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北斎展@大英博物館

JUGEMテーマ:アート・デザイン

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凱風快晴、1831 - 1833

大英博物館の「北斎展」、行ってきました。

Hokusai -- beyond the Great Wave

入場時間制限つきの予約制、時間内に入れば好きなだけいていい。非常に混んでました。

”大波を越えて”というタイトル通り、初期から中年期まではサラッと、歳とともにますます研ぎ澄まされた北斎(1760 - 1849)の後期に重点がおかれていた。

まずドキュメンタリーでも見た上の赤富士。実はこれは印刷の手間をちょと省略してしまったもので、北斎が意図したのはもっと薄い色の「ピンク富士」だったそう。

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色があせたんじゃなく、こっちが本当。2つ並べて見ると、確かにこちらの方がニュアンスが豊か。でも赤いのもインパクトある。

木版を刷る過程のビデオも流れていた。下絵の筆の方向まで注意して掘る人も、色をぴたっと合わせて刷る人も、磨きぬかれた技だ。

植物も美しい。

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朝顔に雨蛙、 1832

蛙?ああ、いたいた。静物だが動きがある。

「百人一首」も新鮮だった。

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百人一首、1835 - 36 

源宗于朝臣の
「山里は 冬ぞさみしさまさりける 人目も草もかれぬと思へば」

煙が生き物のよう。なんだか楽しそうで、あまり淋しくないけど・・・。

版画もすばらしいが、肉筆画はもっとすごい。ぐっと奥行きが出る。

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軍鶏図 1826 - 1834

やたら強そうな鶏!後ろの雌鶏がまた、旦那が偉いから自分もいばってます感があって可愛いわ。

初めて見て驚いた西瓜。

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西瓜図 1831 - 1832

な、なんと斬新な。「充電中のスマホ」を描いていたホックニーを思い出す。

北斎は西洋画も知っていて、遠近法も使ったりした。またオランダの商館?の偉い人に依頼されて日本の日常を描いたシリーズがオランダの美術館にある。

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「年始回り」

オランダ国立博物館の所蔵。年代のメモを忘れたが北斎50代の頃の作らしい。手前のわんこも年始の挨拶でおちりの嗅ぎあい・・・。

三女のお栄さん=応為の作もあった。彼女も立派な絵師。

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葛飾応為、関羽割臂図

大作だ。黒と赤が効いている。彼女の「色の作り方」や、北斎の死を報告した手紙など肉筆が展示されていた。筆の字、読めないけど。

日本はもちろん、世界から集めた選りすぐりの傑作ぞろいで堪能した。

死の間際の龍が迫力。辰年生まれで思い入れがあったのですね。

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龍雲図 1849

間近で見ると実に立体的でリアル。

90歳でも眼は衰えていなかったようだ。彼の野心通り、本当にあと20年寿命があったら、と思うとそら恐ろしい。人間としてこのくらいにしておいて正解だったのかもしれない。

8月までやっているので、機会があったらもう一度くらい見たいな。

 

 

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Comments:
ピンク富士の枯れた感じが
森茉莉が好みそうな色合いですね。
言われてみれば、赤富士はこけおどしチックだわ。
でも、このインパクトはいいですよね。

朝顔に蛙、どこ?
ああ、いたいた、スパイダーマンっぽい。

スイカの、発想することが素晴らしい。

もう少し生きたいという貪欲さが
老いてなお前進させていたのですね。

お栄さんも立派な絵師ですね。
父の元で好きなだけ描けたようですから
幸せでしたね。
* はむはは * 2017/06/17 12:35 PM
はむははさん、森茉莉さんなら一人でも「ピンクが正しいのに」と主張してそうですね。構図が決まってるから赤も良いですけどね。

死ぬ間際まで貪欲ですごいです。
お栄さんも実力ありますねー。北斎も晩年は娘を頼りにしていたようですね。
* Loki * 2017/06/17 11:32 PM
やはり赤富士の方がデザイン的にはインパクトがあると思う。
ピンク富士は上品ですね。春霞の富士のよう。

この西瓜、モダンですね〜。遊び心がいい。

北斎が西洋絵画を知っていたというのは知りませんでした。

死の間際でこれだけエネルギーがあるのは凄い。多分この絵のために全力を出し切ったのでしょうね。
* Kiki * 2017/06/18 9:53 PM
Kikiさん、赤い方がバーンと目に入りますね。ピンクのはつくづく見て飽きない感じ。

西瓜は新しいですよね、感銘受けました。
大好きな仕事を研究し続けて、身も心も長持ちしたのでしょうね。すごい。
* Loki * 2017/06/19 5:22 AM
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