ドラマ「アンナ・カレーニナ」ロシア・チャンネル1

JUGEMテーマ:映画

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月曜から毎日、夜に帰宅するなりロシア・チャンネル1をつけている。去年から首を長くして待っていたドラマ「アンナ・カレーニナ」がついに放送されている。

しかも1晩2話ずつ、月〜木で一気に8話完結までやってしまうという無茶ぶり。怒涛のアンナ祭り。

『Анна Каренина』

Режиссёр -- Карен Шахназаров

<В ролях>
Елизавета Боярская — Анна Аркадьевна Каренина
Максим Матвеев — Алексей Кириллович Вронский, граф, полковник
Виталий Кищенко — Алексей Александрович Каренин
Кирилл Гребенщиков — Сергей Алексеевич Каренин
Иван Колесников — Стива Облонский
Виктория Исакова — Долли Облонская

でも写真↑が何だかヘンですよね。こんな場面あったっけ?

実はこのドラマ、おなじみレフ・トルストイの名作に、ヴィケンチー・ヴェレサエフ(Вересаев, Викентий Викентьевич、1867〜1945)の«Рассказы о японской войне»(日露戦争の話)をくっつけたもの。写真の人はセルゲイ・カレーニン。そう、アンナが家に置いてきた愛息子のセリョージャ(当時8歳くらい)が成人し、軍医として満州で働いているのだった。そこへ、負傷して運ばれてきたのが50代になったヴロンスキー伯爵という設定。あんた、生きてたの。

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ヴロンスキー(昔の)。

負傷兵の世話や手脚の切断手術で毎日忙しいセルゲイ医師だが、暇をみつけてはヴロンスキーのベッドへやってきて、

「なぜ母がああいう死に方をしたのか、教えてください」という。子供だったからきちんと教えてもらっていないだろうし、父や周囲に何と説明されたかわからないが、納得していないのだろう。幸い命に別状ないヴロンスキーが昔話をする、という設定。

政府高官の妻アンナ・カレーニナが若い将校ヴロンスキーと恋に落ちて家庭を捨てるが、貴族社会から冷遇され、何より愛する息子と離ればなれになって精神が不安定に、そして不幸な結末を迎える。

ちょっと2話を見逃したら、3話ではすでに、離婚するなら息子を取られる、と重苦しい雰囲気になっていた。幸せな時間は一瞬だった〜。

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アンナを演じるエリザヴェータ・ボヤルスカヤ。ややイメージとは違うけど、美貌です。わりに声にドスがきいている。ヴロンスキーのマキシム・マトヴェエフは実生活の旦那さん。美男美女夫婦だが、やりにくくないかな。プロだから切り替えるのでしょう。

ドラマはトルストイの本通り進行、ただし田舎の地主リョービンの話は一切なし。アンナに集中している。ヴロンスキーがいない場面もあるけど、アンナがくわしく話していたのかな。まあそのへんは突っ込まないでおこう。

今のところ、満州の野戦病院がどう生きてくるのかわからない。「セリョージャ」とヴロンスキーの関係は円満な和解になるのか。2人とも日本軍の攻撃でXされちゃうとか(まさか)。残るはあと2話です。

チャンネル1の宣伝がすごくて、うるさいほどたくさんあるトレイラーのひとつ:

 

 

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水曜デッサン会

JUGEMテーマ:アート・デザイン

イースターで金曜から月曜まで休み。わたしは仕事があるが、金曜だけ、デッサン会のメンバーでバーバラ(みなさん仮名)の家に集まったのに参加、イースターエッグのペインティングなどして遊んだ。

雑談中にホルヘが急に、

「マジンガーZって知ってる?」というので

「知ってるよ」と答えると、嬉しそうに、スマホに入っているオープニングの主題歌(日本語)の動画を見せてくれた。なんでも80年代にメキシコで放送され、流行っていたのだそうだ。びっくり。

バーバラ(アメリカ人)は、「日本のアニメならカーレースの『Speed Racer』が良かった」とのこと。

いつもデッサン会ではささっと集まってデッサンし、終わったらパブに行く人をのぞいてさーっと帰るので、どういう人たちなのか分かっていなかったりする。話してみると面白い。

前回の水曜、モデルはクリス。

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5分かな。A4スケッチブックにコンテ鉛筆。細長い体型は、この前のモデルのデヴィッドが小柄がっちりタイプだったのと対照的。人間いろんな形をしている。

眼窩がくぼんで彫りが深く、顔は描きにくい。

顔だけ20分。

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時間足りないけど。

ラストは約30分のポーズ。

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これは鉛筆で。

最近は日本でもイースターがらみのセールをするそうですが、どういうコンセプトで何を売るのかな。卵やうさぎの形のチョコ?ロースト用の仔羊の肉じゃないですよねやっぱり。

 

 

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ボリショイ・バレエ「現代の英雄」

JUGEMテーマ:エンターテイメント

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2年も首を長くして待っていた、レールモントフ原作の『Герой нашего времени』(現代の英雄)、映画館ライブで観た。

Композитор — Илья Демуцкий
Хореограф-постановщик — Юрий Посохов
Режиссер-постановщик, художник-постановщик и автор либретто — Кирилл Серебренников

原作の5つのエピソードのうち3つを選び、2幕ものにした。キャストはエピソードごとに:

БЭЛА 「ベラ」   

Печорин  -- Игорь Цвирко
Бэла -- Ольга Смирнова
Казбич -- Александр Водопетов
Два горца -- Илья Артамонов, Георгий Гусев

ТАМАНЬ 「タマーニ」   

Печорин -- Артем Овчаренко
Ундина -- Екатерина Шипулина
Старуха/Янко -- Вячеслав Лопатин
Слепой мальчик -- Георгий Гусев

КНЯЖНА МЕРИ  「公爵令嬢メリー」   

Печорин -- Руслан Скворцов
Мери -- Светлана Захарова
Вера -- Кристина Кретова
Грушницкий -- Денис Савин

優秀なんだけど当時のロシアで才能の活かし場所がない主人公ペチョーリン。軍隊でもルールから外れ、コーカサスにとばされる。

「ベラ」では地元の美少女ベラが気に入って勝手に連れ出し(原作では彼女の弟を買収してさらって来させるがバレエでは省略)、真剣に口説いて愛情を得た、とたんに興味をなくして放置。ベラに危険がせまる。

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(別キャストの写真ですが)

わたしはこのコーカサスの危ないやつらが見たかっただけだったりする。勇壮な群舞がすばらし〜い。

オリガ・スミルノワのベラがエキゾチックにたおやかに踊る。彼女の気を引くのに、イーゴリ・ツヴィルコのペチョーリンがなぜかバレエのバーのエクササイズをしていた、ははは。

「タマーニ」では海辺の田舎町タマーニに着任したペチョーリンだが、地元の美女ウンディーナが何かの密輸の手引きをしているのに気づく。ウンディーナはペチョーリンを誘ってボートでデート、と見せかけて彼を殺害しようとする!

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スリリングな力強い対決だった。ダンサーが代ってアルチョム オフチャレンコのペチョーリン、エカチェリーナ・シプリナのパワーにたじたじ。けっこう危ないところだったw。

インターバル後に「公爵令嬢メリー」。湯治の街で知人のグルシニーツキーに再会したペチョーリンは友の好きな女性メリー嬢(ザハロワ)にちょっかいをかける。とうとうグルシニーツキーと決闘するはめに。そしてもちろん彼を殺す。でもペチョーリンは本当に好きな女性(人妻)ヴェラに振られる。バチがあたった。これはプーシキンの「オネーギン」のプロットと似ている。

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ここのセットが面白かった。色調がおさえてあってシック。湯治場らしく車椅子のダンサーもいた。

気位は高いが純真なためにあっさりペチョーリンに惚れてしまうメリーさんが気の毒。

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ペチョーリンはルスラン・スクボルツォフ。行動はひどい彼、でもいろいろ辛いことがあるんです。

3つの場ごとに別々のトップダンサーのペチョーリンを見られ、第1場のコーカサスの山が抽象画のようだったり、セットも美しい。またオペラ歌手と楽器の奏者が舞台に出るなど、演出が面白い。軍隊の話なので男性群舞がわんさか活躍するし、今のところボリショイにしかできない舞台だろうと思う。

いつかモスクワで観たいなー。来年あたりロンドンに持ってきてくれると、さらに楽だけど。

プレミア当時のニュース:

 

 

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植物園を散歩

JUGEMテーマ:日記・一般

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近所の八重桜が咲いた。

再来週に締め切りあるんですが、気温も20度くらいまで上がって良い天気。我慢できず、本日は外に出ることにした。明日からがんばればいいや〜。

ケンブリッジ大学の植物園。

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人間を写してませんが、賑わってました。敷地が広いから混雑を感じるほどではなく、どこかのベンチは必ず空いている。

濃い色の忘れな草、名前はGreat Forget-me-notだそう。そうか偉いのか。

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てんこ盛りの八重桜がやはり可愛い。

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びよーん、と伸びていた枝。

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カフェも寄ろうかと思ったが、ランチどきでさすがに混んでいて、別の場所に行くことにした。ここはケンブリッジの駅からも比較的近い。その駅が最近大改修され、カフェもそこそこできている。便利になったのです。日本風のカレーや丼物、寿司が食べられるチェーンのWASABIも出店していてびっくりした。

ライラックも花盛り。

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空が青いと花も映える。

暑くも寒くもなく、爽やかなそよ風が吹いて、歩いているだけでも幸せ。今日は歩数1万2500を達成した。(いつもは平均8000歩程度)。

さて、明日から仕事だ。晴天、気温22度の予報!真面目に座ってられるだろうか。

 

 

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水曜デッサン会、久々

JUGEMテーマ:アート・デザイン

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そこらへんに咲いていた花、なんですかね。

久しぶりに水曜デッサン会の場所がとれた。今回は当日午後になってもメールが来ないので、会のHPをチェックしたら予告が出ていた。即座に予約を入れた。主催のバーバラ、いつも混み合うのが嫌になって、メール案内をさぼったのかな?10人ほどで場所的には余裕をもって描けました。

1分クイックポーズ。紙にペン:

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モデルはデヴィッド。

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頭立ち。3分くらいやってくれるともっと描けるんだけどなw

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黒と赤のペンで。紙はすべてA4スケッチブック。

デヴィッドは小柄で筋肉が発達したタイプ。予想外のバランスが難しい。

iPadでクイックポーズ。

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ラストは30分。

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春なのに冬の室内っぽくなった(笑)。

来週はイースター休暇直前になるので、また人数が少ないと助かる、と思ったが、そもそも会はあるのか?また当日になるまでわからないかも。

 

 

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「アンナ・カレーニナ」ヴァフタンゴフ劇場(の録画)

JUGEMテーマ:エンターテイメント

先週からサマータイムが始まったのですが、さっそく初日に駅の一番大きい時計が1時間まちがってました。駅の時計だよー。しっかりしてほしい。

さて、2月に機材がすねてキャンセルになったプーシキンハウスでのダンス版「アンナ・カレーニナ」中継、今度は大丈夫だった。ただし無料で招待された人の名簿にわたしの名前がもれていたが、受付の人が「たぶんあなたのせいじゃないから」と入れてくれた。全然驚きませんよ、このくらい。

Режиссер-постановщик -- Анжелика Холина

キャストをもう一度確認:

Анна Каренина -- Ольга Лерман
Алексей Каренин -- Евгений Князев
Алексей Вронский -- Дмитрий Соломыкин

Екатерина Щербацкая (Кити) -- Екатерина Крамзина

Константин Левин -- Федор Воронцов

二度ロンドンまで足を運んだ甲斐があった、非常に面白いプロダクションでした。

全編踊りで通しセリフはなし(リョービンが「うわああー!!」なんて叫んだりはしたが)。ダンスはモダンだがバレエが基礎にあって、かなり唐突で奇妙な動きをしてもきれいにさまになっている。

椅子がドアになったりオペラ劇場になったり電車になったり。舞踏会も競馬も駅も、人の体の動きで何でも表現する。キャストも良い。

左からアンナ、夫のカレーニン、ヴロンスキーのいとこでちょっと軽い女のベッツィー。

アンナのオリガ・レルマンが春風のように色気があって可愛い。バレエはプロを目指していたほどなので、踊りはきっちりこなす。原作のアンナは8歳の息子がいるといっても19世紀の話だから、まだ20代の可能性が高い。若くてよくわからない時に結婚し、その後に本当の恋をする。でも恋人のもとに行くには幼い息子を捨てなくてはならず、内臓を取られるほどの苦痛を味わう。

カレーニンは真面目で仕事熱心な政府高官として存在感あり。国のために働く人は、なかなか妻子に時間はとれない。有能なサイコパスの可能性もあるわ。

青二才感が良いソロムィキンのヴロンスキー。彼は美しく懐の深いアンナに惚れたのであって、息子から離れて精神不安定な嫉妬深い女になってしまった彼女の取り扱いに困る。若いし子供いないし、理解できないよね彼には。

夫も恋人も同じアレクセイという名前なところも、トルストイはうまいなあ。

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ヴロンスキーに振られた令嬢キティを支え、とうとうプロポーズを受け入れてもらう田舎の地主リョービン、独自の路線をまい進していた。面白味はないが信頼できるタイプ。

休憩も入れて3時間というので大変かと思ったが、知らないうちに時が過ぎて長さを感じなかった。常に動きがあり、でも忙しくはなく、それぞれの場面を面白く見せて観客を引っ張っていく。1秒も退屈しない。

ヴァフタンゴフ劇場も当然レパートリー形式。今も「アンナ〜」はもちろん、日替わりメニューで「オセロ」やらブルガーコフ「逃亡」など上演している。そのうちモスクワに1か月くらい滞在して何舞台か見てみたいものだ。

場面いくつか。オペラは「エヴゲーニー・オネーギン」のタチアーナの手紙のアリア:

 

 

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アーナルデュル・インドリダソン『湿地』をロシア語で

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アイスランドのミステリ、アーナルデュル・インドリダソンの『Mýrin』(2000年、和訳の題が湿地)をロシア語で読む。「Трясина」――泥沼ですね。

捜査官エーレンデュルなど主要登場人物は、前に読んだ「緑衣の女」と同じ、時間的にはそれ以前の話ということで、 エーレンデュルの娘のエヴァは意識を失う前。ヤク中で、妊娠した、金よこせ、とお父さんに要求したりしている。困った娘だ。

レイキャビクのアパートで見つかった老人の死体。頭に殴った痕がある。灰皿?3つの単語のメモが現場に残っていた。

例によって緻密に捜査していくエーレンデュル。被害者が昔、不起訴にはなったが女性への暴行事件を起こしてたことをつきとめる。被害を届け出た女性も、その後生まれた子供も数年後に死んでいた。

エーレンデュルはこの女性の周辺や、死んだ老人の元友人たちなど、丹念に聞き込みを続ける。必要とあらば子供の墓まで暴き、老人のアパートの床も掘り返して真実に迫る。

ここでアイスランドの遺伝子事情がキーになる。島国で人種的にほとんど純粋に保たれているアイスランドは、人口もわずか30万人あまり。遺伝子の研究に便利な国なのだそうだ。そのため先端の研究が進んでいる。この作品は2000年のものだが、国民ほとんどの遺伝情報の調べがついてしまっているという設定だ。

つまりデータベースにアクセスできて調べ方がわかる人間には、どんなに隠しても親子関係も遺伝病のルーツもわかるのだ。

「自分さえ黙って墓場まで持っていけば」バレない秘密などないということですね。

これほど殺人の被害者に嫌悪感を抱き「○んでしまえ」(もう死んでるが)と思い、犯人に同情する話はない。後半雨ばっかり降っている天気の悪さも、陰鬱な雰囲気を増幅する。

暗いが、エーレンデュルと若い部下との世代のギャップなど、笑えるところも少しはある。「ガラスの鍵賞」受賞作。

しかしそろそろ、もうちょっと明るい小説を読みたくなってきた。

和訳:

湿地 (創元推理文庫)

動画サイトに2006年のアイスランド映画『Mýrin (Jar City) 』(Baltasar Kormákur監督)があった。言葉はさっぱりわからないが、荒涼感がすばらしい。主役はElinborg、その部下シグルデュルオーリ(イケメン)がSigurdur Oliという綴りだと覚えた。アメリカに舞台を移したリメイクも作られているようだが、アイスランドの風景のほうが絶対に良いと思う。

↓スクリーンショット

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マコヴェツキーの「黒衣の僧」

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行ってきました、プーシキンハウスでのチェーホフ原作「黒衣の僧」劇場録画の上映。劇場はМосковский театр юного зрителя(若い世代のモスクワ劇場、かな)。

Режиссёр -- Кама Гинкас
<Действующие лица и исполнители>

Коврин -- Сергей Маковецкий
Чёрный монах -- Игорь Ясулович
Таня Песоцкая -- Юлия Свежакова
Песоцкий, её отец -- Валерий Баринов

若き哲学者のコヴリンが、自分ひとりだけに見える黒衣の修道僧と会話するようになり、現実と折り合えなくなってくる。自分を愛して尊重してくれていた親代わりのエゴールの娘ターニャと結婚するが、不幸な結果になってしまう。

舞台の作りが変わっていて、前方の両側のバルコニー席をつぶして橋渡しをするように床が作ってある。たまに役者がオーケストラ・ピットに飛びこんだりできる。エゴールが大事にしている庭と果樹園の象徴として、孔雀の羽根が床から生えている他はさっぱりとした舞台美術。

面白かったのはセリフ。地の分もセリフに入っている。原作は小説だから「ト書き」というものはないが、それにあたるところまで、声を出して言ってしまう。

「ターニャ退場」と言いながらターニャが舞台上手に消えていったり。たまに「彼は――した」と言いながら演技では違うことしてみたり。

後で聞いたら、この手法でチェーホフ作品を3つ手がけているそうだ。

音楽はヴェルディの「リゴレット」の同じ四重唱が繰り返し流れ、また登場人物が歌ったりした。『Bella figlia dell'amore』(美しい愛らしい娘よ)。あの、とんでもないプレイボーイの公爵が別の女の子を口説いているのを、捨てられたジルダが見て嘆き、ジルダの父のリゴレットが、泣いたってしょうがないだろ、となぐさめる場面。父と娘のテーマが、関係なくもないか。元気でハイパーなときのコヴリンは確かにイタリア語を勉強していましたが。

黒衣の僧が派手に登場するのが笑えた。黒いノボリみたいなものを立てて来て、本人は上半身裸。ヘンな人。コヴリンの暴走する潜在意識の象徴なのでしょうか。

コヴリンのセルゲイ・マコヴェツキーはやはり演技がうまい。黒目の動きまできちんとコントロールしている。この役には少しお歳なんじゃ、と思ったら、このプロダクションは1999年初演で、その後もレパートリーとして続いているのだそうだ。

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だいぶ若いころの写真。

ロシアの劇場は、いくつものレパートリーを日替わりで出す。プログラムは入れ替わるが、人気のあるものはずっと続ける。「黒衣の僧」は今年もやっているから、20年近いとは息が長い。俳優は歳を取るが、その分演技も磨かれてくるだろう。リピーターもいそう。

来週はリベンジ「アンナ・カレーニナ」です。

僧とお話していて、とうとう奥さんに「誰と話してるの!」と言われる場面。

 

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チェーホフ「黒衣の僧」& ソ連映画

JUGEMテーマ:読書

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今度の日曜日にアントン・チェーホフ(1860 - 1904)原作の芝居の中継を見に行くため、予習として読む(例の、プーシキン・ハウスで。今度は大丈夫か)。

1894年の中編『Черный монах』(黒衣の修道僧)は異色作。

哲学者で文学修士のコヴリン、勉強のしすぎで疲れてしまった。療養も兼ねて、田舎のエゴールの果樹園で過ごすことにする。エゴールは親代わりにコヴリンを育ててくれた人。

エゴールの娘で幼なじみのターニャがすっかり美しい女性に成長しているのに魅せられるコヴリンだが、一方で伝説の「黒衣の僧」を目にするようになる。どうやら自分しか見えていないようだ。だいいちその伝説をいつどこで聞いたのかもさっぱりわからない。しかし思いきって話してみると、穏やかな、立派な僧だ。彼と話をするうちに、コヴリンは自分が特別な使命をもった天才であるという確信を得る。

もちろんそれは彼の妄想なのだろう。結婚して妻になったターニャは椅子に向かってしゃべっている夫を発見、「あなたは病気よ」と心配してさっさと病院に送る。

”治って”僧を見なくなったコヴリンは自分が凡庸になったように感じ、不幸になり・・・。という、全体的に不気味な雰囲気をただよわせる作品だ。和訳が「怪奇小説傑作集 ドイツ・ロシア編」に入っちゃっている。

千年前にも現れたという、コヴリンに姿を見せた僧は何なのか。幻覚が見えていたときは絶好調だった彼の仕事は、人類にとって価値があるのでは。などいろいろ考えさせられる。時間ができたら辞書を引きながら精読したい1編だ。

1988年にモスフィルムが映画化している。

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Режиссёр -- Иван Дыховичный
Станислав Любшин — Андрей Васильевич Коврин
Татьяна Друбич — Таня Песоцкая
Пётр Фоменко — Егор Семёнович Песоцкий

「そして誰もいなくなった」にも出ていたタチアーナ・ドゥルビッチがターニャ。少しものうげな繊細さを見せる。

詩的な演出で、風にゆれるカーテンや、高い森などの背景がなにごとか語るようだ。タルコフスキーに影響されている?

肝心の黒衣の僧は一度も姿を現さず、コヴリンがこちらに向かって、まるで視聴者が僧かのように話すのが面白い。

暗めの、圧迫感のある雰囲気がよく出ていた。もう少し、理屈っぽい部分をくわしく見せてほしかったかな。理解できないかもだけど。

映像で主人公の精神状態を表現するシーン。

この作は戯曲ではないので、セリフなども脚本家の自由。日曜日に見るМТЮЗ(モスクワ、若い世代のための劇場)がどう料理したのか、楽しみだ。

和訳。読んでないけどこの本は訳が良いはず。

怪奇小説傑作集5<ドイツ・ロシア編>【新版】 (創元推理文庫)
怪奇小説傑作集5<ドイツ・ロシア編>【新版】 (創元推理文庫)

 

 

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BBCドキュ・ドラマ 『1066: A Year to Conquer England』

JUGEMテーマ:エンターテイメント

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左からノルウェー王ハーラル、イングランド王ハロルド、ノルマンディー公ウィリアム

イギリスが本土で戦争に負けたのは1066年が最後。有名なヘイスティングスの戦いで、アングロサクソンのイングランド軍がノルマンディー公に破れた。この決戦を頂点とする同年の重要な歴史の動きを追うドキュメンタリーに、ドラマも合わせて見せる3回シリーズ。

Producer/Director  --  Tim Dunn
Presenter  --  Dan Snow

William the Conqueror  --  Ed Stoppard
Harald Hardrada --  Clive Russell
Harold Godwinson  --  Adam James

お目当てはもちろん、プレゼンターのダン・スノウです(笑)。

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戦史が専門の彼、戦地を訪れ、実戦法を専門家に習ったりして楽しそう。

1066年1月、イングランドのエドワード王(Edward the Confessor、懺悔王)が亡くなった。跡継ぎとなる子供がいない。最も近い血縁、甥の息子のエドガーはまだ十代の子供だったため、義兄ハロルドが即位。

ところがこれに反発したのがフランスのノルマンディー公ウィリアム。 エドワード王の従甥の彼、15年前に王から「次はお前な」と言われていた、と主張する。一地方の君主にすぎない、しかも庶子だった彼、上昇志向が強い。

もうひとり、ヴァイキングのノルウェー王ハーラル。ヴァイキングは一世代前にはイングランドを支配していたのだ。王位が空いたのなら、いっちょう行こうか、と狙う。波乱は避けられない状況となった。

ドラマ部分の主役、ウィリアム。

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久しぶりに見たエド・ストッパード。

さらに歴史学者がそれぞれのリーダーの立場で、彼らの考え、戦略などを語る。

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若手学者たちの舌戦が面白かった。それぞれの役になりきって相手を口で攻撃。

ハーラル役の人がウィリアム役の人に向かって、

「だいたい君は元々ヴァイキングの血筋だなんて言っているけど、もうフランス化しちゃってるよね!」

こちらは反論して、

「わたしはフランス語をしゃべるが、魂はヴァイキングだ!」

フランス人が聞いたらムッとしそう。よくあることです。

さて、ウィリアムは夏には兵を集めてイングランドにわたる機会を待つが、強い北風が吹いて船が英仏海峡を渡れない。2か月も待機するはめになる。

ハロルドはワイト島でウィリアムが来るのを待ち構えていたのに、来ない。軍には農村から集めた庶民の兵もいる。収穫の農繁期も近いし、いったん解散、ロンドンに帰る。

が、そこへ北からノルウェー軍が攻めて来たという知らせが。ウィリアムを押しとどめていた風はハーラルにとっては順風だったのだ。しかもハーラルに味方し、手引きしていたのがハロルドの実弟トスティ。兄に追放されて恨んでいたのだ。兄弟は他人の始まりどころではなく、敵のはじまり。

ハロルドは兵を集めなおして必死に北上。ヨークシャーでノルウェーとイングランドが戦ったのがスタンフォード・ブリッジの戦い。狭い橋でたった一人のノルウェー兵が斧で40人ものイギリス人をやっつけたという伝説があるが、結果はイングランドの勝利。

やれやれ、と思ったその2日後に風向きが変わり、ついにウィリアムの船団が押しよせた。

人に任せず自分で戦いたかったハロルドは疲労をおして急いで南下。激しいバトルはバイユーのタペストリーに描かれているとおり。

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ハロルドは目に矢が刺さって死んだと伝わるが、時代の近い史料によるともっと悲惨な最期で、地上戦で倒れた後、バラバラにされたという話も。

布陣図など視覚的解説がよく頭に入り、人間的なエピソードも面白い。

ウィリアムは天気のせいで出陣できないなど、最初からケチがついた。風向きが変わってやっと船出、ところが彼の船は船団とはぐれてしまい、一時は自分の軍が見えなくなったという。やっとイングランドに上陸した時にはすっ転んで両手を地についてしまった。悪い前兆?いや、「わたしはこの手でイングランドの地をつかんだぞ」と解釈。

さらに戦場に出るとき、最初に鎖帷子を後ろ前に着てしまった。笑ってごまかし、着なおした。

普通の人なら運が悪いと思ってしまうようなアクシデントがあっても気にせず邁進、絶対に王位を取る、という信念があったウィリアムが勝利、ウィリアム一世として即位した。

イギリスにとって最も重要な転機といってもいいノルマンの征服を、いろんな角度から見せてもらって興味が尽きなかった。この後、言葉も政治・社会も「フランス化」して、アングロサクソンのイングランドが今のイギリスになる基礎ができた。

また、ヴァイキングによる侵略はこれ以後なりをひそめることになった。

初めての情報が多くて勉強になったわたしのような者はもちろん、学校で習ってよく知っているイギリス人にとっても面白い番組だったと思う。

 

 

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