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マコヴェツキーの「黒衣の僧」

JUGEMテーマ:エンターテイメント

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行ってきました、プーシキンハウスでのチェーホフ原作「黒衣の僧」劇場録画の上映。劇場はМосковский театр юного зрителя(若い世代のモスクワ劇場、かな)。

Режиссёр -- Кама Гинкас
<Действующие лица и исполнители>

Коврин -- Сергей Маковецкий
Чёрный монах -- Игорь Ясулович
Таня Песоцкая -- Юлия Свежакова
Песоцкий, её отец -- Валерий Баринов

若き哲学者のコヴリンが、自分ひとりだけに見える黒衣の修道僧と会話するようになり、現実と折り合えなくなってくる。自分を愛して尊重してくれていた親代わりのエゴールの娘ターニャと結婚するが、不幸な結果になってしまう。

舞台の作りが変わっていて、前方の両側のバルコニー席をつぶして橋渡しをするように床が作ってある。たまに役者がオーケストラ・ピットに飛びこんだりできる。エゴールが大事にしている庭と果樹園の象徴として、孔雀の羽根が床から生えている他はさっぱりとした舞台美術。

面白かったのはセリフ。地の分もセリフに入っている。原作は小説だから「ト書き」というものはないが、それにあたるところまで、声を出して言ってしまう。

「ターニャ退場」と言いながらターニャが舞台上手に消えていったり。たまに「彼は――した」と言いながら演技では違うことしてみたり。

後で聞いたら、この手法でチェーホフ作品を3つ手がけているそうだ。

音楽はヴェルディの「リゴレット」の同じ四重唱が繰り返し流れ、また登場人物が歌ったりした。『Bella figlia dell'amore』(美しい愛らしい娘よ)。あの、とんでもないプレイボーイの公爵が別の女の子を口説いているのを、捨てられたジルダが見て嘆き、ジルダの父のリゴレットが、泣いたってしょうがないだろ、となぐさめる場面。父と娘のテーマが、関係なくもないか。元気でハイパーなときのコヴリンは確かにイタリア語を勉強していましたが。

黒衣の僧が派手に登場するのが笑えた。黒いノボリみたいなものを立てて来て、本人は上半身裸。ヘンな人。コヴリンの暴走する潜在意識の象徴なのでしょうか。

コヴリンのセルゲイ・マコヴェツキーはやはり演技がうまい。黒目の動きまできちんとコントロールしている。この役には少しお歳なんじゃ、と思ったら、このプロダクションは1999年初演で、その後もレパートリーとして続いているのだそうだ。

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だいぶ若いころの写真。

ロシアの劇場は、いくつものレパートリーを日替わりで出す。プログラムは入れ替わるが、人気のあるものはずっと続ける。「黒衣の僧」は今年もやっているから、20年近いとは息が長い。俳優は歳を取るが、その分演技も磨かれてくるだろう。リピーターもいそう。

来週はリベンジ「アンナ・カレーニナ」です。

僧とお話していて、とうとう奥さんに「誰と話してるの!」と言われる場面。

 

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| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(4) | - |
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Comments:
再演を繰り返すうちに役者さんが年を取るって
森光子の放浪記のようね。
お客さんは楽しみに見に来るのね。

地の分も台詞にするの、面白いわ。

黒衣の僧って、こんな感じの人?
ちょっとイメージ違うような・・・
* はむはは * 2017/03/29 2:35 PM
はむははさん、そうなんです。でんぐり返しをいつまでやれるか、っていう世界ですね。
この手法はチェーホフに合うかもしれません。
黒衣のヒト、みんな「そう来たか!?」と驚いたと思います。面白い。
* Loki * 2017/03/29 11:10 PM
ロシアの舞台演劇を見たことはなかったのですが、こういう感じなんですね。YouTubeを見ました。

何となく不思議。この不思議さがロシア的ということなのでしょうか。
言語なのか表情なのか、この不思議さは一体何から来ているのだろう。
* Kiki * 2017/04/01 6:14 PM
Kikiさん、演出も俳優も、ユニークですよね。
ソ連時代からスタニスラフスキー・システムが確立されて演劇の基礎になっているそうで。
そういわれても、そのシステムがよくわからないんですけどね(汗)。
* Loki * 2017/04/02 3:25 AM
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