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ナショナルギャラリー『Painters' Paintings』展

JUGEMテーマ:アート・デザイン

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Italian Woman, or Woman with Yellow Sleeve, by Jean-Baptiste-Camille Corot

 

ナショナルギャラリーの特別展に行った。

Painters' Paintings: From Freud to Van Dyck

画家が、別の画家の絵を買って(あるいは自分のと交換して)手元に置いていた、その絵と画家とのかかわりに注目したもの。たとえば上の写真のコローは、ルシアン・フロイドが大事にしていた。

取り上げた”コレクター”の方の画家はフロイドの他にマティス、ドガ、レイトン、ワッツ、ローレンス、レイノルズ、ヴァンダイク。

フロイドはセザンヌの小品を買って、そこから構図をいただいて大きな作品を描いたりしている。手元に置く絵はインスピレーションの源だ。

ドガも好きだったよう。彫刻の小品を持っていた。

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Portrait of a Woman: Head Resting on One Hand, cast after 1918. Bronze

この展覧会、時代が現代からだんだんさかのぼっていく配置が面白い。最初の部屋がフロイドで、次にマティス、のように並ぶ。

マティスもドガを買っていた。

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Combing the Hair (‘La Coiffure’) 、c. 1896

これ、マティスが持ってたんだー。いかにも好きそうな色使い。

マティスはピカソと同時代で友人だったから、取り換えっこなどしてピカソも数枚あった。

ゴーギャンのこれも、色が良い。

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Young Man with a Flower behind his Ear, Paul Gauguin, 1891

なかなかセクシー。

セザンヌもある。

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Madame Cézanne, 1886 - 1887

セザンヌのことは”絵の神様”のように崇めていて、「とてもじゃないが恐れ多くてお会いすることはできない」と言っていたそう。なんだか可愛いマティス。

さて、ドガのコレクションは非常に充実していて、美術館ができそうなほど。彼の死後に数回に分けて大規模なオークションが開かれた。その中でも重要な作品が並ぶ。

セザンヌがまたあった。

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Paul Cézanne’s Bather with Outstretched Arm (study)

小さいがまぎれもないセザンヌの筆。ドガとは初期印象派展の仲間。ちなみにこの絵は現在はアメリカ人画家のジャスパー・ジョーンズが所有している。セザンヌはとにかく画家に人気。

ゴーギャンの花瓶もあった。これは経済的に成功していない新進の画家を援助する意味もあったようだ。ドガはアート界全体にとって良いことをした。

マネの大作を救ったのも功績。

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The Execution of Maximilian, Édouard Manet, as reassembled by Edgar Degas

画家の死後に切り売りされて散逸しかけていたのをドガが必死で集めた。切ったのはマネの身内だそうですが、ひどいね。

ドガの展示は2室に分かれ、後半は古い作、尊敬していたアングルなどのコレクションが立派だ。

ドガの次からはセザンヌがいなくて寂しい。生まれてなかったからしょうがないが。イギリスの画家フレデリック・レイトンがコローの四季4部作を持っていたり、トーマス・ローレンスがレンブラントの弟子のものを持っていたり、やはり作風や絵の題材が近い人のものが好きだったり、研究したかったりするのだろう。

初代ロイヤルアカデミー会長のレイノルズ、先日ワークショップでヴェネツィア派を高く評価していたと習ったとおり、ベリーニがあった。

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Agony in the Garden, Giovanni Bellini, 1465

アカデミーの展覧会でゲインズバラのこれを買ったそうだ。

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Girl with Pigs, Thomas Gainsborough, 1781-2

可愛い。

ゲインズバラはレイノルズに買ってもらって感激したが、レイノルズは後で気が変わり、「ティツィアーノと取り換えたいなあ」などと言っていたそうな。飽きっぽい?

画家本人の自画像その他の作品もいっしょに展示されていて、集めていた他人の絵と、本人の絵との比較もできる。たいへん興味深い特別展だった。

キュレータの話、ドガのエピソード:

 

 

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| ろき | 美術館・展覧会など | comments(6) | - |
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Comments:
実力のある画家に自分の絵を買ってもらうと、その画家はきっとうれしいでしょうね。

ゴーギャンいいなぁ、ほしいわ。

マネの絵を切り売りって、ひどいわ。
全ては買い戻せなかったのですね。

セザンヌの入浴、セザンヌっぽくない珍しい感じですね。
* はむはは * 2016/08/30 7:43 AM
あ、そうか。
画家は絵が好きなんですものね。
他の画家が描いた作品を購入して飾っても不思議はない。

でもスランプで思うように描けない時は、他人の傑作を見ると辛いかも。

ミルクを舐めている子豚が可愛いですね。
この絵なら、半分に切る人の気持ちがわかります。
人間の子供、要らないんじゃない?
* B * 2016/08/30 9:47 PM
はむははさん、名誉でうれしいでしょうね。

このゴーギャン、わたしも欲しいわ。
マネの絵はどういう切り方したのか、出てこないのもありますね。ひどい話だ。

セザンヌのこれは初めて見ました。個人蔵で大事にされてますね。
* Loki * 2016/08/31 12:08 AM
Bさん、自分の作風と違うけどめちゃ好み、というのもあるかもですね。
スランプの時はカーテンかけときますか。

このミルクは豚乳かな?
「豚はいらない」っておっさん(決めつけ)もいるだろうから、仲良く半分こね。
* Loki * 2016/08/31 12:11 AM
面白い企画展ですね。
画家同士がインスピレーションを受けあっていたのがよく分かる。

このセザンヌの肖像画、やっぱり色合いがセザンヌですよね、美しい。

同時代に尊敬する画家が近くにいるというのは、画家にとって幸福ですね。

* Kiki * 2016/09/04 3:24 PM
Kikiさん、面白い企画ですよね。見せ方も良かったし。
セザンヌの色ってすぐ分かりますね。わたしも欲しい〜。
芸術家同士、刺激し合えるのは幸福なことですね。
* Loki * 2016/09/05 4:59 AM
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