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BBCドキュ・ドラマ 『1066: A Year to Conquer England』

JUGEMテーマ:エンターテイメント

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左からノルウェー王ハーラル、イングランド王ハロルド、ノルマンディー公ウィリアム

イギリスが本土で戦争に負けたのは1066年が最後。有名なヘイスティングスの戦いで、アングロサクソンのイングランド軍がノルマンディー公に破れた。この決戦を頂点とする同年の重要な歴史の動きを追うドキュメンタリーに、ドラマも合わせて見せる3回シリーズ。

Producer/Director  --  Tim Dunn
Presenter  --  Dan Snow

William the Conqueror  --  Ed Stoppard
Harald Hardrada --  Clive Russell
Harold Godwinson  --  Adam James

お目当てはもちろん、プレゼンターのダン・スノウです(笑)。

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戦史が専門の彼、戦地を訪れ、実戦法を専門家に習ったりして楽しそう。

1066年1月、イングランドのエドワード王(Edward the Confessor、懺悔王)が亡くなった。跡継ぎとなる子供がいない。最も近い血縁、甥の息子のエドガーはまだ十代の子供だったため、義兄ハロルドが即位。

ところがこれに反発したのがフランスのノルマンディー公ウィリアム。 エドワード王の従甥の彼、15年前に王から「次はお前な」と言われていた、と主張する。一地方の君主にすぎない、しかも庶子だった彼、上昇志向が強い。

もうひとり、ヴァイキングのノルウェー王ハーラル。ヴァイキングは一世代前にはイングランドを支配していたのだ。王位が空いたのなら、いっちょう行こうか、と狙う。波乱は避けられない状況となった。

ドラマ部分の主役、ウィリアム。

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久しぶりに見たエド・ストッパード。

さらに歴史学者がそれぞれのリーダーの立場で、彼らの考え、戦略などを語る。

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若手学者たちの舌戦が面白かった。それぞれの役になりきって相手を口で攻撃。

ハーラル役の人がウィリアム役の人に向かって、

「だいたい君は元々ヴァイキングの血筋だなんて言っているけど、もうフランス化しちゃってるよね!」

こちらは反論して、

「わたしはフランス語をしゃべるが、魂はヴァイキングだ!」

フランス人が聞いたらムッとしそう。よくあることです。

さて、ウィリアムは夏には兵を集めてイングランドにわたる機会を待つが、強い北風が吹いて船が英仏海峡を渡れない。2か月も待機するはめになる。

ハロルドはワイト島でウィリアムが来るのを待ち構えていたのに、来ない。軍には農村から集めた庶民の兵もいる。収穫の農繁期も近いし、いったん解散、ロンドンに帰る。

が、そこへ北からノルウェー軍が攻めて来たという知らせが。ウィリアムを押しとどめていた風はハーラルにとっては順風だったのだ。しかもハーラルに味方し、手引きしていたのがハロルドの実弟トスティ。兄に追放されて恨んでいたのだ。兄弟は他人の始まりどころではなく、敵のはじまり。

ハロルドは兵を集めなおして必死に北上。ヨークシャーでノルウェーとイングランドが戦ったのがスタンフォード・ブリッジの戦い。狭い橋でたった一人のノルウェー兵が斧で40人ものイギリス人をやっつけたという伝説があるが、結果はイングランドの勝利。

やれやれ、と思ったその2日後に風向きが変わり、ついにウィリアムの船団が押しよせた。

人に任せず自分で戦いたかったハロルドは疲労をおして急いで南下。激しいバトルはバイユーのタペストリーに描かれているとおり。

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ハロルドは目に矢が刺さって死んだと伝わるが、時代の近い史料によるともっと悲惨な最期で、地上戦で倒れた後、バラバラにされたという話も。

布陣図など視覚的解説がよく頭に入り、人間的なエピソードも面白い。

ウィリアムは天気のせいで出陣できないなど、最初からケチがついた。風向きが変わってやっと船出、ところが彼の船は船団とはぐれてしまい、一時は自分の軍が見えなくなったという。やっとイングランドに上陸した時にはすっ転んで両手を地についてしまった。悪い前兆?いや、「わたしはこの手でイングランドの地をつかんだぞ」と解釈。

さらに戦場に出るとき、最初に鎖帷子を後ろ前に着てしまった。笑ってごまかし、着なおした。

普通の人なら運が悪いと思ってしまうようなアクシデントがあっても気にせず邁進、絶対に王位を取る、という信念があったウィリアムが勝利、ウィリアム一世として即位した。

イギリスにとって最も重要な転機といってもいいノルマンの征服を、いろんな角度から見せてもらって興味が尽きなかった。この後、言葉も政治・社会も「フランス化」して、アングロサクソンのイングランドが今のイギリスになる基礎ができた。

また、ヴァイキングによる侵略はこれ以後なりをひそめることになった。

初めての情報が多くて勉強になったわたしのような者はもちろん、学校で習ってよく知っているイギリス人にとっても面白い番組だったと思う。

 

 

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| ろき | テレビ | comments(2) | - |
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Comments:
征服王ウィリアムといえば、「不思議の国のアリス」でネズミが何か語っていた、という記憶しかありません。
世界史も日本史も、学校で教わったことをほとんど覚えていません。諸先生方にお詫び申し上げます。

…終わったことだし、もう細かいことは忘れていいんじゃない?
歴史に学ぶべきは「やたらと殺し合わないこと」ですか。
* B * 2017/03/20 7:34 AM
Bさん、え、ネズミなにか言ってました?イギリスでは動物でも知っているウィリアム(笑)。
歴史の授業もドキュ・ドラマとか見せてくれると楽しいですね。
教える内容も変わってくるようでーー聖徳太子は復活したんだっけ。

「やたらと殺し合わない」これさえ覚えていられない人が多くて困ります。
* Loki * 2017/03/21 12:48 AM
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