ルース・レンデル『The Girl Next Door』

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The Girl Next Door
The Girl Next Door

イギリス推理小説界の重鎮Ruth Rendell (1930 - 2015)、1960年代から21世紀になっても活躍した、キャリアの長い多作な人。読んだことがなく、最晩年の2014年作『The Girl Next Door』を借りてみた。80代で書いたんですよね、すごい。

ロンドンにも近いエセックスの宅地、地下からビスケット缶に入った人間の手の骨が発見される。男女の片手ずつ。何十年かたった遺骸だとわかる。昔の殺人事件だ。

戦時中、そのあたりの地下通路みたいなところで遊んでいた子供たちのグループがあった。当然今はみな老人の彼ら、この事件のために一度集まってその頃の話をする。小学校の同窓会みたいなことに。

担当刑事は、そんな昔の事件、今さら探っても犯人もとっくに死んでいるだろう、とやる気があまりない。本の後半で事件担当者が代ってから始めて捜査は進展する。

ただこの小説で重要なのは捜査ではない。読者は誰が犯人か冒頭で知ってしまっているから。それよりも、別々の生活を送っていた元・子供たちの関係に変化が起こる様子が描かれる。

焼けぼっくいに火がついて昔のガールフレンドに走ってしまうアランとか。70代のじいちゃん、なかなかやるな、じゃなくて、大丈夫かおい。半世紀作ってきた家庭が崩壊しちゃうよ。

奥さんはその相手を知っているので怒り狂う。

「若い女ならまだしも、なんであの女!」(殺意が・・・)

今どきの老人、ひ孫もいるのに、元気ですからね。

それからもうひとり、犯人の息子で、冷たい親の存在をずっと重荷に感じて生きてきたマイケル。亡き妻だけを思いつつ、自分の子供たちとはあまり深く関わらないできたが、贅沢な老人ホームに住むもうすぐ100歳の父(相変わらずいやーなおっさん)と数十年ぶりに会って、だんだん心境が変化していく。

途中で亡くなってしまう人も出るのは仕方ない。事件の全貌がわかる前に証人がボケてしまっても困る。時効というものはないが、時間との戦いかも。

自分の中に歴史を抱えた老人たちの内面が書かれて、人間そう変わるものでもなく、やっぱり悩みも苦しみもあり、でもいつまでも「成長」の可能性はあるものだと気づかされる。老境で明晰な頭を保っていたレンデルだからこそ書けたのだろう、深みがある。

アランに捨てられた妻ローズマリーの立ち直りっぷりもすばらしいです、痛快。そして最後に事態が収束をみたとき、人間関係が変化し、人の位置が変わっていたりする。それもまた人生。

今とは違うイギリスの昔の話も面白く読めた。だいたいみんな最初の恋人と若くして結婚し、そのまま添い遂げるのが普通だった。わりと短期間でがらっと変わるものですね社会って。

 

 

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『Le grand alibi』(華麗なるアリバイ)

JUGEMテーマ:映画

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念願の(大げさ)フランス映画『Le grand alibi』(2008年)を見た。ロシア語ボイスオーバーだけど。ロシア語だとポスターのように「Большой алиби」=でかいアリバイ。アリバイは外来語なので中性名詞なんですね。邦題は「華麗なるアリバイ」だそうです。

Directed by Pascal Bonitzer
<Cast>
Pierre Arditi -- Henri Pages
Miou-Miou -- Éliane Pages
Lambert Wilson -- Pierre Collier
Anne Consigny -- Claire Collier
Valeria Bruni Tedeschi -- Esther Bachmann
Mathieu Demy -- Philippe Léger
Caterina Murino -- Léa Mantovani
Céline Sallette -- Marthe

アガサ・クリスティーの『The Hollow』(ホロー荘の殺人)を土台にしながら、かなり原作と違い、フレンチ・テイストに仕上がっている。

週末、ある議員の邸宅に招かれた客のうち、医師のピエールが銃で殺される。プールサイドに倒れた彼のそばにはピストルを持った妻のクレールが呆然として立ち、そのそばには友達の彫刻家、だけど実はピエールの愛人のエステルが。

ピエールは女癖が悪かった。妻クレールがおっとり不用心なのをいいことに、ガールフレンドがわんさか。前夜にも元恋人で女優のレアまでパーティに乱入してアヤシイ雰囲気になっていたところ。

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(隣りはレアではなく議員の親戚のマルト)

イケメンでエリート医師ですから、モテるよね。しょうがないじゃん。でも最後にバチが当たったわけです。

持っていたピストルはピエールを撃った銃弾に合わないことが判明し、妻は釈放されるけど、他に愛人たち、愛人のひとりを好きな男とか、その男を好きな女とか、疑える人物多数。

映画にはポアロは出てこない。そのうちに原作にはない第二の殺人が!さらに次の未遂事件も。

痴情のもつれで一人の犠牲者で済むはずない、というフランス的解釈の結果かと・・・?

俳優陣も豪華、ビジュアル的に美しくできていて楽しめた。みんな着ているものがお洒落。真犯人の可憐な暴走も怖いが理解できて、映画としてうまい作品だなと思った。ランベール・ウィルソンが殺されちゃうので後半出てこないのが残念ですが。

トレイラー:

 

 

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世界陸上のお相伴

JUGEMテーマ:日記・一般

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行ったのは木曜日です。お世話になっている人が来英したので日中に大英博物館などを案内したら、おこぼれで貴重なチケットが回って来た、IAAF World Championships。ラッキー。

上のスマホ写真でわかるでしょうか、右下にゴールが見えて、良い席。その代わり向こうでやっている三段跳びや高跳びなどは遠くて、スクリーンで見た方が早い。

中央の芝部分ではやり投げが行われている。絶対外れないように設計されているのだろうけど、トラックを走る人に刺さったら怖い――もちろんそんなことは起こらないようになってます。

スポーツにうとく、中でも特に陸上はさっぱりわからない。ボルトって人の名しか知らず、しかも彼すら顔はいまだに知らない。こんな人間に見せるのはもったいないような大会だ。

スポンサーがトヨタやSEIKOなど軒並み日本企業。

「金は一番出してる、けど選手はあまりいませんねー、あはは」とかとんでもないことを口走ってしまったわ。

でも昔に比べると日本選手も活躍しているのですね。

初めてその存在を知ったサニブラウンくんが走った200メートル決勝が見られました。世界の7位とは立派なことだ。

こんなに足の速い人類を見るのはこれが人生最初で最後でしょう。性能のいいボディというのは美しい。顔も、美男美女が多いような気がする。左右対称だから?

ロシア人選手もちらほら。次はちゃんと国として出られるといいんだけど。

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(スタート準備の女子)

会場の雰囲気は常に音楽が鳴ってアナウンスもDJ風?で、にぎやか。ある競技で歓声が沸く中で他の競技をやっていたり、選手の集中力はすごい。

やり投げの槍を運ぶラジコンカーや、ボランティアの人たちがてきぱきとハードルなど必要な物を並べているところ、バズーカ砲みたいなカメラを抱えたカメラマンがずらっと列を作っている背中など、面白い風景が見られて楽しかった。

うーん、やはり本来の見方から外れていたのではないだろうか、まあいいや。

 

 

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ミーガン・アボット『You Will Know Me』

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You Will Know Me (Tpb Export)
You Will Know Me (Tpb Export)

Glen Erik Hamiltonお勧めの現代の「ロマン・ノワール」のリストの中で読みたい作が2つ、前回は図書館で別の作品に行きついちゃいましたが、今度はちゃんとAmazonで買った。

アメリカの作家Megan Abbott(1971-)による『You Will Know Me』、2016年作。

これは面白い。体操の天才少女とそれを支える両親の話だが、ひとりだけ突出した存在があるために家庭が緊迫し、アンバランスな状態のままどんどん圧がかかってくるのがリアルに感じられる。

3歳のときから体操を始めたデヴォンは最初から異彩をはなち、群を抜いていた。見る見るうちに上達する。

体操の経験はない両親のエリックとケイティ夫婦、娘の成長が嬉しくて、全力でサポートする。トレーニングに週何日も通い、レベルの高いジムに移し、必要な設備を新設するよう資金集め運動をし、地方の大会に出場させ、もう家なんか抵当に入れちゃう。デヴォンの下に弟もいるが、科学好きのこの子がおとなしいのでほとんど放置。

もう町とその周辺では並ぶもののない選手になった15歳のデヴォン、周囲の期待も集め、オリンピックを目指す資格を得るために猛練習中。

ところがそんな時に、交通事故がおきる。ジムの従業員の、ハンサムで気さくな青年ライアンがひき逃げで亡くなった。ジムの女子たち(とお母さんたち)の半分以上があこがれの目で見ていた人気者の彼は、コーチのひとりヘイリーの恋人だった。ヘイリーはジムのカリスマ?コーチであるテディの姪でもある。ジムは大揺れ。

心の中では(もうすぐ大事な大会なのに、ろくに練習にならなくて困るわ)としか思えないケイティたち。しかしその事故から、ジムだけでなく、友人関係、家族の間もおかしくなる、あるいは隠していたものが暴かれ、見ないようにしていたものが見えてきて・・・。

その中で娘を守ろうとあらゆる手段を尽くそうとするケイティとエリックの夫婦、しかし二人の間にも秘密がある。そして15歳の娘が本当のことを言っているかどうか。

というサスペンスに満ちた緊迫したストーリー、先が気になって350ページを2日で読んだ。

オリンピック選手になるのはどこでも大変だが、アメリカだとまず国の代表になる競争が熾烈だろう。お金もかかる。過酷だなー、と知らない世界を垣間見て興味深い。

ミーガン・アボットはこれが8作目、伏線の貼り方も巧妙、うまい。犯人はわかっちゃいますが、ポイントは心理バトルでしょう。ハラハラした。

アボットは日本では初期の2作ほど翻訳されているようです。

そろそろロシア語(巨匠とマルガリータとか)にもどる予定。その前にポアロを1つ読もうかな。

 

 

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マーガレット・メイヒュー『Dry Bones』

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Dry Bones (A Village Mystery)
Dry Bones (A Village Mystery)

週末にするレギュラーの仕事を入れて3ヵ月。そのわりに土日遊んでいるが、その場合は遊んだ後で夜に働いてるのです。けっこう疲れる、ということで木曜日に休暇をとって一日ダラダラしてみた。オンライン図書館で電子書籍を借りて読む。

しかも本当は書評欄で見たTom Bouman『Dry Bones in the Valley』が読みたかったのになくて、検索で出て来たこれを借りたという適当さ。

Margaret Mayhewの『Dry Bones (A Village Mystery)』、読みやすいコージー・ミステリ。Village Mysteryシリーズは退役軍人でColonel(大佐)と呼ばれているヒューが、奥さんに先立たれてから移り住んだ田舎で出くわす事件を描いているようだ。

この『Dry Bones』では、フロッグス・エンドという村でコテージに住み、ガーデニングを始め、居ついた野良ネコのサーズディ(=木曜日)と平和に暮らす大佐が、手紙を受けとる。

亡き妻の友人コーネリアは金融界の大物と結婚して裕福な生活をしている。田舎に大きな地所を買って大改造中。ところが困ったことがおきた。夫は海外出張で相談できない、お願いだから屋敷に来てほしい。というのだ。

信頼できて口が堅く、判断力がある大佐、いろんな人から頼られるタイプ。公明正大でもある。なのでコーネリアの敷地内で改装されている大きな納屋の床に埋まっていたものを見て即座に、

「これは隠匿できるものではない。警察を呼ぶべきだよ」と告げる。

事態は殺人事件の捜査に発展するのにまだ、「息子の18歳の誕生日に大がかりなパーティを企画しているんだから、それまでに納屋が完成しないと困る」という心配しかしないコーネリア。担当の刑事さんはあと8か月で定年退職、その後に育てたいアヤメ品種のことで頭がいっぱい。

何となく気になる大佐は村人に会って話を聞き、しだいに事件の真相に近づいていく。

のどかで風光明媚なイギリスの田舎、生まれてからずっとそこに住み続ける人もまだいるが、人の出入りもある。新参者が来て(コーネリアのように)古い建物をモダンに改築してしまったり、昔からの店を同性カップルが引き継いだり、21世紀の変化は訪れる。

変らないのが田舎のゴシップ。誰かが電車でロンドンへ行った、なんてことが即座にみんなに知れ渡ってしまう。大佐は「地元のKGB」なんて呼んでいる。けっこう怖い。

事件の被害者が判明してからは、アヤシイと思われる人がわんさか出てくることになる。被害者の素行が悪かったため、同情もされないのは気の毒。

田舎の魅力と恐ろしさを軽めに書いて、そこまで深刻にならないところがコージー・ミステリだ。お茶やお菓子も美味しそうだし。

でもやはり、素行が悪くなってしまった被害者にも理由があるので、みんな冷たい、とも思う。大佐はできる限りのことをして、好感の持てる人物だ。最後は、長い間家を空けていたためにニャンコが家出してしまったと連絡があり、すっとんで帰ったのがまた彼らしい。

たぶんこのシリーズはもう読まないかもしれないが、休日にぼーっと読めて楽だった。ロシア語もこのくらい楽に読めるようになりたいが、あと何年かかるのやら。

明日からまた仕事だ。

 

 

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ワークショップ『From Silver to Ink and Chalk』

JUGEMテーマ:アート・デザイン

ポートレート・ギャラリーの、展覧会にちなんだワークショップは、オールドマスターが使った画材を体験してみるというもの。

1.シルバーポイント、2.インク、3.チョーク

2日のうち初日で3つの画材を紹介、翌日はモデルに座ってもらって自分が選んだ画材でポートレートを描く予定だったが、1日目にシルバーポイントや展覧会場訪問などで時間をとられ、インクは2日目の朝に移った。

1.シルバーポイント(銀筆)はメタルポイントのひとつで、鉛筆の前身。細い銀の芯で、あらかじめ下塗りした紙に線描きする。(普通の紙の表面だとツルツルして描けない)

下塗りはグアッシュのZink Whiteを、A4の紙2枚分だと、カシューナッツ2個くらいの量を水で溶き、それにGum arabic (アラビアゴム)を小さじ半分ほどを加える。さらに好みで顔料を加えて色をつける。液のとろみは「シングルクリーム」(だいたいコーヒー用クリームくらいかな)ほど。グアッシュを塗る前に、紙の裏側に刷毛でまんべんなく水を塗っておくと紙がそらない。

お手本を見て線描き。

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グレーの細い線が引ける。消せない、こすってぼかせない、厳密な画材だ。グレーだけだと弱いので、ホワイト(これもグアッシュで、Permanent whiteを使う)でハイライト。本当は細〜い筆でハッチングするべき。肩凝った。

2のチョークは、パステルやコンテに近いので使いやすい。

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これもお手本のコピー。赤と黒の2色を使う。

3のインクは面白くて、白鳥からひっこ抜いた(ちゃんと処理済みです)羽根のペン先を自分で削った。

写真に撮るひまがなく、画材はすべて返却しなくてはならなかったので絵がなくてすみませんが、カッターナイフでペン先のように削り、最後に溝もつけた。金属よりもずっと柔軟で、筆圧で強弱がつけられ、楽しい画材。

Oak gall inkという、樫の木が寄生虫のせいでコブになった部分が材料の古いインクを試したりした。一見緑色で、乾くと濃紺になる。不思議。これがインクになると発見した人がすごい。

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でも発色や使いやすさは、現代のWinsor & Newtonのカラーインクに軍配があがる。

午後からモデルさんが2人座って、5人でひとりを描くという贅沢なセッションだった。画材はどれを使うか迷ったが、チョークやインクはまだ慣れているということで、初めて使って珍しいシルバーポイントにする。時間が余ったらインク、と思ったが、予想通り余らなかった。

自分で下塗りした紙を用意し、硬い感触のシャープペンシル状のペンで描いていく。

あまり繊細で自分が描いた線が見にくい。

「見えなーい」と騒いでいたら、先生が自分用の芯が太めのペンを貸してくれた(笑)。0.9mmくらいかな。0.5mmだと弱い気がする。

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モデルは名前エリーさんだっけ。この絵より若い。10年くらい歳とらせてしまったわ。

下地は実物はもっと緑に近い。Terre verteを単色で使った。他の人は前日のバーント・シエナ系の暖色にしていた様子。

「クール!」と下地が誉められた、はは。

シルバーポイントは薄くてなかなか濃くならず、線を重ね、クロスハッチングで密にしていく。それにハイライトを効かせる。硬い鉛筆みたいな感触。

ただ、この線は数か月たつとだんだん茶色く変色していくそうだ。楽しみ。

鉛筆がいかに使いやすい発明品であるか、身に沁みました。

「ウォーミングアップ」として鉛筆で描いた20分ほどのスケッチ:

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こっちのほうが似ています。やっぱりね。

最後に皆で見せっこして楽しかったが、どんな画材を試そうとも、その人のスタイルは変わらないものだということが確認された。当然だが、シルバーポイントを持ったからっていきなりデューラーみたいな線にはならないのである。

こんなに不自由な画材で傑作を描いていたマスターたちに尊敬の念が増したのは、いうまでもありません。

 

 

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ポートレート・ギャラリー、オールドマスターのデッサン展

JUGEMテーマ:アート・デザイン

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Woman Wearing a White Headdress(部分), Hans Holbein, c 1532-43.

ナショナル・ポートレート・ギャラリーでオールドマスターのデッサン展が開催中で、週末はそれにちなんだワークショップに参加した。まずは展覧会。

The Encounter -- Drawing from Leonardo to Rembrandt

レオナルドからレンブラント、とあるけど2人の作は各1つだった。ホルベインが豊富。

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Sir John Godsalve, Hans Holbein the Younger,  c.1532-4

チョークや色の顔料、インクなどを使って重厚に仕上げている。

いずれも今の鉛筆やチューブ入りの絵具など便利な道具や画材の発明前。古い手法で描かれている。

一番上の美女も、チョークで薄めに描きながら、目や輪郭線などにインクを使っている。あまりに正確なので、カメラ・オブスクラか何かの光学機械を使っているか、一度デッサンしたものを転写しているのか、と考えられるそう。

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Study of a Male Nude(部分)、Leonardo da Vinci, c1504-06

ダヴィンチは赤い紙に赤いチョークを使い、輪郭はインクで締めている。

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Self-portrait by Unknown Dutch or Flemish Artist, c.1625-35

羽ペンを使ってインクで描かれたもの。部分的に薄めたインクで陰もいれている。(先生の説明)

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A Sheet of Figure Studies, Rembrandt Harmenszoon van Rijn, c.1636

レンブラントの何気ないスケッチ。味がある。

鉛筆の前身ともいえる、芯が金属のメタルポイントというのを習ったが、実に繊細な線が出る。

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Henry Parker, 10th Baron Morley, Albrecht Dürer, 1523

Leadpoint on prepared paper. ということでこれは鉛の芯。ワークショップでは銀のシルバーポイントを体験して面白かった〜。

しかしこれ、訂正がほぼできない。習ってみてわかる、オールドマスターの凄さ。

ワークショップのチケットには、この展覧会に2日間何度でも入れるパスつき。レッスンの前後や昼休みに行っては眺めた。デッサンは光に弱いので照明を落とし、あまり公開されることのない作品も含めて大事に展示されていた。

実習は、あまりうまく描けなかったけど、そのうちアップします。

 

 

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「終わりよければ全てよし」@Cambridge Shakespeare Festival

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ケンブリッジ大学の庭で上演されるケンブリッジ・シェイクスピア・フェスティヴァル、

Cambridge Shakespeare Festival

当然ながら屋根がなく、天気が悪いとあまり楽しくないので、行かない年もある。今年はダウニング・カレッジでの『All’s Well That Ends Well』(終わりよければ全てよし)を鑑賞。

昔、本で読んだだけ、上演を見るのは初めて。

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Director: David Personae

<Cast>

Bertram -- James Eken

Countess -- Kaitlin Howard

Helena -- Kay Dent

Parolles -- Lawrence Watling

Diana -- Jasmine Horn

最近父を亡くしてロシリオン伯爵の地位をついだ若いバートラム、フランス王に仕えるためにパリに赴く。彼のことをずっと好きなのが、孤児で伯爵家の世話になっているヘレナ。でも身分も違うし、と諦めている。ヘレナの亡き父親は医者、優しく賢い娘だ。

上の公式写真の人と違う配役はケイ・デント。

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そんなヘレナが気に入っているロシリオン伯爵夫人=つまりバートラムのお母さんは、息子が彼女と結婚することに賛成して励ます。勇気づけられたヘレナ、自分もパリへ行き、体調の悪い王様の治療を申し出る。父に教わった療法で見事王の病気が完治。「何でも望むことをかなえてやろう」という約束だったため堂々と、

「ロシリオン伯爵バートラムさんと結婚したいです!」と答える。外堀を埋めた

当のバートラムは子供のころから知っている貧乏なヘレナに異性としての興味なし。王の命令で結婚させられるも、初夜前にとっとと逃亡。

そんなことでは諦めないヘレナ、巡礼の仕度をして後を追う。イタリアでダイアナという娘と知り合うと、偶然にも彼女はバートラムに言い寄られているという。そこで彼女と協力。ダイアナに、彼にとうとうなびいたふりをしてもらった。

「じゃあ今夜、来てくださっていいわ。でも口きかないで、明かりもつけないでね♡」

喜んで“ダイアナの寝室”に忍んでいったバートラム…実はそこにいたのは…ワナだ。逃げたほうが――もちろんまんまと引っかかる。

そして数ヶ月後、ダイアナと結婚しようとするバートラムの目の前に妊娠した妻へレナが現れる。ダイアナにあげたはずの指輪をヘレナが持っているのも知って、観念した(笑)彼は本来の妻の元にもどるのだった。

これに、バートラムのいいかげんでほらふきな従者ペーローレスが懲らしめられるエピソードも混じって、全編笑える話ではあるが、バートラムから見ると愛のない相手と結婚させられるわけで、子供ができたと聞いてちょっと情はわいたようだけど、行く末が心配である。「終わりよければすべてよし」って、まだ終わりじゃないだろう、と思った。

17世紀当時はみんな納得していたのかな。母がいいという相手と結婚しろってこと?

とはいえ屋外上演は楽しい。たまに俳優がお客さんのピクニックの食べ物を失敬したりするのもお約束。バートラム母=伯爵夫人なんか赤ワインのボトルを奪ってラッパ飲み、「これいいワインだわ」と言って返していた。彼女の演技はとても良かったが。ほら吹きのペーローレスもうまくて笑えた。ヘレナは、純情そうなわりに腹黒い手を使って男を追い詰める、にしては大人しい感じがしたかな。そこが怖いってことか。

とりあえず教訓は「ベッドでは顔くらい確認しろ」ということで良いでしょうかね・・・。

フェスティヴァルは8月前半まで開催中、天気にもよるけど、もうひとつくらい観たい。

 

 

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ロシア語講座の覚え書き

JUGEMテーマ:趣味

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ロシア語講座ではもちろん新しい単語や言い回し、文法の覚え方など学んだが、トリビアもけっこう仕入れた。

たとえば上の写真の冬宮の広場に立っている天使の載った柱、これ、地面に固定されてないんだそうです。置かれたまま自分の重さで立っているだけ!革命や戦争があっても倒れることなく…まじですか。

初日の金曜、夕方集まってディナーの後にイントロとしての気軽なクイズも面白かった。

Q:モスクワの前にロシアの首都だった都市を3つあげよ。

A:キエフ、ウラジーミル、ノヴゴロド。

Q:モスクワは何度占領されたか?

A:2回。19世紀のナポレオン(例の、火事の)と、16世紀のクリミア・タタールにより。

Q:サンクトペテルブルクは誰の名を冠したものか。

A:聖ペテロ。これはひっかけ問題。ピョートル大帝ではないのです。同じピーターですけどね。

Q:サンクトペテルブルクで建設に40年かかった寺院は?

A:聖イサアク大聖堂(Исаакиевский собор)

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ここね。

単なるクイズのようだけど、ロシア人は知っているので、知識として入れておいたほうが良い。

面白かったのは3日目の文学者クイズ。これはヴェラ先生が答えるもので、生徒がランダムに作家や詩人の名をあげると、どっちの街に属するか(住んだとか作品の舞台にしたとか)先生が即答する。

ペテルブルク:ゴーゴリ、ナボコフ、ドストエフスキー。

トルストイはちょっと離れたヤースナヤ・ポリャーナの地所にいたのでどちらでもなし。

イサーク・バーベリ(Бабель, Исаак Эммануилович)はオデッサ。というかこの人を知らなかった。読まねば。

モスクワ:チェーホフ(他の土地にも住んだけど)、レールモントフ(同上)。

19世紀のロシア文学がすごくて、その当時首都だったのがペテルブルクなので、だいたいの傾向はわかる。逆にモスクワが首都に返り咲いてからは、こちらで活躍する作家が多くなる。特に重要なのはブルガーコフ。「巨匠とマルガリータ」の舞台をめぐるツアーもあるそう。

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わたし「テレビドラマで見ました―!」

ステファニー「英訳で読んでロシア語はまだ途中です」

全体的に自分がテレビからかなりの情報を仕入れていると自覚した(笑)。映像があると助かるじゃないですか。

でも文学の良さはやはり文章でないとわからない。ので今読んでおります、「巨匠と〜」。

作中に出てくる悪魔?のヴォランド(この上の写真の真ん中の紳士)が、ヴェラ先生によると「本当はもっと若くてイケメン」だから、というのもある。脳内ではマイケル・ファスベンダー(10年くらい前、ポアロに出ていた頃の)にやってもらうことにした。

今10%。いったいいつまでかかるのやら。でもロシア現代作家ならたぶん必ず読んでいる作品は、頭に入れておかないといけません。

これからやることがさらに増える結果となった講座で、つまり内容がよくて触発されたということでしょう。来年も参加できれば、と思う。

↓ 現代モスクワのビジネスセンター。

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『Alone in Berlin』

JUGEMテーマ:映画

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実話を元にハンス・ファラダ(「 Nightmare in Berlin 」の作者)が書いた遺作、1947年の『Jeder stirbt für sich allein』(ベルリンに一人死す)が今世紀になって英訳され、映画化されたもの。ドイツ語圏では数回ドラマなどになっている。邦題は「ヒトラーへの285枚の葉書」だそう。

『Alone in Berlin』 2016

Directed by Vincent Pérez

Emma Thompson -- Anna Quangel
Brendan Gleeson -- Otto Quangel
Daniel Brühl -- Escherich
Mikael Persbrandt -- SS Officer Prall
Katharina Schüttler -- Claire Gehrich
Louis Hofmann -- Hans Quangel

オットーとアンナはベルリンに住むごく普通の庶民。まだ21歳の一人息子が戦死したとき、ヒトラーのやり方に疑問を抱くようになる。絵葉書にメッセージを書いてこっそり配るという小さな抗議行動を始める。

「わたしの息子はヒトラーに殺された。あなたの息子もそうなるだろう」というようなシンプルな言葉から始め、コツコツと書いてはアパートの階段に置くなどしたカードの数は2年間で300枚近く。

そのほとんどはゲシュタボに渡される。事件を捜査するのがエッシェリヒ。ナチス党員ではなく、警察としてプロ意識のある捜査官だ。

ちゃんと順を追って仕事しているのに「早く捕まえろ」とナチにぶん殴られたりする。ひどい。

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(相変わらず可愛いダニエル・ブリュール)

ハガキの発見場所を地図に記録し、電車のどの線を使っているか割り出し、文言の特徴から人物像を特定していく。

個人が始めた地味な抗議活動、組織があるわけでもなく、やはりいつかは捕まりますね。

しかし報告されなかったハガキ(わずか18枚)以外、メッセージをすべて読んだのがエッシェリヒだったことになる。

当時の状況では当然、夫婦に明るい未来はないけど、息子を失い、その後いっしょに抵抗運動をすることで絆が強まった二人の静かな愛情がきれいだ。

周りがどうだろうと「やっぱりおかしい」と思って、さらに行動する、これは簡単なことではない。工場で働くオットーと、ナチスの婦人会に入っていたアンナの”目が覚めた”ことが尊いと思った。主役二人のトーン低め、地味な演技がすばらしい。

実際の夫婦はOtto HampelとElise Hampel、亡くなったのは息子でなくエリーゼの兄(か弟)だったとのこと。ベルリンの二人の住まい跡には記念のプレートが貼ってある。

原作はそのうち読みたいが、気力のあるときにしよう。

日本版のサイトはここ。東京ではもう公開してますね。

トレイラー:

 

 

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