ロシア・ドラマ『Анна-детективъ』

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先日見た”キルサノワ嬢の事件簿”と同じ制作会社が、その2年前、2016年に作った人気ドラマ「探偵アンナ」。「キルサノワ〜」でヒロインのラリーサの婚約者(森の熊的イケメン・パーヴェル)と結婚の約束をしていたのは本当はワタクシ!と主張してラリーサを悩ませた美女役のアレクサンドラ・ニキフォロワが主演のオカルト?ミステリ。全56回(2回で1エピソード)!長いが見終わった。

『Анна-детективъ』

Создатель -- Юлия Венгловская
Сценарист -- Юлия Венгловская, Алексей Колмогоров
Режиссёр -- Денис Карро etc.

<В главных ролях>

Александра Никифорова  --  Анна Викторовна Миронова 19 лет, медиум
Дмитрий Фрид --   Яков Платонович Штольман, 37 лет, следователь
Сергей Друзьяк  --  Антон Андреевич Коробейников,  помощник Штольмана
Борис Хвошнянский  --  Пётр Иванович Миронов, дядя Анны
Ирина Сидорова  --  Мария Тимофеевна Миронова, мать Анны
Андрей Рыклин  --  Виктор Иванович Миронов, отец Анны, адвокат

舞台は1888年ごろのロシアの田舎町ザトンスク。弁護士の娘アンナは19歳、裕福な中流家庭の令嬢として英独仏語に堪能、ピアノやフルートなど音楽にも優れる一方、ちょっと変わった才能もある。霊感が強くて「死んだ人と話せる」こと。この才能は、仕事せずに兄の家に居候している高等遊民の叔父さんにもあったもので、しかもアンナの方が強い。

そこへ首都のペテルブルクから田舎の警察に赴任してきたのがヤーコブ・シュトルマン。ドイツ系やユダヤ系っぽい苗字って、医者とか頭のいい人によく使われますね。

なかなか渋い。37歳という設定。

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若いアンナは彼に一目ぼれしてしまったようで、殺人事件の捜査に協力しようと被害者(の霊)とコンタクト、シュトルマンに報告に行く。でもねえ、いきなり「犯人はこういう人」とか、「ここを探して」とか言われても…警察は根拠がないと動けませんです。シュトルマンは世間知らずのお嬢さんが何を言ってるんだ、と適当にあしらって自分で緻密に仕事し、でも結局アンナの言っていたことを裏付けることに。徐々にですが、彼女を見直すようになる。

霊が出てくるといっても、「こういう理由でこの犯人がこうやって殺しました。証拠はここにあります」って言われたら番組は15分で終了してしまう。場合によってはアンナが呼んでも来なかったり、自分が死んだことに気づかず混乱していたり、断片的な手がかりしかくれないことも。その情報と実際の捜査のからまり具合が面白い。でも化粧している鏡に背後から急に映りこんでくるのはやめてほしい、視聴者がびっくりする。アンナは慣れてるから平気なようです。

倍ぐらいの年齢の男に惚れちゃったアンナの恋も、すこしずつ2人の関係に変化が出てくるが、現実的には難しいよね。アンナのお母さんは、せっかく才色兼備に育ったのだからランクがひとつ上の貴族階級くらいと結婚させられたら、とやっきになっているし。

それにシュトルマンはそもそも、ペテルブルクで女性をめぐって決闘事件を起こしたために田舎に飛ばされたって噂もある。そのうちその元になった女性が引っ越して来たり、ドラマちっくなごたごた必至です。

アンナが可愛くてつい全部見たが、56回は多すぎ。最後の方はダレたり、森で変な実験をしているイギリス人(ガス兵器でも開発?)の伏線とか引っ張りすぎ、けっこうぐちゃぐちゃ。数人の脚本家チームが交替で書いている中でも「この人はうまいな」と思っていたカルモゴロフでさえすべっていた。「これとあれを片づけて、こっちをうまくまとめて」と無理な要求をされたのだろうか、と脚本家のブラックな労働環境を心配するほどだ(笑)。(ちなみにカルモゴロフは、次のキルサノワではチーフ脚本家に出世)

To be continuedな終わり方だったので第2シリーズも作れると思うけど、どうかな。まず女優ニキフォロワがすっかり成熟して、アンナの少女っぽい危なさが失われたように思う。「10年後に〜」という設定にすればいいのか。でもキルサノワの続編の撮影と重なったらどうなる。こっちでも大事な書類を盗んで逃走中だから活躍するだろうし、と余計なことが気になります。

トレイラー:

 

 

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アニメ『Маша и Медведь』(マーシャと熊)

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せっかくロシア語を集中してやったのに、5月のドイツ旅行にそなえてちょっとドイツ語を始めた(Duolingoでゲームしているだけ)。ロシア語も忘れないように、アニメ鑑賞。「マーシャと熊」は2009年からロシア1チャンネルで放送されている子供向けアニメ。フランスなどヨーロッパ数か国やカナダでも放送しているほか、YouTubeの公式サイトでも配信中。第一話の再生回数1億3000万回だって。ちなみにドイツ語版もあります。

監督は  Олег Кузовков; Олег Ужинов 他

犬とヤギ、豚と暮らしているちっちゃい女の子マーシャが森の熊のところに遊びに行っては、天真爛漫に邪魔したり物を壊したり(家中をめちゃくちゃにしたり)するドタバタ・コメディ。元はサーカスのスターだった熊は優しいので我慢してつき合ってあげている。

元々、おとぎ話に「マーシャと熊」というのがあり、森に迷い込んできた人間の女の子を熊が女中にしてこき使おうとするそうで、その下敷きがあるからよけい可笑しいのだろう。

熊には中国に甥がいたり(なぜかパンダ)、拾った卵(上の絵参照)を温めたらペンギンが孵って、パパと呼ばれている。

あこがれの美しい雌熊さんや、ライバルのいつも筋トレに余念ないマッチョ熊もいる。

それに村外れの丘の上、古い救急車に住む2頭のオオカミがいつも腹を減らしていたり、ウサギが熊の家庭菜園からニンジンを定期的に盗んで行ったり、登場動物も面白い。

しゃべる人間がマーシャだけ(動物は声は出すが話はしない)のため、しかも子供言葉なので、勉強になるとも思えませんが、笑えるので空いた時間に見るのにちょうどいい。

しかし、このアニメはウクライナに「ロシアのプロパガンダだ」とけなされたりしている。熊はロシアの象徴、それを優しく紳士的で、いざとなったら強いヒーローに描いているのがわざとらしいそうだ。それにマーシャが国境警備隊か何かの帽子をかぶったことがあるのもけしからん、という。ウクライナは仲が悪いのでそのくらいの文句はつけそうだけど、去年の秋にイギリスの「タイムズ」紙までそれを取り上げ、”マーシャはプーチンのプロパガンダか?”みたいな見出しにびっくり(わたしは購読してないので内容全部は読んでません)。いや、政治的意図はないと思いますよ。甘いものを食べたら歯をみがけ、くらいの教訓がときどきある程度。熊さんもけっこう間抜けだし。

7分弱のお時間ある方、「マーシャとカーシャ(お粥)」の回をどうぞ。見るだけで意味分かると思います。いろんなフルーツ味のオートミールが美味しそう、適量なら(笑)。

Маша + каша (Серия 17)

 

 

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BBCドキュメンタリー『Civilisations』(文明)

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次の仕事がつい面白くてはまっている。趣味と実益だ。たいして儲からないのが玉に瑕だけど。

BBC2で春に放送されていた『Civilisations』、ようやくキャッチアップ。BBCのサイトで来年3月まで見られる。美術史を軸に、文明という大きなテーマに取り組んだ9回シリーズ。

毎回1つのテーマに沿って、1人のプレゼンターが語っていく形式。

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左からDavid Olusoga、Mary Beard、Simon Schama。

BBCでは1969年に同じタイトルで、西欧文明を軸にした秀作ドキュメンタリー『Civilisations』があったそうで、これはその現代版として世界全体に目を向けている。プレゼンターの顔ぶれを見ても(バランスとってるな)と思わせる。

エピソードは、人間の文化の原動力や、人は人間の姿をどうとらえてきたか、宗教と芸術、イスラム文化のルネッサンスへの影響、文明同士の出会いと帝国主義、などなど、テーマに沿って自由に時間・空間を飛ぶ作り方。オープン・ユニバーシティと協力し、いずれも優秀な歴史学者たちの作った骨組みがしっかりして、毎回引き込まれる。

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Süleymaniye mosque、Istanbul

このモスクが建てられた頃に、イタリアではミケランジェロが巨大ドームを設計していた。ヨーロッパとイスラムのライバル関係も面白い。

ナイジェリア生まれ・イギリス育ちのデヴィッド・オルソガは異なる文明が出会ったときのインパクトを紹介。メキシコのアステカ文明はスペイン人の武力攻撃と、ついでに持って来た梅毒などの伝染病でほぼ全滅した。ひどい。

対照的に日本は九州の港に着いた西洋人を「がさつな奴ら」だと見て、出入りを制限し、キリスト教は否定し、科学技術面などいいとこ取りだけした。助かった。島国で地理的に有利だったのもあるけど、日本というのは面白い国だ。

芸術家は興味深いものをすぐ取り入れる。

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円山応挙、 氷図屏風 c.1780

西洋の遠近法を使いつつ、現代美術のようなすごい作品です。

これ、大英博物館にあるのね。今度拝みに行って来なくては。

ちなみに一番上の写真、16世紀アフリカの美しい象牙マスクも、頭にポルトガル人をくっつけているそうで。交流が始まっていたということですね。

最終回はサイモン・シャーマ(彼はユダヤ系)が、ゲットーに送られて子供たちに絵を教えていた女性画家が残した、ユダヤ人の子供の絵を紹介。描いた子の大多数は収容所送りになってしまった。たまにこうして「壊してしまう」、しかもその壊し方が年々凄くなってきた人類の悪癖を、アートは救えるのかと問いかけた。

火薬でアートを作っている中国人の蔡国强(Cai Guo-Qiang)氏の作品がすごい。火薬を発明したのは中国、最初は平和な目的で使っていたのだ。

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キャンバスの上に型紙?と色の違う火薬をうまく置き、爆発させて作るアート。何ともいえない不思議な効果がある。しかもこの後再び爆発させ、かなーり黒くなる。さらにその上に重ねて置いていたキャンバスに転写された像もできて、すべてが終わればこんなものか、みたいな無常感を覚える。

なにしろ文明黎明期の洞窟の牛の絵から、イスラムやインドの寺院、ゴヤからエル・グレコ、レンブラント、日本の浮世絵からピカソまで幅広くカバーしているのですごい情報量だ。まだしばらくは公開されているので、たまに見返そう。

子供の絵の話から始まる冒頭部:

 

 

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修道院のキッチン(料理番組)

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気温が上がって(とはいえ20℃だけど)ところてんが食べたくなった。なぜかプラスチックのてん突きはあるので、寒天=agar-agarというのを使って試してみたら、硬直した脆い棒のようになって出てきて失敗だった。弾力がまるでない。これは牛乳寒天でもするときに使うことにして、改めて日本産Japanese agarをアマゾンで買い、今度は成功。バルサミコ酢とつゆの素を混ぜていただいた、旨い。

食べ物で思い出した、ロシア正教チャンネル『СПАС』の料理番組『МОНАСТЫРСКАЯ КУХНЯ』(修道院のキッチン)がなかなか楽しめる。

ソ連崩壊後、息を吹き返し、勢力を増しているロシア正教、専門のテレビ局はモスクワが拠点。無神論者との討論番組などもあるそうだが、たぶん理解できないから、料理番組しか見ないと思う。

キッチンの壁にイコンが!

ホストは修道院のシェフ、オレーグ・オリホフさん。毎回ゲストを招いていっしょに料理をしながらまったりお話する、のどかな番組。ゲストは司祭仲間から俳優、料理研究家までいろいろ。

写真の回は伝統的なロシアの料理を得意とするオリガ・シュトキナさん。メニューは、きゅうりの漬物とキノコを入れたスープ、肉の代わりに赤インゲン豆をつかったミニハンバーグ、デザートはペクチンだけで固める赤ワイン入りリンゴのゼリーと、素朴でシンプル。でもリンゴのゼリーのときはちゃんとハンドブレンダー使っていました。修道院だって文明の利器は使う。(ついでにソース入れはIKEAのだった)

ブラジル生まれでカソリックだったがなぜかロシア正教に惹かれてロシアに住んでいる司祭さんとは、宗教に入ったきっかけみたいな話もしたけど、特に宗教色は濃くなく、穏やかな会話とゆっくりした(あまり手早くない)料理の様子が観察でき、また材料が出るときはロシア語の語彙を増やすのにも役立つ。

スペルト小麦とレンズ豆のスープなどの茶色いメニュー、体に良さそうだが、まだ作ってみるには至ってません。きゅうりの漬物を入れたスープを試してみようかな(こわごわ)。何しろ番組ではでき上がるところまでで、食べるところまで映さないんだよね。

ーー探したら試食している回もあった。2016年の放送。おいしそう。

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ロシア・ドラマ『Кровавая барыня』(血塗られた貴婦人)

JUGEMテーマ:映画

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鉄道会社は新ダイヤでちゃんと運行できないものだから、毎日時刻表を微調整している。オンラインでチェックしていると、いつもの電車がない。1時間に2本のはずの電車をこっそり1本に減らしていた。つまり「キャンセル」と記録に残さないよう、初めからなかったことになっている!きったないなー(怒)。早く落着いてほしい。

ロシアで今年の2月から放送、16話で完結したドラマ『Кровавая барыня』(血塗られた貴婦人)をチェックした。

実在する18世紀の地主で130人以上の農奴を惨殺したシリアルキラー、ダリヤ・サルトゥイコヴァ伯爵夫人(Дарья Николаевна Салтыкова、1730 - 1801)をモデルにした歴史ホラー。怖ろしい。

Продюсер  -  Сергей Кешишев

<В ролях>
Юлия Снигирь -  помещица Дарья Салтыкова 
Фёдор Лавров  -  Глеб Салтыков, ротмистр лейб-гвардии Конного полка, муж Дарьи Салтыковой 
Северия Янушаускайте  -  императрица Екатерина II 
Кристина Бабушкина  -  Авдотья Ильинична Ковалёва, крестьянка, правая рука Дарьи Салтыковой 
Пётр Рыков  -  Сергей Салтыков, родственник мужа Салтыковой и первый фаворит императрицы Екатерины

Анастасия Зенкович  -  Настя, крестьянка, дочь Авдотьи и Глеба Салтыкова

Влад Соколовский  -  Николай Тютчев, чиновник, возлюбленный Насти

かなりフィクションが混じっている。

裕福な貴族の家に生まれたダリヤだが、幼い頃に母が亡くなり、修道院に預けられる。実は母は死んでいなくて精神の病で幽閉されていたんだけど。美しく成長したダリヤを父は家に戻し、モスクワの、王族ともつながりのある由緒正しいサルトゥイコフ伯爵に嫁がせる。歳の離れたおっさん。当然愛する気持ちにならず、ダリヤが好きになったのは夫の従弟のセルゲイ。

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イケメンです。こっそり逢瀬を重ねる2人。しかしセルゲイが断りにくい女性に惚れられた。それはエカチェリーナ二世。

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このセルゲイ・サルトゥイコフは実在の人物で、本当に女帝の最初の愛人。エカチェリーナの息子で後のツァーリ、パーヴェル1世は実は彼の子、という噂もある。ダリヤとの関係はフィクションでしょう。セルゲイは拠点をペテルブルクに移すことになる。

せっかく夫が亡くなって(実は殺人)自由になったのに、最強の恋敵に彼を取られ、親戚から「財産を独り占めにするな」とうるさく迫られ、息子を誘拐されたりと、ひどい目に遭うダリヤ、このへんからパラノイアになってきて、情緒不安定に。

だんだん感情が制御できなくなってきて召使いを折檻し、農奴を「ふさわしくない同士」(若い女の子と爺さんとか)無理矢理結婚させて喜んだり、サディストになってくる。苦しめるのは主に若くて可愛い女子。

とうとう村の魔女の影響を受けるようになり、美貌を保つために女の子の血をしぼって風呂に入る(この辺はハンガリーのバートリ・エルジェーベトのエピソードを混ぜたか)。もう、どんどん殺す。

いくら広いといっても、これじゃあ領地から若い女性がいなくなっちゃう〜。育つまで10年以上かかるのに!

「殺人は計画的に」ができるくらいなら殺さない。最後は最も忠実な、自分のために危ない橋を渡ってきた側近にまで危害をくわえる。

そんなことがいつまでも続くわけがなく、とうとう必死に逃げた犠牲者が女帝に直訴して捕まり、死刑は免れたが修道院の地下に幽閉。

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美人がすごい顔に。女優さんよくがんばったわ。

農奴の扱いがひどくて、貴族の「財産の一部」。傷つけてもダリヤにとっては「器物破損」くらいの重さだったのかもしれない。

彼女本人は精神的に普通でないのは明らかですが、近くにいて死体処理をさせられたり、命令に逆らえない人間も、おかしくなっているのだろう。収容所の看守みたいな異常心理だ。

血みどろで残酷、よく夜9時から放送できたと思う。しかも2月の寒くて暗い時期に〜。最後に生き残った善良なカップルが希望をもたらすのが救いですかね。

俳優陣は、沼地にぶん投げられる死体役も含めてすばらしいプロな仕事でした。

トレイラーですけど、見てみます?…

 

 

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ドラマ『Берёзка』(ベリョースカ)

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ロシアのチャンネル1で放送のドラマ、「ベリョースカ」、全16話を見終える。

"Берёзка" 2018

режиссер -- Александр Баранов

<Cast>

Надежда Петровна СВЕТЛОВА - Лидия Вележева
Варвара ГОРШКОВА - Любовь Константинова
Эдита ТАММ - Алена Коломина
Маргарита Павловна ФОМИЧЕВА - Мария Порошина
Анатолий Борисович КОЖЕВНИКОВ - Алексей Серебряков
ЛАРИСА АЛЕКСЕЕВНА - Нина Усатова
Алексей ПОКРОВСКИЙ - Петр Рыков
Борис ЕВСЕЕВ - Дмитрий Щербина

ベリョースカとは白樺のことですが、ロシアを代表する民族舞踊の団体の名。ソ連時代の1948年にボリショイ・バレエ出身のナジェージダ・ナジェージディナが創立、今でも続いている。わたしも昔、見たことがあるような気がする。当時はありがたさがわからなかった、もったいない。

細いマトリョーシカみたいな可愛い女性陣が、床をすーっと滑るように動くのが印象的。お掃除ロボットのルンバを履いているみたいだ。

ドラマは創立70周を記念して作られた。実在のナジェージダをモデルにしたナジェージダ・スヴェトロワを中心に、伝統芸能に新たな生命を吹き込んでヨーロッパやアメリカ遠征も果たした舞踏団の姿を描く。

なので踊りがたっぷり見られると期待したんだけど、若いダンサーたちの恋愛や家庭問題、文化省のお役人とのごたごたがメインでちょっとがっかり。

人物もあまり深みがない、というより、失礼ながら、紙のようにペラペラ。ヒロインのワルワーラ(上の写真で泣いて化粧が崩れてるひと)は田舎の工場勤めだったが当時テレビでもよく見られたベリョースカにあこがれ、父と姉を捨ててモスクワに乗り込むも、あっさり入団試験に落ち、それでも夢を捨てきれずに掃除係りとして潜入(?)、夜にこっそり練習――昭和のマンガちっくな展開。しかも団員のトップダンサーの男とか、友達の旦那とか、怪我した足を看た医者までみーんなワルワーラに惚れる。何なんだ?笑

唯一奥行きのある人間らしいキャラは、ディレクターのナジェージダ(リディア・ヴェレジェワ、『白痴』でナターシャを演じたひと)。

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現役ダンサーたちがわんさかいる舞踏団の中なのにダントツで美しく貫録がある。見惚れます。

彼女が面倒くさいお役人や、「アメリカ仕込みのニューウェーブのダンス」などの圧力をうまくあしらいながらロシアの魂を踊りで表そうとする姿が凛々しいです。

恋人役は、珍しくギャングじゃないのねセレブリャコフ♡

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人物紹介のページ

盛り過ぎ感のあるストーリーはちょっとアレですが、たまにあるダンスや練習シーンは面白いし、ソ連の生活も垣間見られる。こういう芸能団体が海外公演するとき、危ないのは団員の亡命ですよね。帰ってから団員ほか、亡命した人の関係者全員が取り調べを受けるのがリアルでおそろしかった。本当はもっとおそろしかったのだろう。

現実のナジェージダさんは70年代に亡くなったはずだが、ドラマではゴルバチョフの時代も、その後も描かれるので、フィクションの割合が高い、軽いエンターテイメント。「使えそうな男」を色じかけで次々に落として出世していくビッチなライバル役もいるけど、けっこう憎めないキャラに仕上がっていたり、深刻にならないのが気楽かも。

「ロシアの魂」のプロパガンダかもしれないですけどね、なにしろロシア1チャンだから。

1,2話のトレイラー:

 

本物の踊りはこれだ!

 

 

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BBCドラマ、クリスティーの『Ordeal by Innocence』

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そして誰もいなくなった」以来、アガサ・クリスティー原作のドラマで外れなしの脚本家サラ・フェルプス。第3弾『Ordeal by Innocence』はタイトル同じの1958の作品(日本語の題は「無実はさいなむ」だそう)を元にしている。

Ordeal by Innocence

Screenplay by    Sarah Phelps
Directed by    Sandra Goldbacher

<Cast>

Bill Nighy as Leo Argyll
Anthony Boyle as Jack Argyll
Anna Chancellor as Rachel Argyll
Morven Christie as Kirsten Lindstrom
Crystal Clarke as Tina Argyll
Christian Cooke as Mickey Argyll
Alice Eve as Gwenda Vaughn
Matthew Goode as Philip Durrant
Ella Purnell as Hester Argyll
Eleanor Tomlinson as Mary Durrant

Luke Treadaway as Doctor Arthur Calgary

地方の豪邸で資産家のレイチェル・アージルが殺された。子供のころから反抗的な問題児だった養子のジャックが殺人犯として逮捕され、その後彼は刑務所内のケンカで死亡する。レイチェルの5人の子供たちは全員養子だった。自分の子がいない彼女が孤児を引きとり、自ら教育係りとなって育てたのだ。家族はレイチェルの死を悼むが、それから1年半、夫のレオが元・秘書のグェンダと再婚する準備をしているころに、アーサー・カルガリー博士と名のる人物が訪ねてきて、ジャックの無実を証言したい、という。レイチェルがまだ生きていた時間にジャックが外出していたことを証明できる、と主張するのだ。ジャックが死んでしまったのに今さら…と家族の反応は薄かった。

回想シーンもまじえ、慈善家として讃えられていたレイチェルが、子供たちには厳しい教育としつけをしていたことがわかる。お陰で成長してからも”母”に愛憎混じった複雑な感情を抱いていた子供たち。

夫のレオには金はなく、裕福な妻がいたから好きなエジプト学の研究をしながら暮らせていた。そして妻の死後2年もたたないうちに若いグェンダと再婚、早すぎないか?

しかしジャックの証人だというカルガリー博士も精神的に不安定な様子で危なっかしい。実は彼にも、無実の人を救わなければいけないという強迫的願望があった。罪ほろぼしのためだ。

50年代で物理学者(原作の地理学者と変えてある)なら、ピンときます。冷戦の中、かなりリアルに核戦争の恐れがあった時期、イギリスでは政府が国民向けに、「核攻撃が予測されたときの行動」を指導していた。余裕がある家では核防空壕を用意したり。核兵器開発に携わるうちに頭が壊れちゃう人が出るのは想像できる。この人物の設定変えはうまいと思う。ちなみに博士がホテルで読んでいたのがジョン・ウィンダムの『The Chrysalids』(「さなぎ」)、ディストピアSFの古典だ、芸が細かい。

もう終わったことだから古傷に触らないでという家族を無視して、何とかジャックの無実を証明しようとするカルガリー、最後に意外な犯人が明らかになる。

実はわたしは原作を読んでいなくて、フランスのドラマで見ただけ。その犯人と違っていたのでびっくり。原作を変えたのはBBCの方だった。むしろこの方がしっくりくるかもしれない。レイチェルが次々に何人も養子を迎え、自分の理想とする家族の形を無理矢理作ろうとしていた動機もうまく説明できるのだ。お見事。

クリスティーはコージー・ミステリの元祖ともいわれるが、ダークなときは実に深い闇を描く。この改変には「そういう手もあるわね」と賛成してくれるのではないかな。

 

 

 

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BBCドラマ『McMafia』

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今年1月から2月に放送され、BBCのiPlayerでキャッチアップしたドラマ、『McMafia』。マフィアものは話についていけないことが多く、普通は敬遠する。名作らしい「ゴッドファーザー」なども見たことなし。でもジェームズ・ノートンとアレクセイ・セレブリャコフが親子役と聞けば、チェックしないといけません。

Created by Hossein Amini, James Watkins
Based on McMafia: A Journey Through the Global Criminal Underworld (2008) by Misha Glenny
Directed by James Watkins

<Cast>
James Norton as Alex Godman
David Strathairn as Semiyon Kleiman, Israeli businessman
Juliet Rylance as Rebecca Harper, Alex's fiancée
Merab Ninidze as Vadim Kalyagin, powerful member of the Russian Mafia
Aleksey Serebryakov as Dimitri Godman, Alex's father
Maria Shukshina as Oksana Godman, Alex's mother

アレックスはロシアの(ユダヤ系)マフィアの息子だが、イギリス育ち。父はライバルとの闘いに破れた形でイギリスに逃げてきたらしい。父は家ではロシア語しかしゃべらないが、こっちで教育を受けたアレックスにはもう英語の方が楽。ハーバードなどでビジネスを学び、投資ファンドを設立、お金はきれいに稼ごうとしている。しかし父のライバル、カリャーギンの指示で、アレックスの叔父が殺される事件が起きた。

弟を殺されて鬱になる父を見て、何とかしたいアレックスは、自分の手を汚さない方法で復讐をくわだてる。カリャーギンの敵に資金を提供して、相手の悪事を妨害するのだ。

が、金だけ出して後はよろしくなんて、こういう仕事の性質上、無理だよね。だんだん深みにはまっていくしかない…。

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(セレブリャコフがまたギャングの父ちゃんの役〜。)

8回シリーズで、ロシアの黒い組織が世界的に手広く麻薬取引や人身売買を行っている実態から、アレックスとイギリス人婚約者との価値観のずれ、家庭内での親子関係など丁寧に描かれている。だまされて売られちゃったロシア人の若い女性のサブ・ストーリーもある。原作が小説でなくノンフィクションなのもあって、リアルで恐ろしい。

ちょうどこのドラマが完結してしばらくした頃にイギリス国内でロシアの元(二重)スパイとその娘が神経毒で攻撃されるという事件があって、「リアル・マクマフィアだ!」と騒がれた。いつか必ず身内もろとも抹殺しにやって来る手口が、ドラマといっしょ。2人が食事したレストランに同じ日に行った客は「持ち物を洗ってください!」と指示が出たり、助けようとした警官まで重体で入院したり(その後なんとか退院)、迷惑だ。さらにロシアと外交関係が悪化しているのも心配。イギリスとロシア、昔からあまり仲良くはなかったけれど、これ以上険悪にならないでほしいわ。

せっかくなので(?)ロシア語字幕つきトレイラー:

 

 

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BBC『Animals with Cameras』

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電話とネットがまる1日切れていた。去年も工事のついでに間違ったところを切ったとかで2日も通信不能だったが、またか。ライブチャットでの苦情対策係りの人はフレンドリーでよかったけど、たびたびだと困る。今日帰宅したら直っていた。あとはトイレの修理だけ(これは管理会社にメールしてもなしのつぶて、返事すらこない)。

BBCの自然ドキュメンタリーはいつも優秀、今回の『Animals with Cameras』も面白かった。

動物たちの生活により接近するため、動物さん本人にカメラをつけてもらうという趣向。以前外飼いのネコが外出先で何をしているのかスパイした番組があったが、野生動物はもっと難しい。体長30cmのミーアキャットから、時速60kmで走るチーターまで、動物につけて負担にならず、かつまともな映像が撮れるカメラをそれぞれ設計しなければならない。さらにカメラは自動的に外れて回収できるようにする。

チーターは走るとき体を弓のようにしなわせ、どんなに速度が出ても、頭の位置だけは一定して動かないので頭にカメラをつけてもらった。逃げる草食動物のお尻がいっぱい映った(笑・いや鹿にとっては笑いごとじゃないが)。

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巨大エイの体にはどうやってもカメラがくっつかず(実験台の魚に、ピーナツバターまで使ってみていた)、頭部に長い紐をひっかけてもらってカメラがあとから着いていくようにしたり、デザインの苦心が面白い。

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コバンザメならうまくくっついてるんだが・・・。
そうして動物に密着して撮った映像、生まれたてのミーアキャットの赤ちゃんや、トルコの森の中で熊さん同士が出会って「なんだお前」「お前こそなんだ、やる気か」みたいなことになったり、貴重なものがたくさん。その動物を長年研究してきた人が初めて見た!という生態が明らかになる。
むやみに「見たいから」というだけの動機ではなく、親がいなくてきょうだい3頭だけの若いチータがちゃんと狩りを習得できるのか見守ったり、これも親を亡くしたサルが自立できるのか、様子を見るという目的があったり。
フランスで賛否両論ある野生オオカミについて、羊を殺すから反対!という農家もいる中、牧羊犬をチームで使えばオオカミを追い払うことができるということを検証した。
南仏では夜も羊の群れは山を歩き、そこで寝る。生まれたときから羊といっしょに育ってきた牧羊犬は、群れの真ん中に陣取るもの、群れの外で見張りをつとめるものなど自然に役割分担して、オオカミが近づくとすぐに察知して仲間同士で連絡しあい、警戒する。

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犬の声が高くなるとオオカミは、
「うちらに似てるけど何いってるかわかんないやつがうるさい、逃げようぜ」と去って行くのだ。犬は性格の違う子たちをうまく混ぜるといいようだ。犬につけたカメラと、外で人間が観察したサーマル・カメラの映像を見た牧羊農家の人たち、
「犬はいい仕事をしている」と納得。「オオカミは別にいてもかまわないんだ、家の羊さえ食わなければね」といっていた。人と動物の共存に一役かっていた。

他にもペンギンやアザラシ、ヒヒなど、見たことのない角度でとらえられていて画面にくぎ付け。労作ドキュメンタリーだ。

3話のトレイラー:

 

 

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ドラマ「グリゴリー・R」

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ロシアのテレビ・シリーズ、『Григорий Р.』(グリゴリー・R)(2014年)といえばもちろん、ラスプーチンのこと。怪僧などと呼ばれ悪名高く、ロマノフ朝崩壊の一端をになった人物とされる「悪役」だが、この8回シリーズでは名優ウラジーミル・マシコフが演じている。

<Актёр -- Роль>
Владимир Машков  --  Григорий Распутин
Андрей Смоляков  --  следователь Генрих Иванович Свиттен
Екатерина Климова  --  Анна Вырубова
Ингеборга Дапкунайте  --  Императрица Александра Фёдоровна
Валерий Дегтярь  --  Николай II
Владимир Кошевой  --  князь Феликс Юсупов
Сергей Угрюмов  --  Александр Керенский
Паулина Андреева -- княгиня Ирина Юсупова

ご存じのとおり、シベリアの田舎から現れた修行僧?ラスプーチンは人の病や傷をいやすパワーがあり、ツァーリ・ニコライ2世の息子アレクセイ皇太子の血友病の症状を改善したことでロイヤルファミリーの信頼を得た。ツァーリと、特に皇后アレクサンドラに親しく接して影響力を増していくラスプーチンを憎む勢力も多く、ついに貴族フェリックス・ユスポフらに暗殺される。ラスプーチンの死後は革命が起きてツァーリの退位、赤軍台頭とロイヤルファミリーの殺害、と激動の歴史が動いていく。

ドラマはラスプーチンの死の真相を探るよう、ときのリーダー、ケレンスキーに命じられて調査にあたるヘンリク・スヴィッテンが、事件の背景から掘り起こしながら謎の多いラスプーチンの生涯を洗い出す、という流れにそっている。

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真面目な公務員としておなじみアンドレイ・スモリャコフが緻密な捜査をする。隣りにいるのはラスプーチンの「親友」で、皇后の侍女もつとめたアンナ。彼女がラスプーチンを宮廷に紹介した。

神秘的な力はあるが無学(読み書きできない)で不品行で・・・と悪評ばかりの彼だが、田舎から出てきた素朴な、しかし複雑な信仰の人だったのでは?という、好意的な解釈が見える。ラスプーチンがツァーリに、第一次大戦への参戦をやめるよう懇願したのは事実だったようだ。この戦争で多くの人命が奪われ革命に火がつき、ニコライ2世の一家殺害につながったことは明らか。

理不尽に殺されたツァーリたちが今、聖人とされているように、ラスプーチンの名誉回復も意識されているつくりだ。イギリス諜報部の関与も描かれている!

脚色もあるので全部を信じるわけにはいかないが、「毒を盛っても死ななくてピストルで撃ってもまだ生きてたんだって、こわーい」とか笑う対象ではなく、彼だってひとりの生身の人間、ということを思い起こさせてくれるドラマ。

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手前は、「メソッド」で鉛筆で髪をまとめていたパウリーナ・アンドレエヴァ、後のユスポフ夫人となる。初々しいわ。

もうちょっとロシア語が聞きとれたら詳しく理解できただろうけど、まだまだです。でも50分X8回、俳優陣がすばらしくて楽しめた。

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