<< 水曜デッサン会 | main | 水曜デッサン会 >>
ナショナル・シアター・ライブ『As You Like It』

270216-1

映画館で演劇のライブ鑑賞、ナショナル・シアターの『As You Like It』(お気に召すまま)はシェイクスピア中期の明るい喜劇。
劇中の「この世は舞台。男も女も役者にすぎない」というセリフでも有名。

<Cast>
Philip Arditti -- Oliver
Joe Bannister -- Orlando   
Mark Benton -- Touchstone
Paul Chahidi -- Jaques
Rosalie Craig -- Rosalind   
Patsy Ferran -- Celia
John Ramm --  Duke Senior 
Leo Wringer -- Duke Frederick
       
<Production team>
Director: Polly Findlay
Set Designer: Lizzie Clachan
Lighting Designer: Jon Clark
Music: Orlando Gough


ヒロインのロザリンドは追放された前公爵の娘。追放した本人・現公爵フレデリックの娘シーリアと仲がよかったため屋敷に残され、いっしょに育てられた。

ヒーローのオーランドは父の死後、長兄のオリヴァーに差別待遇を受けている。
この二人がレスリング大会の場で出会って互いに一目ぼれ。

270216-2
(右端の赤毛の女性がロザリンド)

セットも服装も現代風。大企業のトップが公爵で、その役員の一人がオリヴァーというところか。オーランドは人が帰った後のオフィスの掃除をさせられていた。

ある日(もうこの娘に用はない)と思ったのか、フレデリック公爵がロザリンドに、屋敷から出ていくよう言いわたす。身を守るために男装したロザリンド、追放された父が住んでいるアーデンの森をめざす。
実の姉妹くらい親しい友と離れたくないシーリアは、庶民の格好で同行。
ちょうどオーランドも、このままでは未来がない、と忠臣をつれて家出し、森の中へ。

森で再会するが、オーランドはロザリンドが男装しているのに気づかず、この辺で育った少年だと思いこむ。
「稽古台になってやるからさ、おれをロザリンドと思って口説いてみろよ」という少年を相手に恋の練習。あはは。

森の中で羊飼いの恋愛騒動に巻き込まれたり、前公爵がオーランドを助けたりといろいろあるが、最後は好きな同士が結ばれ、悪い奴は改心し、前公爵は元の地位にもどる。めでたしめでたし。

森のセットに一番おどろいた。

270216-3

現代的なオフィスのセットから森の場面への移行はどうするのかと思ったら、オフィス家具がすべてワイヤでつながっていて、ずるずる引っ張られ、空中に吊り上げられた。少しでも間違うと、家具が落ちたり、ワイヤーがからまったりするじゃないの。全部見事に宙づり、驚愕。

鬱蒼と暗く、上の方からさしてくるライティングは木漏れ日のよう。高い場所にすわって鳥の声やアカペラのコーラスを担当する森の精みたいな人もいる。
美しいアートがちゃんと森を表現していた。

ロザリンド役のロザリー・クレイグは骨格のしっかりした顔で、ショートヘアの男装が似合う。おしとやかに育ったレディが、少年として言いたい放題できるのが楽しくて止まらない!みたいな勢いが可愛い。
シェイクスピアの時代は女性は少年が演じていたから、少年が「少年のふりをする女性」を演じていたわけで、ややこしいな。

とぼけたシーリアもいい味を出し、例の「この世は舞台」のセリフを言うジェイクイズ(前公爵についている臣下)を演じたポール・チャヒーディがクレイジーで面白い。

劇の主題として若々しい恋の騒動が盛り上がっているところに、
「ふ、芝居さ」と言い放ってしまう人物をすべりこませる。つくづくすごい作家だ。

キャストが粒ぞろい、それぞれ個性的で楽しいし、白いセーターを着た人間が羊を演じるなど、画期的な演出。全編とおして笑わせてもらった。

ナショナル・シアターでこの作品を上演するのは30年ぶりとのこと、凝った舞台を作ったものです。


トレイラー:



.
| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(4) | - |
スポンサーサイト
| スポンサードリンク | - | - | - |
Comments:
お気に召すままと言ったら
「小鳥の巣」でエドガーがロザリー姫(ロザリンド)を
アランがエリアナ(シーリア)を
キリアンがオーランドをやってましたね〜。
(最近、昔のことがよく思い出されて・・・)

女性が自由に行動するために男装するというのは
シェイクスピアに時々出てきますが
シェイクスピアも現実の女性の動きが取れない状態は書きづらいと思っていたのかもしれませんね。

オフィスのデスクなどがワイヤーでつられて森になるというのは思いがけない発想ですが
下にいたくない・・・。
落ちてきそうですものね。
* はむはは * 2016/03/01 3:06 PM
はむははさん、すごい記憶力ですね。
わたしはひとコマしか覚えてない。
エドガーがチロル帽みたいなのをかぶって演技してた?
彼がコメディをやるとは。

宙づりオフィス家具はワイヤの強度十分なんでしょうけど、見ていてハラハラします。
面白いことを考えついたものです。
* Loki * 2016/03/02 5:28 AM
シェークスピアの古典をこんな風に現代的にアレンジすることも可能なんですね。

オフィスのセットは何とも言えない繊細さと輝きを表現している。
物を別の角度で見るとこうなるんですね。アートって本当に面白い。
* Kiki * 2016/03/05 3:39 PM
Kikiさん、シェークスピアはいつの時代にも移動できる普遍性がありますね。

森のシーンは圧倒されました。これだけで見た甲斐があったと思います。
* Loki * 2016/03/06 2:54 AM
Comments: