ENB「ジゼル」

JUGEMテーマ:エンターテイメント

290917-1

去年秋のイングリッシュ・ナショナル・バレエ、アクラム・カーンの「ジゼル」、見終えてすぐに予約しておいた今年のパフォーマンスに行ってきた。

Akram Kharn's Giselle
Direction and Choreography - Akram Khan

Music, after the original score by Adolphe Adam - Vincenzo Lamagna

<Cast>

Giselle - Erina Takahashi

Albrecht - Isaac Hernandez

Hilarion - Oscar Chacon

Myrtha - Atina Quagebeur

ほとんど1年前の予約、配役なんて知らなかったのですが、偶然去年とほとんど同じだった。主役ジゼルがコジョカルから高橋絵里奈さんに替わっただけで、アルブレヒトもヒラリオンも同じ人。欲をいえばセザール・コラレスのヒラリオンが見たかったけど、皆すばらしく、不満はありません。

ロマンチックな原作を身分制度厳しいインドに移し、ビンボーな工場労働者とブルジョアの話に置き換えた。無駄な飾りもなく、生な感情が描きだされる。

去年はただただ驚いて呆然と見守った斬新かつ、象徴的なのに妙にリアルなジゼル、今回は落ち着いて、細かいところにも注意して見られた、と思う。

ジゼルが殺されたのもわかったし、問い詰められたアルブレヒトが開き直って抵抗し、「生まれが違うのがなんだ、人間の価値は同じはずだ」と主張さえしている様子なのが感じられた。ちょっと遊んだだけじゃない、本気でジゼルが好きだったんですね。だから彼は属していたクラスから排除されてしまうんだけど。

290917-2

(このジゼルが高橋さんに入れ替わった版でした)

第1幕は男女の速度ある群舞がとぎれずパワフルに躍動し、自分のせいじゃないのに社会の底に置かれている人の悲しみと怒りが伝わる。

2幕はジゼルが死体からゾンビ段階?を経てウィリになる、それからのアルブレヒトとのパ・ドゥ・ドゥが、絶望的なだけに美しい。

人間の複雑さ、ダメなところ、それでも生まれる愛情が個人・集団の肉体で表現される。

圧倒的なパフォーマンスを観ながら、人間は昔から変わらず差別し合い、殺し合って生きてきたのだよな、とつくづく思う。

みんなが食うや食わずだった狩猟採集時代はそうでもなかった気がするが。−−覚えてないし。

また機会があったら3回目以後も観ますよ。これは21世紀のクラシックだと思う。

今年のトレイラー:

 

 

.

 

| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(2) | - |
サティリコン劇場「かもめ」上映

JUGEMテーマ:エンターテイメント

240917-1

チェーホフ作「かもめ」の録画上映を見てきた。

THE SEAGULL

Written by Anton Chekhov​

Satirikon Arkady Raikin Russian State Theatre

観客は30人くらいかな、そのうち6人はオリガ先生とロシア語のクラスメートだった(笑)。モスクワの劇場の公演、ロシア語上演英語字幕つきを、ロンドンでなく近場で観られて助かる。

<Creative Team>
Director - Yury Butusov
Music - Faustas Latenas

<Cast>
Irina Nikolaevna Arkadina - Polina Raykina
Konstantin Gavrilovich Treplev - Timofey Tribuntcev
Petr Nikolaevich Sorin - Vladimir Bolshov
Nina Zarechnaya - Agrippina Steklova
Ilya Afanasyevich Shamraev - Anton Kuznetcov
Polina Andreevn - Lika Nifontova
Masha - Mariana Spivak
Boris Alekseevich Trigorin - Denis Sukhanov
Evgeniy Sergeevich Dorn - Artem Osipov

サティリコン劇場は風刺劇専門、いろいろ思いきった演出をするが、これも例外ではなかった。

「かもめ」は湖のある田舎町が舞台。片思いだらけ。

文学青年のコンスタンチンは大女優の母アルカージナがかまってくれなくて片思い。一時は両想いだったガールフレンドのニーナまで、母の恋人で人気作家のトリゴーリンに取られてしまう。

トリゴーリンには1年で捨てられるニーナだが、ずっと彼が好き。

コンスタンチンを好きだが全く振り向いてもらえず、好きでもない教師と結婚するマーシャ。結婚後も夫に冷たくして、夫は片思い。

マーシャのお母さんのポーリーナまで、旦那を嫌って医者のドールンに惚れている。「ぼくはもう55歳だよ、今さら人生を変えるのは無理」と冷たくされる。

みんな不幸〜。

今回のニーナは、夢見る乙女、存在感あり。

240917-2

右がコンスタンチン。内向してひねくれている。

あまり人のこと(自分の息子のことすら)細かく考えず、自分とその芸のことだけ考えている2人、アルカージナとトリゴーリン。性格はアレだが仕事はできる。

240917-3

グレーのコートがアルカージナのポーリーナ・ライキナ。迫力ある。コンスタンチン・ライキンの奥さんかと思ったら娘だった。まだ20代で40代の役。

チェーホフはこれを「喜劇」としているが、本当に笑える、ドタバタ・コメディのような騒がしい舞台。背景は(キタナイ系の)現代アートのようで楽しい。

55歳には絶対見えないドクターも踊ってるし。

240917-4

(先日「リア王」でエドガーをやってたくらいの若手オシポフ、可愛いw)

中高年も若い人が演じるのは、走り回り動き回るので、本当に50代だともたないからかも。

ラスト、作家にはなったが才能の限界を感じているコンスタンチンと、あこがれの女優にはなり、でも二流で終わりそう、けれどこれでやっていこうと決意しているニーナが会う場面、いろんな人が交代で二人の役をする。そして場面が繰り返される。

人間は皆役者、誰が入れ替わってもおかしくない、っていう意味かな。

カラフルで斬新で、休憩を入れて4時間ほど、退屈しなかった。もっとも休憩後帰ってしまったお客さんも数人いたが(オリガ先生も「セリフをどなりすぎ」と帰った)。

なかなか見られないロシアの劇場の上演を、近くで見られると嬉しいので、ステージ・ロシアさんにはがんばって儲けてもらいたい。

たまにはオーソドックスな演出のをやったらどうかと思うが・・・。今回もクラスメートのイギリス人で、「かもめ」を初めて観た人がいた。昔のソ連映画版などで見たら逆に「え。こういう話だったの」と驚きそう。

 

 

.

| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(2) | - |
「終わりよければ全てよし」@Cambridge Shakespeare Festival

JUGEMテーマ:エンターテイメント

210717-1

ケンブリッジ大学の庭で上演されるケンブリッジ・シェイクスピア・フェスティヴァル、

Cambridge Shakespeare Festival

当然ながら屋根がなく、天気が悪いとあまり楽しくないので、行かない年もある。今年はダウニング・カレッジでの『All’s Well That Ends Well』(終わりよければ全てよし)を鑑賞。

昔、本で読んだだけ、上演を見るのは初めて。

210717-3

Director: David Personae

<Cast>

Bertram -- James Eken

Countess -- Kaitlin Howard

Helena -- Kay Dent

Parolles -- Lawrence Watling

Diana -- Jasmine Horn

最近父を亡くしてロシリオン伯爵の地位をついだ若いバートラム、フランス王に仕えるためにパリに赴く。彼のことをずっと好きなのが、孤児で伯爵家の世話になっているヘレナ。でも身分も違うし、と諦めている。ヘレナの亡き父親は医者、優しく賢い娘だ。

上の公式写真の人と違う配役はケイ・デント。

210717-2

そんなヘレナが気に入っているロシリオン伯爵夫人=つまりバートラムのお母さんは、息子が彼女と結婚することに賛成して励ます。勇気づけられたヘレナ、自分もパリへ行き、体調の悪い王様の治療を申し出る。父に教わった療法で見事王の病気が完治。「何でも望むことをかなえてやろう」という約束だったため堂々と、

「ロシリオン伯爵バートラムさんと結婚したいです!」と答える。外堀を埋めた

当のバートラムは子供のころから知っている貧乏なヘレナに異性としての興味なし。王の命令で結婚させられるも、初夜前にとっとと逃亡。

そんなことでは諦めないヘレナ、巡礼の仕度をして後を追う。イタリアでダイアナという娘と知り合うと、偶然にも彼女はバートラムに言い寄られているという。そこで彼女と協力。ダイアナに、彼にとうとうなびいたふりをしてもらった。

「じゃあ今夜、来てくださっていいわ。でも口きかないで、明かりもつけないでね♡」

喜んで“ダイアナの寝室”に忍んでいったバートラム…実はそこにいたのは…ワナだ。逃げたほうが――もちろんまんまと引っかかる。

そして数ヶ月後、ダイアナと結婚しようとするバートラムの目の前に妊娠した妻へレナが現れる。ダイアナにあげたはずの指輪をヘレナが持っているのも知って、観念した(笑)彼は本来の妻の元にもどるのだった。

これに、バートラムのいいかげんでほらふきな従者ペーローレスが懲らしめられるエピソードも混じって、全編笑える話ではあるが、バートラムから見ると愛のない相手と結婚させられるわけで、子供ができたと聞いてちょっと情はわいたようだけど、行く末が心配である。「終わりよければすべてよし」って、まだ終わりじゃないだろう、と思った。

17世紀当時はみんな納得していたのかな。母がいいという相手と結婚しろってこと?

とはいえ屋外上演は楽しい。たまに俳優がお客さんのピクニックの食べ物を失敬したりするのもお約束。バートラム母=伯爵夫人なんか赤ワインのボトルを奪ってラッパ飲み、「これいいワインだわ」と言って返していた。彼女の演技はとても良かったが。ほら吹きのペーローレスもうまくて笑えた。ヘレナは、純情そうなわりに腹黒い手を使って男を追い詰める、にしては大人しい感じがしたかな。そこが怖いってことか。

とりあえず教訓は「ベッドでは顔くらい確認しろ」ということで良いでしょうかね・・・。

フェスティヴァルは8月前半まで開催中、天気にもよるけど、もうひとつくらい観たい。

 

 

.

 

 

 

| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(5) | - |
アンドリュー・スコットの「ハムレット」

JUGEMテーマ:エンターテイメント

220617-1

今日あたりからまた涼しくなったけど、1週間ほどやたら暑くて30度前後だった。もっと南の方では40年ぶりの34度を記録。しかも草の花粉がすごい飛んで、アレルギー薬漬けの日々。こういう時にかぎって忙しく、2日続けてロンドンに通わなければならなかった。

さすがに疲れてキレそうになったので、ロンドン2日目の夜に芝居へGO。BBCドラマ「シャーロック」のモリアーティ役が可愛いアンドリュー・スコットの「ハムレット」。Almeida劇場(上のポスター)で好評だったプロダクションをハロルド・ピンタ―劇場で再演しているもの。

『Hamlet』 Harold Pinter Theatre
Director -- Robert Icke
<Cast>
Andrew Scott -- Hamlet
Juliet Stevenson -- Gertrude
Angus Wright -- Claudius 
Jessica Brown Findlay -- Ophelia
David Rintoul -- Ghost/Player King 
Joshua Higgott -- Horatio
Luke Thompson -- Laertes
Peter Wight -- Polonius

 

設定は現代。先王の幽霊は城内監視カメラの映像に登場するし、ノルウェー王の動向やロイヤルファミリーのイベントはテレビで報道される。

220617-2

デンマーク王の死後すぐに、その弟が王冠と王妃を引き継いだ!王子ハムレットにとっては叔父が父親になるという異様な事態。家族として表向きには仲良さそうにメディアに対応する3人。それが壁のスクリーンにニュース画面として映し出される。見出しがちゃんとデンマーク語(読めないが)になっていた。

あまりに有名なモリアーティの印象を払拭しなくてはならないアンドリューだが、たいへん良かった。話し方は基本低めでやわらかく、アイリッシュ訛りの巻いたRがセクシー。でも神経過敏ですぐ動揺し、激高して直後にそれを鎮めようとしたりする。発言は穏やかでも手が不安そうに動いていたり、全身をよくコントロールしたパフォーマンス。今まで見たことのないタイプの、感情と思考が内部で錯綜しているハムレット、うまいなーと思った。

アンガス・ライトのクローディアスはつかみどころのない政治家ふう。一番生の感情が出るべき「兄の殺害の結果を畏れて神に祈るシーン」でも、心の底の動きが見られない。長年仮面をつけすぎて顔に貼りついてしまった人のよう。

ガートルードはいつも難しい役だと思うが、ジュリエット・スティーヴンソンはさすが、女として新しい夫に夢中な姿(まっ人生そういうこともあるわよね)から、現夫の正体をようやく悟って息子の身代わりに毒をあおって死ぬところまで、変化を見せた。

ジェシカ・フィンドレーのオフィーリア、気丈な娘だったのに周囲からスパイの役など押しつけられて重圧で気がヘンになる。最後は車椅子で登場していた。

インテリアがシンプルすぎてほとんど粗末、これで王室?と思ったが、登場人物がゴージャスなのでそのうち気にならなくなる。面白いプロダクションだったが、結局は主役が良いという結論になるでしょう。

ところで仕事の会議の担当者がデンマーク人だったので雑談のときに聞いてみたら、

「シェイクスピアのハムレットは一度も見たことありません」とのこと。見たくない気持ちはわかる気がする。わたしもオペラ「蝶々夫人」は舞台では観てないわ(話が別?)。

監督とハムとオフェリアのインタビュー。カンバーバッチのハムレットは観たし、向こうもアンドリューのを見に来たけど、非常に個人的なものなので比較にならないそう。

 

 

.

| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(10) | - |
ロマン・ヴィクチュク劇場「女中たち」

JUGEMテーマ:エンターテイメント

110517-1

ロシアのカルチャー・チャンネルで観た劇場録画「Служанки」(女中たち)、原作はジャン・ジュネ。わーいいのかこんなのテレビで(嬉)。18歳以上対象だそうですけど。

ソランジュとクレールという姉妹の女中が、マダムがいない間に、”奥様と女中”ごっこをして遊んでいる。だんだんエスカレートしてきて、現実の陰謀へ、さらにとんでもない方向へつき進む・・・。

舞台監督ロマン・ヴィクチュク(1936〜)の名を冠した劇場が、彼のプロダクション(プレミアは1988年)を上演。

「Служанки」

Автор -- ЖАН ЖЕНЕ

Постановка -- РОМАН ВИКТЮК

<Действующие лица и исполнители>

Соланж -- ДМИТРИЙ БОЗИН (ロシア連邦功労芸術家)

Клер -- АЛЕКСАНДР СОЛДАТКИН

Мадам -- АЛЕКСЕЙ НЕСТЕРЕНКО

Месье -- ИВАН НИКУЛЬЧА

登場人物全員を男性俳優が演じる。4人とも長身、ありえないほどの肉体美に目が吸いつき、しばらく音声情報が頭に入りません。

110517-2

左からクレール、マダム、ソランジュ。

顔見たときは、

「ん……デーモン閣下?」と思ったが、歌舞伎のようでもある。見慣れると面白い。

芝居がかったセリフ回しは、劇中でお芝居しているので当然。そして体がよく動き、踊れる。フレンチ・ポップス、というよりシャンソンかな?がうまくはさまれている。特にダリダの『Je suis malade』(わたしはビョウキ)がはまる。

女の意地悪が、ガタイの良い男がやると根本的にはすぱっと可愛かったりする。

すごーい。ヘン。でもジュネらしい。ロシアの先端は実に鋭利だわ。

トレーラー:

2時間半、呆然と見守りました。物語が終了してからフィナーレのダンスの披露も、観客大喜び。見ると8割が女性ですね。みなさん好きね、ははは。

聖堂でポケモンGOしたのをSNSにアップして有罪になったりするが(ニコライ二世の一家が殺された現場の上に建てた慰霊の聖堂だからねえ)、こういう芝居もやっている。ロシアは奥が深い。

 

マダムの”東洋風の踊り”。閲覧注意。18歳以下は見ちゃだめ。

(曲はHelwa ya Baladi)

 

 

.

| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(4) | - |
NT ライブ「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」

JUGEMテーマ:エンターテイメント

020517-1

劇場中継を録画で映画館鑑賞、トム・ストッパードの『Rosencrantz & Guildenstern Are Dead』。オールド・ヴィック座での上演から50年を記念して、同じ劇場での公演。(初演は1966年、エディンバラだそう)

『Rosencrantz & Guildenstern Are Dead』

By Tom Stoppard

Director: David Leveaux
Set Designer: Anna Fleischle

<Cast>
Daniel Radcliffe -- Rosencrantz
Joshua McGuire -- Guildenstern
David Haig -- The Player
Matthew Durkan -- Alfred
Luke Mullins -- Hamlet

この劇のおかげもあって世界で最も有名な端役、ローゼンクランツとギルデンスターンを、それぞれダニエル・ラドクリフとジョシュア・マクガイアが演ずる。

ハムレットの学友の2人、新王クローディアスから甥をスパイするよう依頼(というより命令)されるが、彼らより頭のいいハムレットに見破られてしまう。軽い扱いの小物。

劇ではこの2人を主役にしたことで、虚構世界のゆがみが展開する――とわたしは解釈している。

冒頭から、コインを投げての賭けで、表ばっかり80回とか続けて出る。通常の法則が動いていないようだ。フィクションの世界の中だからね。

ギル(めんどくさいから省略)がロー(省略)に、

「お前、最初の記憶って、なに?」と聞くが、ローは覚えてない。

「目を覚ましただろう」とか言う。

記憶なんかないのだ。チョイ役なんだから。シェークスピアもそこまで考えてないの。

いつから、何のためにここにいるかわからない。その後役割を与えられるが、全体の話が見えていないから、右往左往する。可笑しいが、恐ろしい。

普通の人間だって、そうだよね。彼らよりはましでも、気がついたら生きていて、自分が何のために存在するのか、本当に存在するのか、さっぱり確証ないわけです。

出番少ないからゲームをして時間をつぶしたり、非生産的なギーとロー。まるで漫才のようなやりとりの応酬が笑える。ギーがツッコミ、ローがボケ。

2人と対照的なのが、旅芸人の団長。

020517-2

おれは役者だ、と堂々と自信たっぷりだ。常に力いっぱい演技している。不確かなのは同じなんだけど。

ストッパード二十代の出世作、不条理劇の系譜に連なる作品かもしれないが、今見てもちっとも古くない。新鮮だ。

とりわけ頭と口が良く回る(空回り気味だけど)ギーが冴えていたが、団長も迫力あり、女形のアルフレッドや、すかしたハムレットも面白かった。ローもボケ具合が可愛い。大好評で公演日程が延長されているそうだ。

ジョシュアとダニエルが伝統ある劇場をガイド:

 

 

.

| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(2) | - |
エヴゲーニー・オネーギン2つ

JUGEMテーマ:エンターテイメント

260417-2

ロシアのTVの「アンナ・カレーニナ」終了。面白かったが、セリョージャが成人した後、という設定を活かしきれていない気もした。どう育ったか、母についてどう思っていたか、掘り下げがほしかったな。でも最後に日本軍が出てきて、つい(ロシア軍をやっつけちゃえー)と応援、あはは。

ロシア古典をぐるぐる回っているかも。今度はプーシキンの「エヴゲーニー・オネーギン」を原作としたオペラと演劇。

METオペラ(上の写真)を映画館中継で。作曲はもちろんチャイコフスキー。

<Cast>

Conductor -- Robin Ticciati

Tatiana -- Anna Netrebko

Olga -- Elena Maximova

Onegin -- Peter Mattei

Lenski -- Alexey Dolgov

Gremin -- Štefan Kocán

オペラなので、原作の恋愛パートを抽出し、特にタチアーナが一人でラブレターを書く場面に20分も費やしている。主要キャラの少なくとも3人がロシア人で、美しい発音も楽しめた。主役オネーギンはスウェーデンのペーテル・マッテイ、長身で堂々としているが、嫌なやつなんだけど苦悩もある魅力的なオネーギンになりきれていない?わたしのデフォルトがホロストフスキーだからしょうがない。

アンナ・ネトレプコは相変らずすごい貫録だった。

260417-1

エカテリーナ二世かとおもた!

オペラは歌手の外見は関係ないわけですが、面白いことにタチアーナの年上の旦那さん役のバスのスロバキア人ステファン・コツァンが若くてかっこよかった。初老の軍人のはずが・・・こういう現象も起きる。

テノール、レンスキーのアレクセイ・ドルゴフの絶唱が美しく印象的。

音楽的には楽しめるが、原作の豊かな言語表現はカットされている。

演劇の場合は言葉をもっと活かせるだろう。

バフタンゴフ劇場版を録画で見た。

260417-3

Идея, литературная композиция и постановка -- Римас Туминас

Музыка -- Фаустас Латенас

Действующие лица и исполнители:

Евгений Онегин -- Сергей Маковецкий

Евгений Онегин -- Виктор Добронравов

Владимир Ленский -- Олег Макаров
Владимир Ленский -- Василий Симонов

Гусар в отставке -- Владимир Вдовиченков

Татьяна Ларина -- Евгения Крегжде

Ольга Ларина -- Наталья Винокурова

Няня, Танцмейстер -- Людмила Максакова

ロンドンで観た「ワーニャ伯父さん」と演出家や音楽、主要俳優がかぶっている。やはり型破り。

なにしろオネーギンとレンスキーが2人ずついる。若い頃と、今。レンスキーは若くして死んでるから、今のは霊?年とったオネーギンが若い頃を悔恨とともに回想する形になっている。さらにプーシキン本人を思わせるような退役騎兵もいるので舞台に人が多い。

260417-4

舞踏会、アコーディオンを持ったオリガ(親友レンスキーの彼女)を独占して踊っちゃう場面。

パワフルな舞台だ。タチアーナ、エネルギ−があまって乳母ごとベッドを引きずって歩いちゃう。女優さん、腰痛めないでね。

「ワーニャ〜」でソーニャも演じたエヴゲーニャ・クレグジェの迫真の演技に引き込まれた。本当の涙を流すなんてアサメシマエです。

なるほどねえ、と思ったのは、タチアーナが見る実にフロイト的な夢の場面、名女優が出て来てプーシキンの詩の原文を朗読した。言葉を読めばそれだけですばらしく、何も手を加える必要はないってことかな。

この舞台はまたロンドンのプーシキン・ハウスで少し大きいスクリーンで見られるので、6月に行こうと考えている。

↓アンナ・ネトレプコのアリア20分に勝るとも劣らない、エヴゲーニャの「手紙の場面」。ティーンエージャー初恋の力を豊かに表現。この子を振ったオネーギンて、ほんと馬鹿。

 

 

.

 

| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(2) | - |
ボリショイ・バレエ「現代の英雄」

JUGEMテーマ:エンターテイメント

100417-1

2年も首を長くして待っていた、レールモントフ原作の『Герой нашего времени』(現代の英雄)、映画館ライブで観た。

Композитор — Илья Демуцкий
Хореограф-постановщик — Юрий Посохов
Режиссер-постановщик, художник-постановщик и автор либретто — Кирилл Серебренников

原作の5つのエピソードのうち3つを選び、2幕ものにした。キャストはエピソードごとに:

БЭЛА 「ベラ」   

Печорин  -- Игорь Цвирко
Бэла -- Ольга Смирнова
Казбич -- Александр Водопетов
Два горца -- Илья Артамонов, Георгий Гусев

ТАМАНЬ 「タマーニ」   

Печорин -- Артем Овчаренко
Ундина -- Екатерина Шипулина
Старуха/Янко -- Вячеслав Лопатин
Слепой мальчик -- Георгий Гусев

КНЯЖНА МЕРИ  「公爵令嬢メリー」   

Печорин -- Руслан Скворцов
Мери -- Светлана Захарова
Вера -- Кристина Кретова
Грушницкий -- Денис Савин

優秀なんだけど当時のロシアで才能の活かし場所がない主人公ペチョーリン。軍隊でもルールから外れ、コーカサスにとばされる。

「ベラ」では地元の美少女ベラが気に入って勝手に連れ出し(原作では彼女の弟を買収してさらって来させるがバレエでは省略)、真剣に口説いて愛情を得た、とたんに興味をなくして放置。ベラに危険がせまる。

100417-2

(別キャストの写真ですが)

わたしはこのコーカサスの危ないやつらが見たかっただけだったりする。勇壮な群舞がすばらし〜い。

オリガ・スミルノワのベラがエキゾチックにたおやかに踊る。彼女の気を引くのに、イーゴリ・ツヴィルコのペチョーリンがなぜかバレエのバーのエクササイズをしていた、ははは。

「タマーニ」では海辺の田舎町タマーニに着任したペチョーリンだが、地元の美女ウンディーナが何かの密輸の手引きをしているのに気づく。ウンディーナはペチョーリンを誘ってボートでデート、と見せかけて彼を殺害しようとする!

100417-3

スリリングな力強い対決だった。ダンサーが代ってアルチョム オフチャレンコのペチョーリン、エカチェリーナ・シプリナのパワーにたじたじ。けっこう危ないところだったw。

インターバル後に「公爵令嬢メリー」。湯治の街で知人のグルシニーツキーに再会したペチョーリンは友の好きな女性メリー嬢(ザハロワ)にちょっかいをかける。とうとうグルシニーツキーと決闘するはめに。そしてもちろん彼を殺す。でもペチョーリンは本当に好きな女性(人妻)ヴェラに振られる。バチがあたった。これはプーシキンの「オネーギン」のプロットと似ている。

100417-4

ここのセットが面白かった。色調がおさえてあってシック。湯治場らしく車椅子のダンサーもいた。

気位は高いが純真なためにあっさりペチョーリンに惚れてしまうメリーさんが気の毒。

100417-5

ペチョーリンはルスラン・スクボルツォフ。行動はひどい彼、でもいろいろ辛いことがあるんです。

3つの場ごとに別々のトップダンサーのペチョーリンを見られ、第1場のコーカサスの山が抽象画のようだったり、セットも美しい。またオペラ歌手と楽器の奏者が舞台に出るなど、演出が面白い。軍隊の話なので男性群舞がわんさか活躍するし、今のところボリショイにしかできない舞台だろうと思う。

いつかモスクワで観たいなー。来年あたりロンドンに持ってきてくれると、さらに楽だけど。

プレミア当時のニュース:

 

 

.

| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(4) | - |
「アンナ・カレーニナ」ヴァフタンゴフ劇場(の録画)

JUGEMテーマ:エンターテイメント

先週からサマータイムが始まったのですが、さっそく初日に駅の一番大きい時計が1時間まちがってました。駅の時計だよー。しっかりしてほしい。

さて、2月に機材がすねてキャンセルになったプーシキンハウスでのダンス版「アンナ・カレーニナ」中継、今度は大丈夫だった。ただし無料で招待された人の名簿にわたしの名前がもれていたが、受付の人が「たぶんあなたのせいじゃないから」と入れてくれた。全然驚きませんよ、このくらい。

Режиссер-постановщик -- Анжелика Холина

キャストをもう一度確認:

Анна Каренина -- Ольга Лерман
Алексей Каренин -- Евгений Князев
Алексей Вронский -- Дмитрий Соломыкин

Екатерина Щербацкая (Кити) -- Екатерина Крамзина

Константин Левин -- Федор Воронцов

二度ロンドンまで足を運んだ甲斐があった、非常に面白いプロダクションでした。

全編踊りで通しセリフはなし(リョービンが「うわああー!!」なんて叫んだりはしたが)。ダンスはモダンだがバレエが基礎にあって、かなり唐突で奇妙な動きをしてもきれいにさまになっている。

椅子がドアになったりオペラ劇場になったり電車になったり。舞踏会も競馬も駅も、人の体の動きで何でも表現する。キャストも良い。

左からアンナ、夫のカレーニン、ヴロンスキーのいとこでちょっと軽い女のベッツィー。

アンナのオリガ・レルマンが春風のように色気があって可愛い。バレエはプロを目指していたほどなので、踊りはきっちりこなす。原作のアンナは8歳の息子がいるといっても19世紀の話だから、まだ20代の可能性が高い。若くてよくわからない時に結婚し、その後に本当の恋をする。でも恋人のもとに行くには幼い息子を捨てなくてはならず、内臓を取られるほどの苦痛を味わう。

カレーニンは真面目で仕事熱心な政府高官として存在感あり。国のために働く人は、なかなか妻子に時間はとれない。有能なサイコパスの可能性もあるわ。

青二才感が良いソロムィキンのヴロンスキー。彼は美しく懐の深いアンナに惚れたのであって、息子から離れて精神不安定な嫉妬深い女になってしまった彼女の取り扱いに困る。若いし子供いないし、理解できないよね彼には。

夫も恋人も同じアレクセイという名前なところも、トルストイはうまいなあ。

020417-4

ヴロンスキーに振られた令嬢キティを支え、とうとうプロポーズを受け入れてもらう田舎の地主リョービン、独自の路線をまい進していた。面白味はないが信頼できるタイプ。

休憩も入れて3時間というので大変かと思ったが、知らないうちに時が過ぎて長さを感じなかった。常に動きがあり、でも忙しくはなく、それぞれの場面を面白く見せて観客を引っ張っていく。1秒も退屈しない。

ヴァフタンゴフ劇場も当然レパートリー形式。今も「アンナ〜」はもちろん、日替わりメニューで「オセロ」やらブルガーコフ「逃亡」など上演している。そのうちモスクワに1か月くらい滞在して何舞台か見てみたいものだ。

場面いくつか。オペラは「エヴゲーニー・オネーギン」のタチアーナの手紙のアリア:

 

 

.

| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(4) | - |
マコヴェツキーの「黒衣の僧」

JUGEMテーマ:エンターテイメント

270317-1

行ってきました、プーシキンハウスでのチェーホフ原作「黒衣の僧」劇場録画の上映。劇場はМосковский театр юного зрителя(若い世代のモスクワ劇場、かな)。

Режиссёр -- Кама Гинкас
<Действующие лица и исполнители>

Коврин -- Сергей Маковецкий
Чёрный монах -- Игорь Ясулович
Таня Песоцкая -- Юлия Свежакова
Песоцкий, её отец -- Валерий Баринов

若き哲学者のコヴリンが、自分ひとりだけに見える黒衣の修道僧と会話するようになり、現実と折り合えなくなってくる。自分を愛して尊重してくれていた親代わりのエゴールの娘ターニャと結婚するが、不幸な結果になってしまう。

舞台の作りが変わっていて、前方の両側のバルコニー席をつぶして橋渡しをするように床が作ってある。たまに役者がオーケストラ・ピットに飛びこんだりできる。エゴールが大事にしている庭と果樹園の象徴として、孔雀の羽根が床から生えている他はさっぱりとした舞台美術。

面白かったのはセリフ。地の分もセリフに入っている。原作は小説だから「ト書き」というものはないが、それにあたるところまで、声を出して言ってしまう。

「ターニャ退場」と言いながらターニャが舞台上手に消えていったり。たまに「彼は――した」と言いながら演技では違うことしてみたり。

後で聞いたら、この手法でチェーホフ作品を3つ手がけているそうだ。

音楽はヴェルディの「リゴレット」の同じ四重唱が繰り返し流れ、また登場人物が歌ったりした。『Bella figlia dell'amore』(美しい愛らしい娘よ)。あの、とんでもないプレイボーイの公爵が別の女の子を口説いているのを、捨てられたジルダが見て嘆き、ジルダの父のリゴレットが、泣いたってしょうがないだろ、となぐさめる場面。父と娘のテーマが、関係なくもないか。元気でハイパーなときのコヴリンは確かにイタリア語を勉強していましたが。

黒衣の僧が派手に登場するのが笑えた。黒いノボリみたいなものを立てて来て、本人は上半身裸。ヘンな人。コヴリンの暴走する潜在意識の象徴なのでしょうか。

コヴリンのセルゲイ・マコヴェツキーはやはり演技がうまい。黒目の動きまできちんとコントロールしている。この役には少しお歳なんじゃ、と思ったら、このプロダクションは1999年初演で、その後もレパートリーとして続いているのだそうだ。

270317-2

だいぶ若いころの写真。

ロシアの劇場は、いくつものレパートリーを日替わりで出す。プログラムは入れ替わるが、人気のあるものはずっと続ける。「黒衣の僧」は今年もやっているから、20年近いとは息が長い。俳優は歳を取るが、その分演技も磨かれてくるだろう。リピーターもいそう。

来週はリベンジ「アンナ・カレーニナ」です。

僧とお話していて、とうとう奥さんに「誰と話してるの!」と言われる場面。

 

.

 

| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(4) | - |
/ 1/17PAGES / >>