英ミステリのフランス版、『La Cérémonie』など

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英作家の原作小説をフランスで映像化した作品を2つ見たので覚え書き。もちろんロシア語ボイスオーバーで見た、あはは。

最初のはアガサ・クリスティのポアロもの『Peril at End House(邦題:邪悪の家)』を原作にした「La Maison du péril」(2009)、これはテレビのPetits Meurtres d'Agatha Christieシリーズの4話目。

これもポアロは出てこなくて、代わりにフランス警察のラロジエール警視が事件を解決する。もしかしてベルギー人のポアロのキャラはフランスでは使いにくいのかな。

Antoine Duléry : le commissaire Jean Larosière
Marius Colucci : l'inspecteur Émile Lampion

この2人はシリーズ通して主役のよう。他にキャストは:

Elsa Kikoïne -- Joséphine dite « Jo »
Gilian Petrovski -- Abel
Juliette Coulon -- Suzanne
Éric Naggar -- Paul
Clémentine Poidatz -- Eléonore

ラロジエール警視が、命を狙われているらしいお屋敷のジョセフィーヌに会ったとたんに「あなたは何て美しいんだ」と口説き始めたのはびっくりだ。惚れちゃったらしい。

あんた、何してんの。

休暇中の部下エミルを無理矢理呼び出して召使のようにこき使ったり(鶏を絞めたりの下働きw)、原作にない場面がたくさんあって、もしかしてこっちの方が面白いかも。何というかひと昔の日本のベタなサスペンスドラマの香りがして笑えた。ラストは当然、崖っぷちシーンだった!

もうひとつはもっと真面目で、シリアスな映画『La Cérémonie』(1995)。

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Directed by Claude Chabrol

<Cast>

Sandrine Bonnaire -- Sophie
Jacqueline Bisset -- Catherine
Isabelle Huppert -- Jeanne

原作がルース・レンデルの『A Judgement in Stone(ロウフィールド館の惨劇)』ということもあり、骨格がしっかりしている。ちなみに作者もこの映画を気に入ったそう。

人里離れた裕福な家に雇われた家政婦のソフィーは料理もうまく、女主人で画廊経営をするカトリーヌほか、趣味の良い4人家族に気に入られる。でもソフィーには秘密があった。字が読めない。文盲ということではなく、ディスレクシアという症状のようだ、がそれを必死に隠している。バレそうなときは何とかごまかす。家の人は親切で、車の免許がないなら援助するから教習を受ければなど言ってくれるのだが。

劣等感をこじらせ、教養あるブルジョワ家族への黒い感情が育っていく。最寄りの村で郵便局員のジャンヌと知り合って友達になるが、ジャンヌがまた悪影響。この人、陽気で楽しい性格なのだが、気に入らないやつの郵便を捨てちゃったりする無責任な、どこか普通でないところがある。

問題解決に一風変わった手段を用いるこの2人が意気投合するうちに、壮絶な惨劇が起こる、という後味の悪い話。

同じ人間なのに深い溝がある。それはブルジョワとビンボー人というだけでなく、人間としてノーマルな人と”逸脱した”人との、分かりあえない隔たりだ。

サンドリーヌ・ボネールとイザベル・ユペールの演技が冴えている。分からない人間を観客が納得できるように演技するプロだ。

犯人の心理をもっと知りたいので原作にあたりたいところだが、今レンデルは別なのを読んでいて、これもヘビー。続けては読みたくないかも。

 

 

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『Le grand alibi』(華麗なるアリバイ)

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念願の(大げさ)フランス映画『Le grand alibi』(2008年)を見た。ロシア語ボイスオーバーだけど。ロシア語だとポスターのように「Большой алиби」=でかいアリバイ。アリバイは外来語なので中性名詞なんですね。邦題は「華麗なるアリバイ」だそうです。

Directed by Pascal Bonitzer
<Cast>
Pierre Arditi -- Henri Pages
Miou-Miou -- Éliane Pages
Lambert Wilson -- Pierre Collier
Anne Consigny -- Claire Collier
Valeria Bruni Tedeschi -- Esther Bachmann
Mathieu Demy -- Philippe Léger
Caterina Murino -- Léa Mantovani
Céline Sallette -- Marthe

アガサ・クリスティーの『The Hollow』(ホロー荘の殺人)を土台にしながら、かなり原作と違い、フレンチ・テイストに仕上がっている。

週末、ある議員の邸宅に招かれた客のうち、医師のピエールが銃で殺される。プールサイドに倒れた彼のそばにはピストルを持った妻のクレールが呆然として立ち、そのそばには友達の彫刻家、だけど実はピエールの愛人のエステルが。

ピエールは女癖が悪かった。妻クレールがおっとり不用心なのをいいことに、ガールフレンドがわんさか。前夜にも元恋人で女優のレアまでパーティに乱入してアヤシイ雰囲気になっていたところ。

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(隣りはレアではなく議員の親戚のマルト)

イケメンでエリート医師ですから、モテるよね。しょうがないじゃん。でも最後にバチが当たったわけです。

持っていたピストルはピエールを撃った銃弾に合わないことが判明し、妻は釈放されるけど、他に愛人たち、愛人のひとりを好きな男とか、その男を好きな女とか、疑える人物多数。

映画にはポアロは出てこない。そのうちに原作にはない第二の殺人が!さらに次の未遂事件も。

痴情のもつれで一人の犠牲者で済むはずない、というフランス的解釈の結果かと・・・?

俳優陣も豪華、ビジュアル的に美しくできていて楽しめた。みんな着ているものがお洒落。真犯人の可憐な暴走も怖いが理解できて、映画としてうまい作品だなと思った。ランベール・ウィルソンが殺されちゃうので後半出てこないのが残念ですが。

トレイラー:

 

 

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『Alone in Berlin』

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実話を元にハンス・ファラダ(「 Nightmare in Berlin 」の作者)が書いた遺作、1947年の『Jeder stirbt für sich allein』(ベルリンに一人死す)が今世紀になって英訳され、映画化されたもの。ドイツ語圏では数回ドラマなどになっている。邦題は「ヒトラーへの285枚の葉書」だそう。

『Alone in Berlin』 2016

Directed by Vincent Pérez

Emma Thompson -- Anna Quangel
Brendan Gleeson -- Otto Quangel
Daniel Brühl -- Escherich
Mikael Persbrandt -- SS Officer Prall
Katharina Schüttler -- Claire Gehrich
Louis Hofmann -- Hans Quangel

オットーとアンナはベルリンに住むごく普通の庶民。まだ21歳の一人息子が戦死したとき、ヒトラーのやり方に疑問を抱くようになる。絵葉書にメッセージを書いてこっそり配るという小さな抗議行動を始める。

「わたしの息子はヒトラーに殺された。あなたの息子もそうなるだろう」というようなシンプルな言葉から始め、コツコツと書いてはアパートの階段に置くなどしたカードの数は2年間で300枚近く。

そのほとんどはゲシュタボに渡される。事件を捜査するのがエッシェリヒ。ナチス党員ではなく、警察としてプロ意識のある捜査官だ。

ちゃんと順を追って仕事しているのに「早く捕まえろ」とナチにぶん殴られたりする。ひどい。

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(相変わらず可愛いダニエル・ブリュール)

ハガキの発見場所を地図に記録し、電車のどの線を使っているか割り出し、文言の特徴から人物像を特定していく。

個人が始めた地味な抗議活動、組織があるわけでもなく、やはりいつかは捕まりますね。

しかし報告されなかったハガキ(わずか18枚)以外、メッセージをすべて読んだのがエッシェリヒだったことになる。

当時の状況では当然、夫婦に明るい未来はないけど、息子を失い、その後いっしょに抵抗運動をすることで絆が強まった二人の静かな愛情がきれいだ。

周りがどうだろうと「やっぱりおかしい」と思って、さらに行動する、これは簡単なことではない。工場で働くオットーと、ナチスの婦人会に入っていたアンナの”目が覚めた”ことが尊いと思った。主役二人のトーン低め、地味な演技がすばらしい。

実際の夫婦はOtto HampelとElise Hampel、亡くなったのは息子でなくエリーゼの兄(か弟)だったとのこと。ベルリンの二人の住まい跡には記念のプレートが貼ってある。

原作はそのうち読みたいが、気力のあるときにしよう。

日本版のサイトはここ。東京ではもう公開してますね。

トレイラー:

 

 

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映画「クトゥーゾフ」1943年

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もうすぐ出席するロシア語中級講座の宿題がきて、中にプーシキンの「エヴゲーニー・オネーギン」のモスクワに関する一節を訳すというのがある。ナボコフの決定版英訳を持っているので、つい書き写したくなるが、見ないようにしてますw

その部分は、タチアーナがモスクワの社交界に送られたところで語り手プーシキンがモスクワへの思いをつづるところ。1812年、ロシアに攻めこんだナポレオンがモスクワに入城!したものの都はもぬけの殻、ロシア軍が自ら放った火でぼうぼう燃えていた・・・というくだり。恋愛の話だけじゃないのです「オネーギン」、脱線が面白いの。

そこでロシア・K(カルチャー)チャンネルのアーカイブから、1943年の古いモノクロ映画「クトゥーゾフ」を見てみた。

『Кутузов』

Режиссёр -- Владимир Петров

<В главных ролях>
Алексей Дикий — генерал - фельдмаршал Михаил Илларионович Кутузов

Николай Охлопков — генерал от инфантерии Михаил Богданович Барклай-де-Толли

Семён Межинский — император Наполеон Бонапарт.

ミハイル・イラリオーノヴィチ・ゴレニーシチェフ=クトゥーゾフ公爵は1812年にナポレオンのロシア遠征を迎え撃った総司令官。ボロジノの戦いで大激突し、両軍合計10万人近くの死者を出すが決着がつかず。

モスクワを明け渡すと見せてナポレオン軍を引きこみ、包囲。そのうち「ロシアの冬」(神風と同義)が来てあきらめて撤退する仏軍を猛追してすごい勢いで追い出した。という英雄。

とめどなく広い国土の奥に誘いこんで冬を待てば、だいたい勝てるロシアである。

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仏頂面のナポレオン。

「モスクワを失っても、ロシアは失われない」と周囲を説得するクトゥーゾフ将軍、終始落着いて戦局を把握している。実際はどうだったのかは、わからないけど。

この映画が封切されたのは1943年、まだ第二次世界大戦の真っただ中。ソ連がドイツ軍に対して巻き返し、どんどん領土を奪回していた年だが、作っていたのはもっと前だったわけで、戦争で苦しくてもこうして映画を作っていたんだなあ、と思う。プロパガンダの意味はもちろんあるだろう。それにしてもかなり物資も人間も投入して大作を撮ったものだ。

この1812年の戦いは祖国戦争(Отечественная война)と呼ばれ、1941年6月22日から1945年5月9日の対独戦は大祖国戦争(Великая Отечественная война)と呼ばれる。祖国戦争の名がついたのはこの2つだけ。

↓ ロシアKチャンネルのページ。イギリスからは普通に見られます。ありがたい。

Кутузов. Х/ф

 

 

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『Hokusai』大英博物館@映画館

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『冨嶽三十六景』「神奈川沖浪裏

大英博物館で葛飾北斎(1760 - 1849)の大規模な展覧会が開催されている(8月13日まで)。

Hokusai -- beyond the Great Wave

もちろん予約した。その前に、映画館でこの展覧会にちなんだドキュメンタリーが上映されたので見に行く。

Producer & Director -- Patricia Wheatley

北斎といえばこの大波、日本人でなくても知っている、ほとんどモナリザやムンクの「叫び」と同じくらい有名な絵だ。この展覧会、そしてドキュメンタリーでは、北斎がこの波以後も、歳をとるごとにどんどん腕を磨いて傑作を描いていたことを紹介している。

NHKとの共同制作なので日本の映像も多く、実際に木版を掘ったり、芸大の学生が模写して見せたり、興味深い映像ばかりでためになった。

貧しい生まれだが小さいころから絵が好きで、浮世絵師として成功。破産したり火事で焼け出されたり、豊かではなかったが全然気にせず、90歳まで芸術に邁進。すごい画家だ。

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『冨嶽三十六景 尾州不二見原』 北斎改為一筆(葛飾北斎画)

自分も庶民だから働く人や町の人の登場が多く、活き活きしている。構図も斬新。

そして絵に動きがある。

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Poppies. Colour woodblock, 1831-1832

ちょっと「波」に似ているリズム。

イギリスの一流美術評論家が解説したり、こちらも長寿画家デヴィッド・ホックニーが、「北斎はすごい画家です。ぼくも長生きしてがんばりたいが、彼ほどには描けないけどね」と謙遜したりしている。

版画で大量生産されていたから、蕎麦2杯分で誰でも買えた。「たいへん民主的な芸術だ」と解説者が言っていたのが印象的。

そして版画の質が悪かったからべたっと赤くなった「赤富士」が有名になっているが、本当はあれはもっと薄い、ピンクの富士だったとか、聞いたことがあったような。今回スイスの収集家から借りて質の良い版を展示しているそうだ。

長年北斎を研究してきた人(名前失念)が今回ついに大英博物館での展覧会を実現させた。彼が感激屋さんでしょっちゅうウルウルしているのが可愛かった。少なくとも3回は声をつまらせていた。感無量なんでしょうね。

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Weeping cherry and bullfinch. Colour woodblock, c. 1834.

こういう空間のとり方とか、さかさまの鳥、すごいわー。

役者絵を描き、小説の挿画や漫画を描き、西洋画も研究した北斎、「この調子で110歳までいけばまともな絵が描けるかな」と言っていた、前向きさがすばらしくて元気が出る。地元映画館の2番目に大きいスクリーンは満員、人気を物語っている。

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『富士越龍図』(死の3か月ほど前の肉筆画)

辞世の絵でしょうか、実物を早く見たい。
トレイラー:

 

 

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アレクサンドル・ネフスキー

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近々、週末2日半ほどのロシア語集中講座に行く予定。モスクワ、サンクトペテルブルク2都市がテーマということで、ロシア史を調べている。

しかしまだモスクワにさえたどりつかない。先日テレビのドキュメンタリーで、アレクサンドル・ネフスキー(Александр Ярославич Невский, 1220 - 1263)をチェック。ノヴゴロド公であり、スウェーデンの侵攻をネヴァ河畔の戦い(1240)で阻止、ドイツ(ドイツ騎士団)の侵攻を、チュド湖上の戦い(1242)で撃退した、中世の英雄だ。20歳やそこらですごいね、天才武将だ。

チャンネル1のドキュメンタリー『Александр Невский. Между Востоком и Западом』では、700年後に第二次世界大戦でまたドイツに攻められたとき、スターリンがネフスキーを持ちだして徹底抗戦を鼓舞したエピソードを紹介していた。

ネフスキーというのはネヴァ河畔の戦いで勝ったことを記念に後世の人がつけた名だそうです。

さてこの人といえば、エイゼンシュタインの1936年のモノクロ映画「アレクサンドル・ネフスキー」。初めて見た。

Режиссёр -- Сергей Эйзенштейн

Композитор -- Сергей Прокофьев

<В ролях>

Николай Черкасов — князь Александр Ярославич Невский

ネフスキー役は、ニコライ・チェルカーソフ。(上の写真の人)

映画はドイツ騎士団との戦いに焦点を当てていた。

いわゆる北方十字軍、ドイツ騎士団はロシア正教も異教徒とみなして攻撃してきたわけです。ノブゴロドの近隣プスコフは降伏。ノブゴロドは政治的ごたごたで追放していたネフスキーにわびて帰ってきてもらってドイツに抗戦する。クライマックスがチュド湖上の戦いの1日。

ドイツがまるで狂信的な悪の軍団!戦争映画だからしょうがないですが。

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なんだこのカブトは。こんなのありません。第一次大戦のドイツ軍のヘルメットへのあてこすりです。後ろのバケツみたいなのは・・・いいのかな。ずれたら見えなくて大変。

噂に聞いていたすばらしいカメラワークは堪能した。構図が斬新でダイナミック。また、音楽担当のプロコフィエフは、映画用音楽を編集して、カンタータに作りなおしている。

ラストのネフスキーの決めゼリフは「Кто с мечом к нам придет, от меча и погибнет!」(剣をもって我らに向かってくる者は、剣によって滅びるであろう)。

もうひとつ、21世紀になってからの映画。

『Александр. Невская битва』(アレクサンドル ネヴァ河畔の戦い)2008年。

Режиссёр -- Игорь Каленов
<В ролях>
Антон Пампушный — князь Александр Ярославич
Светлана Бакулина — княжна Александра Брячиславна
Игорь Ботвин — Ратмир

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あら、イケメン♪

ネヴァ河での戦闘のほか、モンゴルも近くまで迫っていて、あっちもこっちも守らねばならない。

これはアクション映画っぽく、重厚さはなく、カッコよく作っているエンターテインメント。

あまり歴史の勉強になったような気がしないが、記憶には残るかな。

トレイラー:

 

 

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『Он вам не Димон』メドヴェージェフ首相の汚職告発動画(映画)

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会社で他の部署にロシア人とウクライナ人がいて、給湯室で仲良く2人でしゃべっていたりする。国同士の諍いは個人には関係ない。わたしもたまに混ぜてもらうが、じきに会話が英語に切り替わってしまう。情けない。

ウクライナくん(適当なあだ名)に教えてもらったドキュメンタリー、今年の3月に動画サイトにアップされて、今までに2100万人が見た『Он вам не Димон』(彼はあなたたちのジーモンではない)。ロシアのドミートリー・メドヴェージェフ首相の汚職をあばいたもの。タイトルの中のジーモンはドミートリーのごく親しい愛称で、気安く呼ぶな、ということですね。

制作はФонд борьбы с коррупцией (反・腐敗基金)、ナレーターは腐敗摘発活動をしている若手政治家Алексей Навальный(アレクセイ・ナヴァーリヌイ)がつとめる。

綿密な調査で、自ら「汚職を排除しよう」と言っているメドヴェージェフ首相が実は隠し財産を増やし、モスクワに大邸宅、ペテルブルクに高級マンション、秘密の別荘、さらにイタリア、トスカーナにワイナリーを持っていることを暴露している。あ、そうそうヨットももちろん。家族や大学の同級生のネットワークを使って本人の名前が出ないように表向きの会社を作っている様子が証拠とともに解説される。モスクワ郊外のお城のような大邸宅は、あるオリガルヒからのプレゼントだそう。

まだロシア語字幕つきで一度しか見ていないので、完全には理解してませんが(英語字幕でも話がわからないかもだが)、信憑性ある。

わりと文化人な趣のある穏やかそうな首相だけど、やっぱりヨットとか欲しいんですかねー。

「ロシアにはお金はたくさんあるんだ。でも貧しさに苦しんでいる人がたくさんいる。それはお金の分配が偏っているからです」と熱く語るナヴァーリヌイ。オフィシャルなマスコミは完全無視したようだが、このドキュメンタリーに触発されたデモも起き、波風は立ちはじめた。

「見たよー、すごいね」とウクライナくんに言ったら、

「あれがロシアさ」とクールな返答がかえってきた。

ナヴァーリヌイはこの4月に(さっそく?)何者かに顔に化学薬品をぶっかけられたそうだ。恐ろしい。生き延びてくださいよ。

最初の方、英語吹き替え。

 

興味ある方は、”Он вам не Димон”で動画サイトを検索すればこちら↓が出て来る。英語字幕も出るので、よかったらどうぞ:

 

 

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ドラマ「アンナ・カレーニナ」ロシア・チャンネル1

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月曜から毎日、夜に帰宅するなりロシア・チャンネル1をつけている。去年から首を長くして待っていたドラマ「アンナ・カレーニナ」がついに放送されている。

しかも1晩2話ずつ、月〜木で一気に8話完結までやってしまうという無茶ぶり。怒涛のアンナ祭り。

『Анна Каренина』

Режиссёр -- Карен Шахназаров

<В ролях>
Елизавета Боярская — Анна Аркадьевна Каренина
Максим Матвеев — Алексей Кириллович Вронский, граф, полковник
Виталий Кищенко — Алексей Александрович Каренин
Кирилл Гребенщиков — Сергей Алексеевич Каренин
Иван Колесников — Стива Облонский
Виктория Исакова — Долли Облонская

でも写真↑が何だかヘンですよね。こんな場面あったっけ?

実はこのドラマ、おなじみレフ・トルストイの名作に、ヴィケンチー・ヴェレサエフ(Вересаев, Викентий Викентьевич、1867〜1945)の«Рассказы о японской войне»(日露戦争の話)をくっつけたもの。写真の人はセルゲイ・カレーニン。そう、アンナが家に置いてきた愛息子のセリョージャ(当時8歳くらい)が成人し、軍医として満州で働いているのだった。そこへ、負傷して運ばれてきたのが50代になったヴロンスキー伯爵という設定。あんた、生きてたの。

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ヴロンスキー(昔の)。

負傷兵の世話や手脚の切断手術で毎日忙しいセルゲイ医師だが、暇をみつけてはヴロンスキーのベッドへやってきて、

「なぜ母がああいう死に方をしたのか、教えてください」という。子供だったからきちんと教えてもらっていないだろうし、父や周囲に何と説明されたかわからないが、納得していないのだろう。幸い命に別状ないヴロンスキーが昔話をする、という設定。

政府高官の妻アンナ・カレーニナが若い将校ヴロンスキーと恋に落ちて家庭を捨てるが、貴族社会から冷遇され、何より愛する息子と離ればなれになって精神が不安定に、そして不幸な結末を迎える。

ちょっと2話を見逃したら、3話ではすでに、離婚するなら息子を取られる、と重苦しい雰囲気になっていた。幸せな時間は一瞬だった〜。

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アンナを演じるエリザヴェータ・ボヤルスカヤ。ややイメージとは違うけど、美貌です。わりに声にドスがきいている。ヴロンスキーのマキシム・マトヴェエフは実生活の旦那さん。美男美女夫婦だが、やりにくくないかな。プロだから切り替えるのでしょう。

ドラマはトルストイの本通り進行、ただし田舎の地主リョービンの話は一切なし。アンナに集中している。ヴロンスキーがいない場面もあるけど、アンナがくわしく話していたのかな。まあそのへんは突っ込まないでおこう。

今のところ、満州の野戦病院がどう生きてくるのかわからない。「セリョージャ」とヴロンスキーの関係は円満な和解になるのか。2人とも日本軍の攻撃でXされちゃうとか(まさか)。残るはあと2話です。

チャンネル1の宣伝がすごくて、うるさいほどたくさんあるトレイラーのひとつ:

 

 

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『Dancer』

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バレエ・ダンサーのセルゲイ・ポルーニン(1989 - )を追ったドキュメンタリー映画。ロンドンとの中継で、映画の後に本人のパフォーマンスとインタビューもついた企画。

Director: Steven Cantor
Stars: Sergei Polunin, Jade Hale-Christofi

ウクライナ共和国(ぎりぎりソ連)生まれのポルーニンは13歳でロイヤル・バレエ学校に入学、2009年には史上最年少の19歳でプリンシパルに出世して活躍、なのに2012年1月、突然退団して騒ぎになる。不良ダンサーと呼ばれたりした。映画はその頃から撮影が始まり、5年かけて完成したもの。

彼の退団は驚いたが、わたしは「ん〜、反抗期?」なんて軽く考えていた。本人の悩みは相当深かったことを知った。

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ウクライナの田舎町で生まれたセルゲイ、赤ちゃんの時に彼の体をチェックしていた看護師さんが、股関節がどこまでも開くのでビビったそうだ。最初から並外れて柔軟だった。小さいころから体操教室、その後ダンスのクラスへ。

(この地方都市に息子の未来はない)と考えていたお母さん、バレエの道で行けそうなセルゲイと共に首都キエフに移ってバレエ学校に(ザハロワも通ったところ)。そこでもやはり、どのクラスでも一番できるセルゲイを見て、外国に出そう、と決意したそう。孟母三遷。

彼の才能は最高の場所を要求した。けれど家の経済力はそれに見合っていなくて、お父さんはポルトガルに、お祖母さんまでギリシアに出稼ぎに行ってセルゲイの留学を支える。

英語も話せない状態で学校に入ったセルゲイ、家の期待にも応えたく、人一倍練習した。が、離れて暮らしているうちに家族は壊れてしまう。父と母が離婚。まるで自分のせいみたいに。あんまりだ。

子供のころからの映像も入れながら、ただ楽しいだけだった踊りが重く、若い体にのしかかってきた過程が描かれ、急にキレたようにロイヤルを辞めたのも、ついに限界だったように思える。

その後はロシアで、テレビの若手ダンサーのコンテスト番組(大バレエ)に出るところから始めたとは知らなかった。スタニスラフスキー&ネミロヴィチ=ダンチェンコ劇場で良いメンターと会い、コンテンポラリーも踊り、新たなキャリアを築きつつある。

特異な才能を持った人の苦悩というものが、ちょっとは理解できるような。随所に挿入される踊りの場面の彼は、どの段階のどの役でもすごい。

YouTubeで1900万回近く再生されている『Take Me to Church』も映画の中で見られる。

ロンドンの会場では映画の後にポルーニンが出て来てこれを踊り、その後Q&Aに答えた。インタビュアーや会場の聴衆からだけでなく、ツイッターからの質問にも答える。

これからも踊ってくれますか、というファンの問いに、最近やっとまた踊りが楽しくなってきたので、これからも踊るだろうとのこと。

母世代の女性からは、子育てについての質問も。それには、「バランスが大事だと思う。才能があるなら伸ばしてあげるといいが、本当に子供が好きでやっているか確認して」と答える。でも母に厳しくバレエをさせられなかったら、

「犯罪者になってたかな〜」とぼそっと言っていた(笑)。

自分が苦労したことから、若いダンサーの精神的なサポートも含めたマネジメント・システムを作っているところだと言う。過去から学んで何かをつかんでいるところが立派だ。

「映画も好きなようですが、バレエにしてみたい映画ってありますか?」と聞かれ、

「えーそれは難しい質問。わからないな」と言ってから、「・・・ランボー?」とつぶやいて笑わせてくれた。それだけはやめて。

まだ27歳なのに、かなり悟りをひらいたように見える彼、さらに大物になってバレエでもそれ以外でも活躍することだろう。

ドキュメンタリーは日本でも夏に公開のようです。

 

 

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マーレン・アーデ監督 『Toni Erdmann』

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また夜の内職が始まってあまり時間がないわりに、遊びには行っている。

ケンブリッジ映画祭でドイツ/オーストリアのコメディ映画『Toni Erdmann』を見た。

Directed by Maren Ade

<Cast>

Peter Simonischek as Winfried Conradi / Toni Erdmann
Sandra Hüller as Ines Conradi
Lucy Russell as Steph
Michael Wittenborn as Henneberg
Thomas Loibl as Gerald
Trystan Pütter as Tim

ヴィンフリートは音楽の先生だがそんなに忙しくない。引退間近かな。エキセントリックな性格で、プラクティカル・ジョークの度がすぎる、ヘンなおじさん。

スーパー・シリアスにビジネスの世界で活躍する娘イネスに会うために、ルーマニアのブカレストにアポなしで訪れる。

イネスはコンサルタントとしてクライアントと最後の詰め段階、ストレス度マックスだっていうときに突然、母と離婚した父ちゃんが現れて仰天。気をとりなおして穏便にやり過ごそうとするのに、ヴィンフリートはクライアントのお偉いさんに、

「娘があんまり忙しくてかまってくれないから、代理の娘を雇ったんですよ、これが良い娘でね、足の爪も切ってくれるの」とかアヤしい話をしている。ぎゃーやめて。

数日かまって、やっと帰したと思ったら、父は今度はカツラと入歯で変装し、

「トニ・エルドマンです、コンサルタントでライフコーチ」と再登場。

全く違う世界で生きている父親のおかげで、こっちの現実にヒビが入りそう。娘のキャリア=人生を壊すつもりなのか??それでも何とかつきあう優しい娘のイネスもだんだん自棄になり、キレてくる。

そのキレ方が、「おお〜そっち行くか!」と感心する突拍子もないもので、さすが父のDNAが入っている。素質あったのね。

非常に真面目な顔つきのザンドラ・ヒュラーが真剣な表情のままとんでもない行動に出るのが可笑しく、父のボケとの間合いが絶妙で、笑ったのなんの、涙と鼻水が出て呼吸困難になりそうだった。会場が悲鳴とヒステリックな笑い声で満ちるという、ドイツ映画には珍しい反応。ああ、腹痛い。

根本は父の「そんな出世のためにあくせくしてないで、今という時間を楽しまないと、人生なんてあっという間に終了だぞ」という愛のある心配なのだ。いつ離婚したのか知らないが、娘が小さいころにはいっしょに楽しく遊んで可愛がっていたことがうかがえる。なのでラストでは和解にいたる。あまり深刻な確執の話でなくてよかった。

映画祭でのドイツ語作品、あとは「レーダーホーゼン・ゾンビの襲撃」なんてオーストリア映画もあったんだけど、さすがに行く時間がなかった。そのうちいつか。

 

US版トレイラー:

 

 

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