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アーナルデュル・インドリダソン『湿地』をロシア語で

JUGEMテーマ:読書

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アイスランドのミステリ、アーナルデュル・インドリダソンの『Mýrin』(2000年、和訳の題が湿地)をロシア語で読む。「Трясина」――泥沼ですね。

捜査官エーレンデュルなど主要登場人物は、前に読んだ「緑衣の女」と同じ、時間的にはそれ以前の話ということで、 エーレンデュルの娘のエヴァは意識を失う前。ヤク中で、妊娠した、金よこせ、とお父さんに要求したりしている。困った娘だ。

レイキャビクのアパートで見つかった老人の死体。頭に殴った痕がある。灰皿?3つの単語のメモが現場に残っていた。

例によって緻密に捜査していくエーレンデュル。被害者が昔、不起訴にはなったが女性への暴行事件を起こしてたことをつきとめる。被害を届け出た女性も、その後生まれた子供も数年後に死んでいた。

エーレンデュルはこの女性の周辺や、死んだ老人の元友人たちなど、丹念に聞き込みを続ける。必要とあらば子供の墓まで暴き、老人のアパートの床も掘り返して真実に迫る。

ここでアイスランドの遺伝子事情がキーになる。島国で人種的にほとんど純粋に保たれているアイスランドは、人口もわずか30万人あまり。遺伝子の研究に便利な国なのだそうだ。そのため先端の研究が進んでいる。この作品は2000年のものだが、国民ほとんどの遺伝情報の調べがついてしまっているという設定だ。

つまりデータベースにアクセスできて調べ方がわかる人間には、どんなに隠しても親子関係も遺伝病のルーツもわかるのだ。

「自分さえ黙って墓場まで持っていけば」バレない秘密などないということですね。

これほど殺人の被害者に嫌悪感を抱き「○んでしまえ」(もう死んでるが)と思い、犯人に同情する話はない。後半雨ばっかり降っている天気の悪さも、陰鬱な雰囲気を増幅する。

暗いが、エーレンデュルと若い部下との世代のギャップなど、笑えるところも少しはある。「ガラスの鍵賞」受賞作。

しかしそろそろ、もうちょっと明るい小説を読みたくなってきた。

和訳:

湿地 (創元推理文庫)

動画サイトに2006年のアイスランド映画『Mýrin (Jar City) 』(Baltasar Kormákur監督)があった。言葉はさっぱりわからないが、荒涼感がすばらしい。主役はElinborg、その部下シグルデュルオーリ(イケメン)がSigurdur Oliという綴りだと覚えた。アメリカに舞台を移したリメイクも作られているようだが、アイスランドの風景のほうが絶対に良いと思う。

↓スクリーンショット

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| ろき | word, word, word(読書) | comments(4) | - |
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Comments:
自分の遺伝子情報がまるわかりなんですか。
国中がみな親戚なんですね。
面白いわ。

死んでしまえと思われるほどの被害者って・・・。
でも、みんな親戚なのよ。
加害者も血がつながっているのね。

泥沼〜。
* はむはは * 2017/04/03 11:59 PM
はむははさん、アイスランドって苗字ってものがないんですよね。〇〇(父の名)の子、という父称が苗字代わり。
途中でバレたら(何が?)、変えるのかな。

>泥沼〜。
そうそう、それがタイトル(怖)。
* Loki * 2017/04/04 5:50 AM
>アイスランドって苗字ってものがないんですよね。
>〇〇(父の名)の子、という父称が苗字代わり。

ということは、ロシアでいう、イワン・イワノビッチ的な・・・。
イワン・イワノビッチがたくさんいたら、
混乱するわね〜。

でもって、遺伝子で実はウラジーミルの子とバレたら
イワン・ウラジーミロヴィチになるのかしら。
* はむはは * 2017/04/04 7:22 PM
はむははさん、しかも全く新しいファーストネームは、申請して許可されないとつけられないそうです。
キラキラ?父称だと孫が恥かしいもんね。

「今学期からビョルン・ベルグッソンくんはビョルン・グンナルソンくんになりました」って先生に紹介されちゃったら気まずいなー。
* Loki * 2017/04/05 12:03 AM
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