ドラマ「アンナ・カレーニナ」ロシア・チャンネル1

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月曜から毎日、夜に帰宅するなりロシア・チャンネル1をつけている。去年から首を長くして待っていたドラマ「アンナ・カレーニナ」がついに放送されている。

しかも1晩2話ずつ、月〜木で一気に8話完結までやってしまうという無茶ぶり。怒涛のアンナ祭り。

『Анна Каренина』

Режиссёр -- Карен Шахназаров

<В ролях>
Елизавета Боярская — Анна Аркадьевна Каренина
Максим Матвеев — Алексей Кириллович Вронский, граф, полковник
Виталий Кищенко — Алексей Александрович Каренин
Кирилл Гребенщиков — Сергей Алексеевич Каренин
Иван Колесников — Стива Облонский
Виктория Исакова — Долли Облонская

でも写真↑が何だかヘンですよね。こんな場面あったっけ?

実はこのドラマ、おなじみレフ・トルストイの名作に、ヴィケンチー・ヴェレサエフ(Вересаев, Викентий Викентьевич、1867〜1945)の«Рассказы о японской войне»(日露戦争の話)をくっつけたもの。写真の人はセルゲイ・カレーニン。そう、アンナが家に置いてきた愛息子のセリョージャ(当時8歳くらい)が成人し、軍医として満州で働いているのだった。そこへ、負傷して運ばれてきたのが50代になったヴロンスキー伯爵という設定。あんた、生きてたの。

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ヴロンスキー(昔の)。

負傷兵の世話や手脚の切断手術で毎日忙しいセルゲイ医師だが、暇をみつけてはヴロンスキーのベッドへやってきて、

「なぜ母がああいう死に方をしたのか、教えてください」という。子供だったからきちんと教えてもらっていないだろうし、父や周囲に何と説明されたかわからないが、納得していないのだろう。幸い命に別状ないヴロンスキーが昔話をする、という設定。

政府高官の妻アンナ・カレーニナが若い将校ヴロンスキーと恋に落ちて家庭を捨てるが、貴族社会から冷遇され、何より愛する息子と離ればなれになって精神が不安定に、そして不幸な結末を迎える。

ちょっと2話を見逃したら、3話ではすでに、離婚するなら息子を取られる、と重苦しい雰囲気になっていた。幸せな時間は一瞬だった〜。

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アンナを演じるエリザヴェータ・ボヤルスカヤ。ややイメージとは違うけど、美貌です。わりに声にドスがきいている。ヴロンスキーのマキシム・マトヴェエフは実生活の旦那さん。美男美女夫婦だが、やりにくくないかな。プロだから切り替えるのでしょう。

ドラマはトルストイの本通り進行、ただし田舎の地主リョービンの話は一切なし。アンナに集中している。ヴロンスキーがいない場面もあるけど、アンナがくわしく話していたのかな。まあそのへんは突っ込まないでおこう。

今のところ、満州の野戦病院がどう生きてくるのかわからない。「セリョージャ」とヴロンスキーの関係は円満な和解になるのか。2人とも日本軍の攻撃でXされちゃうとか(まさか)。残るはあと2話です。

チャンネル1の宣伝がすごくて、うるさいほどたくさんあるトレイラーのひとつ:

 

 

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『Dancer』

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バレエ・ダンサーのセルゲイ・ポルーニン(1989 - )を追ったドキュメンタリー映画。ロンドンとの中継で、映画の後に本人のパフォーマンスとインタビューもついた企画。

Director: Steven Cantor
Stars: Sergei Polunin, Jade Hale-Christofi

ウクライナ共和国(ぎりぎりソ連)生まれのポルーニンは13歳でロイヤル・バレエ学校に入学、2009年には史上最年少の19歳でプリンシパルに出世して活躍、なのに2012年1月、突然退団して騒ぎになる。不良ダンサーと呼ばれたりした。映画はその頃から撮影が始まり、5年かけて完成したもの。

彼の退団は驚いたが、わたしは「ん〜、反抗期?」なんて軽く考えていた。本人の悩みは相当深かったことを知った。

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ウクライナの田舎町で生まれたセルゲイ、赤ちゃんの時に彼の体をチェックしていた看護師さんが、股関節がどこまでも開くのでビビったそうだ。最初から並外れて柔軟だった。小さいころから体操教室、その後ダンスのクラスへ。

(この地方都市に息子の未来はない)と考えていたお母さん、バレエの道で行けそうなセルゲイと共に首都キエフに移ってバレエ学校に(ザハロワも通ったところ)。そこでもやはり、どのクラスでも一番できるセルゲイを見て、外国に出そう、と決意したそう。孟母三遷。

彼の才能は最高の場所を要求した。けれど家の経済力はそれに見合っていなくて、お父さんはポルトガルに、お祖母さんまでギリシアに出稼ぎに行ってセルゲイの留学を支える。

英語も話せない状態で学校に入ったセルゲイ、家の期待にも応えたく、人一倍練習した。が、離れて暮らしているうちに家族は壊れてしまう。父と母が離婚。まるで自分のせいみたいに。あんまりだ。

子供のころからの映像も入れながら、ただ楽しいだけだった踊りが重く、若い体にのしかかってきた過程が描かれ、急にキレたようにロイヤルを辞めたのも、ついに限界だったように思える。

その後はロシアで、テレビの若手ダンサーのコンテスト番組(大バレエ)に出るところから始めたとは知らなかった。スタニスラフスキー&ネミロヴィチ=ダンチェンコ劇場で良いメンターと会い、コンテンポラリーも踊り、新たなキャリアを築きつつある。

特異な才能を持った人の苦悩というものが、ちょっとは理解できるような。随所に挿入される踊りの場面の彼は、どの段階のどの役でもすごい。

YouTubeで1900万回近く再生されている『Take Me to Church』も映画の中で見られる。

ロンドンの会場では映画の後にポルーニンが出て来てこれを踊り、その後Q&Aに答えた。インタビュアーや会場の聴衆からだけでなく、ツイッターからの質問にも答える。

これからも踊ってくれますか、というファンの問いに、最近やっとまた踊りが楽しくなってきたので、これからも踊るだろうとのこと。

母世代の女性からは、子育てについての質問も。それには、「バランスが大事だと思う。才能があるなら伸ばしてあげるといいが、本当に子供が好きでやっているか確認して」と答える。でも母に厳しくバレエをさせられなかったら、

「犯罪者になってたかな〜」とぼそっと言っていた(笑)。

自分が苦労したことから、若いダンサーの精神的なサポートも含めたマネジメント・システムを作っているところだと言う。過去から学んで何かをつかんでいるところが立派だ。

「映画も好きなようですが、バレエにしてみたい映画ってありますか?」と聞かれ、

「えーそれは難しい質問。わからないな」と言ってから、「・・・ランボー?」とつぶやいて笑わせてくれた。それだけはやめて。

まだ27歳なのに、かなり悟りをひらいたように見える彼、さらに大物になってバレエでもそれ以外でも活躍することだろう。

ドキュメンタリーは日本でも夏に公開のようです。

 

 

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マーレン・アーデ監督 『Toni Erdmann』

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271016-1

また夜の内職が始まってあまり時間がないわりに、遊びには行っている。

ケンブリッジ映画祭でドイツ/オーストリアのコメディ映画『Toni Erdmann』を見た。

Directed by Maren Ade

<Cast>

Peter Simonischek as Winfried Conradi / Toni Erdmann
Sandra Hüller as Ines Conradi
Lucy Russell as Steph
Michael Wittenborn as Henneberg
Thomas Loibl as Gerald
Trystan Pütter as Tim

ヴィンフリートは音楽の先生だがそんなに忙しくない。引退間近かな。エキセントリックな性格で、プラクティカル・ジョークの度がすぎる、ヘンなおじさん。

スーパー・シリアスにビジネスの世界で活躍する娘イネスに会うために、ルーマニアのブカレストにアポなしで訪れる。

イネスはコンサルタントとしてクライアントと最後の詰め段階、ストレス度マックスだっていうときに突然、母と離婚した父ちゃんが現れて仰天。気をとりなおして穏便にやり過ごそうとするのに、ヴィンフリートはクライアントのお偉いさんに、

「娘があんまり忙しくてかまってくれないから、代理の娘を雇ったんですよ、これが良い娘でね、足の爪も切ってくれるの」とかアヤしい話をしている。ぎゃーやめて。

数日かまって、やっと帰したと思ったら、父は今度はカツラと入歯で変装し、

「トニ・エルドマンです、コンサルタントでライフコーチ」と再登場。

全く違う世界で生きている父親のおかげで、こっちの現実にヒビが入りそう。娘のキャリア=人生を壊すつもりなのか??それでも何とかつきあう優しい娘のイネスもだんだん自棄になり、キレてくる。

そのキレ方が、「おお〜そっち行くか!」と感心する突拍子もないもので、さすが父のDNAが入っている。素質あったのね。

非常に真面目な顔つきのザンドラ・ヒュラーが真剣な表情のままとんでもない行動に出るのが可笑しく、父のボケとの間合いが絶妙で、笑ったのなんの、涙と鼻水が出て呼吸困難になりそうだった。会場が悲鳴とヒステリックな笑い声で満ちるという、ドイツ映画には珍しい反応。ああ、腹痛い。

根本は父の「そんな出世のためにあくせくしてないで、今という時間を楽しまないと、人生なんてあっという間に終了だぞ」という愛のある心配なのだ。いつ離婚したのか知らないが、娘が小さいころにはいっしょに楽しく遊んで可愛がっていたことがうかがえる。なのでラストでは和解にいたる。あまり深刻な確執の話でなくてよかった。

映画祭でのドイツ語作品、あとは「レーダーホーゼン・ゾンビの襲撃」なんてオーストリア映画もあったんだけど、さすがに行く時間がなかった。そのうちいつか。

 

US版トレイラー:

 

 

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映画版『The Girl on the Train』

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原作が面白かったポーラ・ホーキンズの「ガール・オン・ザ・トレイン」、映画化されて先週公開。さっそく見てみる。

Directed by     Tate Taylor

<Cast>

Emily Blunt as Rachel Watson
Haley Bennett as Megan Hipwell
Rebecca Ferguson as Anna Watson
Justin Theroux as Tom Watson
Luke Evans as Scott Hipwell
Allison Janney as Detective Sgt. Riley
Édgar Ramírez as Dr. Kamal Abdic

舞台は原作のロンドンからニューヨークに移されている。

アル中の失業者レイチェル、用もないのに毎日乗っている通勤電車から、かつて自分が住んでいた通りをながめ、元の家の2軒先の幸せそうなカップルを理想化していた。

ところがある日、その幸せな家でいつもと違う場面を目撃。数日後、カップルの妻の方が行方不明になったとニュースで報道される。

自分の情報が役に立つかもと警察に告げに行くレイチェルだが、記憶のあやしい酔っ払いの彼女は信用してもらえない。

それどころか、失踪した女性ミーガンが元旦那の家のベビーシッターだったことや、レイチェルが勝手に元の家に侵入した事件もあって、逆に疑われるはめに。しかもミーガン失踪の日、レイチェルは血まみれの服装で帰宅、何があったかさっぱり覚えていなかった。

原作がよくできているので、映画にしても面白くなったパターンと思う。本ではよくわかる登場人物の心理描写が犠牲になるのは仕方ないが、映像で見てなるほどと納得するところもある。

レイチェルのエミリー・ブラントはイギリス人女優、酔ったり混乱したりして大抵の場合ひどい顔をしている役どころをよくがんばっている。

消えた女、ミーガンが色っぽかった。

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Haley Bennett

舞台がアメリカということで、原作から想像していた風景とかなり違っていた。ユーストン駅がグランド・セントラルに。家並みもアメリカン。それもまた面白い。

主人公(たち)の内面を読める小説に対し、スリラーを楽しめるのが映画かな。それにしても真犯人はとんでもない人間だ。あまりいないが、全くありえないという訳でもないところが怖い。

 

ガール・オン・ザ・トレイン(上) (講談社文庫)
ガール・オン・ザ・トレイン(上) (講談社文庫)

 

 

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「モスクワは涙を信じない」

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1980年のソ連映画。

原題『Москва слезам не верит』を直訳した題「モスクワは涙を信じない」だと、何かソ連のプロパガンダっぽくて見る気にならず。でもロシア語クラスのオリガ先生が良いと言っていたので、モスフィルムのサイトで無料だし、チェックしてみた。

"モスクワは涙を信じない"というのはロシアのことわざで、泣いたってどうにもならないよ(現実は、泣いてるだけじゃ変わらない)、って意味だそうで。だいぶ感じが違うわ。

Режиссёр -- Владимир Меньшов

<Cast>

Вера Алентова — Катерина Тихомирова, главная героиня
Алексей Баталов — Георгий Иванович (Гоша), слесарь из НИИ
Ирина Муравьёва — Людмила Свиридова, подруга Катерины
Юрий Васильев — Рудольф (Родион) Рачков, телеоператор из Останкино, отец Александры

 

1958年ソ連、モスクワ。地方都市から出てきて工場で働く若い女性カチェリーナとリュドミーラは性格は違うが仲が良い。夜学で化学を学んでキャリアを積もうとしているカチェリーナに対し、リュドミーラは、

「リッチな男を捕まえて楽するのが勝ち組の女ってもんよ」という態度。

リュドミーラは「いいとこのお嬢さんのふり」をして、ランクが上の男性を捕まえようとする。カチェリーナも嫌々ながら協力する形で大学教授の娘の演技をしたら、ロジオンというTV局で働くボーイフレンドができた。リュドミーラは人気アイスホッケー選手をゲット。大リーグ級?のスターですね。

その後リュドミーラの正体がバレてもホッケー選手の彼は、

「その方が気楽だよ、結婚しよう」と言ってくれたのに、カチェリーナのロジオンはさっさと逃げる。子供できてたんだけど。ソ連に強制認知とか養育費はなかったのか。

そして突然話は1979年に。カチェリーナはシングルマザーとして娘を育てあげ、出世して大きな工場のディレクターになっている。リュドミーラの旦那はすでに現役引退して酒浸り。

仕事で成功しているが愛情には恵まれなかったカチェリーナに新たな彼氏ができたと思いきや、テレビのインタビューで元彼女の成功を知ったロジオンが

「娘に会いたい」とやって来て・・・。ごたごたする。

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関係ないが新恋人ゴーシャとその友達とのピクニックシーン、普通に参加している巨大わんこが可愛い。

どういう時代・国家だろうと、人間の泣き笑いは似たようなもの。人生思うようにはいかないけど、いいことだってあるよね、というような、しんみりしてユーモアもある佳作。

そうそう、男2人がアパートの一室でガンガン大きな音を立てているので「ケンカか?」と人が駆けつけたら、干物の魚を柔らかくするためにテーブルにぶつけていた。ウォッカに合いそうなのよね。

カチェリーナの新恋人ゴーシャが、インテリだし男気のあるやつなんだけど、「自分より稼いでる女とはつき合えない」と思っているのがやはり70年代ですかね。今の人ならガールフレンドがエグゼクティブだったら「ラッキー」って思いそうだけど、そうでもないのかな。

ロシア語字幕つきなのが勉強になるが、まだまだ聞きとれません。

 

トレイラー:

 

 

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キューブリック監督『Barry Lyndon』

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日曜日の恒例、古典作品を上映する会。スタンリー・キューブリックの「バリー・リンドン」を見に出かけた。1975年の作品。

バリー・リンドンという名前の人の話なんだろう、ということ以外は全く知識なし。原作はウィリアム・サッカレーの小説だそうで。

『Barry Lyndon』

Directed by     Stanley Kubrick

<Cast>

Ryan O'Neal as Redmond Barry (later Redmond Barry Lyndon)
Marisa Berenson as Lady Lyndon
Leon Vitali as Lord Bullingdon

一番小さいとはいえ100人近くは入るだろうスクリーン3が完全満席で驚いた。上映はこの1回だけ。わたしのようにまだ見ぬ名作をキャッチアップする人の他、懐かしい映画を大画面で見たいという人もいただろう。

18世紀のアイルランドから始まる、ある男の半生を描いた物語。

1750年代に母子家庭の農家の一人息子として育ったレドモンド・バリー。お父さんは決闘で死亡したらしい。

息子も頭に血が上りがちな傾向があり、ある日、恋の三角関係から決闘騒ぎを起こして故郷から逃亡。いろいろあって、イギリスの軍隊に雇ってもらう。

ヨーロッパで七年戦争に参加、戦功を立てたり、でも嫌になって別の国の軍人になりすまして逃亡はかったり、プロイセンの警察につかまったがスパイとして採用してもらったり。綱渡りっぽい流れ者。スパイするはずだった怪しい人物と共謀するようになってギャンブルで稼く。

最大のギャンブルは、死にそうな高齢の貴族リンドン卿の若い妻であるレディー・リンドンと恋仲になったこと。旦那さんはすぐに死去、二人はあっさり結婚する。

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絵のように美しいマリサ・ベレンスン・・・しかしすごい髪

ここで「休憩」が入った。長いと思ったら全部で3時間5分もあるのか!ありがたくトイレに行かせてもらう。

トイレ休憩までの第一部では、危ない目に遭ったりしながらもうまく世の中を渡っていったバリーだが、第二部ではなんだか下り坂になってくる。

彼の行動も良くない。結婚したとたん妻に興味なくなって浮気し放題、妻の連れ子の少年・バリンドン子爵を邪険にする。実の息子は溺愛して何でも言うことを聞いちゃう。

連れ子=バリンドン子爵 から見たら、父の生前から母に言い寄っていた得体のしれない男が”父親”面して威張り、しかも爵位まで狙っているのだ。深く恨みを内向させるのは当然。そして少年はいつまでも少年ではない。彼が成長したときに、”バリー・リンドン”年貢の納め時も近いだろう。

スーパーヒーローでもなくごく普通の人間、その性格のずるさ、弱さから、自業自得の目に遭う男を一歩引いたところから見ている感覚。皮肉交じりな語り手の暗めのユーモアが効いている。たぶん語りはサッカレーの文章なのだろう。

18世紀では人の身分は固定している。そこから出るにはギャンブルのような手に出るほかないということも事実。賭けに出て、敗れ去るのも人生だ。

細部までこだり(ロウソクの光で無理矢理撮影するなど 。Carl Zeiss Planar 50mm f/0.7レンズを使用)18世紀を再現したキューブリック監督の映像がきれいだった。

ライアン・オニールのバリーを思い出そうとすると、なぜか顔がマット・デイモンになる現象がおきている。なぜだ。ハンサムなんだが何となくもっさりしているところが似ている?(失礼な)

 

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タルコフスキー『Иваново детство』(僕の村は戦場だった)
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英題が直訳の「Ivan's Childhood」、ちょっと見てイワン雷帝の子供時代の話かと思っちゃったよ。違った。
1962公開、タルコフスキーの「僕の村は戦場だった」でした。見たことがないので、映画館に出かけた。

『Иваново детство』

<В ролях>
Николай Бурляев — Иван
Валентин Зубков — капитан Холин
Евгений Жариков — старший лейтенант Гальцев
Степан Крылов — старшина Катасонов
Николай Гринько — подполковник Грязнов
Валентина Малявина — Маша

タルコフスキー初の長編作品。彼は1932年生まれだから、撮ったのは30歳になる前。ヴェネツィア国際映画祭でサン・マルコ金獅子賞受賞、サルトルほかの知識人に称賛されたそうだ。

第二次大戦下、ドイツ兵に母と妹を殺されたイワン少年、国境警備の父も多分死んでしまって孤児となる。パルチザンに参加し、その後ソ連の赤軍に拾ってもらった。まだ12歳くらいだが戦う気まんまん。小さい体が見つかりにくいのを活かして、何度か偵察任務を達成した。

でも子供だからねー。グリズヤノフ中佐など、イワンを心配する大人は、彼を前線から離して学校に送ろうとする。軍事学校がふさわしいだろう。
それを拒否するイワン。今戦いたいということしか眼中にない。復讐したい、という思いだけ。

復讐で武力を使えばエンドレスになる、ということを大人も言ってあげられない。自分たちだって今戦争中なんだから。
悲惨な「子供時代」だ。子供時代がない、と言ってもいい。
そしてイワンは最後のミッションに出て行く。

人間が照明弾打ち上げたり偵察し合ってごたごたしている現場の森がひっそり静かで美しい。

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タルコフスキーらしい詩的な表現にあふれる。
それにやはり水がある。ソ連軍と独軍を間に流れる川、イワンの夢に出てくる井戸、しょっちゅうどこかで水音がしている。
夢の中にだけ家族との幸福な生活があるイワン。その子供らしい表情と、兵士になった固い顔つきを演じ分けている少年俳優ニコライ・ブルリャーエフがうまい。

こういう子供は今でもたくさんいる。
劇中誰かが、「これが最後の戦争になるのかな」と言っているが、そうだったらよかったんだけどね。

モノクロの映像が美しいが、ヘビーな映画。しばらく見返す気にはなれないと思う。
見たくなったら、モスフィルムがYouTubeで公開しているから、いつでもここで全編見られます(英語字幕あり)。

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↑  ズビャギンツェフ監督「リヴァイアサン」のクジラの骨を思い出したシーン。
地面に刺さってますが。パイロットのドイツ空軍の人、ちゃんと脱出できたのかしら、心配。


イワンの夢のシーンのひとつ。お母さんが、「井戸が本当に深いと昼でも星が見える」と大嘘ついてます。



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映画「Russian Ark」
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金曜日は朝霧が濃かった。霧がかかると色・細部が省略されて、抽象的な風景になる。カラスがモノクロの絵にぴったり。たまたまコンデジを持っていたので撮った写真。
その後すっかり晴れて、気温がやっと10度になった。春も近い。

さて、これもNHKラジオ講座で聞いた映画。

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アレクサンドル・ソクーロフ(1951-)監督、2002年の『Русский ковчег』(=ロシアの箱舟、英題はそのまま「Russian Ark」)。邦題は「エルミタージュ幻想」。

Режиссёр -- Александр Сокуров

<В ролях>
Сергей Донцов (Дрейден) — Путешественник (Маркиз де Кюстин)
Александр Сокуров — спутник маркиза
Мария Кузнецова — Екатерина II
Максим Сергеев — Пётр I
Юлиан Макаров — Николай I

Валерий Гергиев

Cinematography -- Tilman Büttner

90分でサンクトペテルブルクの300年を、冬宮、つまりエルミタージュ美術館の中だけで、しかも1ショットで表したという独創的な作品。

カメラは姿の見えない語り手(声は監督)の視線。暗いところにいたようだが、何があったかよく覚えていない。どうも自分の姿は他の人に見えないらしい。
ーー幽霊?になっちゃったのかな。

その語り手の話し相手が”ヨーロッパ人”の元外交官。ロシアについての著書が有名なフランス人のアストルフ・ド・キュスティーヌ侯爵 (1790 - 1857)らしい。
彼と話しながらエルミタージュ美術館の中を歩くと、いろんな時代の人が活動している。

上の写真は外交官グリボイェドフ(きのこ喰いって意味だなあ)氏がペルシアで暗殺されたことを、ペルシアが正式に謝罪に来た場面。当時のツァーリはニコライ一世。

華やかな舞踏会も。

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部屋ごとに時代が変わり、こっちでピョートル大帝が臣下をしかりつけていたり、外では庭の雪道を歩いて行くエカチェリーナ二世の後ろ姿も見える。
いろんな場所に出没する大詩人プーシキンが笑えた。いつも美女を追っかけている。

この人たちもエルミタージュ美術館の中に残像として残った幻影なんでしょうか。

キュスティーヌ侯爵がロシアについて批判的な意見を述べたり、踊りの輪の中に入ってみたりして動き回るのを追っていく語り手。
おお、舞踏会の音楽、指揮者はヴァレリー・ゲルギエフ本人だ。

第二次大戦時、100万人が死んだレニングラード包囲戦の時期の部屋は、語り手が
「ああ、そこ、開けちゃだめだよ」と止めようとしていた。
革命で殺される運命のニコライ二世家族の団欒も、もの寂しい。

美術館として訪れ、覚えている場所をなつかしく見たが、ここは本当に重要な歴史の舞台だったんですよね。

最後に舞踏会が終わって人々がぞろぞろと出て行く。初めて窓から宮殿の外が見え、深い霧の降りたネヴァ河なのか大洋なのかわからない景色となるのが印象的。冬宮自体が箱舟となって漂うようだ。これからどこへ向かうのか。

一度も「カット」がない。シーンが全部つながっている。途中失敗したりして4回目に成功したとか。
思いきったことに挑戦するところが、ロシア人監督らしいと思う。(実際に撮ったのはドイツ人カメラマンだが)
詩的・哲学的な、ユニークな作品。

今なら2002年よりは多少ロシア史の知識を仕入れているので、わたしにとっては公開当時に見るよりよかったかもしれない。
この監督は難解なことで知られているそうで、他のも見てみようかな。


ドイツ版のトレイラー:



エルミタージュ幻想 [DVD]
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映画「高慢と偏見とゾンビ」
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220216-1

『Pride and Prejudice and Zombies』(2016)

Directed by Burr Steers
<Cast>
Lily James -- Elizabeth Bennet
Sam Riley -- Mr. Darcy
Jack Huston -- Mr. Wickham
Bella Heathcote -- Jane Bennet
Douglas Booth -- Mr. Bingley
Matt Smith -- Mr. Collins
Charles Dance -- Mr. Bennet

テレビの映画レビュー番組でこの作品が紹介され、女性コメンテーターが言ってました。
「いいけど・・・でもこの映画、いったいどういう人が見るの?映画館で?」

わたしですけど、何か。

言うまでもなく、ジェーン・オースティンの名作「高慢と偏見」にゾンビを投入した2006年の小説「高慢と偏見とゾンビ」(セス・グレアム=スミス著)を、本当に映画にしてしまったシロモノ。
あほらしいものを全力で作った人達に敬意を表したい。のもあるが、まあ怖いもの(いろいろな意味で)見たさよね。

キャストがすばらしく豪華だ。
戦争と平和で「だめーっ!ナターシャ」なヒロインを演じたリリー・ジェームズがエリザベス・ベネット。
Mrダーシーは「ブライトン・ロック」のピンキーなど、ダークな魅力のサム・ライリー。
その友達で性格のいい好青年ビングリ―は、先日ドラマ「そして誰もいなくなった」にも出ていたダグラス・ブース。
同ドラマで共演していたベテランのチャールス・ダンスもお父さん役で画面を引き締めている。

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ライリーとブース。21世紀のダーシー&ビングリ―だ。

小説ではオリジナルの文章にゾンビがうまく混ざっていて面白かったが、映画では映画らしいアクションに笑わせてもらった。多少、というか大分派手な展開になるよう、ストーリーの変更もあり。
原作(ゾンビ入りの方)でけっこうボコボコな扱いだったウィッカムが、少し重い役をもらっていた。悪い方で、だけど。動かしやすいキャラなのかも。

エリザベスへの最初の失礼なプロポーズで断られるダーシー、可憐なリリーちゃんに殴る蹴るの暴行を受けていた、あははは。
白薔薇のごとく美しいビングリ―はいいやつだが、ゾンビ・ハンターではなくて、しょっちゅう危ないところを女子に助けられていた。ガールズ・パワーおそるべし。

映画なのでゾンビがリアルで気持悪い。あまりアップで見たくないです。

いつも行く映画館でない、ハリウッドものが得意なシネコンに行ったら、イスは飛行機のビジネスクラスみたいだし、小テーブルもついていてゆっくり見られた。今どきの映画館はこんなに豪勢になっていたのか。

トレイラーもいつも見るのと違う、ロンドンがぶち壊れるとか、シカゴ市民が全員死ぬかもとか、爆発シーンの連続。ひゃー。
同じ映画といっても別世界で、新鮮だった。
たまにはバカバカしい映画を大スクリーンで見ると楽しいです。よね。


トレイラー:



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ロシア映画『Питер FM』
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NHKラジオのロシア語講座で講師パートナーをつとめるオリガ・フィラトワさんが好きな映画だそうだ。
彼女の故郷であるサンクトペテルブルクが舞台で、風景が懐かしいとのこと。話も面白そう。さっそく見てみた。

Питер FM(2006年)
Режиссёр: Оксана Бычкова
<В ролях>
Екатерина Федулова -- Маша
Евгений Цыганов -- Максим
Алексей Барабаш -- Костя
Ирина Рахманова -- Лера
Владимир Машков -- мужик в тапках

サンクトペテルブルクは聖ピーターの町、長いのでロシア人はよく、ピーチェル(Питер) という愛称で呼んでいる。

ローカルなFM放送局「”ピーチェル”FM」のDJ、マーシャが街中で携帯を落とす。
それを拾ったのが駆け出し建築家のマクシム。

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別の電話から自分の携帯にかけたマーシャとつながる。
「これ、さっき拾ったよー。どこで返せばいい?」
「ありがとう。じゃ地下鉄〇〇駅の出口で」
なんて気軽に約束するが、突発的な出来事があって会えない。

仕切り直して何度会おうとしても、邪魔が入ったり、別の用が長引いたりして、会えない。
連絡を取り合ううちに多少世間話もし、マーシャがもうじき幼なじみのコースチャと結婚するため準備に追われていることや、コンペで才能を認められたマクシムがドイツの会社と契約して、数日後にドイツに発つ予定であることなども話す。

観光名所ではないペテルブルク、住む人から見た街が活写されている。それにしても相変らず建築などは美しい。

声だけで親しくなっていく二人、実はしょっちゅうニアミスし、すれ違い、目が合ったりさえしているのだが、本人たちは知らない。
(なんとなく、この二人は合いそうだ)というのは映画を見ている人が先に気づく。
仕事はきっちりできるが、日常ではうっかり者でしょっちゅうコーヒーをこぼしたり物を落としたりする彼ら、似たタイプのようだ。

そして数日の間に、マーシャは、子供の頃から知っているコースチャとこのまま結婚するのは違うんじゃないだろうか、と思い始める。
マクシムも、わざわざドイツに行かなくても、この街で仕事できそうだ、と感じてくる(彼はニージニー・ノヴゴロド出身)。

いったいこの二人は会えるのか会えないのか。最後までよくわからないのに、だんだん愛情が育っていくのが見える、不思議な話。
主人公たちが若く明るく、フットワークが軽いのに合わせたカメラワークも音楽も、たぶん10年前の現実的な”ピーチェル”を映しているのだろう。

名優ウラジーミル・マシコフが、
「おねーさん、おねーさん、知らない男とのSXに興味ない?」みたいな気持ち悪いおっさん役でちらっと出ていて笑った。友情出演てやつかしら。

そういえば今ならスマホ追跡機能で場所がすぐ分かるから、こういう苦労はしなくていいよね。
話がすぐ済んで、恋は生まれなかったかもしれないけど。

カザフスタンのTV局のトレイラー:



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