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アンドリュー・スコットの「ハムレット」

JUGEMテーマ:エンターテイメント

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今日あたりからまた涼しくなったけど、1週間ほどやたら暑くて30度前後だった。もっと南の方では40年ぶりの34度を記録。しかも草の花粉がすごい飛んで、アレルギー薬漬けの日々。こういう時にかぎって忙しく、2日続けてロンドンに通わなければならなかった。

さすがに疲れてキレそうになったので、ロンドン2日目の夜に芝居へGO。BBCドラマ「シャーロック」のモリアーティ役が可愛いアンドリュー・スコットの「ハムレット」。Almeida劇場(上のポスター)で好評だったプロダクションをハロルド・ピンタ―劇場で再演しているもの。

『Hamlet』 Harold Pinter Theatre
Director -- Robert Icke
<Cast>
Andrew Scott -- Hamlet
Juliet Stevenson -- Gertrude
Angus Wright -- Claudius 
Jessica Brown Findlay -- Ophelia
David Rintoul -- Ghost/Player King 
Joshua Higgott -- Horatio
Luke Thompson -- Laertes
Peter Wight -- Polonius

 

設定は現代。先王の幽霊は城内監視カメラの映像に登場するし、ノルウェー王の動向やロイヤルファミリーのイベントはテレビで報道される。

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デンマーク王の死後すぐに、その弟が王冠と王妃を引き継いだ!王子ハムレットにとっては叔父が父親になるという異様な事態。家族として表向きには仲良さそうにメディアに対応する3人。それが壁のスクリーンにニュース画面として映し出される。見出しがちゃんとデンマーク語(読めないが)になっていた。

あまりに有名なモリアーティの印象を払拭しなくてはならないアンドリューだが、たいへん良かった。話し方は基本低めでやわらかく、アイリッシュ訛りの巻いたRがセクシー。でも神経過敏ですぐ動揺し、激高して直後にそれを鎮めようとしたりする。発言は穏やかでも手が不安そうに動いていたり、全身をよくコントロールしたパフォーマンス。今まで見たことのないタイプの、感情と思考が内部で錯綜しているハムレット、うまいなーと思った。

アンガス・ライトのクローディアスはつかみどころのない政治家ふう。一番生の感情が出るべき「兄の殺害の結果を畏れて神に祈るシーン」でも、心の底の動きが見られない。長年仮面をつけすぎて顔に貼りついてしまった人のよう。

ガートルードはいつも難しい役だと思うが、ジュリエット・スティーヴンソンはさすが、女として新しい夫に夢中な姿(まっ人生そういうこともあるわよね)から、現夫の正体をようやく悟って息子の身代わりに毒をあおって死ぬところまで、変化を見せた。

ジェシカ・フィンドレーのオフィーリア、気丈な娘だったのに周囲からスパイの役など押しつけられて重圧で気がヘンになる。最後は車椅子で登場していた。

インテリアがシンプルすぎてほとんど粗末、これで王室?と思ったが、登場人物がゴージャスなのでそのうち気にならなくなる。面白いプロダクションだったが、結局は主役が良いという結論になるでしょう。

ところで仕事の会議の担当者がデンマーク人だったので雑談のときに聞いてみたら、

「シェイクスピアのハムレットは一度も見たことありません」とのこと。見たくない気持ちはわかる気がする。わたしもオペラ「蝶々夫人」は舞台では観てないわ(話が別?)。

監督とハムとオフェリアのインタビュー。カンバーバッチのハムレットは観たし、向こうもアンドリューのを見に来たけど、非常に個人的なものなので比較にならないそう。

 

 

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| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(10) | - |
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Comments:
気候が色々変わると、人間はついて行けないですね。
無理しないでくださいね。

モリアーティが良すぎますからね。
イメージを払拭するのはなかなか大変だと思います。

ロイヤルファミリーだから、カメラの前ではにっこりしなくてはならないですね。
心の中ではいろいろありますが。
そこを考えながら見ると面白そうですね。

カンバーバッチと比較してもね。
個性が全然違うし、好みの問題になりますね。
* はむはは * 2017/06/23 2:05 PM
はむははさん、油断していたので応えました。今日は20℃に下がったのでぐっすり寝ます。

アンドリューのハムレットは期待以上に味がありました。モリアーティっぽいときもあったが、それはそれで可愛いし。

ロイヤルファミリー大変ですね。ハリー王子が最近になって「12歳の子に母親の棺の後を歩かせてみんなで見るなんて普通しないだろう」と言ってますが、辛かったんでしょうね。
* Loki * 2017/06/24 12:36 AM
ハムレット君、父親が死んだり母親が叔父と再婚したのもショックでしょうけど、すんなり自分のものになると思っていた王位が横取りされた衝撃が大きかったのかな。

クローディアスも、根っからの悪党なら罪悪感に苦しまないでしょう。人生の終わりを意識して、急にものすごく、王になってみたくなったのかも。中年の危機ですね。

このハムレットだと、観客が「ただでは済まないぞ」と期待しちゃいますね。
* B * 2017/06/24 6:39 AM
Bさん、そうですね、普通なら息子が継ぐはず。
叔父さん、いろんな手を使ったね。
一生「兄のスペア」なのが嫌になったのかな。
根っからの悪人ではないですが、ひとつ悪事をすると隠蔽のためにいろいろしないとね。

印象的なハムレットでした。そうそう、フェンシングのとき左利きだった。
* Loki * 2017/06/25 1:50 AM
アンドリュー・スコットは、私には「可愛い弟キャラ」です(笑)。
シェークスピア作品を演じるのって、日本では能や歌舞伎に近い感覚なのかなあ・・・。古典芸能の域に達した出し物ですよね。
* やす * 2017/06/26 8:00 PM
やすさん、わたしも、可愛くてたまりません。すねると特にキュート(笑)。
16、17世紀の作品なんですよね。でもこれだけ現代的にも演出できる。すばらしいなーと思います。
* Loki * 2017/06/26 9:32 PM
こんにちは。
アンドリュー・スコット、確かに、モリアーティのキャラが強烈でしたよね。
でも、こちらのインタビュー動画を見たら、すごく普通の人なんで、「あ〜そうなんだ」と思いました。(ってか、当たり前ですよね。)
やっぱり、力量がある役者って、いろんなキャラをやれちゃうんだな、すごいな、ってあらためて思いました。

で、今、夜中にテレビで『パレードへようこそ(原題はPride)』っていう映画を見てるんですけど、それに、アンドリュー・スコットが出てるのに気づきました。
ごく普通のゲイの若者の役。
2014年の映画ですけど、設定が80年代なんで、もしかしたら、彼がすごく若い時に出た映画なのかな、って最初は思いました。
でも、ほんの数年前に撮られた映画なんですね。
こんな普通の目立たない若者の役もやるんだな、って思いました。
芸域、幅広いんですね。

何やっても、同じようにしか見えない俳優さんも、いますけど、英国の俳優さんって、やっぱり、俳優としての基礎訓練をみっちりしてるから、どんな役でもできちゃう人が多いんでしょうかね。
* みか * 2017/06/27 2:51 AM
みかさん、モリアーティがあんなに自然なのに、完全なる演技なんですよね。(”地”だったら困るが)
『Pride』は見てないのですが、これも良いそうですね。
この国の役者(アンドリューは厳密にはアイルランド人だけど)は舞台が基礎であり、その土台にはシェイクスピアがあるのかなと思います。
* Loki * 2017/06/27 5:45 AM
あ〜、アイルランド人なんですね。
Prideでは、北ウェールズ出身の若者、っていう設定でした。
『あなた、ウェールズの人?』『いや〜、なまりが出ちゃうんですよね』というセリフがありましたので、私には区別がつかなかったけど、ウェールズなまりで演技していたようです。
もしかしたら、彼の風貌も、ケルト系の特徴が強いのでしょうかね。
眉骨のラインが、けっこう、個性的ですよね。
* みか * 2017/06/27 2:10 PM
みかさん、彼はダブリン生まれで、アイルランドのトップ大学に入学したけど仕事が順調なので中退したと思います。頭いい。
ウェールズなまり、わたしもよくわからないが、『Pride』見てみたくなりました。
ケルト系かもしれませんね。ヴァイキングはあまり入ってなさそう(?笑)。
* Loki * 2017/06/27 5:49 PM
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