ローカル(すぎる)ニュース

JUGEMテーマ:日記・一般

200220-1

(Cambridge Newsからの写真)

近場のニュースを2つ。まず上の写真は、「エクスティンクション・リベリオン」がケンブリッジ大学トリニティ・カレッジの芝生を掘り返している図。

「エクスティンクション〜」といえば地球温暖化を起こしている人間の活動に抗議、”非暴力”的手段に出ている団体です。以前からケンブリッジの周囲でデモをしていて、80代の老夫婦の経営するガソリンスタンドを占拠して太鼓をたたき、困らせたりしていた。

先週末からは1週間の予定でいろいろな場所に出没。一応警察に届け出ているので、ローカル新聞などに「今日はここらへんで座り込み」などの警告が出ます。

トリニティ・カレッジは石油会社などとの提携研究やプロジェクトが多い、というのが彼らの主張。画面右側に見える樹木は、かのニュートン様が重力を発見するきっかけになったリンゴの木!〜てのは大概うそですが、親戚らしいのは本当だそうです。さすがにこれには手をつけず前庭をほじくり返し、土は近所の銀行のフロアに投げ込んだとか。

これには逮捕者が出ました。だよねー芝生はイギリス人の命、怒りますよ。

確かに人々に問題意識を持ってもらうためには、「海岸でプラスチックゴミを拾いました」というようなのではインパクトが弱い。「それはいいねー」で終わってしまう。

(道路の閉鎖で)自分が会社に行けない、ミーティングに遅刻した、など直接的な影響がないと、人は真剣に考えない。でもこのやり方はなあ。すでに怒り心頭に発した市民から「やめてくれ」という嘆願書の署名が集まってます。もっと良い方法があるはず、と思う。ちょっと今すぐには思いつかないけど。

さて、それより凄いニュースが(笑)、1年9か月も風呂桶にヒビが入ったままだった賃貸マンションのバスルームがいよいよ修理してもらえることになった、という極めて個人的な話。でも大事です。

平日昼間に業者さんが入って、その日帰ったら、風呂場がこうなっていた。

200220-2

風呂桶が立っている。これではシャワーすら使えん。おまけにバスルーム以外のリビング・スペースでもコンセントを探したりしたらしく、いろんなものがぐちゃぐちゃに動かされていた。元に戻す、ってことを知らない人たちなんです。

大家さんに電話して、何とかしてもらうことに。

良かったのは翌日、上の写真を会社の上司に見せたら、

「これはいかん、今日は早めに帰っていいよ」と言ってもらったこと。ラッキー、ははは。で、帰ってみたらバスタブは設置済み。あとは大家さんが自力でタイルを貼る前段階まで、できていた。シャワーがつかなかったけど、とりあえずそれはすぐ直るそう。

あと数日、もうちょっとだ。

200220-3

シンクやトイレも真新しいのに交換されて気持ちがいい。壁はタイルを貼る前なので赤剥けですが。

でも…真新しいのに…21世紀なのに、相変わらず左の蛇口からは「熱いお湯だけ」、右の蛇口からは「水だけ」が出ます…。なんでだー!

 

 

.

 

 

 

| ろき | できごと・日常 | comments(6) | - |
プッチーニ「ラ・ボエーム」ロイヤル・オペラ@映画館

JUGEMテーマ:音楽

150220-1

たまにはテレビで情報収集しようかと思ってニュースをつけたら、有名なTVプレゼンター女性が40歳で亡くなった件ばかりで、欲しいニュースにたどりつかず。才能ある人の自殺だそうで惜しいことだ。

映画館で見たロイヤル・オペラ、プッチーニの「ラ・ボエーム」の覚え書き。

『La bohème』

<Credits>

Music - Giacomo Puccini
Libretto - Giuseppe Giacosa and Luigi Illica
Director - Richard Jones
Designer - Stewart Laing
<Performers>
Conductor - Emmanuel Villaume
Mimì - Sonya Yoncheva
Rodolfo - Charles Castronovo
Marcello - Andrzej Filończyk
Musetta - Simona Mihai (Aida Garifullinaに代り)
Schaunard - Gyula Nagy
Colline - Peter Kellner
Benoît - Jeremy White
Alcindoro - Eddie Wade
Parpignol - Andrew Macnair

パリが舞台。若くて野心ある、でもまだ稼げない芸術家(志望)たちが共同でボヘミアン的生活をしている。詩人のロドルフォは同じアパルトマンで暮らすお針子のミミと恋仲になる。一方画家マルチェッロは歌手のムゼッタに惚れているが、奔放な彼女に手を焼いている。

ミミは出会いのころからすでに病気(結核のようだがその名前は出ない)で、だんだん重くなる。金がなく支えてあげられない、と判断してロドルフォはミミと別れる。時を置き、最期に彼に会いたいと希望した瀕死のミミを、ムゼッタが運んでくる。懐かしい部屋で静かに亡くなるミミ。

若さにあふれ、音楽が透明感あってきれい、笑える場面も多い傑作だ。ストーリーはオペラなので変だけれど。だいたいロドルフォ、詩人なんてヒマでしょ。バイトして薬代くらい稼げよ、甲斐性無し…と思っちゃいます。生活力ないのよね詩人は。

金持ちのパトロンを作っては貢がせ、でも友達のミミの窮状は宝石を売って助けてやるムゼッタの方が実があるわ。

150220-2

あまり細かいことは考えず音楽に乗っていくと、実に美しい。恋人たちの出会いのシーンでは「わたしの名はミミ」と歌うヒロイン、薔薇の花なぞ刺繍する仕事をしている、わたしの薔薇に香りはないけれど。でも朝日は一番にわたしの部屋に届くの…という歌につれて、粗末な屋根裏部屋に薔薇色の朝日がさしてくる光景が目に浮かぶ。そしてミミの顔も光輝いて見えてくる。ロドルフォが彼女に惚れる瞬間が音楽になって表現されている。沁みます。

映画館なので開始前と幕間に解説なども入る。「曲に感情や情景が全部出ている」と指揮者のアントニオ・パッパーノが説明。

司会女性が階級の話にも触れていた。芸術家の卵たちは教育がある。貧乏といっても中流出身だと考えられる。これから出世し、大成する可能性もある。それに対してミミは本当にどん底だ。救いようがなく、彼女に未来はない−−とさらっと言っていて、恐ろしかった。それが現実だったんですよね。

好きだった元カレやその仲間に囲まれ、でも息を引き取るときは誰にも気づかれずひっそり逝った(ロドルフォ、後ろ向いてて気づかなかった)ミミが可憐であった。

死因は結局はっきりしない。もし結核だったら空気感染、飛沫核感染するので、部屋にいたみんなにうつったかも?でも自殺未遂からの衰弱ともとれる。

ちょっと調べてみたら、アンリ・ミュルジェールによる原作でもあまりはっきりとは書いていないようです。しかも単行本に書き下ろされた後日談では、ミミは病院で亡くなり、ロドルフォが駆けつけたときは「解剖された後」だったとのこと、ええっ!これはオペラのエンディングにはできないです。

気を取り直して明るいムゼッタのワルツ「私が街を歩けば」(マルチェッロ役は今回と違う人):

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

| ろき | 音楽 | comments(4) | - |
ブルージュの美術館・教会

JUGEMテーマ:旅行

010220-3

歴史ある街を訪ねるときは、美術館や博物館が楽しみ。

ブルージュでは3日間有効で13の施設に入れる「Musea Brugge Card」(ブルージュ美術館カード)を活用した。28ユーロだけど、大き目の美術館は入場料12ユーロ、すぐに元がとれます。さらに泊まるホテルによってはこのカード自体が4ユーロ割引になるところもあり、お得。寒い日には手近な室内にすぐ入れて助かる(笑、この理由で考古学博物館にも入った)。

まず行ったのは聖ヨハネ施療院(Sint-Janshospitaal)。ヨーロッパでも最古の病院のひとつが博物館になっている。

010220-1

St. John's Hospital in 1778, Jan Beerblock 

地元ブルージュの画家が描いた、18世紀の忙しい病院の内部。昔から教会は医療活動の中心。当時の医療器具などの展示もあり、興味深かった。

半分は宗教画の美術館となっている。

有名なハンス・メムリンク(ca.1430-40 – 1494) はドイツに生まれブルージュに居ついた画家。彼の作が集まっているので、メムリンク美術館とも呼ばれる。

010220-2

Altaarstuk van Johannes de Doper en Johannes de Evangelist、Hans Memling、1479

中世の宗教画は素朴な信仰心が表れている。そして発色がとても良くて鮮やか!(修復のたまものかな?)

『聖女ウルスラの聖遺物箱』(Shrine of St. Ursula), 1489年がお宝。

050220-1

ブリテン島のお姫様だそうです。聖堂型の置き物のパネルにメムリンクが精緻な絵を描いている。

「アーシュラ」という女性名はウルスラから来てますね。意味は子熊(雌の)、可愛いかも。

他にも無名の画家の印象深い作品もあり。

010220-4

twee luiken met de Boodschap、anonymous, Flanders, 15th C

2人とも白い衣装で清らか。

次に行ったのは、

グルートゥーズ博物館(Gruuthusemuseum)

街が最も栄えた時代の貴族の屋敷に、美術品、工芸品を集めている。グルートゥーズ家はビールの醸造に関係した名家だそう。

010220-5

ベルギービール醸造家の守護聖人、聖アーノルドの盾。いろんな守護聖人がいるもんだ。盾は直径50cmくらいあったと思う。

010220-6

大天使ミカエルのステンドグラス、1500年ごろ。

こうした大きな家は運河に面していて交通の便がよく、街を見下ろす高さもある。富を感じさせます。

ヨーロッパ各地から美術品が集まっている。

010220-7

聖アグネス、南ドイツ、1490 - 1500

13歳で殉教したそうで。上の聖ウルスラさんもそうだが、信仰のために亡くなった若い女性の伝説は多い。

絵画も、静物や肖像などが豊富だった。

010220_9

Portret van een deken van het Brugse Sint-Michielsgilde、Jan Hals、1631
ん、ハルス?と注目したら、有名なフランス・ハルスの息子のヤン・ハルス  (1620–1654)だった。父子ともにオランダ黄金時代の画家。お父さんの方が闊達な雰囲気かな。あれ、この絵はヤンが11歳で描いたことになるが、どっちかの年が間違っているんじゃないかな。そのうち調べます。

美術館関係は多くが月曜休み。なので月曜は、いつでもオープンしている鐘楼の階段366段(いい運動!)を上ったり、聖母教会でミケランジェロの聖母子像を見るのに費やす。

聖母教会(Onze-Lieve-Vrouwekerk)

さすがカソリックの荘厳な作りで、内部の装飾がすみずみまで美しいが、やはりメインはこちら:

010220_00
Madonna by Michelangelo, 1501–1504

全然幸せそうじゃない顔がいいですね。お母さんマリアは何がなし悲しそうだし、小さいジーザスはすでに家庭的なものから心が離れているよう。さすがミケちゃんだ、恐れ入った。

もうひとつ、聖母のこんな絵も:

010220-8

Our Lady of the Seven Sorrows, Adriaen Isenbrant(1490 - 1551)、1518 〜 1535

マリア様が息子の短い生涯のエピソードを思い起こしている。家業の大工修業もろくにせずに教会に入り浸って大人と議論し、成人したら新興宗教の教祖になって逮捕、34歳で処刑される…親不孝ものだねー。教祖とはそんなものですが。

この絵は息子が死んですぐ、復活するとは知らない時ですね。

これについてちょっと質問したら、ステファニーさんという若い女性学芸員がめっちゃ熱心に教えてくれた。質問なんかする人が珍しかったか。この画家アドリアーン・イゼンブラントは北方ルネサンスの重要な人物とのこと。聖母の衣装は黒に見えるが濃い紺だそうだ。

他にもここでしか見られないだろう美術工芸品が多数で、贅沢な時間を過ごせた。

今回見られなかったグルーニング美術館 (Groeninge Museum)にはヤン・ファン・エイクやヒエロニムス・ボス(大好きw)から、マグリットやデルヴォーまであるそうなので、次回は真っ先に行きたい。

 

 

.

| ろき | 美術館・展覧会など | comments(6) | - |
ブルージュの続き

JUGEMテーマ:旅行

300120-1

ブルージュ散歩、また早朝の写真。白鳥が眠そう。

今回は土曜日出発で月曜に帰る日程。初日はホテルの周囲や街中心部の様子をチェック。2日目は美術館で絵など鑑賞。翌日は前日に見きれなかった教会の美術などを鑑賞しているうちに、もう帰る時間だった。ヤン・ヴァン・アイクの絵のあるメインのグルーニング美術館は特別休館で見られなかったのに、時間が足りないくらい。次回におあずけだ。

運河をボートでめぐるツアーにも参加したかった。冬季で数を減らして営業していたけれど、寒くて気が乗らず。運河を通るボートはどれも満員でした。みなさん根性ある。

300120-2

入らなかったが、「自由ブルージュ博物館」のシルエットがきれいだった日曜の朝。

300120-3

修道院「ベギンホフ」の入り口。中に入るとオードリー・ヘップバーン主演「尼僧物語」のロケ地になった白い修道院の建物が見学できる。

こうした宗教施設以外にも壁などに聖人の像が立っている。いかにも信心深かった街らしい。

映画でヘンタイ(もう切っても切れない形容詞)ユーグが神父さんに出会って跪くシーンを撮った場所にも、壁に聖母子像が。

310120-1

宗教的なもの以外の彫像もある。

ホテルの近くの家のこれとか。

300120-4

反対方向から見ると、

300120-5

わんこがいた。いいな、この家。住みたい。でもオーナーの人、売らないよね(笑)。

300120-6

建物のちょっとしたデザインが可愛いんですよね。てっぺんにカモメがとまっている。

15世紀の貴族の館「グルートゥーズ博物館」の3階あたりの窓から下を見る:

300120-7

可愛い(語彙力がない)。

次はもっと上、マルクト広場にある町で一番高い建物、88メートルの鐘楼に上って:

300120-8

向こうは北海。地形が真っ平らなのが、オランダやイギリス東部と同じ。ブルージュは直線距離だとかなりイギリスに近いのだ。地形は似ていても建物が全然違って面白い。

それにしても、将来ひょっとしたらイギリスのパスポートを取得してヨーロッパ内の好きな場所に住もうかなあ、なんて思っていたのに、イギリスのEU離脱であえなくおじゃんになってしまったよ、ちぇっ。

次はブルージュのラスト、美術関係です。

 

 

.

| ろき | スポーツ・外遊び・旅 | comments(6) | - |
ブルージュへ行ってきた

JUGEMテーマ:旅行

280120-1

週末プラス1日で、ベルギーのブルージュへ。小説「死都〜」に合わせてブリュージュと書いていましたが、実際はブルージュが近いかも。さらに現地はオランダ語圏のため、Brugge - ブルッヘ(へとゲの中間音)になります。

ヨーロッパ北部の1月下旬、寒いし天気は悪い。3日ともそんな感じの、たまに日が差す程度、あとはどんよりのお天気でした。「死都」の雰囲気が出ていたw

オフシーズンで閑散としていると思いきや、

混んでいた!

早朝にユーロスターに乗ってブリュッセル経由、午後早めの時刻に着いたら、駅から大勢の人が中心街を目指してぞろぞろ歩いていく。その人たちに着いていくだけでよかった。お陰でホテルにも迷わず行けた。冬でもこれほど人気とはすごい。

それもそのはず、街が本当にきれい。中世に貿易で栄えて豊かになったが1500年を境にいったん衰えたブルージュ、なので旧市街は昔のたたずまいのまま。運河がアクセントになって、町並みによく合う。

どこでもスマホやカメラで写真を撮る人たちがたくさん。自分もそのひとりなわけですが、あまり人の邪魔になりたくない。

こっそり?撮るには早朝が狙い目。着いた翌日の日曜日は夜明け前から外へ。といっても、日の出が8時半くらいなんで、8時ころ。

280120-5

暗くて静かで良い。そして鐘の音も聞こえてくる。小説の雰囲気にひたれます。

映画のシーンがどこで撮られたかもわかった。

280120-3

ここらへん、主人公のヘンタイ中年(失礼ながら…だってほんとだし)ユーグがよく散歩していた。ジャーヌと待合せた石のベンチがこの先にある。

しばらくするとすっかり明るくなり、世界遺産の観光地の顔となって賑やかでした。中国人もアメリカ人もロシア人もいた。

1本の道にチョコレート屋が2件くらいあるほど。あまり数が多すぎて、ホテルのウェルカム・チョコが馬の顔の形で美味しかったのがどこにあるのか探せず。

280120-4

ちょっと惜しい日本語表記。気持ちはわかる。

結局チョコもワッフルも特に買わず。代りにもうひとつの名物、ビールを飲んだ。このさい「わたし糖質制限気味で〜」なんて言ってられません。

280120-5

撮影を忘れてちょっと飲んでから撮った(笑)。地ビールがいくつかあるうちのひとつ、ピエロマークの有名なZot。苦みに品があってとても美味しい。ランチで2杯いってしまった。

久々に用事のない小旅行は楽しかった。ブリュッセル経由ならベルギーのどこの町でも有効なユーロスターの切符はお得。また行きたいが、春・夏は本格的に混雑しそう。夏は日が長いから”早朝”も早まる、5時くらいかなあ(かなり行く気)。

次に続く予定。

 

 

.

 

 

 

 

| ろき | スポーツ・外遊び・旅 | comments(4) | - |
「カラマーゾフの兄弟」2009年ドラマ版

JUGEMテーマ:エンターテイメント

220120-1

(手前が父フョードル、後ろの右からイヴァン、アレクセイ、ドミートリイ、スメルジャコフ)

2009年、ロシアのチャンネル1「カラマーゾフの兄弟」、8回シリーズ。

『Братья Карамазовы』

Сценарист    Александр Червинский
Режиссёр    Юрий Мороз
<В ролях>
Сергей Колтаков — Фёдор Павлович Карамазов
Сергей Горобченко — Дмитрий Карамазов
Анатолий Белый — Иван Карамазов
Александр Голубев — Алексей Карамазов
Павел Деревянко — Павел Смердяков
Елена Лядова — Грушенька Светлова
Виктория Исакова — Катерина Ивановна
Дина Корзун — Катерина Хохлакова
Мария Шалаева — Лиза Хохлакова

各50分で8回あると、さすがに丁寧に物語を追える。原作を読むときの予習にも役立ちそうだ。

ドラマでは、エゴイストな父と対立していた長男ドミートリイに父殺しの嫌疑がかかって逮捕される過程、法廷場面に重点が置かれ、犯罪もの、法廷もの(弁護士が非常に切れ者)の要素が濃いが、それ以外のエピソードもちゃんと拾っている。アレクセイが関わる少年たちや、バレエでは影もなかったドミートリイのフィアンセだが次男イヴァンのことが好きなカチェリーナ、アレクセイのガールフレンドのリーザなども活躍する。子供のころの無垢な兄弟たちの姿も見られる(スメルジャコフくんはすでに猫を絞首刑にして懇ろに弔うという趣味があったけど)。

特にカチェリーナは裁判でドミートリイに決定的に不利な証拠をつきつけるという重要な役目。

今の裁判ならDNA鑑定もあり、「証拠」にするとは考えられないものだが、19世紀には有効だった。息詰まる法廷場面の突破口として強烈。自分は他の男が好きなんだから放っておけばいいのに、一応婚約者だったのに別の女が好きになったドミートリイが許せない?怖いです。

220120-2

(左がカチェリーナ、右がグルーシェンカ。なぜか仲良いふり)

そしてスメルジャコフがすばらしい!まるでカラヴァッジオの絵の中の人物のような風貌、最後の方の議論で、理知的なイヴァンの精神が崩壊するくらい追い詰める。抱えている闇が自分の体の大きさの何倍もあるのが見え、すごいです。

残念ながらわたしのロシア語力では深くまでわからない。字幕つきのDVDを買ってもいいと思った。イヴァンが好みすぎ(しょせんそんな理由・笑!)

トレイラー:

 

 

.

| ろき | お勉強・語学 | comments(6) | - |
『Pre-Raphaelite Sisters』ナショナル・ポートレート・ギャラリー

JUGEMテーマ:アート・デザイン

120120-9

Fanny Cornforth, Dante Gabriel Rossetti, 1874
イギリスのヴィクトリア朝時代に活躍した画家・美術評論家集団「ラファエル前派」、世界一美しい水死体「オフィーリア」を描いたジョン・エヴァレット・ミレーを筆頭に、ウィリアム・ホルマン・ハント、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティなどがいる。

今ナショナル・ポートレート・ギャラリーで開かれているのは、ラファエル前派に関わった女性たちをテーマにした展覧会、『Pre-Raphaelite Sisters』。ロマンチックな絵に欠かせないモデル、画家の妻になった人、自分でも制作した人など、いろんな女性12名をフィーチャーした。

12人:Joanna Wells, Fanny Cornforth, Marie Spartali Stillman, Evelyn de Morgan, Christina Rossetti, Georgiana Burne-Jones, Effie Millais, Elizabeth Siddal, Maria Zambaco, Jane Morris, Annie Miller, Fanny Eaton

全員は無理なので、面白かった人たちをピックアップして覚え書き。

まずエフィー・グレイ(Effie Gray Millais、1828 - 1897)は映画にもなった、ラスキンと結婚中にミレーと恋仲になり、後に正式に妻になった人。

「お父さんが帰ってきて喜ぶ犬」の絵の奥さんのモデル↓

120120-8

The Order of Release, John Everett Millais, 1852 - 53

彼女が不幸な結婚から解放される未来を暗示しているのかも。

その後は旦那は出世してサーの称号がつき、最終的にはロイヤル・アカデミーの会長にもなった。幸福な結婚生活だったようだ。

120120-1

Portrait of Effie Millais, Sir John Everett Millais, 1873

威厳を感じます。

一方、クリスティーナ・ロセッティはダンテ・ゲイブリエルの妹で詩人。奴隷制反対や、性産業で働く女性の保護などの運動にも熱心だったそう。若いころ、兄のモダン(19世紀当時)な受胎告知の絵のモデルになっている。

120120-2

Ecce Ancilla Domini, Dante Gabriel Rossetti, 1850

この絵では清楚な美少女だが、怒らせると怖かったらしい(笑)。

かんしゃくを起こす彼女を描いたスケッチ。

120120-3

Christina Rossetti in a Tantrum, Dante Gabriel Rossetti, 1862

おおー、手がつけられん。お兄さん、妹が可愛かったんでしょうね(少し恐ろしいけど)。

ロセッティの女性関係は複雑でわたしにはついていけませんが、彼が結婚したのは、ミレーの「オフィーリア」のモデルであった燃えるような赤毛のエリザベス・シダル(Elizabeth Siddal、1829 - 1862)。

170120-1

Ophelia, John Everett Millais, 1865-66

これはテート・ブリテンにある大きな油絵(1851–2年)の後に、小さく描いたバージョン。個人蔵です。

30代前半で亡くなってしまったが、彼女はロセッティに手ほどきを受けて、自分でも絵を描いたりしていた。

120120-10

Lovers Listening to Music, Elizabeth Siddal, c1854

美術の専門の学校できちんとデッサンなど学ぶ機会があれば、もっと説得力ある作品が描けただろうが、まだまだ女性には門が開かれていなかった。

1968年にスレード美術学校が設立されて女性を受け入れ始める。70年代に学生だったのがイーヴリン・モーガン(Evelyn Morgan、1855 - 1919)。

120120-4

Night and Sleep, Evelyn Morgan, 1878

これは大作だった。もちろん本人の才能だが、教育を受けたということも大事だったと思う。

ジョアンナ・メアリー・ボイス(Joanna Mary Boyce、1831 – 1861)は水彩画のGeorge Price Boyceの妹。フランシス・ステファン・キャリーの美術学校で学ぶ。ロイヤルアカデミーの予備校のような学校だったらしい。

120120-5

Elgiva, Joanna Mary Boyce, 1855

10世紀のアングロサクソンの貴婦人だそうです。イングランド王エドウィと結婚していたのに、当時の大司教に政治的迫害を受け、結婚を破棄されてしまったとか。なので悲しそうな表情。ボイスは出産で30歳の若さで亡くなってしまい、惜しまれた。

そんなわけで「シスターズ」の絵画作品はあまり多くない。やはり目を引くのは「ブラザーズ」の作品。

同じモデルでも結果がだいぶ違う。後にウィリアム・モリスの妻になったジェーン・バーデン:

120120-6

La Belle Iseult, William Morris, 1858

ロンドンの街中でロセッティにスカウトされたそうで、長身で目を引く美女だった。

ロセッティが描くとこうなる:

120120-7

Proserpine(部分), Dante Gabriel Rossetti, 1877

全然違うじゃん。モデルから何を引き出すかは画家の勝手ですから。

ロセッティはジェーンがモリスと結婚してしまってからも彼女のことが好きで大変だったらしい。恋愛体質なのでしょうがない。↑一番上の絵のモデル、ファニー・コーンフォース(Fanny Cornforth、1835 - 1909)も彼のモデルで、彼がエリザベス・シダルと結婚する前と後の恋人でもあった。本当にもう。

絵画の展覧会としてみたら、すごい傑作が目白押しというわけにはいかない。しかし制約の多い時代の中で、少ないチャンスを活かして努力した(奮闘・バトルだった人も)さまざまな女性の生き方に、「自由な環境で恵まれているのに、ボーッとしてちゃいかん」と思わされます。

 

 

.

| ろき | 美術館・展覧会など | comments(6) | - |
アントニオ・バンデラス主演「Pain and Glory」

JUGEMテーマ:映画

110120-1

だーいぶ前、去年見た映画で印象深かった「ペイン・アンド・グローリー」(原題『Dolor y gloria』)、ペドロ・アルモドバル監督のスペイン映画。

Directed by Pedro Almodóvar
<Cast>
Antonio Banderas as Salvador Mallo
Penélope Cruz as Jacinta Mallo, Salvador's mother
Raúl Arévalo as Venancio Mallo, Salvador's father
Leonardo Sbaraglia as Federico Delgado
Asier Etxeandia as Alberto Crespo
Cecilia Roth as Zulema

アントニオ・バンデラスというと(えっと…ゾロ?)くらいしか思い出さず申し訳ない。母国スペインではアクションより演技力を買われている俳優だそう。彼がアルモドバル監督の自伝ぽいといわれる本作で主人公の映画監督サルヴァドールを演じる。

サルヴァドールは30年前の代表作で相当に有名だが、最近はさっぱり作品を発表していない。その原因は主として健康状態。いろんな病気をして、あちこち体が痛む。痛みを薬でまぎらわす日々、精神にも影響する。

ところが最近、例の30年前の傑作が再び脚光を浴び、主演俳優と共にQ&Aに出なければならなくなった。その俳優アルベルトとは、30年前の試写会以後口を聞いていない仲だ。両者は再び顔を合わせることになり、過去のわだかまりをどう解決するか、決断を迫られる。本音をガンガン言いまくる対決が面白い。これだけ隔てなくものを言えるのは、底に信頼があるんじゃ?と思う。

結局アルベルトには、長年あたためていたモノローグ形式の新作一人芝居を演じてもらうことに。

50代もそろそろ終わりくらいの年齢設定だろうか。その頃には一度人生の見直しみたいなものをすると、見えなかったものが見えてくるのかもしれない。過去の回想シーンが色鮮やかに描かれ、美しい。

たとえば彼の子供時代の貧しい家。

110120-2

きれいやんか!でもこの部屋には屋根がないのだ。洞窟を利用した住居。若いお母さん(ペネロペ・クルス)は引っ越してきて「ええ、洞窟に住むのー!」と絶望していた。

いろんな出会いが人生の分かれ道に影響をあたえる。回想しながら、心の中でその人たちと折り合いをつけていくようだ。実際に体を動かして会う人もいる。アルモドバル監督版の「8 1/2」のような感じ。

画面の配色が斬新で、贅沢な映像の世界が展開。主人公はあまり感情移入をゆるすようなタイプじゃないが、他人の人生を垣間見る気がする作品。

スペイン版トレイラー:

 

 

.

| ろき | 映画 | comments(4) | - |
死都ブリュージュ(ロシア語訳で)

JUGEMテーマ:読書

050120-1

The abandoned city, Fernand Khnopff, 1904

ベルギー人作家ジョルジュ・ローデンバック(Georges Rodenbach、1855 - 1898年)による有名な中編『Bruges-la-Morte』(1892年)をロシア語訳で読んでみた。ロシア語だと「Мёртвый Брюгге」(死んだブリュージュ)、和訳でも「死都ブリュージュ」と、”死んだ”はブリュージュという街にかかっている。森茉莉さんだけが、「死んだ”女”よ!」と主張していた記憶があるが、世界的に多勢に無勢のようです。

主人公ユーグはベルギー北部のブリュージュに住む裕福な中年紳士。3年前に愛する妻を亡くしてから全く希望を失って引きこもりがちに暮らしている。妻の部屋は生前そのままに保ち、長い金色の遺髪を眺めては涙する毎日。灰色のブリュージュの街をあちこち散歩するくらいしか外に出ない。

ところがある日散歩の途中で、妻に瓜二つの若い女性を発見する。10年間自分を幸せにしてくれて、亡くなったときまだ30歳そこそこだった妻の若いときのような優しい美しさ。もちろんつけ回して素性を確かめる。彼女、ジャーヌはオペラ劇場で踊るバレリーナだった。

何とか話しかけ、親しくなることに成功したユーグ、ジャーヌに別宅をあてがって住まわせ、バレエは辞めてもらう。亡き妻のドレスを彼女に着せ、「なにこれ、10年前の流行じゃない?超ウケる」(とは言ってないが、そういう感じ)と笑われたり。

(やっぱり妻と違う)と思う。当たり前だろう、何を考えているんだ。

そのうちジャーヌは暇をもて余して遊び始める。顔はそっくりでも、中身は別の人間、しかも彼の記憶の妻よりずっと浅くて軽い人格、と思いながらも離れられないユーグ。狭い街のこと、彼の「別宅の女」は世間の知るところとなる。カソリックの信心深い街の目が厳しい。長年ユーグに仕えてきた老家政婦ロザリーは真面目なので、「旦那さまがそんな女を自宅に連れて来るようなことがあったら、職を辞さなくては」と思っている。

そしてよりにもよって街の大事な宗教行事「聖血の行列」の日(イースターから40日目の木曜日にあたる昇天日に行われる)、旦那がどのくらいお金持ちなのか見てみたいジャーヌが無理をいってユーグの自宅を訪れ、見てはいけないものを見て、悲劇が起こる。

主人公の心を反映するように暗く灰色のブリュージュの町並み、問いかけるように鳴る教会の鐘の音、重い空気感が的確に描写されていて詩的だが、彼の身勝手さは同情の余地はない。だいたい「妻のよう」と思ったのに別宅に囲って家に入れないのが最初から格下扱い、それで自分の思うように動いてくれることを願うのは失礼だ。妄想が激しすぎ、元々年の離れた奥さんのことも、人間としてというより、ただお人形のように可愛がっていただけなんじゃ、と疑ってしまう。

ブリュージュ市民は「死んだ街って、どういうこと?(怒)」と気を悪くしたそうだが、この作品は多くの芸術家を刺激、オペラも映画も作られ、クノップフも名画を描き(一番上の写真)、街の宣伝になっているから許してやってほしい。

映画版ではRoland Verhavert監督の作品『Brugge, die stille』 (1981年)がある。

050120-2

<Cast>

Idwig Stéphane: Hugues Viane
Magda Lesage: Blanche Viane / Jeanne Marchal
Chris Boni: Rosalie

実際の街の様子も映像で見られてきれい。奥さん=ジャーヌ役の女優さんはピンと来なかったが、ユーグ役のイドヴィグ・ステファーヌが原作のイメージにぴったり。

映画ではジャーヌは心から好きでバレエを踊っているのに、別宅で大人しくしていることを要求される。ユーグのエゴで若い女性のキャリアも人生も壊されたことが、さらにはっきり描かれている。80年代っぽい。

寒い時期のブリュージュに行ってみたくなり、ユーロスター利用で近々訪ねてみるつもり。この作品はフランス語だが、ブリュージュではオランダ語が優勢のようで、挨拶くらい覚えて行こう。イギリスより寒そう。雪で電車が止まったりしませんように。

 

.

 

 

 

 

 

| ろき | word, word, word(読書) | comments(8) | - |
『Rembrandt's Light』展@ダリッジ・ピクチャー・ギャラリー

JUGEMテーマ:アート・デザイン

291219-8

The Denial of Peter, 1660 

というわけで、ダリッジのお目あて「レンブラントの光」展です。絵具で巧みに光と影を表現したレンブラント、そのためにどんなセッティングで描いたのかがわかるよう、展示室を同様のライティングで照らすという趣向。

暗い絵だと暗めの部屋になる。

「え〜、普通のライティングで見やすくしてほしいのに」と見る前は思ったが、体験してみると面白かった。たとえば上の絵はドラマチックなライティング、光をスポットライトのように使った。場面はイエス・キリスト逮捕の現場で「あら、この人もお仲間じゃない?」と指さされた親しい弟子のペテロが、

「わたしはあんな人知りませんよ」と三回も否定してしまった場面。やっちまったな…。右側に手を後ろで縛られたキリストがこっちを振りむいている。怖い。

暗さを追求したエッチング。

291219-9

Student at a Table by Candlelight, ca. 1642

ローソクだけがぽっと明るい。電気のない時代の闇は深い。

イエスが死後よみがえってマグダラのマリアに見つかった場面の絵は室内の照明が徐々に消え、真っ暗になり、まただんだん明るくなっていく仕掛けだった。

291219-10

Christ and St. Mary Magdalene at the Tomb, 1638

イエスの墓参りに来たのに墓がからっぽで驚いているマリア、ふと後ろを見ると…

「やだ先生!そこにいたんですか?」

「やあ待たせたな」みたいな。なにかカジュアルで明るい感じ。

ジーザスはなぜか庭師の格好をしているそうで、わたしはまた、手にしたスコップで自分で墓を掘って出て来たのかと思った!そんなバカな。

真っ暗闇から明るくなるときに、まずキリストの衣装、そして背景の空と、ぼーっと白く浮き上がるのが面白い。

レンブラントは弟子の指導にも熱心だった。

これは彼が構図を決め、光源が2つ(窓と、炎)ある場合にどう処理するか、課題をあたえたものだそう。

291219-11

(Rembrandt and pupil) Tobit and Anna with the Kid, 1645

窓はいいけど、炎はうまく描けていないような気がしません?周囲に照り返しがあるはず。そして窓と違って赤味が強いはず…なんて偉そうに言ってみる。

↓弟子の描いたスタジオのテーブル。「よし、今日もがんばろう」という気持ちが表れている。

291219-12

(Attributed to) Willem Drost、 An Artist's Work Table by a Window - Overlooking a Roof, c.1650 - 55

レンブラントを超えたと思える弟子はいないようですが、優秀な人も多かった。

291219-13

Arent De Gelder,  Jacob's Dream, c.1710 - 15

アールト・デ・ヘルデル(1645 – 1727年)はレンブラント最後の弟子のひとりで、師のスタイルを守った人だそう。広がりのある空間が表現されている。

最後の部屋はレンブラントの人物画が並ぶ。

291219-15

A Woman in Bed, c.1647

スーパーセクシー(レンブラントとしては)な白い肌の美人。背後の暗さが効果的。

そしていつ見ても可愛い、このギャラリー所蔵の窓辺の少女。

291219-14

Girl at a Window, 1645

この絵の飾られたボードが面白くて、スチュアート・センプルというアーティストの作ったBlack 3.0という世界で最も黒いアクリル絵具、可視光線の99%を吸収してしまうという「瓶入りのブラックホール」。うん…確かに黒かった。

でもレンブラントが描いた帽子なんかの黒も、同じくらい黒く見えた。色は相対的なもの、人の目は騙されるので。

一晩中どこかで明かりがついている、ベッドでもついスマホを光らせてしまう現代人には、なかなか真の暗闇は描けないかもしれないなあ、と思ったりした。

短い展覧会の紹介:

 

 

.

 

 

 

| ろき | 美術館・展覧会など | comments(6) | - |
/ 1/192PAGES / >>