロシアではフリーギア)と引き離され、親友ヘルメスと共に剣闘士としての訓練を受ける。元々当時の王だから腕は立ち、親友と共にすぐに上級剣闘士に昇格、しかしそのために、娯楽として競技場で友と闘わされ、殺すはめに…など、丁寧に描いている。スピード感が犠牲になるのは否めない。

ローマ執政官クラッススのヴィラの様子:

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1階でお客と共に楽しんで油断しているときに、こっそり反乱軍が2階を占領している。まさかの入浴シーン(笑)!ローマといえば風呂だよね。手前はいち早く妻を救出に来たスパルタクス。

敵役クラッススも家では良きパパで、小さい息子と戦いごっこをして「やられたー」と倒れるふりなどしている。可愛い。成敗しにくいじゃないか。

ロシア版では大軍へと膨れ上がった反乱軍が感じられるが、どうもオーストラリア版は少人数のゲリラっぽく、重要な最後のバトルも機動隊に素手で立ち向かうデモ隊くらいの迫力しかなくて、やや残念。ニュージーランドのラグビー選手が試合前にやる「ハカ」?みたいな踊りも見せるのは、さすがオセアニア。

古代ローマ兵に扮した男性ダンサーの群舞や猛スピードで舞台をすっ跳んで横断していくスパルタクスは見らなかったけど、別の作品と思えば面白い。

気に入ったのが、スパルタクスの奥さんがロシア版だとか弱く、ひたすらなよなよしているのに対し、オーストラリアの「フラヴィア」は、「触るんじゃないわよ!」と敵にけっこう気丈に反撃していたところ。そうそう、クラッススの奥さんも、ヴィラにゲリラ隊の侵入をゆるした夫を、「あんたがしっかりしてないから!」とボコっていた。女性強い!

反乱する側・される側、どちらにも言い分はあるという「スパルタクス」でした。

ちなみに知り合いのロシア人に話してみたら、

「へえー、見たいかも。昔の単純なスパルタクスにはもう、うんざりだよ」とのこと。ソ連時代から死ぬほど何度も観たのだろうw

女性の活躍するシーンを集めたトレイラー:

 

 

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ロシア・ドラマ『Тайны госпожи Кирсановой』(レディ・キルサノワの秘密)

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ロシアの長〜いTVシリーズをまとめ鑑賞していて、他のことがほとんどできなかったw

去年放送の『Тайны госпожи Кирсановой』、キルサノワ嬢の事件簿、みたいな感じでしょうか。帝政ロシアを舞台に素人の女性探偵が活躍するエンタメ・ミステリー。

Создатель -- Алексей Колмогоров

<В главных ролях>

Ольга Лерман -- Лариса Дмитриевна Кирсанова, 28 лет, учительница математики
Антон Батырев -- Павел Александрович Бестужев, дворянин, жених Ларисы
Евгений Шириков -- Сергей Николаевич Левицкий, сосед Лизаветы Прокофьевны
Иван Шабалтас -- Астафий Иванович Берендеев обер-полицмейстер, влюблён в Лизавету Прокофьевну
Евгения Симонова -- Лизавета Прокофьевна Басаргина, тётя Ларисы
Арсений Сергеев -- Ипполит Андреевич Хвостов, учитель русской словесности

Ольга Плешкова -- Аглая Ивановна Демидова

Александра Никифорова -- Виктория Блеквуд, невеста Павла

1877年、ペテルブルクで恋人の貴族パーヴェルと結婚する予定の令嬢ラリーサ・キルサノワ、最高に幸せだったはずが、何と結婚式に彼が来なかった!

何故――重婚?借金で夜逃げ?誘拐?――諜報部員の任務?...書置きすらなく行方知れず。

傷心のラリーサは、彼の実家であり自分の伯母も住んでいる小都市に移住、女学校で数学教師として働き出す。そこで起きるさまざまな事件を、持前の観察力、推理力で解決していくというもの。そのうちに消えたはずのパーヴェルが姿を見せてまたすぐ身を隠したり、どうやら彼、指名手配されているらしい?

1話40分ほどで、3話でひとつの事件が解決していく。庶民の事件、貴族の事件、たまに爆弾テロなどもあり、田舎にしては物騒な町だw。そしてパーヴェルの事情と、何か関係ありそうな、町で昔起こった殺人事件の謎も少しずつ分かってくる趣向。

面白いが、長い!全50話中、8つ飛ばしちゃった。それでも全体の流れが分かる。

ラリーサ役のオリガ・レルマンが美しいです。彼女はヴァフタンゴフ劇場の「アンナ・カレーニナ」で主役も演じている実力派。ラリーサは学者の娘ながら、露土戦争に看護師として従軍したこともあり、肝が据わって頼もしい。

ただ、婚約者パーヴェルと「結婚の約束していたのは、本当はわたしよ」という女が現れたときだけは誤作動起こして、

「あの女が犯人!」と番組始まって数分で間違った判断を下していた。はは、可愛い。パーヴェル、いかにもモテそうだし。

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たまに変装する以外、ずーっと兵士くずれのこの格好ですが、イケてます。彼が延々30分間「薪を割る」DVDが出たら、みなさん買いますよね?え、わたしだけ?

衣装もきれいで目に楽しいシリーズ。コルセットぎちぎちで、着ている方はたまったものじゃないでしょうが。あれでよく雪の森の中を行進したりできるものだ。

登場人物も、パーヴェルの友人で何か事情を知っていそうな紳士セルゲイ(こっちと結婚すれば、平和な生活ができそう)や、ラリーサの同僚で彼女にすっかり懐き、ワンコみたいに命令に従うイッポリート、最初は彼女をバカにしているがそのうち尊敬するようになる警察の人(そのうち1名は彼女に惚れる。美女はなにかと大変)、19世紀のCSIのはしりみたいなドクターなど、個性強く、楽しめる。

必死で見たのに、to be continued...みたいな終わり方でショックを受けております。次のシーズンはいつだ?

今は、「あたしが婚約者よ」と言い放ってラリーサを振り回した、女007みたいなイギリス人ヴィクトリアさん役のアレクサンドラ・ニキフォロワ主演の2016年のオカルト&探偵ものを見ているが、これは殺人の被害者が亡霊となって出現、ちと怖い。

トレイラー、つき従っているのはイッポリート。

 

 

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『All About Eve』ナショナルシアター・ライブ@映画館

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日本の元号が変わったんですねーますますわからなくなりそう。

そしてイギリスのエリザベス女王は、まだまだ現役でがんばりそうです。

ロンドンに出る手間がはぶける映画館ライブで、ナショナル・シアターの『All About Eve』を、しかもライブでなく別の日のアンコール上映で見る。便利な世の中だ。

1950年の同名のアメリカ映画(邦題「イヴの総て」)を、ベルギー人演出家のイヴォ・ヴァン・ホーヴェが劇に仕立てた力作。

Director: Ivo van Hove
Writers: Mary Orr, Ivo van Hove (adaptation)    

Cast:
Lily James    ...    Eve Harrington
Gillian Anderson    ...    Margo Channing
Julian Ovenden    ...    Bill Sampson
Monica Dolan    ...    Karen Richards
Sheila Reid    ...    Birdie

マーゴは大女優としてキャリアの頂点を極め、だからこそ、これからは下り坂であると意識し、歳を重ねることを怖れている。

ある日、マーゴの芝居を全部見ているという大ファンの若い女性イヴを紹介され、身寄りがなくいじらしいイヴに親切心が出て、アシスタントとして雇う。せっせと働くイヴは、マーゴのすべてが好き、マーゴのようになりたい、マーゴのいる場所にいたい、持っているものを欲しい、マーゴの演じる「役」もほしい…エスカレートするというか、本性を現してくる。表面はあくまでけなげで熱心な付き人、しかし裏では使えそうな人間はなだめすかし、脅し、なんでもする。そして今まで舞台に穴を開けたことなどないマーゴにちょっとした「アクシデント」が…。

昔モノクロ映画をテレビで見た気がする。内容は忘れたが「こわ〜」という記憶がある。この舞台も怖かった。

今なら、なんたら性人格障害とか名前がつきそうなイヴを演じるリリー・ジェームズ、血も凍る熱演。手の込んだ陰謀をはりめぐらせながら、無意識でしているため自分でも気づかないよう、虚構の自分を自ら信じ込んでいるようで、複雑だ。

ジリアン・アンダーソンのマーゴも美しい。少し崩れさせすぎかとも思ったが、酔っぱらっている時間も長かったので妥当かも。マーゴはイヴの猛追にたじろぐが、裏でイヴの使っている手には思い至らない。自分はあまりそういう汚いことはしなかったのだろう、素直な人間だ。こういう人がやられちゃうのよね。

でもだからといってマーゴが負けたかというと、そうでもない。もうドロドロの世界から足洗ってせいせいしたようにさえ見える。

むしろスターの座をもぎ取ったイヴには早速「追う者」が現れる。さらに、女優達を支配しているショービジネスの大物のおっさんがいる。どんなにスターが輝こうと、利益はこのおっさんのものになる仕組み。これも怖い。

表舞台そのものは見せず、すべて楽屋・舞台裏で進行、時にハンドカメラが入ってバスルームやキッチンをスクリーンに映し出し、女優が鏡で見ている像も見せるという手法、21世紀に十分現実的に感じられる、スリリングな演出だった。

トレイラー:

 

 

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海に出かけた

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イギリスはイースター休暇で金ー月が休み。いつもの週末より1日多いだけ(私は火ー金勤務)だし、日本から仕事ももらっているのでほぼ通常運転。金曜だけ、まる1日用事なし。さっそく日帰りで海に出かける。朝はウィークディと変わらない時刻に起きちゃった(笑)。

イングランド東部エセックス州のClacton-on-Seaという町。お天気がよく、気温は18℃ほど、ただし風が強くて、けっこう寒く感じる。

でもイギリス人の子供は水に足をつけたりしている、タフだな。

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海水浴場の町ってだいたいどこもこういう風景ですよね。ピアーがあって、浜ぞいに遊歩道があって、ソフトクリームや軽食屋さん、カフェが並ぶ。

反対側を見ると、こんな感じ。

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右側にちょこっと見えるずしっとした建造物はMartello Tower、1809頃からナポレオン軍の侵略に備えてたくさん建てられたもののひとつだそうです。

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今は平和な風景。

やはりたまに海を見に来るのは良いな。気分が広々する。

そういえばイギリスには山がほぼないけど、「山が見た〜い!」と思ったことないな、なんでだろう。

今回の石。微妙な色合いのがそろって満足。

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(家に帰って洗ったらもっと鮮やかな色になったので、写真を差し替えました)

ソフトクリームを買うほど暑くないから、熱い紅茶にトーストしたティーケーキを(バターたっぷり塗って)波を見ながら食べた。もちろん帽子、長袖ジャケット着用。短パンに上半身ハダカのやつらの真似をしていたら風邪ひきます。

駅前に八重桜が咲いていた。揺れて、なかなかうまく撮れない。

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本日は奇跡的に、乗り継いだどの電車も遅れず、日が沈む前に帰宅できました。楽しかった。1万3000歩も歩いた。いつもの4倍〜。明日から仕事がんばろうっと。

 

 

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アニメ『Маша и Медведь』(マーシャと熊)

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せっかくロシア語を集中してやったのに、5月のドイツ旅行にそなえてちょっとドイツ語を始めた(Duolingoでゲームしているだけ)。ロシア語も忘れないように、アニメ鑑賞。「マーシャと熊」は2009年からロシア1チャンネルで放送されている子供向けアニメ。フランスなどヨーロッパ数か国やカナダでも放送しているほか、YouTubeの公式サイトでも配信中。第一話の再生回数1億3000万回だって。ちなみにドイツ語版もあります。

監督は  Олег Кузовков; Олег Ужинов 他

犬とヤギ、豚と暮らしているちっちゃい女の子マーシャが森の熊のところに遊びに行っては、天真爛漫に邪魔したり物を壊したり(家中をめちゃくちゃにしたり)するドタバタ・コメディ。元はサーカスのスターだった熊は優しいので我慢してつき合ってあげている。

元々、おとぎ話に「マーシャと熊」というのがあり、森に迷い込んできた人間の女の子を熊が女中にしてこき使おうとするそうで、その下敷きがあるからよけい可笑しいのだろう。

熊には中国に甥がいたり(なぜかパンダ)、拾った卵(上の絵参照)を温めたらペンギンが孵って、パパと呼ばれている。

あこがれの美しい雌熊さんや、ライバルのいつも筋トレに余念ないマッチョ熊もいる。

それに村外れの丘の上、古い救急車に住む2頭のオオカミがいつも腹を減らしていたり、ウサギが熊の家庭菜園からニンジンを定期的に盗んで行ったり、登場動物も面白い。

しゃべる人間がマーシャだけ(動物は声は出すが話はしない)のため、しかも子供言葉なので、勉強になるとも思えませんが、笑えるので空いた時間に見るのにちょうどいい。

しかし、このアニメはウクライナに「ロシアのプロパガンダだ」とけなされたりしている。熊はロシアの象徴、それを優しく紳士的で、いざとなったら強いヒーローに描いているのがわざとらしいそうだ。それにマーシャが国境警備隊か何かの帽子をかぶったことがあるのもけしからん、という。ウクライナは仲が悪いのでそのくらいの文句はつけそうだけど、去年の秋にイギリスの「タイムズ」紙までそれを取り上げ、”マーシャはプーチンのプロパガンダか?”みたいな見出しにびっくり(わたしは購読してないので内容全部は読んでません)。いや、政治的意図はないと思いますよ。甘いものを食べたら歯をみがけ、くらいの教訓がときどきある程度。熊さんもけっこう間抜けだし。

7分弱のお時間ある方、「マーシャとカーシャ(お粥)」の回をどうぞ。見るだけで意味分かると思います。いろんなフルーツ味のオートミールが美味しそう、適量なら(笑)。

Маша + каша (Серия 17)

 

 

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ロシア語週末講座

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先週末のロシア語コースはハードだった。今回は大学主催ではなく、ケンブリッジのロシア人(語)会のような組織の講座。この会では毎年夏に5日間コースを開くことで知られているが、今年から春にも開催することにしたそう。会場は、上の写真のように、わりと近代的なカレッジ。泊まらなくても良い距離なので、毎日通うことにした。

金曜日の午後1時から日曜の夕方まで、かなり立て込んだ、充実したスケジュール。受け入れ生徒は今回は中級以上とのこと。A:上級、B:中の上、C:中、という自己申告のクラス分け、わたしは夏のコースにも参加したことないし、様子が分からないので真ん中をとってみたら、ちょうど良かったようだ。後でわかったが上級だとロシア語で仕事できるレベルだったり、「父がロシア人で」なんて人もいて、わたしには無理でしたね。

ロシア人の経験豊かな教師陣が一人ずつ「散文の翻訳」「アート」「歴史と政治」「詩」「文化と料理」についてを担当、最初は全クラスがひととおり全部の分野を習い、その後はそれぞれ自分の好きな分野を選択して新クラスを作る、最後は各クラスがプレゼンをするという段取り。

参加者は「歴史と政治」に興味のある人が多い傾向。かなり詳しい。フルシチョフやブレジネフさんが何をしたとか、知らないわーわたし。でも最低限の基礎は知っておかないとダメですよね。クラスメートからの情報も、ためになった。

詩は難しそうだなと思っていたけど、古い詩から現代詩をランダムに並べて、音の印象や使われている単語で時代当てをするゲームなど、面白かった。けっこうわかるものですね。古い詩はやはり重々しい響きなのがわかって、それだけでも収穫。

興味にそったクラス選びでは、参加前は散文翻訳のクラスに行こうかと思っていた。ところが振り分け前の翻訳クラスは現代文、それもくだけたメールの訳だったので、小説を細かく読むのとは違いそうだと考え直し、優しいレーナ先生の「アート」に変えた。

選択クラスは全クラスの人が入り混じる。上級A組から来たジュリアさんがめっちゃ喋れて、あまり口をはさめなくなった(笑)。ロシアに住んでいたんですか?と聞いたら、そんなことはなく、何週間だかロシア語以外禁止のすごいコースでしごかれたことがあるそうだ。現地に住まなくてもここまでできるようになるのか、と感心した。

アート・クラスでは展覧会を企画したりゴミで現代アートを作ったりと楽しかったが、制作にかかるとみんな自分の作業に没頭し、無口になってしまった。しかも2時間遅刻してくる(そして話をまぜかえす)人もいたり、自由すぎる雰囲気。クラスによって性格が偏るかも?

土曜日の夜には息抜きが目的の、クラス対抗クイズ大会があったが、けっこうみなさん競争心が強く、しまいにロシア人の先生同士が、「ちょっと、なんでうちが2点なのよ!」と口論を始めたりして、熱い。笑った。しかも9時半までに終了する予定が押して、ほとんど10時。きっちりの時間には決してならないロシア時間が流れる〜。土曜日は朝9時から授業だったのに、タフだわ。

わたしは疲れてだんだん機嫌が悪くなったが、結局アート・チームが勝ってグルジアのスパークリングワイン(こくがあって美味しい)をもらうと急に気分が上がる。単純だ。勝ったのはもっぱらA組から来たジュリアさんのお陰です。

歌あり、寸劇ありと、非常にテンションの高い盛り上がった講座。参加者約30名はイギリス全土からや、オランダなど近隣の国から集まった人たち。こういうコース、他ではあまりないんですね。ケンブリッジが近くてラッキーなのだな。

とはいえ限界もある。自分側の問題で、特に詩を英訳するなどは難しい。意味をとるだけでなく、英語の詩としてきれいに、なんて無理っす。これは日本語の良訳を手に入れて自習しないと。

夏の5日間コースも魅力的だが、休暇があるかな。思案中。

 

 

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『4 3 2 1』by ポール・オースター

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面白かった!ポール・オースターの『4 3 2 1』(2017年)、久々に読んだ大長編・傑作。本当に長くて時間がかかった。ペーパーバック版で1088ページもあって、600ページ終わってもまだ普通の本1冊分以上残っている。電子書籍版でよかった、本だと重いよ。でも長いのもしょうがない、なにしろ1人の人間の4通りの成長の話だから。

主人公アーチ―・ファーガソンの祖父はロシア系ユダヤ人、若くしてアメリカに移住した。貧しい移民のまま死を迎えるが、その子(アーチ―の父)になると自営で店を営むまでになって、同じユダヤ系で少し裕福な美人(アーチ―の母)と結婚。

こうしてこの2人の一人っ子アーチ―の人生が始まるが、なぜか4パターンの人生があって、章立ても〇章の1、2、3、4のようになっていて、それぞれの話が進む。

人生の道はちょっとしたことで違う方向に進む。もし父の店が大繁盛してチェーンを経営するような成功者になったら、逆に先細りでいつもお金がない生活なら、さらに事故で父が亡くなってしまったら!などなど。

同じ人だが4人のアーチ―は別々の境遇の人生をたどっていく。お父さんが仕事人間で結局離婚とか、母子家庭になってニュージャージーからニューヨーク市内に移ったりとか、母が再婚して新しいきょうだいができたり、その結婚相手が別の人できょうだい・いとこの組合せが変わったり…住む家も、学校も友人も、恋人もさまざまなパターンに分かれていく。

同じ年代を4通り読むのだから飽きそうなものだが、そうでもない。いろんなことが起き、そこから学んで成長していくアーチ―の態度が真摯だから、味わいながら読んでいける。

別の人生でも同じ人間(遺伝子は同じ)、進んでいくだいたいの方向は似ている。運動が得意で野球やバスケットボールのスター、成績もトップクラス。コロンビア大学に進むかプリンストンかで悩んだりする。羨ましい、そんなレベルで悩んでみたかった。お金の問題がらみなので本人は辛いのだけど。文章を書くことが好きなのも同じで、ジャーナリズムに進むバージョンがあったり創作、翻訳に才能を見せるバージョンなどがある。

男子として思春期以後の「ガールフレンドがほしい!」欲求も切実だ。同じ女の子が母の結婚でいとこになって親しくなったり、姉になっちゃって近すぎでダメになったり、つき合うけどだんだん合わなくなっていったり。別の子に走ったり男に目覚めたりしちゃう、はは、いや、笑いごとじゃないんだよね…。

人生のいろんな分かれ道、違った道ならどうなっていただろう、自分は自分だが、結果はどのくらい違っていたのか。

現在72歳のオースター、本書を書いたのは60代の終わりくらい、自らを振り返ってみたのだろうか。オースターの誕生日は1947年2月3日で、アーチ―・ファーガソンが同年3月3日、育った場所など共通していることも多いのだ。

描かれているアメリカの戦後史も興味深い。第二次大戦が終わっても、暴力の連続だ。朝鮮戦争、ケネディ大統領暗殺、キング牧師の暗殺、ベトナム戦争、反戦運動から火がついた学生紛争etc.。特にベトナムは、当時は徴兵制で男子は学校を出たら基本的に軍隊に入らなければならなかったから、生きるか死ぬかの問題だ。

そして、全員が20代後半まで生き延びられるのではない。途中で死んでしまうパターンもある。それも、ちょっとした原因で、ほとんど間抜けな死に方なのが無慈悲だ。その理由は最後に納得いくようになっている。なるほどそういうことか。

面白かったのは父母の扱い。お父さんの方はいろんな目に遭わせて殺したり疎遠になったりだが、お母さんは無事で、父がいなくなると悲しむけど立ち直り、プロの写真家として認められるなど、しっかり生きていく。父母差別してます(笑)。でも父への複雑な愛情も深いんだよね。

読み応えがあった。ちょっと退屈、と思ったのはあまり興味のもてないコロンビア大学の学生運動のところくらいかな。それ以外は、徐々に文学や文章を書くことに目覚めて修業していくアーチ―(ズ)の道をいっしょに歩いて行く気分で読めた。

ついイギリスものばかり読んで、オースターはほとんど未読だった。彼の他の作品もチェックしてみたい。

さて、明日からロシア語の週末講座です♪

 

 

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A Tale of Three Sisters” (based on Chekhov)

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写真がないので、関係ないけどエリザヴェータ・ボヤルスカヤのマーシャを貼ってみた。(サンクトペテルブルクのマールイ・ドラマ・シアター)

これもケンブリッジ市内のコミュニティ・センターのホールで上演された、ロシア人のアマチュア劇団”ВОТ ТАКОЙ ТЕАТР”によるロシア語劇『A Tale of Three Sisters』、チェーホフの「三人姉妹」を基にし、自由に改変している。ディレクターはウリアーナ・バシタコワさん。いっしょに行った友達の同僚の奥様。

字幕はなくて、10ページにわたる英語の説明が渡される。「三人姉妹」なら全手話上演も見たくらいだから慣れてます、大丈夫。

「5時半きっかりに開始します」と注意書きがあったけど10分遅れた。ロシア時間だ。

最初に乳母さんがおとぎ話をしている。「あるところに王子様とその3人の姉たちがいた。両親が亡くなって、姉がみんなお嫁に行って、寂しくなった王子も結婚するが、そこから災いが始まる…」という話。これは本編を暗示しているのか?なくてもいいような気もした。

あとの話はだいたい原作どおりに進む。軍人の父の赴任でモスクワから地方に移り住んだ教養ある姉妹が、田舎町になじめず、しかし父が亡くなってしまって、つてもなく、都会にもどれない。頼りの弟は俗物で利己的な奥さんの尻にしかれ、家は彼女の思うままになっていく〜。

アマチュアながら、発声がきちんとしていて全員声がよく通っていて立派。安心して見られた。弟の奥さんのナターリヤを中年女性が演じていたけど、可憐な少女がだんだん本性を現していくわけなので、こういう配役も良いよね。

休憩は3回あって、友達を見に来たロシア人でいっぱい、周囲の会話を聞いているとロシアにいるみたいだ。「コーヒーは1ルーブル50カペイカよ」と言っていた人もいた。ポンドとペンスのことねw

ラストがちょっと面白かった。チェーホフの原作では、末娘のイリーナは最後の手段として、愛していないけど「良い人だから」とトゥーゼンバフ男爵と結婚しようとするが、その彼が決闘で殺されてしまう。

今回の上演では、銃声が2発響き、まだ結果がわからないところで終わる。男爵は死んじゃったのか?それとも無事か。中途半端。だがどちらに転んでもこの姉妹たちは大丈夫、と思えた。何とかしていく力を、最後はみんな必死に絞り出して、生きていく覚悟を決めていたようだからだ。チェーホフ版の「どうしようもない感じ」が減り、21世紀の「三人姉妹」としてはこちらの方がしっくりすると思った。

ロンドンまで行かずに近場でロシア語の生の舞台が見られ、満足♪ しかし、予期している以外のことを言われると理解できないことも多い、まだまだです。

 

 

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『Жёны』(妻たち)

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この週末はケンブリッジで活躍するアマチュアのロシア語劇を2つ見た。最初は、ロシア文豪の妻5人の夢の共演(?)、『Жёны』。詩人で劇作家のЕлена Исаеваの作品。

by Russian Amateur Dmitri Turchaninov Theatre in Cambridge

<登場人物>

Наталья Гончарова(プーシキンの妻ナタリア)

Анна Достоевская(ドストエフスキーの妻アンナ)

Софья Толстая(トルストイの妻ソフィア)

Ольга Книппер-Чехова(チェーホフの妻オリガ)

Елена Булгакова(ブルガーコフの妻エレーナ)

時代もまちまちだし、生前は会ったこともない5人が、図書室みたいな場所に招かれている。亡くなった夫とまた会える、と聞いて来たようだが、しばらく待たされ、そこに男が1人登場。実は会えるのは1人だけだと言う。妻として最も夫を愛していた人がその権利があるらしい。

「その権利ならわたしにある」と思うそれぞれが、夫との結婚生活、思い出を語る。が、「夫」たちがクセの強い作家ですから、そんなに平穏な生活ができた人はいない。紆余曲折あった。しかも話を聞いている他の4人が「再婚したくせに」とか(笑)、「あら、お手紙にはこんなこと書いてあったでしょう」と書簡集やら日記やらの抜粋を読みあげて反論したりする。

プーシキンの妻は社交界の花で、文学なんか全然分からず、ちょっと男関係軽はずみだったし。(お陰でプーシキンは決闘で命を落とすはめに)

ドストエフスキーの妻は夫のギャンブル依存症と貧乏に苦労。トルストイの妻が激しい性格で夫とケンカもしたことは有名だし。

チェーホフの妻は女優で(三人姉妹のマーシャを演じた人)、仕事があるから長期の別居婚。

ブルガーコフの妻エレーナはスターリン独裁体制で不遇な夫を支え、一番「同志的」つながりが強かったかもしれない。20世紀作家の妻、という印象。

面白いのは回想中の「夫」役はすべてさっきのおっさん一人が演じたこと。シャツを変えたり、帽子やらカバンやら小道具を使ったりしてささっと変化する。劇団員が足りなかったのでなく、元々「ひとりの男優が演じる」役だとのこと。

それぞれ性格の違う妻たちの特徴がよく出て、徹底的にリサーチした結婚生活の話も興味深くて、脚本がすごいと思う。

妻たちは自分が選ばれたくて舌戦もするが、「でも、この人は旦那さんの才能ではなく、本人自身に惚れていた、それが真の愛かも」と他の人を推薦に回ったりもする。さんざ苦労させられたことを思い出して自分はもう会う必要なし、と思ったのか??

作家とその妻の関係もいろいろですよね。同志的な妻より、文学なんか関係ない別の生物みたいな美女を求める人もいるだろうし、ミューズが必要な人、秘書が必要な人もいるだろう。派手なケンカもしながらどうも離れられないという結びつきの関係もあるだろうし。

「どう愛されたか」でなく「どう愛したか」という視点なのが良いです。

すでにモスクワとサンクトペテルブルクでプロの劇団が上演したそうだ。そのうち見てみたいな。今回の上演はアマチュアとしては質が高かったとはいえ、やはり演技の面では物足りない。プロならもっと丁々発止とやり合ってくれそう。ブルガーコフの妻役のマリア・ネチャーエワさんが一番堂々としていた。現代人に一番近いので演じやすいかもしれない。

会場はけっこう郊外の教会、写真を撮るのを忘れた。帰りは線路のような「バス専用道」を通るバスに乗ってみた。11時には誰もいない。プラットフォームがあるバス停。

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『The Aftermath』

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初夏にバレエを見に北ドイツのハンブルクに行くことにした。初めてなので楽しみ。街の様子を予習できるかもと、ハンブルクが舞台の映画を鑑賞。

『The Aftermath』

Directed by James Kent
Based on "The Aftermath" by Rhidian Brook

<Cast>

Keira Knightley as Rachael Morgan

Jason Clarke as Lewis Morgan, Rachel’s husband
Alexander Skarsgård as Stefan Lubert

Flora Thiemann as Freda

いや、予習どころか…町並みはありませんでした。瓦礫だった。

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(これは映画の写真ではなく、記録写真から)

舞台は第二次大戦終結後数か月、戦争中に未曾有の大空襲を受けたハンブルク市がまだ後始末をしている時期だった。だからタイトルの、戦争や大災害が起こった後のことを示す'Aftermath'。

ドイツ第二の都市に大量の爆弾を投下した空襲、コードネームは「ゴモラ作戦」だそうです。悪徳の都市を潰すという、神からの視線のようなネーミングがむかつくわ、しょうがないけど。

戦後すぐ、ハンブルク再建の指揮官に任命されて赴任している英国陸軍大佐のルイスの元に、妻のレイチェルがやって来て合流する。占領軍は個人の家を好きに占拠する権利があるようで、とある郊外の邸宅を与えられる。元の住民は戦争で建築家としての仕事も妻も失ったステファンと、反抗期の娘フリーダ。気の毒に思ったルイスは、「屋根裏なら空けられる、どうぞ住み続けてください」と提案する。

数か月前の敵国人同士、勝利者と敗者、家を占領している人と奪われた人、で、緊迫した状況だ。親切がアダにならないといいけど。

ルイスの仕事は過酷だ。毎日瓦礫の中に出て行って指揮したり、元ナチスとそうでない人の選別を監督、完璧に壊れた都市を立て直すための仕事は山ほどあるのに、ドイツ人には感謝もされない。逆にデモが起きたり、ナチの残党に命を狙われたりする。それでも一言も愚痴を言わず毎日仕事する。

そんな夫の姿は見ていないレイチェル、言葉もわからない敵国に連れて来られて放置されるのが寂しい。さらに夫婦は大事な人を戦禍で亡くしているのに、夫が冷酷に仕事に逃げているように感じる。つまり「あなたもちゃんと悲しんで。わたしをわかって!」と思っている。

20世紀半ばのイギリス男、そんな豊かに感情表現できないですから。レイチェルは軍人の妻に向いてないかも。

そのうち事件が起こって人間関係がぐちゃぐちゃになるのだが、全員の気持ちは理解できるし、誰も悪人でないので気の毒にも思う。また、一度ぐちゃぐちゃにならないと、どうにもならなかったのかも、とも思う。Aftermathは個人の危機の「その後」でもあった。

ドイツ語の題は「Niemandsland」(no-man's land)だそうだけど、この映画、ドイツではあまり人気なさそう。

トレイラーはベッドシーンがあるのでやめて、代わりに統計数字を。BBCの「ゴモラ作戦」についての記事によると、”一度の空襲”で亡くなった人の人数:ゲルニカ=250、ロンドン(1941年3月10日)=1436、ハンブルク(1943年7月23日)=推定2万、だそうです。

1945年3月10日の東京大空襲は10万とか、やはり焼夷弾でばーっと焼けたのは被害大きいですね。何か月後かにもまだ死体が掘り返されたりするレンガの瓦礫も大変ですが。

というわけで、瓦礫から見事に復興したハンブルク、敬意をもって訪問したいと思います。

 

 

 

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