BBCドラマ、クリスティーの『Ordeal by Innocence』

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そして誰もいなくなった」以来、アガサ・クリスティー原作のドラマで外れなしの脚本家サラ・フェルプス。第3弾『Ordeal by Innocence』はタイトル同じの1958の作品(日本語の題は「無実はさいなむ」だそう)を元にしている。

Ordeal by Innocence

Screenplay by    Sarah Phelps
Directed by    Sandra Goldbacher

<Cast>

Bill Nighy as Leo Argyll
Anthony Boyle as Jack Argyll
Anna Chancellor as Rachel Argyll
Morven Christie as Kirsten Lindstrom
Crystal Clarke as Tina Argyll
Christian Cooke as Mickey Argyll
Alice Eve as Gwenda Vaughn
Matthew Goode as Philip Durrant
Ella Purnell as Hester Argyll
Eleanor Tomlinson as Mary Durrant

Luke Treadaway as Doctor Arthur Calgary

地方の豪邸で資産家のレイチェル・アージルが殺された。子供のころから反抗的な問題児だった養子のジャックが殺人犯として逮捕され、その後彼は刑務所内のケンカで死亡する。レイチェルの5人の子供たちは全員養子だった。自分の子がいない彼女が孤児を引きとり、自ら教育係りとなって育てたのだ。家族はレイチェルの死を悼むが、それから1年半、夫のレオが元・秘書のグェンダと再婚する準備をしているころに、アーサー・カルガリー博士と名のる人物が訪ねてきて、ジャックの無実を証言したい、という。レイチェルがまだ生きていた時間にジャックが外出していたことを証明できる、と主張するのだ。ジャックが死んでしまったのに今さら…と家族の反応は薄かった。

回想シーンもまじえ、慈善家として讃えられていたレイチェルが、子供たちには厳しい教育としつけをしていたことがわかる。お陰で成長してからも”母”に愛憎混じった複雑な感情を抱いていた子供たち。

夫のレオには金はなく、裕福な妻がいたから好きなエジプト学の研究をしながら暮らせていた。そして妻の死後2年もたたないうちに若いグェンダと再婚、早すぎないか?

しかしジャックの証人だというカルガリー博士も精神的に不安定な様子で危なっかしい。実は彼にも、無実の人を救わなければいけないという強迫的願望があった。罪ほろぼしのためだ。

50年代で物理学者(原作の地理学者と変えてある)なら、ピンときます。冷戦の中、かなりリアルに核戦争の恐れがあった時期、イギリスでは政府が国民向けに、「核攻撃が予測されたときの行動」を指導していた。余裕がある家では核防空壕を用意したり。核兵器開発に携わるうちに頭が壊れちゃう人が出るのは想像できる。この人物の設定変えはうまいと思う。ちなみに博士がホテルで読んでいたのがジョン・ウィンダムの『The Chrysalids』(「さなぎ」)、ディストピアSFの古典だ、芸が細かい。

もう終わったことだから古傷に触らないでという家族を無視して、何とかジャックの無実を証明しようとするカルガリー、最後に意外な犯人が明らかになる。

実はわたしは原作を読んでいなくて、フランスのドラマで見ただけ。その犯人と違っていたのでびっくり。原作を変えたのはBBCの方だった。むしろこの方がしっくりくるかもしれない。レイチェルが次々に何人も養子を迎え、自分の理想とする家族の形を無理矢理作ろうとしていた動機もうまく説明できるのだ。お見事。

クリスティーはコージー・ミステリの元祖ともいわれるが、ダークなときは実に深い闇を描く。この改変には「そういう手もあるわね」と賛成してくれるのではないかな。

 

 

 

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スティーヴン・チェンバース『The Court of Redonda』展

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ケンブリッジ大学ダウニング・カレッジのHeong Galleryで、ロイヤルアカデミー会員Stephen Chambers (1960 - )の作品『The Court of Redonda』が展示されている。

レドンダ島はカリブ海にある小さな島というより岩礁、人は住めない。が、19世紀に王国を(勝手に)宣言した人がいて、今でも王位が続いているそうだ。また芸術家などが爵位を与えられて貴族になっているとか。想像上の遊び、ジョークですね。チェンバースがその王国の宮廷の人々を、少数の例外をのぞけばモデルなしで空想で描いたポートレートが101枚。壮観だ。

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そして1枚1枚は細かく詳細に描かれている。

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The Very Decent Harlot

さまざまな人がいるが、やはりクリエイター系に見える。

色の使い方がよく、各ポートレートを並べることで、また色の組合せの面白さが出ている。

ちなみにレドンダ王国の国旗は:

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あはは…。

カレッジの講堂でチェンバース本人と美術評論家のアリステア・スークがトークをするというので出かけた。

この作品がヴェネツィア・ビエンナーレに展示されたときも見たというスークが、制作の裏話などを聞き出す。そうそう、チェンバースのレドンダ王国での称号はビエンナーレ子爵だったとか? 数枚、知り合いの芸術家をモデルにした作が混じっているそうだ。

2人の座ったステージ上のスクリーンに作品が映し出されるが、大きな3連作が面白かった。

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State of the Nation, 2016-17, Oil on linen 

これは3枚目で、1枚目は不安定な格好で馬に乗っていて、2枚目は落ちそうに、そして最後がこういうことになっている。欧州連合からのイギリス脱退を決めた国民投票にインスパイアされたそうだ。情けない、が絵は面白い。

「アートは常にideaからdecisionをしていくこと」という言葉が印象に残った。他の仕事にも共通するけど、それの連続ですね確かに。

小さいギャラリーだが通常はそれほど混んでいない。ふらっと入っていってベンチに座ってじっくり見られる。展覧会は無料、5月20日まで。

 

 

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ベルナール・ミニエ『Le Cercle』、のロシア語訳

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フランスのミステリ作家ベルナール・ミニエ(Bernard Minier, 1960 〜)の『Le Cercle』( 2012年)をロシア語訳で。

フランス人の友達が「わたし英訳で読もうとしたけど挫折した」といっていた長編。和訳だと1000ページになるみたい。

ロシア版はБернар Миньер作、「Круг」と直訳タイトル。

フランス南西部が舞台。サッカー・ワールドカップ南ア大会が開催中なので2010年の話だとわかる。ブブゼラが懐かしい(笑)

優秀な高校・大学のある学園都市で雷雨の夜に、高校の女性教師が殺害される。彼女の家に居合わせ、容疑者になってしまったのが成績もよく人気者のイケメン高校生ユーゴ。

トゥールーズ署の警部セルヴァズに、「息子を助けて」とユーゴの母マリアンヌから直接電話が入る。実はマリアンヌはセルヴァズが高校時代につき合って親友に取られちゃった元カノだった。

つい駆けつけてしまうセルヴァズ。ユーゴの高校には自分の娘マルゴも行っている。なんかいろいろと近い。

そのうちシリーズ第一作(わたしは読んでないが)に出て来た連続殺人犯が怪しく思われ、しかし被害者の美人教師は地元の某有力者の不倫相手だったかもしれず。さらにアフリカから難民として来て清掃業をしている人物がからんできたり、高校でユーゴの友人の生徒数名が夜中に不審な動きをみせ、その上、監禁されているらしい女性のエピソードが合間にはさまれ…話が広がるー。

なかなかついて行くのが大変だ。しかも主役セルヴァズ警部は昔、文学の分野で将来有望と誰もが認めていた才能の持ち主で、身内が被害者となったある事件をきっかけに警察に進路を変えたという人物。好きな音楽家はマーラー。ラテン語なんか軽く読めます。彼の昔の回顧とか内省が長い。1000ページのうち200ページはあれこれ悩んでいるかも。考えてないで捜査しろ。こういうタイプが好きな人なら楽しめそう。

話は後半さらに思いがけない方向に進むが、全部をたくみにつないで結末に持って行く、作家の力技。「犯人」も裏をかかれた。ロシア語で読み通せたのは、やはり興味をそらさずに引きつけるストーリーなのだと思う。

ところでフランスのエリート高校って、「来週までに『アンナ・カレーニナ』と『ボヴァリー夫人』と『〇〇(忘れた)』を比較してエッセーを書いてこい」なんちゅう宿題が出るんですか、すごいね。

面白かったが、そろそろ外国語作品をロシア語訳したものでなく、ロシア作家の作品にもどろうかな。という訳で今、ホラーの中編を1つ読了したところ。

和訳タイトルはやはり”抒情的”?

死者の雨 上 (ハーパーBOOKS)

 

 

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オスカー・ワイルド『LADY WINDERMERE’S FAN』@シネマ

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すっかり春になった。夕方のベランダのチューリップ。

映画館でオスカー・ワイルド作「ウィンダミア卿夫人の扇」の劇場中継を観た。1892年にロンドンで初演された作品。2018年の上演はVaudeville Theatreで。

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『LADY WINDERMERE’S FAN』 By Oscar Wilde

<CREATIVES & PRODUCTION>
KATHY BURKE DIRECTOR
PAUL WILLS DESIGNER
PAUL KEOGAN LIGHTING DESIGNER
SHANE CULLINAN COMPOSER
DOMINIC DROMGOOLE ARTISTIC DIRECTOR

<Cast>
Samantha Spiro (Mrs Erlynne)
Kevin Bishop (Lord Darlington)
Jennifer Saunders (Duchess of Berwick)
Joseph Marcell (Lord Lorton)
Joshua James (Lord Windermere)
Grace Molony (Lady Windermere)

若く美しいレディ・ウィンダミアは最近子供も生まれて幸せ。自分の誕生パーティを楽しみにしている。が、嫌な話を聞く。夫のウィンダミア卿が年上のアーリン夫人と懇意だというのだ。誰?そんな女性、親戚でもないし。さらに、夫本人が、誕生パーティにアーリンさんを招いた、というではないか。

会いたくない、と思っていても夫人は来てしまう。

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何か訳あって久しく社交界から離れていた彼女、最近また復帰したいと思っていて、それを夫が助けようとしているらしい。アーリン夫人を丁寧にもてなす夫を見てショックをうけたレディ・ウィンダミア、別の男に走ってやれ、と自棄を起こす。

ヴィクトリア時代に人妻が浮気したら上流社会から締め出されます。事態を察したアーリン夫人、「別の男」の家に乗り込む。そして自分の名誉を捨ててウィンダミア夫人を救おうとする。実はアーリン夫人の正体は…、という、ドタバタ喜劇仕立てで、お上品なヴィクトリア朝貴族社会を皮肉る、ワイルドらしいストーリー。

古風な劇場、衣装も昔風。ギリシャ悲劇でもシェイクスピア劇でも現代風の服装なのに慣れているので、逆に新鮮。

明るく軽いタッチで、笑える。有名なコメディエンヌのジェニファー・サンダースがベリック公爵夫人役でウケていた。みんな「あー面白かった」と劇場を去るわけですが、初演当時の19世紀なら、もっと鋭い社会批判になっていて、観客の胸に残るものは違っていたのかも。堅苦しい階級社会で足を踏み外すとどうなるか、ありあり実感ができたかもしれない。しかもその「踏み外し」には、たとえば男ならいいが女はダメとか、不平等な基準があった。

現代に共通するものもまだあるけれど、深く感情移入して見る感じではない。それでもワイルドのシャープなセリフをきれいな発音・発声で聴くのは楽しい。今年は「ワイルド・シーズン」として2作上演を予定しているVaudeville Theatre、中継も映画館で観られます。

トレイラー:

 

 

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セザンヌのポートレート展@National Portrait Gallery(覚え書き)

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Madame Cézanne (Hortense Fiquet, 1850–1922) in a Red Dress, 1888–90

モディリアーニをアップして思い出した。セザンヌのポートレート展をポートレート・ギャラリーに見に行って、下書きしたまま放置していた〜。

National Portrait Galleryで『Cézanne Portraits』を見たのは…去年の暮れかも。今さら済みません。自分の記憶のために書いておきます。

「近代絵画の父」と呼ばれるポール・セザンヌ(Paul Cézanne、1839 - 1906)といえばまず風景や静物が思い浮かぶが、人物ばかりを展示。

初期の頃、周囲の家族や友人などをモデルにする。

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Uncle Dominique in Smock and Blue Cap, 1866-7

黒が効いている。ドミニクおじさんとは仲がよかったらしく、何度かポーズしてもらっている。新聞を読んでいる銀行家の父の大作も有名。

あと、文句をいわずにじっとしてモデルになれるのは、自分だ。自画像も何枚かあり。

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Self-Portrait with Bowler Hat, 1885 - 6

自分の絵には、より内面が出ているような。セザンヌは実家が裕福だったから絵が売れなくても生きてはいけたが、少数の印象派仲間など以外からはなかなか認められなかった。パリのサロンでは落選することも多かった。時代を先取りしすぎていたんですね。

印象派展覧会のころの自画像:

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Self-portrait, Rose Ground,  c.1875 

父親からの金銭的援助がなくなるのを怖れて、階級が下の恋人オルタンスの存在をかなり長い間、隠していたそう。息子が生まれたが、2人が結婚したのはその14年後。芸術家を自由にさせてくれる、働き者のいい奥さんだったとか。1890年代にはパリとエクスで別居生活になったが、それも仲が悪かったわけではないそうだ。

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Madame Cezanne in a red armchair, 1877

彼女のことは何枚も描いている。が、どういう顔なのかはっきりしない。似せることよりも、その絵を構成する上で必然的な姿であることが大事なのかも。

とはいえ人間なので、見る者はつい人間性を読み取ろうとしてしまうが。

ズビャギンツェフ監督の「イェレーナ」を思い出した↓1枚。

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Madame Cezanne in a Striped Dress, 1885-6

一番上のも合わせて3枚、みんな顔が違うわ〜。

気に入ったのはこのおじさん(笑)かな↓。その辺の町の人を描いたものに味がある。注文を受けて有名な人の肖像を描く、というのはあまり興味がなかった。

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Man with Crossed Arms ( Homme aux bras croisés ), 1899

晩年には、珍しく子供を柔らかく描いた作品も。

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Child with Doll, c.1902

山も人間もリンゴも、同じように大事に描いていたセザンヌだ。人物画も、「背景」と「人」ではなく、それぞれ同等な要素。

セザンヌに影響をうけたモディリアーニも、あんな細長い人間はいないしモデルに「似ていない」けど、あれが必要だったのだ、というのがセザンヌを見ても納得できる。

会場にはエクサンプロヴァンスの風景や彼の仕事場の映像も。南仏は光が違う。たぶん夏は暑すぎなので、春先に一度行ってみたいと思う。

アリステア・スークがキュレーターと語りあっている:

 

 

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モディリアーニ展@テート・モダン

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Nude, 1917

テート・モダンでのモディリアーニ展『Modigliani』、ぎりぎり終了間際に見てきた。イタリア生まれのAmedeo Modigliani(1884 - 1920)がアートのキャリアを積むべく、21歳でパリに移ったのが1906年。惜しくも35歳の若さで亡くなってしまい、長くない活動期間だが、20世紀の絵画を変えた画家のひとり。

モンマルトルにアトリエを得て、ピカソやアポリネールと交流し、セザンヌの回顧展に衝撃を受けたりしながら、自分のスタイルを作っていく。見たことのない珍しい作品も。

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Nude Study, 1908

ロートレックの影響が見られるとのこと。ムンクかと思った。

一時期、彫刻をめざしたが、材料費がかさんだのと、粉を吸うのが健康に悪影響があって断念。若いころ結核を患ってから、体が弱かったようだ。

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Head, 1911-1912

展示作品はほとんど人物像、人間が得意だった。

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Portrait of a girl, 1917

この女性はスタイリッシュな髪型などから、パリの芸術家仲間かもしれないそうだ。はきはき喋りそうな人だね。

戦争が始まって南に疎開したときにも、せっせと地元の人たちを描いた。

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The Boy, 1919

これは何となくセザンヌの影響があるのではないだろうか。

ヌードにも大きくスペースがとられていた。一番上のとか、体温を感じそうな暖かさ。パリのプロのモデルはこんな健康的な肌色してないと思うけど、思わず故郷イタリアの色が出たのかな。戦争のおかげで女性の役割が広がり、女性のパワーが増してきた時代でもあった。が、絵では「ヘア」がダメで、展覧会から外すように言われたこともあるとか。

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Reclining Nude, 1919

最後の部屋は特に親しい人たちのポートレートなどが並ぶ。モデル兼パートナーで、婚約もしていたジャンヌ・エビュテルヌ(Jeanne Hébuterne、1898 – 1920)は多数。

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Jeanne Hébuterne, 1919

青をめったに使わないモディリアーニ、彼女の目を描くときはちゃんときれいな青を使っている。

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Blue Eyes, 1917

シンプルな構図と色づかいなのに、いつまでも見ていられますね、不思議。

全部で100点ほど、油絵やデッサン、彫刻が見られ、当時のパリの映像なども上映、そうそう、長蛇の列ができていてわたしは試さなかったけど、モディリアーニのアトリエを完全再現してバーチャルリアリティで体験できるというコーナーもあり、楽しめる展覧会だ。見逃さなくてよかった。

 

 

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BBCドラマ『McMafia』

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今年1月から2月に放送され、BBCのiPlayerでキャッチアップしたドラマ、『McMafia』。マフィアものは話についていけないことが多く、普通は敬遠する。名作らしい「ゴッドファーザー」なども見たことなし。でもジェームズ・ノートンとアレクセイ・セレブリャコフが親子役と聞けば、チェックしないといけません。

Created by Hossein Amini, James Watkins
Based on McMafia: A Journey Through the Global Criminal Underworld (2008) by Misha Glenny
Directed by James Watkins

<Cast>
James Norton as Alex Godman
David Strathairn as Semiyon Kleiman, Israeli businessman
Juliet Rylance as Rebecca Harper, Alex's fiancée
Merab Ninidze as Vadim Kalyagin, powerful member of the Russian Mafia
Aleksey Serebryakov as Dimitri Godman, Alex's father
Maria Shukshina as Oksana Godman, Alex's mother

アレックスはロシアの(ユダヤ系)マフィアの息子だが、イギリス育ち。父はライバルとの闘いに破れた形でイギリスに逃げてきたらしい。父は家ではロシア語しかしゃべらないが、こっちで教育を受けたアレックスにはもう英語の方が楽。ハーバードなどでビジネスを学び、投資ファンドを設立、お金はきれいに稼ごうとしている。しかし父のライバル、カリャーギンの指示で、アレックスの叔父が殺される事件が起きた。

弟を殺されて鬱になる父を見て、何とかしたいアレックスは、自分の手を汚さない方法で復讐をくわだてる。カリャーギンの敵に資金を提供して、相手の悪事を妨害するのだ。

が、金だけ出して後はよろしくなんて、こういう仕事の性質上、無理だよね。だんだん深みにはまっていくしかない…。

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(セレブリャコフがまたギャングの父ちゃんの役〜。)

8回シリーズで、ロシアの黒い組織が世界的に手広く麻薬取引や人身売買を行っている実態から、アレックスとイギリス人婚約者との価値観のずれ、家庭内での親子関係など丁寧に描かれている。だまされて売られちゃったロシア人の若い女性のサブ・ストーリーもある。原作が小説でなくノンフィクションなのもあって、リアルで恐ろしい。

ちょうどこのドラマが完結してしばらくした頃にイギリス国内でロシアの元(二重)スパイとその娘が神経毒で攻撃されるという事件があって、「リアル・マクマフィアだ!」と騒がれた。いつか必ず身内もろとも抹殺しにやって来る手口が、ドラマといっしょ。2人が食事したレストランに同じ日に行った客は「持ち物を洗ってください!」と指示が出たり、助けようとした警官まで重体で入院したり(その後なんとか退院)、迷惑だ。さらにロシアと外交関係が悪化しているのも心配。イギリスとロシア、昔からあまり仲良くはなかったけれど、これ以上険悪にならないでほしいわ。

せっかくなので(?)ロシア語字幕つきトレイラー:

 

 

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『Tom’s Daily Plan』

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Tom's Daily Plan: Over 80 Fuss-Free Recipes for a Happier, Healthier You. All Day, Every Day.
Tom's Daily Plan: Over 80 Fuss-Free Recipes for a Happier, Healthier You. All Day, Every Day.

オリンピック・アスリートの生活が自分の参考になるわけないです。土台の体も運動量も、同じ種類の動物とは思えないくらい違う。

でも図書館にあったので借りてみたこの『Tom’s Daily Plan』、”一般人”向け、健康な生活のレシピ本でした。著者は高飛び込みの選手トーマス・デーリー(1994〜)くん、ロンドン・オリンピックの銅メダリスト。ヘルシーな料理とエクササイズなどの紹介をしている。

料理は基本タンパク質豊富で野菜もたっぷり、でも炭水化物も適度に摂るという王道。たまに食べたければジャンクフードだって口にしてよし、というリラックスした態度。

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マフィンにのっけた朝食、527カロリー。おいしそう。普通のイングリッシュ・ブレックファストじゃん、という気もしないでもないが…。

パセリを入れたチーズ・スコーンや、おばあちゃんのレシピだというペンネ入り、ブロッコリ・ベイク(オーブン焼き、これもチーズたっぷり)を試してみて気に入る。ヘルシーです。

エクササイズ・パートは家の中でできる、日替わり20分プラン。トムがモデルになって写真で説明。普通バージョンと、体力ない人のための簡単バージョンがあって親切。やってみようかな、という気になりそう(まだやってないw)

結婚して旦那さんのいるトム、お家で料理とかしてるんでしょうかね。最近は「子供ができた」とインスタグラムでエコー写真を披露して物議をかもしたり(代理母ですね。どっちのDNAなのか?詳細は不明)。明るくポジティブな彼なので、何とかやっていきそうです。

近々返す期日だけど、延長してもっとよく読もうかな。

メイキング動画が笑える。ブロッコリ・ベイクを食べてます:

 

 

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フィッツウィリアム博物館でイギリスの陶磁器展

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Virtues of Unity, Halima Cassel (1975 - )

Fitzwilliam博物館で新しい展覧会『Things of Beauty Growing: British studio pottery』が始まり、プレビューへ(招待された友達にくっついて行っただけですが)。イギリスの陶磁器の特集でバーナード・リーチなど大御所や若手の作品が展示される。もちろん日本や中国、韓国の影響もあるので参考作品も出ていて興味深かった。

スピーチが終わってワインを飲み終えた人々が展覧会場に入ってくる一足先に、奥の部屋のエドマンド・ドゥ・ヴァールを見に行った。

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a place made fast, 2014

柔らかいさまざまな白の磁器、安らぎます。

一番上の写真の作品も、世界各国の土を使った色のグラデーションが楽しい。1つ1つは果物籠くらいの大きさでざらついた土の質感もよかった。

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Inertial Jar , 2010, Adam Buick (1944 - )

大きな壺。

もっと大きい、人が縦に入りそうな(!)壺もあったが、だんだん会場が混んできてあまり近くに行かなかった。日本の19世紀の緑色の茶椀が気に入る(作者は不詳)。Katherine Pleydell-Bouverie(1895 – 1985)の細目の夜の森のような色が渋い。

多様なイギリス陶磁器、もっと見たかったけれど、あいにく夜に締め切りがあったので早めに切り上げる。6月まで無料で開催しているので、また来ればいいや。

 

 

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ケンブリッジ・フィルハーモニー『French Connections』

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3週間前くらいにけっこう寒くて大雪だったときの写真。それから暖か目だったが、土曜日に突然寒くなって雪。

友達がコーラスで歌うだけでなくプログラムが魅力的だったので楽しみにしていたケンブリッジ・フィルハーモニーのコンサート『French Connections』へ。パリが文化芸術の中心だった1920-30年代をイメージした特集。

Conductor - Timothy Redmond
Margo Arsane Soprano
Nicolae Mihaila & Thibault Charrin Piano
Cambridge Philharmonic Orchestra and Chorus
Guildhall Percussion Ensemble 

プログラムは:
STRAVINSKY Symphony of Psalms
POULENC Concerto for 2 Pianos
RAVEL Daphnis et Chloé Suite no. 2
POULENC Stabat Mater

演奏に入る前、指揮者が「今週は悲しいニュースがありました」と14日に亡くなったスティーヴン・ホーキング博士のことについてふれる。科学者の例にもれず博士も音楽好き、しかも今日のプログラムのストラヴィンスキーとプーランクが特に好きだったのだそうだ。1930年作曲の詩篇交響曲は博士が初めて買ったレコードで擦り切れるまで聴いた、とRadio3で言っていたらしい。そんなわけで急遽、博士に捧げる演奏会となった。

詩篇交響曲は宗教的で厳かながらストラヴィンスキーにしかできない斬新な音使い。オーケストラにヴァイオリンがなくてピアノが2台あったり、面白い。

しかし2曲目のプーランクの2台のピアノのための協奏曲 ニ短調 FP.61はさらに面白い。蓋をとりのぞいた2台のピアノを向き合わせてフルオーケストラと組み合せる。軽妙に、楽しく、競うように遊ぶように流れていく速度が気持ち良い。ルーマニアとフランスの若手ピアニストも溌剌としてよかった。アンコールはドビュッシー「ゴリウォーグのケークウォーク」。

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ルーマニアのNicolae Mihailaのほう。タイと靴下を同じ赤で統一していてお洒落だった。

休憩をはさんで、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」、バレエ音楽の躍動感が気持ち良い。海や森を感じる。ラヴェルは「だんだん盛り上げていく」のがうまいなあと思う。コーラスは歌としてでなく「音」の一部として参加している。歌い手としてはどう感じるか、後で友達に聞いてみたい。

最後の「スターバト・マーテル」(1951)はプーランクが友人の死を悼んで作った。悲しい中に優雅さと強さがある。ソロを歌ったメゾソプラノのマーゴさんの声がすばらしく伸びやか。容姿もきれいだしオペラでも活躍できそう、と思ったら、もうすでにいろいろ出ているそうです。夏には「フィガロの結婚」でケルビーノを歌う予定。

うっとりしてコンサートホールを出たら雪がわさわさ降っていてびっくり。降ってもいいけど向かい風が強いのが嫌だ。自転車で来てしまったのでまた自転車で必死に駅まで飛ばした。無事帰宅、やれやれ。

2台のピアノの〜、マルタ・アルゲリッチとネルソン・ゲルナーの演奏:

 

 

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