ロイヤル・バレエ『Dances at a Gathering』、『The Cellist』@映画館

JUGEMテーマ:エンターテイメント

090320-2

新型コロナウイルスが他の国よりは遅れて入ってきたイギリスも、じわじわ数を伸ばしている。職場ではそろそろテレワークの準備中。まだマスクを着けている人はたまにしかいません。「防御効果があまりないなら着けない」という人がほとんど。手洗いを徹底してます。

スーパーで売り切れているのは除菌ジェルと、なぜかパスタ(トイレットペーパーはたくさんある)。保存の効く主食だからですよね。まさか(イタリア人がいなくなっちゃう――そうだパスタ買おう)と考えたわけではないよね。イタリアは1000人以上犠牲になり、とても心配。

そんなわけで劇場などにも足が向かなくなるが、こんな事態の前、つい先週映画館で観てきたのがロイヤル・バレエのダブルビル『Dances at a Gathering』と『The Cellist』。

『Dances at a Gathering』(上の写真)

<Creatives>

Dances at a Gathering

Choreography -- Jerome Robbins

Music -- Fryderyk Chopin

Costume designer -- Joe Eula

<Cast>

PINK -- MARIANELA NUÑEZ
MAUVE -- FRANCESCA HAYWARD
APRICOT -- YASMINE NAGHDI
GREEN -- LAURA MORERA
BLUE -- FUMI KANEKO
BROWN -- ALEXANDER CAMPBELL
PURPLE -- FEDERICO BONELLI
GREEN -- WILLIAM BRACEWELL
BRICK -- LUCA ACRI
BLUE -- VALENTINO ZUCCHETTI

「ウエスト・サイド・ストーリー」(1957年)を振付けたことで有名なアメリカのダンサー・振付家のジェローム・ロビンズが1969年、ニューヨークシティ・バレエのために作った作品。

どこなのかはっきりしない場所(海辺かな、と感じる)にコスチュームの色の違うダンサーたちが三々五々つどってソロやパ・ド・ドゥまたはトロワ、群舞を見せる。ショパンのピアノの小曲を使って、優雅で若く可愛いらしいダンスを連ねる。コスチュームの色によりキャラクターがあって、人間だから人間関係も表現されるけれど、あくまでもサラッとしていて重くない。失恋続きの女性(グリーン)もいたり、でもそんなに落ち込まない。もっとドロドロに深くも掘れるけどそこまで行かずにしれっと戻っているのが、アメリカ的上品、という感じがした。本当にうっとりする天衣無縫の舞いが65分間、次々に展開して楽しい。

みんなすばらしいが、やはりマリアネラ・ヌニェスとフェデリコ・ボネッリのペアは別格だったかな。

休憩をはさんで後半はこれも65分間の、でもがらりと雰囲気の違う、悲劇の女性チェリストの伝記的バレエ。

090320-1

『The Cellist』

<Creatives>
Choreography -- Cathy Marston
Scenario -- Cathy Marston and Edward Kemp
Music -- Philip Feeney
Set designer -- Hildegard Bechtler
Costume designer -- Bregje van Balen

<Cast>

THE CELLIST -- LAUREN CUTHBERTSON
HER MOTHER -- KRISTEN MCNALLY
HER FATHER -- THOMAS WHITEHEAD
HER SISTER -- ANNA ROSE O’SULLIVAN
HER CELLO TEACHERS -- GARY AVIS,  NICOL EDMONDS, BENJAMIN ELLA
HER MUSICAL FRIENDS -- LUCA ACRI, PAUL KAY, JOSEPH SISSENS
THE INSTRUMENT -- MARCELINO SAMBÉ
THE CONDUCTOR -- MATTHEW BALL

ヒロインは「チェリスト」としか書かれていないが、夭折した天才演奏家ジャクリーヌ・デュ・プレ(1945 - 1987)のことでしょう。幼いころチェロに興味を持って最初は母に手ほどきを受けるが、あっという間に母の教えられるレベルを超え、若くしてデビュ―。音楽界に衝撃を与え、聴衆に愛され、これも天才のピアニスト/指揮者のダニエル・バレンボイムと結婚して演奏活動を続けるも、キャリアの頂点の二十代後半で多発性硬化症を発症、手が動かせずチェロを弾けなくなり、42歳で死去するという嵐のような生涯だ。

女性振付家キャシー・マーストンの野心的新作。

面白いのはチェロを人間が踊ること。始めは片腕をぴんと張って上に上げ、握りこぶしを手首で曲げて「チェロのまねー」みたいな恰好でちょっと可笑しいが、チェリストが楽器を弾き出すと、自由に動き回って音楽の精を表現するよう。チェリストとその夫「指揮者」とのパ・ド・トロワはなんだか三角関係のようにさえ見える。チェロもまた、演奏家を深く愛しているのだ。だって名手に音を出してもらうの、きっと気持ち良いよね。そして触れてもらえなくなったら悲しいだろう。

音楽への愛、音楽しかない自分、でも演奏できなくなっていく恐怖と絶望を、しばらく見ないうちにベテランになったカスバートソンが切実に踊った。見ていて辛いが、デュ・プレといえばこの曲といえるエルガーのチェロ協奏曲など音楽も美しく、堪能した。

素人の感覚だけで言うと踊りとしては最初のロビンスのが美しい。何度でも見たい。でも「チェリスト」は実在の人間という重みが作品に奥行きを与えている、と感じた。こっちは一度見たらしばらく忘れられない。

問題の(?)パ・ド・トロワ:

 

 

.

| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(4) | - |
Stage Russia 「SMILE UPON US, LORD」

JUGEMテーマ:エンターテイメント

231219-1

今年も終わりに近づき、書き忘れているものを拾っていくことにする。もういつ見たかわからないくらい前のStage Russiaの鑑賞、会場はプーシキンハウスではなくケンブリッジの映画館、だった気がする。

モスクワ、ワフタンゴフ劇場の「SMILE UPON US, LORD」(Улыбнись нам, Господи、我らに微笑んでください、神よ)の録画。リトアニアの演出家リマス・トゥミナスによる、同朋の作家グリゴーリー・カノーヴィチ(Григорий Канович、Grigorijus Kanovičius、1929〜)、1989年の作品の舞台化。プレミアは2014年のようだ。カノーヴィチはユダヤ人作家の重鎮だそう。原題は『Nusišypsok mums, Viešpatie』で、これともう1作をひとつの作品に仕上げているとのこと。
Инсценировка и постановка -- Римас Туминас
Сценография -- Адомас Яцовскис
Костюмы -- Александра Яцовските
Музыка -- Фаустас Латенас
<Cast>
Эфраим Дудак -- Владимир Симонов
Авнер Розенталь -- Виктор Сухоруков

Шмуле-Сендер Лазарек -- Алексей Гуськов
Козочка -- Юлия Рутберг
«Палестинец» -- Павел Попов
Юдл Крапивников -- Александр Рыщенков
Рабби Авиэзер -- Алексей Кузнецов
Хлойне-Генех -- Виктор Добронравов

田舎町で暮らすエフライムの元に悪いニュースが届いた。家を出て都会で暮らす息子が犯罪に巻き込まれた。というか容疑者だという。首都の市長を襲撃したらしい?!

子の一大事というわけで、遠く離れたヴィリニュスまで行く決意をする。友達2人もついて来てくれる。一番上の写真は、家具を重ねたみたいだけど、大荷物をいろいろ積んだ馬車を表している。よぼよぼな馬も無機物で表現されている。

不思議な造形な舞台に、まるでベケットの不条理劇「ゴドーを待ちながら」みたいな話が展開する。ゴド―と違ってこっちは移動しているが、いつまでたっても行きつかない。旅は辛いし人生も辛い。なんで我々にばかり悪いことが起こるのか、とグチグチ、愚痴が多い。

とはいえ、20世紀の前半にロシア・東欧に暮らしたユダヤ人の苦労は、どんなに想像しても実感できないだろう。愚痴も言いたくなるのだろう、とは理解できる。

「あのさあ、神様(=天にまします父)って本当の親じゃないんじゃない?」なんて冗談も飛び出すほどだ。継父だから冷たいってか?やばいんじゃない、そんなこと言っちゃ。

でも別の場面では、「子供なんか、大人になったら親を見向きもしない」という嘆きもあり、それはちょうど人と神の関係でもあるんじゃないの、とつっこみたくなる。

全体にブラックなユーモアがあって、愚痴っぽいんだけど面白い。可愛い。こんな登場人(?)物も:

231219-2

首に縄つけられていますが、心配しなくていいです、これ、「山羊」さんですから。友達のひとり(シュムーレだっけ)の飼っている子。ヤギだけど踊ったりする。笑えた。「たぶんわたしの役が一番陽気」と女優さんが言っていた。

途中で出会う人、別れる人、奇妙な旅が続く。ユダヤ人でなくても人生はいろいろある。不条理劇っぽく見せてくれることで、共感できる部分が少しできた気がする。ワフタンゴフ劇場はやはり実力あります。

ニュースの動画。この中ではセルゲイ・マコベツキーも出てますが、今回見たのはウラジーミル・シモーノフ版(「ワーニャ伯父さん」の教授):

 

 

.

 

 

 

 

 

| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(4) | - |
バレエ「カラマーゾフの兄弟」

JUGEMテーマ:エンターテイメント

141219-1

かれこれ2か月前にロンドンのプーシキンハウスで見た、Stage Russiaによる舞台録画の上映。「THE BROTHERS KARAMAZOV」、サンクトペテルブルクのEifman Ballet のパフォーマンス。

<Creative Team>
Choreographer, director and producer – Boris Eifman
Sets and costumes – Vyacheslav Okunev

<Cast>
Alexey Karamazov – Dmitry Fisher
Ivan Karamazov – Sergey Volobuev
Dmitry Karamazov – Oleg Gabyshev
Grushenka – Maria Abashova
Fyodor Pavlovich Karamazov – Igor Polyakov
 and the dancers of Eifman Ballet of St. Petersburg

原作はもちろんドストエフスキーの長編。犯罪小説としても読めるが、テーマは宗教や哲学、家庭問題から恋愛まで多岐にわたる。昔、一度読んだけど理解したと思えず、その後ときどき読み返しても同じところをとばす(誰かが延々何ページもしゃべっているところとかw)ので、いつまでも全貌をつかんだ気がしない。

これを2時間以内のバレエにするのだから、かなりテーマをしぼり、枝葉は切ってある。重点は親子の確執と…人間の苦悩とその救済かな。

上映前にちょっとびっくりしたのは、レイフ・ファインズが来てちょこっと挨拶して行ったことだ。あなたがなぜここに?プログラムにも書いてなかったし。なんでもボリス・エイフマン氏と友達らしい。彼のモダンな舞踏が大好きだそう。プーシキンハウスに出現することもあるのか。ちょっと得したかも。

さてテーマを絞った舞台、まずは父親フョードル・カラマーゾフの金に飽かせた放蕩・傍若無人ぶりが描かれる、同じ女性(グルーシェンカ)を長男ドミートリイと取り合って、対立。

141219-2

真ん中がフョードル、超元気。フェッテでぐるぐる回転していた。

次男イヴァンと三男アレクセイはドミートリイと母親が違うためか、気質も(たぶん知能も)違う。イヴァンはインテリで無神論に傾いている。一方アレクセイは修道士の修業中、家庭不和に心を痛めている。

その困った父・フョードルが殺された。激しく対立していた長男ドミートリイが疑われ、逮捕される。

ご存じのとおり、真犯人は彼ではなく「もうひとりの息子」なのだが、バレエではその人物が活躍せず、注意して見ていないと見逃してしまう程度。原作を知らなければ(ドミートリイ有罪でいいんだよね)、と思ってしまう気がする。しかしロシアならみんな知っているので大丈夫なんだろう。(イギリスでは、後のQ&Aで、原作読んでないから話がさっぱりわからなかった、と文句言っていた人はいた)

後半は監獄とシベリア送りがメイン、人間の苦しみの象徴としての巨大で冷たい監獄のシーンが迫力あった。

141219-4

僧衣姿でよく踊れるな、アリョーシャ。ちょっとオーランド・ブルーム顔で、きれいなダンサーだ。

最後は宗教?というよりやっぱり「愛」が人間を救う可能性はある、ということを示唆。そのため明るさがある。

踊りがすばらしいです。クラシックを基礎としながら自由、アクロバティックな動きも見せ、スピーディでエネルギーがあって、どんどん進むので、見ていて脳の処理が追いつかない。舞台か同じ録画をもう一度か二度、見ないと。

印象深かったのは、イヴァンとアレクセイが死んだ母を偲ぶシーン。清らかな白い衣装の若い女性の姿、優しいお母さんだったことがわかる。なんでフョードルなんかと結婚しちゃったんだろう。

グルーシェンカは獰猛だった。

141219-3

Q&Aタイムで、解説のゴールドスミス大学のマリア・シェフツォワ教授がこのグルーシェンカを「ドミナトリックス・タイプ」なんて言っていた。ははは、確かに鞭が似合いそう。

上映後に話す時間があるのは、他の人がどう思ったかも知ることができて面白い。先ほどの「話がわからない」という観客の発言に対してマリア先生は、ちょっと概略を説明すると共に、「知らないものを見るときは、ストーリーは気にせずにそのまま鑑賞するといい」と言っていた。わたしもそう思うけど、この作品は特に複雑だから、知識ゼロだと厳しいかなとも感じる。

先生、「真犯人はスメルジャコフ」とネタバレしていた。あわわ、と言いながら自分でもここで書いている。みんな知ってるよね。ひねくれた彼のキャラがけっこう好きなのだが、バレエでは軽い扱いだった。

再来年くらいにペテルブルクで舞台を見たいなー。

Stage Russiaの短いトレイラー:

 

 

.

 

 

 

| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(14) | - |
ミュージカル「オルロフ伯爵」@プーシキンハウス

JUGEMテーマ:エンターテイメント

091119-1

ロンドンのプーシキンハウスで、モスクワ・オペレッタ劇場のミュージカル『Граф Орлов(オルロフ伯爵)』の録画を鑑賞。

<Creative Team>
Producers – Vladimir Tartakovskiy, Alexei Bolonin
Libretto – Yuliy Kim
Music – Roman Ignatyev
Director – Alina Chevik
Choreographer – Irina Korneeva

<Cast>
Count Orlov – Igor Balalaev
Elizabeth – Teona Dolnikova
Catherine II – Ekaterina Guseva
Prince Radziwill – Alexander Marakulin
Prince Golitsyn – Alexander Markelov
Domanski – Sergey Lee

18世紀ロシア、エカチェリーナ2世の時代。アレクセイ・オルロフ伯爵は、女帝が夫から政権を奪ったクーデターの中心人物だった。直後は褒章をあたえられ重用されたものの、最近はやや寵を失い、地中海地方にとどまっている。

そこへ、ピョートル大帝の孫娘だというエリザヴェータが現れる。その美貌でヨーロッパの宮廷・上流社会で人気の彼女、名前がいくつもあって正体不明。エカチェリーナに敵対する勢力は、彼女を正当な帝位継承者として利用し、女帝を追い出したい。

このエリザヴェータをとっ捕まえて帰って来い、とエカチェリーナから命令を受けたオルロフ、成功すれば再びロシアでの厚遇が得られるかも…と考える。ところがエリザヴェータさんに会ったとたんに本気で彼女に恋してしまい〜。という、史実にゆるく基づきながら、大分脚色した設定。

091119-2

2人の関係は純愛として描かれる。なので、彼らの間に立ちふさがるエカチェリーナ2世、という話になってしまう。だいたいピョートル大帝の孫って本当なのか、なぜ名前がたくさんあるのか、あまりつっこんだ説明もないので、信用できない女な気がしちゃうけど。ロシア人にとってはインチキ決定済みで、深く描く価値もないのかもしれません。ロシア史ってこういう人、よく出て来るのよね。実は死んだはずの〇〇は生きていた、とか得意。

091119-3

(「アンナ・カレーニナ」でアンナを歌ったエカチェリーナ・グーセワが貫録の女帝役)

エカチェリーナ2世も、元々はドイツの、そうランクが高くもない貴族令嬢。夫がダメすぎるのを見かねて王座から蹴落としたけど、ピョートルの孫なんて出てきたら、血統で勝てないわけです。不審人物の正体をあばきたい。「実はニセモノです、ごめんなさい」という言質をとりたい。周囲の使える人間を動かして、エリザヴェータを追い詰める。

「ピョートル大帝の孫を殺したくないわ」なんて歌っていた。怖っ。

政治面をもっとごたごたさせればスリリングになったと思うけど、それはせず、比較的単純な、恋愛物語のエンターテインメントに仕上がっていた。オルロフが若いエリザヴェータにころっと参ってしまうのが、「中年の危機」かもと思い、人生いろいろねえ、としんみりしないこともない。

相変わらずパワフルな踊りと力強い歌がすばらしい。一番上の写真は、ロシアの春のお祭り「マースレニツッア」の場面。18世紀の衣装も華麗。ただし邪魔なので、一部ミニスカートになっていたりした。

何も考えずにボーッと見ていられて楽しかった。

教訓は:「エカチェリーナ2世には勝てない」でしょうか。

次の「ステージ・ロシア」はバレエ版「カラマーゾフの兄弟」をやるそうです、おい本気か。エイフマン・バレエだから、期待できそう。

 

 

 

 

 

 

| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(5) | - |
サンクトペテルブルク・マールイ・ドラマ劇場 「三人姉妹」

JUGEMテーマ:エンターテイメント

020719-1

ケプレルは5作目まで読了。6作目に突入したところで、「まあ落着け」としばらくお預けにしている。その前にロンドンでの観劇の覚え書。しばらく前衛的な演出しか観ていないチェーホフの「三人姉妹」をわりとオーソドックスなサンクトペテルブルクのマールイ・ドラマ劇場版で。

『ТРИ СЕСТРЫ』Малый драматический театр

<Creative>
Director - Lev Dodin
Producer - Oliver King and Ekaterina Kashyntseva for Belka Productions

<Cast>
Olga - Irina Tychinina
Masha - Elizaveta Boyarskaya
Irina - Ekaterina Tarasova

Andrei Prosorov - Alexander Bikovsky
Natasha - Ekaterina Kleopina/Nadezda Nekrasova
Kuligin - Sergey Vlasov
Vershinin - Igor Chernevich
Tuzenbach - Oleg Ryazanzev
Soleni - Stanislav Nikolskiy

会場は座席がちょっと狭い、昔ながらのヴォードヴィル・シアター。3階席だと、舞台の前方ぎりぎりで演技されると身を乗り出さないといけない。皆で一斉に乗り出す。そういう臨場感もまた良し。

ヴロンスキーの視点で描いたテレビドラマ「アンナ・カレーニナ」でヒロインのアンナを演じたエリザヴェータ・ボヤルスカヤ(マーシャ役)を生で見たいというミーハー根性もあり。やっぱり美人だった〜。(上の写真で真ん中で手を取り合っているのがマーシャとヴェルシーニン中佐)両親とも俳優で、「七光り」と言われたりする彼女だけど、環境を活かすにも努力が要る。やっぱり実力あるんじゃないだろうか。

モスクワで育った教養ある三姉妹が父の赴任先の田舎になじめず、都会に帰りたいと思いながら父の死などの事情で果たせない。期待の兄(オリガには弟)は大学教授になれず俗物の妻と結婚してしまい、ギャンブルで家を抵当に入れちゃう。夢破れながら自分の置かれた場所で生きていく彼女たち。1900年頃、女性には不自由な時代だったからねー、とはいえ現代でもこのような状況はいくらでもある。

仕事しながら弟妹の面倒を見ているうちに自分の婚期が逃げていく長女とか(オリガ)、十代のころに教師の夫をとても賢いと思い込んで結婚してしまったが今では幻滅し、新たに赴任したモスクワから来た軍人に惚れてしまう次女とか(マーシャ)。相手のヴェルシーニンがそれほどイケメンな訳ではなく、娘と自殺未遂癖のある奥さんとの家庭に疲れて、くたびれた男なのが普通っぽくて、リアルに感じる。この恋もまた幻想だよ。

そして、働く意欲に満ちていたのに実際就職してみたら毎日つまらなくて心身が腐りそうでイライラ、「これじゃない」と悩む三女とか(イリーナ)。結婚に逃げようと思ったら相手が決闘で倒され、ちゃんと働こうと気を取り直す。

けっこうありがちな状況だから、今でも世界で何度も上演されるんだなー。わたしはこういう目に遭ってないが、それは誰のことも気遣わず、好き勝手しているから、というのもあるなあ。と一瞬反省した(?)

思うようにいかないのが人生、耐えられないと感じつつ、でも何とか生きていけるのが人間。もう3人とも、モスクワへ行けるとは思っていないだろう。軍隊は次の赴任地に出発してしまった。これからどうなるんだろう…というところで終わりとなる。

020719-2

色が抑えられて落着いた舞台。ロシア語のセリフがきれい。マリインスキー劇場の「白鳥の湖」を観たような、古典にひたって目の覚めるような満足感がありました。そのうちペテルブルクでも見たいものだ。

ロシアでプレミア当時のニュース。ロシア語オンリーだけど舞台の様子なども見られます:

 

 

.

| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(4) | - |
ハンブルク・バレエ『Illusionen - wie Schwanensee』

JUGEMテーマ:エンターテイメント

030619-2

ハンブルクはもしかしたら”吉方位”だったのかもw、帰ってから仕事が繁盛しすぎてめちゃ忙しい。

せっかく見たバレエを忘れないうちに…。

『Illusionen - wie Schwanensee』、邦題は直訳「幻想 ― 白鳥の湖のように」だそうです。初演は1976年。

Music: Peter I. Tchaikovsky
Choreography and Staging: John Neumeier
Choreography "Second Remembrance" after Lev Ivanov, reconstruction with the collaboration of Alexandra Danilova
Choreography of the Grand Pas de deux in the "Third Remembrance" after Marius Petipa and Lev Ivanov
Set and Costumes: Jürgen Rose
<Cast>

(23日)
The King -- Alexandr Trusch
The Man in the Shadow -- David Rodriguez
Count Alexander -- Matias Oberlin
Prince Leopold -- Karen Azatyan
The Queen Mother -- Patricia Friza
Princess Natalia -- Madoka Sugai 菅井円
Odette -- Xue Lin
Prince Siegfried -- Florian Pohl

(25日)

The King -- Christopher Evans
The Man in the Shadow -- Marc Jubete
Princess Natalia -- Hélène Bouchet
Count Alexander -- Jacopo Bellussi
Odette -- Anna Laudere
Prince Siegfried -- Dario Franconi

ただの「王」となっていますが、上の写真のようにノイシュヴァンシュタインみたいな城の完成予想模型などに執着している姿から、ああ、あの、芸術とお城の建設が好きで国を破産させそうになって最期は湖で疑惑の事故死しちゃったバイエルン王ルードウィヒ2世だな、と想像がつく。

精神を病んでしまって世間に出せなくなった王を一室に閉じ込めるシーンから始まるバレエ、閉じ込められている現実と、王の回想・幻想シーンが交互に出てくる。

第1幕の回想は、庶民のお祭りの風景から、貴族とのつき合いも描かれる。昔の服装や秋のような色合いがドイツらしい。庶民にも敬われている若い王だが、為政者としてやっていくのは辛いようだ。奇矯な行動も目につく。そしていつもこっそり来てひっそり近くにいる「影の男」をひどく怖れている王。こいつは誰なんだろう、もう一人の自分でしょうか。ジーキル・ハイド式の?

第2幕からはいよいよ「白鳥の湖」の世界に。劇場でバレエを鑑賞した王は、物語に入り込みすぎ、オデットさんが本気で好きになる勢い。舞台に乱入して自分がジークフリート王子の役を踊っちゃう。

030619-1

この舞台の下手には、「あの、それぼくの役…」と固まった王子がそのまま立ってます。可哀そう。

「白鳥〜」のときは古典的な振付で、普通のバレエ。4羽の小白鳥の踊りもあります。音と振付が完全にマッチし、やはりチャイコフスキーの音楽はこのために作られたのがわかる。その他のシーンもチャイコフスキーの音楽が使われているが、(ここで大きな動きがありそう)という部分がスルーされることも何度かあり、完全に合わせるのは難しいのだな、とも分かった。(ノイマイヤーの計算の上なのかも)

3幕では舞踏会、華やかなシーンに悪夢が侵入してきて、最後は王が「影の男」に捕獲されちゃいます。お気の毒に…それともやっと解放されたのかな。

ロシアで「白鳥〜」が初演されたのが1877年、ドイツでの初演は20世紀になってからだそう(Wikipedia情報ですが)。ルードウィヒ2世がこのバレエを見たことはないでしょう。フィクションなんだから問題なし。

自分は現実の王なのにフィクションのおとぎ話の中の王子になり代りたい、虚構の中に生きたいという、現実逃避で夢に生きていた彼の心の中をのぞくのは恐ろしいが美しいです。

1973年から芸術監督のジョン・ノイマイヤー、アメリカ人だけど、苗字からいってドイツ系? クラシックに基づきながら演劇性の高い演出。3階席から見ていると、舞台の人の配置も計算されているのがわかる。しかもメインの踊りが行われている後ろや袖の方でもいろんな動きがあり、気をつけて見ないといけない。最初は話を追うので精一杯、いろいろ見逃していたので、2回行ってよかった。

英仏やロシアとも違う、独自の世界を構築しています。他にも「ニジンスキー」や「ヴェニスに死す」など面白そうな作品がたくさん。あと3年勤めることが決まったとかで、彼がいるうちにまた行かなくては。

ドイツ語で解説されてます。「ノイマイヤー」って言ってるところはわかる(笑):

 

 

.

| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(10) | - |
オーストラリア・バレエの「スパルタクス」

JUGEMテーマ:エンターテイメント

180519-1

バレエ「スパルタクス」といえばボリショイの十八番、ユーリー・グリゴローヴィチ振付の版しか見たことがない。オーストラリア・バレエが踊るというので物珍しさから映画館へ。当然ながら全く違う演出でした。

『Spartacus』

Choreographer: Lucas Jervies
Music: Aram Khachaturian

<Dancers>

Spartacus: Kevin Jackson
Flavia: Robyn Hendricks
Crassus: Ty King-Wall
Tertulla: Amy Harris
Hermes: Jake Mangakahia

ローマの捕虜となり奴隷の身分に落ちたトラキアの王スパルタクスが反乱を指揮し、一時は大勢力となるも、結局はローマ軍に破れて死す、という、一部史実に基づいた物語。ソ連版だとストーリーなんかはしょって単純化、男性的で力強くスピード感ある舞踏を披露する。

オーストラリア版は、英語圏だからかな、ちゃんと納得できる話に仕上がっている。スパルタクスが奴隷になって妻フラヴィア(ロシアではフリーギア)と引き離され、親友ヘルメスと共に剣闘士としての訓練を受ける。元々当時の王だから腕は立ち、親友と共にすぐに上級剣闘士に昇格、しかしそのために、娯楽として競技場で友と闘わされ、殺すはめに…など、丁寧に描いている。スピード感が犠牲になるのは否めない。

ローマ執政官クラッススのヴィラの様子:

180519-2

1階でお客と共に楽しんで油断しているときに、こっそり反乱軍が2階を占領している。まさかの入浴シーン(笑)!ローマといえば風呂だよね。手前はいち早く妻を救出に来たスパルタクス。

敵役クラッススも家では良きパパで、小さい息子と戦いごっこをして「やられたー」と倒れるふりなどしている。可愛い。成敗しにくいじゃないか。

ロシア版では大軍へと膨れ上がった反乱軍が感じられるが、どうもオーストラリア版は少人数のゲリラっぽく、重要な最後のバトルも機動隊に素手で立ち向かうデモ隊くらいの迫力しかなくて、やや残念。ニュージーランドのラグビー選手が試合前にやる「ハカ」?みたいな踊りも見せるのは、さすがオセアニア。

古代ローマ兵に扮した男性ダンサーの群舞や猛スピードで舞台をすっ跳んで横断していくスパルタクスは見らなかったけど、別の作品と思えば面白い。

気に入ったのが、スパルタクスの奥さんがロシア版だとか弱く、ひたすらなよなよしているのに対し、オーストラリアの「フラヴィア」は、「触るんじゃないわよ!」と敵にけっこう気丈に反撃していたところ。そうそう、クラッススの奥さんも、ヴィラにゲリラ隊の侵入をゆるした夫を、「あんたがしっかりしてないから!」とボコっていた。女性強い!

反乱する側・される側、どちらにも言い分はあるという「スパルタクス」でした。

ちなみに知り合いのロシア人に話してみたら、

「へえー、見たいかも。昔の単純なスパルタクスにはもう、うんざりだよ」とのこと。ソ連時代から死ぬほど何度も観たのだろうw

女性の活躍するシーンを集めたトレイラー:

 

 

.

| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(2) | - |
『All About Eve』ナショナルシアター・ライブ@映画館

JUGEMテーマ:エンターテイメント

300419-1

日本の元号が変わったんですねーますますわからなくなりそう。

そしてイギリスのエリザベス女王は、まだまだ現役でがんばりそうです。

ロンドンに出る手間がはぶける映画館ライブで、ナショナル・シアターの『All About Eve』を、しかもライブでなく別の日のアンコール上映で見る。便利な世の中だ。

1950年の同名のアメリカ映画(邦題「イヴの総て」)を、ベルギー人演出家のイヴォ・ヴァン・ホーヴェが劇に仕立てた力作。

Director: Ivo van Hove
Writers: Mary Orr, Ivo van Hove (adaptation)    

Cast:
Lily James    ...    Eve Harrington
Gillian Anderson    ...    Margo Channing
Julian Ovenden    ...    Bill Sampson
Monica Dolan    ...    Karen Richards
Sheila Reid    ...    Birdie

マーゴは大女優としてキャリアの頂点を極め、だからこそ、これからは下り坂であると意識し、歳を重ねることを怖れている。

ある日、マーゴの芝居を全部見ているという大ファンの若い女性イヴを紹介され、身寄りがなくいじらしいイヴに親切心が出て、アシスタントとして雇う。せっせと働くイヴは、マーゴのすべてが好き、マーゴのようになりたい、マーゴのいる場所にいたい、持っているものを欲しい、マーゴの演じる「役」もほしい…エスカレートするというか、本性を現してくる。表面はあくまでけなげで熱心な付き人、しかし裏では使えそうな人間はなだめすかし、脅し、なんでもする。そして今まで舞台に穴を開けたことなどないマーゴにちょっとした「アクシデント」が…。

昔モノクロ映画をテレビで見た気がする。内容は忘れたが「こわ〜」という記憶がある。この舞台も怖かった。

今なら、なんたら性人格障害とか名前がつきそうなイヴを演じるリリー・ジェームズ、血も凍る熱演。手の込んだ陰謀をはりめぐらせながら、無意識でしているため自分でも気づかないよう、虚構の自分を自ら信じ込んでいるようで、複雑だ。

ジリアン・アンダーソンのマーゴも美しい。少し崩れさせすぎかとも思ったが、酔っぱらっている時間も長かったので妥当かも。マーゴはイヴの猛追にたじろぐが、裏でイヴの使っている手には思い至らない。自分はあまりそういう汚いことはしなかったのだろう、素直な人間だ。こういう人がやられちゃうのよね。

でもだからといってマーゴが負けたかというと、そうでもない。もうドロドロの世界から足洗ってせいせいしたようにさえ見える。

むしろスターの座をもぎ取ったイヴには早速「追う者」が現れる。さらに、女優達を支配しているショービジネスの大物のおっさんがいる。どんなにスターが輝こうと、利益はこのおっさんのものになる仕組み。これも怖い。

表舞台そのものは見せず、すべて楽屋・舞台裏で進行、時にハンドカメラが入ってバスルームやキッチンをスクリーンに映し出し、女優が鏡で見ている像も見せるという手法、21世紀に十分現実的に感じられる、スリリングな演出だった。

トレイラー:

 

 

.

| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(4) | - |
『Жёны』(妻たち)

JUGEMテーマ:趣味

090319-1

この週末はケンブリッジで活躍するアマチュアのロシア語劇を2つ見た。最初は、ロシア文豪の妻5人の夢の共演(?)、『Жёны』。詩人で劇作家のЕлена Исаеваの作品。

by Russian Amateur Dmitri Turchaninov Theatre in Cambridge

<登場人物>

Наталья Гончарова(プーシキンの妻ナタリア)

Анна Достоевская(ドストエフスキーの妻アンナ)

Софья Толстая(トルストイの妻ソフィア)

Ольга Книппер-Чехова(チェーホフの妻オリガ)

Елена Булгакова(ブルガーコフの妻エレーナ)

時代もまちまちだし、生前は会ったこともない5人が、図書室みたいな場所に招かれている。亡くなった夫とまた会える、と聞いて来たようだが、しばらく待たされ、そこに男が1人登場。実は会えるのは1人だけだと言う。妻として最も夫を愛していた人がその権利があるらしい。

「その権利ならわたしにある」と思うそれぞれが、夫との結婚生活、思い出を語る。が、「夫」たちがクセの強い作家ですから、そんなに平穏な生活ができた人はいない。紆余曲折あった。しかも話を聞いている他の4人が「再婚したくせに」とか(笑)、「あら、お手紙にはこんなこと書いてあったでしょう」と書簡集やら日記やらの抜粋を読みあげて反論したりする。

プーシキンの妻は社交界の花で、文学なんか全然分からず、ちょっと男関係軽はずみだったし。(お陰でプーシキンは決闘で命を落とすはめに)

ドストエフスキーの妻は夫のギャンブル依存症と貧乏に苦労。トルストイの妻が激しい性格で夫とケンカもしたことは有名だし。

チェーホフの妻は女優で(三人姉妹のマーシャを演じた人)、仕事があるから長期の別居婚。

ブルガーコフの妻エレーナはスターリン独裁体制で不遇な夫を支え、一番「同志的」つながりが強かったかもしれない。20世紀作家の妻、という印象。

面白いのは回想中の「夫」役はすべてさっきのおっさん一人が演じたこと。シャツを変えたり、帽子やらカバンやら小道具を使ったりしてささっと変化する。劇団員が足りなかったのでなく、元々「ひとりの男優が演じる」役だとのこと。

それぞれ性格の違う妻たちの特徴がよく出て、徹底的にリサーチした結婚生活の話も興味深くて、脚本がすごいと思う。

妻たちは自分が選ばれたくて舌戦もするが、「でも、この人は旦那さんの才能ではなく、本人自身に惚れていた、それが真の愛かも」と他の人を推薦に回ったりもする。さんざ苦労させられたことを思い出して自分はもう会う必要なし、と思ったのか??

作家とその妻の関係もいろいろですよね。同志的な妻より、文学なんか関係ない別の生物みたいな美女を求める人もいるだろうし、ミューズが必要な人、秘書が必要な人もいるだろう。派手なケンカもしながらどうも離れられないという結びつきの関係もあるだろうし。

「どう愛されたか」でなく「どう愛したか」という視点なのが良いです。

すでにモスクワとサンクトペテルブルクでプロの劇団が上演したそうだ。そのうち見てみたいな。今回の上演はアマチュアとしては質が高かったとはいえ、やはり演技の面では物足りない。プロならもっと丁々発止とやり合ってくれそう。ブルガーコフの妻役のマリア・ネチャーエワさんが一番堂々としていた。現代人に一番近いので演じやすいかもしれない。

会場はけっこう郊外の教会、写真を撮るのを忘れた。帰りは線路のような「バス専用道」を通るバスに乗ってみた。11時には誰もいない。プラットフォームがあるバス停。

110319-1

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(4) | - |
英露・コメディ・ナイト@プーシキンハウス

JUGEMテーマ:エンターテイメント

250219-1

春めいてきたというより、時々初夏の暖かさと日差しになる。すでに半袖やタンクトップの若いもんが出現。わたしは春コートに着替え。

そんな天気の良い今日、お散歩していたら、カラスに向かって「サンキュー、サンキュー!!」と大声でお礼を言っているご婦人に遭遇。こちらの視線に気づいたのか、彼女「あら、うるさくてごめんなさい。あのカラスさんがね、カーカー言って、今朝わたしがなくした鍵が道端に落ちているのを教えてくれたの。だからお礼を言っているの」とのことでした。「おばさん、そこに光ってるものあるよ!」と知らせたんですか、カラスさん、親切!

まだ四十九日も済まないのにロンドンのプーシキンハウスのコメディ・ナイトに行ってきた。

ANGLO-RUSSIAN COMEDY NIGHT

イギリス人のコメディアンで作家のViv Groskopさんと、ジャーナリストでプロデューサーになるのかな?ロシア人のAliona Muchinskayaさんが、イギリス人がロシアに住むのと、ロシア人がイギリスに住むのと、どっちが大変かを語り合うお笑いトークショー。

イギリス人のヴィヴ・グロスコップさんは、例の、『The Anna Karenina Fix』を書いた方ね。

まず会場に来ているお客のチェック。だいたいロシア人とイギリス人が半々、どちらでもない日本人やイタリア人がちょっと。あと、アイルランドの男性と、最近結婚したロシア人の奥さん、それがきっかけでロシア語を習い始めた姑さん(偉いね)が来ていた。アイルランド人の旦那さんは、

「で、あなたはロシア語習ってるの?」と聞かれて

「いいえ」と答え、

「やばいわよ、この結婚の未来は!」といじられていた。新婚さんにそんな不吉なことを言うのもあれなので、フォローのため、「わかった、そうしよう」だけロシア語で覚えればいい、とアドバイスされていたが(笑)。

イギリス人だが「先祖はロシア人かも」と勝手に思いこんでロシア語を勉強して留学もしたヴィヴさん、「グロスコップ」という苗字、ドイツっぽいけど実はイディッシュ語、結局ポーランド系ユダヤ人だったことが後になってわかったそう。彼女はロシア語の苦労が印象に残ったようだ。最初の授業が、英語ならハローで済むものが「ズドゥラーフストヴィチェ」だもんね、長いし面倒くさいよね。

一方仕事でロンドンに来て居ついてしまったアリオーナさんは、イギリス人の行動が面白いようだ。彼女がまず驚いたのが、パブかどこかの外の席で足元に大人しい犬を座らせていた紳士。急にワンちゃんが「ワン!」とほえた(英語だからワンじゃないが)。すると紳士は「I beg your pardon?」と聞いたそうだ。これで会場の半分強の人が笑う。「すみません今何とおっしゃいました?」というように上司にも使える言い回しですものね。

それからロンドンのオペラハウスで、超有名歌手が第一声を発しようとしたその時にゲホゲホ咳き込んだ客がいたけど、周囲の客がそちらを「ジーッ」と見ただけだったのも驚いたそう。ロシアだと「うるせー」と後ろの席から口ふさがれるのか?質問すればよかった。

それぞれどこに驚くかもお国柄、たぶん電車が遅れるのはロシア人には気にならないかも。

ヴィヴさんが「あのオリヴィエっていう、食べ物とも思えないサラダは何なの?」と苦情を言う。イギリス人にまずいもの認定される料理があるとは、どんだけ不味いんだ。でもアリオーナさんは、「あれはフランス人シェフが伝えた立派なサラダ、美味しいわ」と弁護。ちょっと食べてみたくなった。

結局「どっちが大変か」はわからずじまいですが、2人とも大変と言いながら楽しんでいる様子。もちろん2人の個人的印象でもあるけど、やはりかなり違った国民性の人たちだなあと思う。

おまけ:モスクワの地下鉄の注意。痛そう:

250219-2

 

 

.

 

 

 

| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(4) | - |
/ 1/19PAGES / >>