「ロシア革命展」@British Library

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Дмитрий Моор

このおじさん怖い……有名なポスターですね。バッジ買っちゃった。

ロシア革命100年を記念した展覧会、大英図書館でも開催中:

Russian Revolution: Hope, Tragedy, Myths

ホックニー展を見るためロンドンに出たついでに、と寄ってみたところ、ついでなんてとんでもない、中身の濃い展覧会で、2時間以上かかってしまった。疲れた。

ロイヤル・アカデミーのより字が多いバージョンで、革命前のロシアの体制、戦争の影響と革命の勃発、内戦と赤軍の勝利、そして世界への影響までカバーしている。

大英図書館ならでは、レーニンの図書館利用パスの申込書もあった。

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Jacob Richtorって誰だよ。偽名でも大丈夫だったんですね。

革命は第一次大戦で国が疲弊したことが大きな原因となるが、その前に新興国・日本との戦争もあった。

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豚鼻のドラゴンが日本。でもロシアは残念ながら負けてしまいました。国は大きくても貧富の差がひどく、字が読めない人が大勢いた。日本人は当時も皆読み書きできていたのだ。

国が弱ると貧しい人に真っ先にしわ寄せがいく。革命の起こる下地ができていた。

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ラスプーチンに牛耳られる王室を皮肉った雑誌の表紙。

革命も何段階かあったことがわかる。もっと穏やかな変革を選べた場面がいくつかあったのに、結局急進派ボリシェビキが権力を握った。白衛軍もがんばったが、力及ばず。

一番上の赤いおじさんのポスターは、「君は赤軍に応募したか?」といっている。

コーカサスにも参加を呼びかけた。

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山岳地帯のムスリムのみなさんも、赤軍に加わりましょう、とアラビア語も添えている。これはなかなかカッコよいポスター。

これも目を引いた。

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Владимир Лебедев

犯罪者を一掃する労働者を表すウラジーミル・レベジェフのポスター。こういうのは本当にうまい。

貴重な当時の映像もあり、ハンガリーやポーランド、フィンランドなど、近隣諸国が影響を受けて揺れる様子もわかる。

照明が暗く、ガラスケースの中に入っている本や文書は読みにくかった。ロシア語は革命以前の正書法(書き方がちょっと違う)だし、さらに筆記体だとお手上げ。それでも実際の文書を見るのは興味深い。

100年記念の今年、まだいろいろと勉強する機会がありそう。

ちょっと気分を変えて、フランス語での紹介映像:

 

 

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ロイヤル・アカデミー、ロシア革命期のアート展

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Борис Кустодиев
The Bolshevik, 1920
Oil on canvas. 101 x 140.5 cm, State Tretyakov Gallery, Moscow

今年はロシア革命から100年。ロイヤル・アカデミーで革命からソ連初期のアートを集めた展覧会が開催されている。

Revolution: Russian Art 1917–1932
(11 February — 17 April 2017)

ボリス・クストーディエフの絵がゴジラみたいですが・・・。

1917年、第一次大戦で疲弊していたロシア帝国で国民の不満が爆発、二月革命でロマノフ朝のニコライ二世が退位。10月にはレーニン率いる元・ロシア社会民主労働党の多数派・左派のボリシェヴィキが労働者の武装蜂起を先導して臨時政府を倒す。これでソヴィエト(評議会)に権力が集中した。この後内戦を経て、1922年にソ連が誕生。

アートとのかかわりでは、初期段階では革命に賛同する芸術家も多く、新しさを追求するアバンギャルドが活発になる。

しかし20年代になるとソ連政府はこうした活動を批判しはじめ、例の、農場や工場のたくましい男女が真面目な顔をしている”社会主義リアリズム”を推奨、芸術家受難の時代となる。1932年にはスターリンが、社会主義リアリズムだけが真の芸術だと宣言した。乱暴だ。

一方で革命の宣伝、プロパガンダとしてのアートも盛んに制作される。1917年から32年にかけての、幅広いロシアの芸術が集められ、絵画だけでなく映画や彫刻、陶磁器も見られた。

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Isaak Brodsky. Lenin in Smolny

イサーク・ブロツキーは社会主義リアリズムの波にのって成功した画家。

一方、カンディンスキーは最初のころレーニンには認められたが、だんだん居心地が悪くなり、スターリンが権力を握る前に逃げ出した。

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Wassily Kandinsky, Blue Crest (detail), 1917
Oil on canvas. 133 x 104 cm

画家として市民として、どう生き延びるか、考えて行動することは必須だ。

初めて見たイーゴリ・グラーバリの風景画。

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Igor Grabar, By the Lake, 1926

彼は後に社会主義リアリズムの絵を描かされます(好きだったのかも?)。

アリスタールフ・レントゥーロフ(Аристарх Лентулов)はアバンギャルド派、舞台美術なども手がけた。色がロシアらしい。

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Aristarkh Lentulov, Tverskoy boulevard, 1917

激動の時代に、自分の芸術と向き合い、何を考えて制作していたのか、それぞれの芸術家たちに聞いてみたい気がする。延々と愚痴を聞かされたりして。

カジミール・マレーヴィチと、クジマ・ペトロフ=ヴォトキンの作品にはそれぞれ1室与えられていた。

ペトロフ=ヴォトキンはイコン画家として修業した人、透明感ある色の重ね方にそれが現れている。

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Kuzma Petrov-Vodkin, Fantasy, 1925.

Oil on canvas. 50 x 64.5 cm

この人のは、静物画なども美しかった。

絵画以外では、陶器も、他では見られない題材が。

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なんかこういうの、欲しいかも(笑)。特におじいちゃん、赤いルバーシカがナイス。ロシアの蚤の市なんかで掘り出し物として発見できないかしら。

最後の方の部屋では、スターリンの「大粛清」で逮捕された人々の写真が1枚ずつ映される映像が流れていた。名前と職業、いつ逮捕、どうなったか(銃殺、釈放、収容所内で病死、病気で収容所を出される、などなど)という情報と、写真だけ。

見ているともうランダムで、訳がわからない。詩人(オシップ・マンデリシュタームがいた)からエンジニア、主婦、会計士、元兵士、教師etc. なぜ逮捕されたのか。処置も、ある人は1週間後に銃殺、別の人は5年後に銃殺。釈放してからまた逮捕を繰り返した人もいる。理解できない状況で処刑された人達、無念だったろう。

生まれる場所・時代をちょっと間違えば、誰でもこういう目に遭う可能性はあるわけですよね。

いろいろ考えさせられた。ここに画像をはった作品は中でもきれいなものですが、しょうもないプロパガンダの作品がた〜くさんありましたよ。資本主義の豚の支配するイギリスにももうじき革命が起こるであろう、みたいなマンガとか。それも歴史的価値があるし、色彩感覚や構図は、大胆ですばらしくセンスが良い。食料配給チケットまで斬新なデザインだった。

会場にはロシア人がけっこう来ていた。なかなかまとめて見る機会もないし、貴重な展覧会だ。

 

 

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古典考古学博物館

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Peplos Kore、博物館のHPから。

さすがに同じ作業が飽きてきて、ケンブリッジに用事で行ったついでに空き時間でケンブリッジ大学のMuseum of Classical Archaeologyへ。

普通に古典学部の建物の2階にあって目立たない。中に入るとそれほど広くないスペースに、ギリシア・ローマ時代の彫刻が整理されて並んでいる。ヴィーナスからダイアナ女神、サモトラケのニケさんもいる。

もちろん本物ではなく、ここにあるのはすべて上質の複製石膏像。本物でなくとも、古典学の学者さんは身近に複製を置いて研究するのですね。精巧で年季も入っている。

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Knidosのアフロディテ

人間は(まあ、神だけど)裸が一番美しいんだ、という肉体の賛美がまぶしいです。

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Wrestlers

「いてー、降参」とか言ってそう。

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アポロさん、相変わらず美しいですね。

1時間いたけれど、月曜の日中、訪問者はわたし以外にトータル5人くらいだった。

有名でない彫刻にも逸品がたくさん。

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写真が今一ですみませんが、ローマ人から見た「野蛮人」だそうです。

ゲルマン人らしく、けっこうそのへんにいそうな顔。イライジャ・ウッド?(笑)

時間はあまりないが、ちょっとだけスケッチもした。

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どこぞのヘルメスさん。

測りもせず描いたので、脚が実際より短くなってしまった。次回はちゃんと腰を落着けて描きたい。せっかく動かない石膏像なんだから。人もいないので、邪魔になる心配もそれほどなさそう。

月ー金10時から5時まで開館、土曜日は季節によるそうです。入場無料。

 

 

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「ピカソのポートレート」展@ナショナル・ポートレート・ギャラリー

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Portrait of Olga Picasso, 1923

たまに健康診断を受けておこうと、ロンドンに出ました。職場や地域で一般健康診断が行われるということはなく、プライベートなので自費です。十何年ぶり!いろんな検査装置が進歩しているのを感じた(笑)。日本人クリニックはサービスがよくて、最後にお疲れさま、とお茶とお菓子が出る。朝から水しか飲まず腹ぺこだから嬉しいですね。

その後はせっかく都心に出たので、展覧会へ。

ナショナル・ポートレート・ギャラリーの特別展『Picasso Portraits』。

パブロ・ピカソ(1881 - 1973)の長いキャリア、膨大な作品の中から、人物を80点集め、多様な活躍をまとめて見せる。

自画像から、友人・知人、家族など。彼は肖像画の注文には応じなかったので、個人的関係が絵にも現れる。

十代の自画像。

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Self-portrait, 1899-1900

眼力の強さは昔からですね。

一番上の絵は最初の奥さんで、元バレリーナのオリガさん。美しく描いているが、表情が固いし、なんだか目がうつろ。このころからすでに関係が悪化していたそうだ。

そしてもう離婚するというその年の、同じ女性を描いたのが。

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Woman in a Hat (Olga) , 1935

しょぼーん。人間の感情は年とともに変化しても仕方ないが、残酷なものだ。

2番目の妻で、人生最後までパートナーだったジャクリーヌは、

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Jacqueline Rocque, 1954

美人が好きなんです。

男性の肖像は、ペンでささっと描いたジャン・コクトーやストラヴィンスキーが線も達者で冴えている。

面白かったのは、巨匠の絵をコピーしたというか、発展させたもの。

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Las Meninas, 1957

小さい画像しか探せなかったんですが、これはもちろんヴェラスケスの「女官たち」。

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ははあ、これが、ああなったと。

大変、わんこが敷物に!

これ以外にレンブラントやドガなど、熱心にいろいろアレンジしていた。

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Rembrandt Holding the Hand of a Young Woman in Veil, 1934

なんか笑える。でも線がすごい。才能ある人が長年、毎日毎日描いているとこうなるという見本か。

好きではなくとも、見ると面白くて楽しめるのがピカソだ。

この後ゆっくりお茶してから、この展覧会をテーマにしたワークショップに参加した。

展覧会の紹介動画:

 

 

 

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ジェームズ・アンソール展

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The Intrigue, 1890

バレエ関連のイベントの合間、ロイヤル・アカデミーでジェームズ・アンソール(1860-1949)の特別展を見た。

Intrigue: James Ensor by Luc Tuymans

同じベルギー人の画家リュック・タイマンスがキュレーター。上の作品のような、きれいな色なんだけど不気味なのが印象的なアンソール、ほとんど初めて見るものばかりだった。

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Self-Portrait with Flowered Hat, 1883

(帽子は後から描き足したという若いころの自画像)

海岸リゾート地のオーステンデで生まれ、生涯大部分をそこで過ごしたアンソール。お母さんとおばさんが土産物屋みたいなのを開いていたそうで、そこでカーニバルの仮面なども売られていた。

そしてオーステンデでは昔の戦場(関ケ原と同じくらい古い)跡から骸骨が出土していたそうだ。なるほど、材料は子供時代に仕入れたと。ちなみに父はイギリス人。

なじめなかったようだがブリュッセルの王立美術学校でも学んだアンソール、だいたい40歳までにその代表作を描き終えた。その後は著述などもしていたそうだ。

最初はわりと暗めの色で写実的に描いていたが、だんだんヘンなものを発表=本領発揮する。

版画やデッサンも多く展示されていた。

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Pisser, 1887

立ち〇〇しているおっさんの絵をロイヤル・アカデミーで初めて見たわ。壁には「アンソールはアホ」って落書きしてあるし、中学生か。笑える。

風刺なのか反抗か、悪ふざけなのか、みたいな作品がいろいろあった。

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The Artist Surrounded by Evil Spirits, 1898

悪霊にとり囲まれた画家。そうかそうか。解説パンフに「嫌そうだがめちゃくちゃ嫌!っていうほどじゃなさそう」とあった。ははは。

得意の骸骨。

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Skeletons Fighting over a Pickled Herring, 1891

ロシアとウクライナがクリミア半島を取り合ってるみたいですが、このニシンは画家本人で、画壇でいじられている図だそうです。小品だけど色がきれいでつい見入ってしまう。

こっちの骸骨はもっと暴力的に。

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Skeletons Fighting for the Body of a Hanged Man, 1891

無言でバタンバタン戦っていそうで、怖いのやら可笑しいのやら。

さらっとした色は、赤と緑が目立つ。ドクターたちが患者の内臓を引っぱり出したりして大騒ぎな画面でも陰惨ではないのが面白い。マンガちっくだからでしょうか。

これだけまとめて見る機会はもうめったになさそう。

美しさを吸いこむように見入る、というのとは違い、いろいろ想像力を刺激される展覧会、来年1月29日まで。

 

 

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ナショナル・ギャラリー『Beyond Caravaggio』

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Michelangelo Merisi da Caravaggio, 'Boy bitten by a Lizard', c.1594–5

ナショナル・ギャラリーの特別展、『Beyond Caravaggio』、

バロック期の天才カラヴァッジオ(Michelangelo Merisi da Caravaggio、1571 - 1610)が同世代とその後の画家たちに与えた影響をテーマにしている。

生きたモデルから描いて写実的、仕事が早い男、しかし飲んだくれの乱暴者で、喧嘩っ早い。とうとう実際に人を殺してしまって逃亡、38歳で亡くなるという波乱の人生だった。

上の、二十代前半の絵も、今まで誰もそんなもの描かなかった、少年がとかげに噛まれちゃった、

「痛てーっ!!(とイタリア語で)」という一瞬の表情をとらえ、見る人を画面の奥へと誘いこむ。静物も、果物が食べられそうな描写。

人間を人間くさく描き、コントラストの強いドラマチックな画で人気を博したカラヴァッジオ。多くの画家が彼を真似し、めざし、超えようとして、多大な影響を受けた。

展示された49点のうちカラヴァッジオの作はたった6点。それもまとめていなくて他の人の絵の中に混じっている。

最初は「混ぜないでほしいなあ」と思ったが、そのうち気にならなくなった。間違うことがないので。

彼の黒が、他の画家と全然違うのだ。

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Caravaggio, 'The Taking of Christ', 1602、The National Gallery of Ireland, Dublin

ジーザスの表情、心底嫌そう(笑・いや笑ってる場合じゃなくて)。右のランタンを持っているのが画家本人だそう。

この漆黒の闇。絵に触ることはできないが、もし手を触れたとしたらずぶっとタールみたいな気持ち悪いものの中にめり込みそう。この黒を出せている人は誰もいなかった。一体どうやって作ったのだろう。

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Caravaggio, 'Saint John the Baptist in the Wilderness', about 1603–4、The Nelson-Atkins Museum of Art, Kansas City, Missouri

荒野でイナゴ食べて生きてた人がこんなきれいと思えないが、美しいので許す。この人も現代のイタリアを歩いていても不思議のない顔つき。

同時代のライバル、ジョヴァンニ・バリオーネの作。

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Giovanni Baglione, The Ecstasy of St Francis, 1601

バリオーネはカラヴァッジオに営業妨害?されたとかで彼に対し訴訟を起こしている。カラヴァッジオも競争心を隠さず。景気がよくて建築・アートブームに沸いていた当時のローマ、絵描き同士の競争は熾烈だったようだ。

カラヴァッジオに感化された後世の画家たち。

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Giovanni Antonio Galli, called Lo Spadarino, 'Christ displaying his Wounds', c.1625–35

ジョヴァンニ・ガッリ(1585 - 1652)。イエス・キリストが一度死んで復活したとき、使徒のひとりトマスが容易に信じなくて、とうとうジーザスが、磔にになったときに槍で刺された傷を見せているの図。ちなみにトマスは傷口に指をつっこんで初めて信じた(笑)。

絵を見ている人が、中のキリストに見られているように感じるところが、カラヴァッジオ的だ。

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Jusepe de Ribera, The Lamentation over the Dead Christ, early 1620s

カラヴァッジオのインパクトはローマにとどまらず、全イタリア、さらにヨーロッパにひろがった。ホセ・デ・リベーラはスペイン人だがナポリで活躍した人。

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Georges de la Tour, The Cheat with the Ace of Clubs, c.1630-34

フランスのジョルジュ・ド・ラ・トゥール(1593 - 1652)はカラヴァッジオに影響を受けつつ独自の作風を確立した。性格が全然違いそうな2人の画家。ラ・トゥールはまちがっても酒場で口論の末に相手をぶん殴ったりしなかったと思う。裏で罠をしかけるタイプ(かな?)。

晩年のこの作も、ひっそり静か。

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Georges de La Tour and Studio, 'Dice Players', c. 1650–1

カラヴァッジオの新しさ、パワーがわかる展覧会。展示されている他の画家の作品も、ただのコピーではなくて十分傑作、楽しめる。

早世が惜しいが、すぐ頭に血がのぼる無謀なタイプだったからこそ、パイオニアになれたのかもしれないですね。

展覧会の紹介:

 

 

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『COLOUR』展@Fitzwilliam Museum

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Adam and Eve in the Garden of Eden
Jean Corbechon, Livre des propriétés des choses
France, Paris, 1414
ARTIST: Master of the Mazarine Hours (active c.1400-1415)

 

創立200年を祝っているケンブリッジ大学のフィッツウィリアム博物館、今年後半の目玉の展覧会に行ってきた。

『COLOUR: The Art and Science of Illuminated Manuscripts』

豪華な挿絵をほどこした装飾写本(イルミネイテッド・マニュスクリプト)を150点も展示、その研究や修復過程、顔料の出産地の地図など、解説も充実している。

11月に同博物館のイベント、当時の挿絵技法の体験ワークショップに申し込んでいる。自分でも「動物をひとつ」描いて持ち帰れるという。それで今回もつい、動物に目がいった。上のアダムとイヴを取り囲む動物たちなど、可愛いのがいろいろ。

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Entry into Jerusalem
Initial D from a Gradual
Italy, Venice, c.1410-1420
ARTIST: Cristoforo Cortese (c.1390-1445)

一点一点手描きで装飾された本(というかテキストも手書き)は聖書から祈祷書、聖歌の楽譜など、贅沢に造ってある。

赤外線やX線で顔料を分析し、丁寧に絵を修復、製本もし直したり、世話している現代人も真剣。

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The Trinity and Christ with patrons
Book of Hours
England, c.1315-1320

これも動物がいっぱい。鹿さん首に矢が刺さってる・・・いてて。なにげに芸が細かい。

細かいといえば、面白かったのがこれ。

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Adoration of the Magi with bas-de-page scene of kickboots game (Hours of the Virgin, Sext)

イエス誕生を祝福する賢者たちの下で――あなたたち、いったい何してんの。

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あ、ほい。

右の人、楽してます?

左の人は審判なのかな。ふくらはぎの筋肉も良いわ、気に入りました。

色は地元の土や植物から、近隣諸国、また遠くの異国から輸入した顔料。本だから日にさらされたりせず、美しさが保存されている。

1枚の絵がすみずみまで面白くて、一度ではとても150点を見きれない。また行くからいいや。なんせ太っ腹の無料なんです。ありがたや。12月30日まで開催。

 

 

 

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クローマーの博物館など

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クローマーの中心街に小さな博物館があったので入ってみた。町の歴史、地質学まで、コンパクトにまとまっている。上の写真はこのへんで取れる半貴石や琥珀の展示。よく見たら琥珀は原石も透けているんですね、次に砂浜で探すときの参考にしよう(笑)。

あの”シシー”・エリザベート・オーストリア皇后がここを訪ねたことがあったそうで。

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当時ヨーロッパ一とも讃えられた美貌。

クローマーに来たころはすでに「暗殺恐怖症」に陥っていて、飲むミルクに毒を入れられないよう、滞在したホテルに牛を連れてこさせ、目の前で乳しぼりをさせたとか・・・スタッフさん大変でしたね。

新発見、女性写真家のOlive Edis(1876 - 1955)。オートクロームのパイオニアであり、ポートレートで有名だそうです。クローマーではなく、近くのシェリンガムにスタジオがあったようだ。

セルフポートレート。

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第一次大戦では戦時アーティストも務めた彼女、ナショナル・ポートレート・ギャラリーにも作品が多数収められている。

ノーフォークの漁師から:

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おじちゃん、いい雰囲気だな〜。

王様まで。

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King George VI, 1920

エリザベス女王のお父さんですね。

かなりの数の作品が見られた。写真で人を撮るには人間力が要ると思う。撮られる人間は写真家を見ているのだから。暖かい、警戒されない人柄だと有利ですね。

今度ロンドンに行ったら、彼女の写真を探してみよう。

いろいろと収穫のあった旅だ。

海辺で拾った小石。

クローマー:

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青いのが欲しくて探したら、模様つきのを発見。

クレイではちょっと変わったのを。

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真ん中の白いのがフクロウに見えてお気に入り。

後ろの海老茶っぽい石も磨いたら面白いかも。

ゆっくり休養できました。次はノーフォークの北西の海岸まで足を延ばそうか。

いや、その前に働かないと〜。

 

 

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ナショナルギャラリー『Painters' Paintings』展

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Italian Woman, or Woman with Yellow Sleeve, by Jean-Baptiste-Camille Corot

 

ナショナルギャラリーの特別展に行った。

Painters' Paintings: From Freud to Van Dyck

画家が、別の画家の絵を買って(あるいは自分のと交換して)手元に置いていた、その絵と画家とのかかわりに注目したもの。たとえば上の写真のコローは、ルシアン・フロイドが大事にしていた。

取り上げた”コレクター”の方の画家はフロイドの他にマティス、ドガ、レイトン、ワッツ、ローレンス、レイノルズ、ヴァンダイク。

フロイドはセザンヌの小品を買って、そこから構図をいただいて大きな作品を描いたりしている。手元に置く絵はインスピレーションの源だ。

ドガも好きだったよう。彫刻の小品を持っていた。

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Portrait of a Woman: Head Resting on One Hand, cast after 1918. Bronze

この展覧会、時代が現代からだんだんさかのぼっていく配置が面白い。最初の部屋がフロイドで、次にマティス、のように並ぶ。

マティスもドガを買っていた。

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Combing the Hair (‘La Coiffure’) 、c. 1896

これ、マティスが持ってたんだー。いかにも好きそうな色使い。

マティスはピカソと同時代で友人だったから、取り換えっこなどしてピカソも数枚あった。

ゴーギャンのこれも、色が良い。

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Young Man with a Flower behind his Ear, Paul Gauguin, 1891

なかなかセクシー。

セザンヌもある。

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Madame Cézanne, 1886 - 1887

セザンヌのことは”絵の神様”のように崇めていて、「とてもじゃないが恐れ多くてお会いすることはできない」と言っていたそう。なんだか可愛いマティス。

さて、ドガのコレクションは非常に充実していて、美術館ができそうなほど。彼の死後に数回に分けて大規模なオークションが開かれた。その中でも重要な作品が並ぶ。

セザンヌがまたあった。

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Paul Cézanne’s Bather with Outstretched Arm (study)

小さいがまぎれもないセザンヌの筆。ドガとは初期印象派展の仲間。ちなみにこの絵は現在はアメリカ人画家のジャスパー・ジョーンズが所有している。セザンヌはとにかく画家に人気。

ゴーギャンの花瓶もあった。これは経済的に成功していない新進の画家を援助する意味もあったようだ。ドガはアート界全体にとって良いことをした。

マネの大作を救ったのも功績。

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The Execution of Maximilian, Édouard Manet, as reassembled by Edgar Degas

画家の死後に切り売りされて散逸しかけていたのをドガが必死で集めた。切ったのはマネの身内だそうですが、ひどいね。

ドガの展示は2室に分かれ、後半は古い作、尊敬していたアングルなどのコレクションが立派だ。

ドガの次からはセザンヌがいなくて寂しい。生まれてなかったからしょうがないが。イギリスの画家フレデリック・レイトンがコローの四季4部作を持っていたり、トーマス・ローレンスがレンブラントの弟子のものを持っていたり、やはり作風や絵の題材が近い人のものが好きだったり、研究したかったりするのだろう。

初代ロイヤルアカデミー会長のレイノルズ、先日ワークショップでヴェネツィア派を高く評価していたと習ったとおり、ベリーニがあった。

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Agony in the Garden, Giovanni Bellini, 1465

アカデミーの展覧会でゲインズバラのこれを買ったそうだ。

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Girl with Pigs, Thomas Gainsborough, 1781-2

可愛い。

ゲインズバラはレイノルズに買ってもらって感激したが、レイノルズは後で気が変わり、「ティツィアーノと取り換えたいなあ」などと言っていたそうな。飽きっぽい?

画家本人の自画像その他の作品もいっしょに展示されていて、集めていた他人の絵と、本人の絵との比較もできる。たいへん興味深い特別展だった。

キュレータの話、ドガのエピソード:

 

 

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BP ポートレート・アワード2016

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Girl in a Liberty Dress by Clara Drummond
Oil on board, 260 x 370mm

 

ナショナル・ポートレート・ギャラリーで開催中のBP Portrait Award 2016

国を問わず、2,500エントリーの中から選ばれた二次元作品。上は受賞作。

友人でアート仲間でもあるKirstyさんの肖像。繊細で落着いたタッチ。

ドアップ。というか絵自体が大きい。↓

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Jean by Jean-Paul Tibbles

息子の名前がジャンで、お父さんがジャン=ポール。14〜5歳だそうだが大人っぽい子ですね。父である画家を見返す目つきが良い。

家族・友人を描いた作が圧倒的に多いが、こんなのもあった。

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Unfolding by Martin Brooks
モデルのStewartは、画家の奥さんが通りで発見して、いいモデルになる、と直感したとか。奥さん鋭いわ。

動きのあるのは面白い。

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Régis by Christophe Therrien
画家は舞台美術の仕事をしているそうだ。モデルは友達。

「はいそこで、止まってろ」

「え!ここでかよ」みたいな。

こちらはカリフォルニアかな、の広々とした背景。

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I.Crow X by Noah Buchanan

 

毎回そうですが、わけわからん抽象だったりするのはなく、オーソドックスにていねいな具象の路線が主流。実力ある画家たちの作品が並んで、いろんな発見がある。描かれているのが人間だけに、モデルの中身や画家との関係にも興味がわく展覧会だ。

 

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