<< ポートレート・ギャラリー、オールドマスターのデッサン展 | main | マーガレット・メイヒュー『Dry Bones』 >>
ワークショップ『From Silver to Ink and Chalk』

JUGEMテーマ:アート・デザイン

ポートレート・ギャラリーの、展覧会にちなんだワークショップは、オールドマスターが使った画材を体験してみるというもの。

1.シルバーポイント、2.インク、3.チョーク

2日のうち初日で3つの画材を紹介、翌日はモデルに座ってもらって自分が選んだ画材でポートレートを描く予定だったが、1日目にシルバーポイントや展覧会場訪問などで時間をとられ、インクは2日目の朝に移った。

1.シルバーポイント(銀筆)はメタルポイントのひとつで、鉛筆の前身。細い銀の芯で、あらかじめ下塗りした紙に線描きする。(普通の紙の表面だとツルツルして描けない)

下塗りはグアッシュのZink Whiteを、A4の紙2枚分だと、カシューナッツ2個くらいの量を水で溶き、それにGum arabic (アラビアゴム)を小さじ半分ほどを加える。さらに好みで顔料を加えて色をつける。液のとろみは「シングルクリーム」(だいたいコーヒー用クリームくらいかな)ほど。グアッシュを塗る前に、紙の裏側に刷毛でまんべんなく水を塗っておくと紙がそらない。

お手本を見て線描き。

270717-3

グレーの細い線が引ける。消せない、こすってぼかせない、厳密な画材だ。グレーだけだと弱いので、ホワイト(これもグアッシュで、Permanent whiteを使う)でハイライト。本当は細〜い筆でハッチングするべき。肩凝った。

2のチョークは、パステルやコンテに近いので使いやすい。

270717-4

これもお手本のコピー。赤と黒の2色を使う。

3のインクは面白くて、白鳥からひっこ抜いた(ちゃんと処理済みです)羽根のペン先を自分で削った。

写真に撮るひまがなく、画材はすべて返却しなくてはならなかったので絵がなくてすみませんが、カッターナイフでペン先のように削り、最後に溝もつけた。金属よりもずっと柔軟で、筆圧で強弱がつけられ、楽しい画材。

Oak gall inkという、樫の木が寄生虫のせいでコブになった部分が材料の古いインクを試したりした。一見緑色で、乾くと濃紺になる。不思議。これがインクになると発見した人がすごい。

270717-5

でも発色や使いやすさは、現代のWinsor & Newtonのカラーインクに軍配があがる。

午後からモデルさんが2人座って、5人でひとりを描くという贅沢なセッションだった。画材はどれを使うか迷ったが、チョークやインクはまだ慣れているということで、初めて使って珍しいシルバーポイントにする。時間が余ったらインク、と思ったが、予想通り余らなかった。

自分で下塗りした紙を用意し、硬い感触のシャープペンシル状のペンで描いていく。

あまり繊細で自分が描いた線が見にくい。

「見えなーい」と騒いでいたら、先生が自分用の芯が太めのペンを貸してくれた(笑)。0.9mmくらいかな。0.5mmだと弱い気がする。

270717-2

モデルは名前エリーさんだっけ。この絵より若い。10年くらい歳とらせてしまったわ。

下地は実物はもっと緑に近い。Terre verteを単色で使った。他の人は前日のバーント・シエナ系の暖色にしていた様子。

「クール!」と下地が誉められた、はは。

シルバーポイントは薄くてなかなか濃くならず、線を重ね、クロスハッチングで密にしていく。それにハイライトを効かせる。硬い鉛筆みたいな感触。

ただ、この線は数か月たつとだんだん茶色く変色していくそうだ。楽しみ。

鉛筆がいかに使いやすい発明品であるか、身に沁みました。

「ウォーミングアップ」として鉛筆で描いた20分ほどのスケッチ:

270717-1

こっちのほうが似ています。やっぱりね。

最後に皆で見せっこして楽しかったが、どんな画材を試そうとも、その人のスタイルは変わらないものだということが確認された。当然だが、シルバーポイントを持ったからっていきなりデューラーみたいな線にはならないのである。

こんなに不自由な画材で傑作を描いていたマスターたちに尊敬の念が増したのは、いうまでもありません。

 

 

.

 

 

 

 

 

| ろき | 作品・習作 | comments(4) | - |
スポンサーサイト
| スポンサードリンク | - | - | - |
Comments:
シルバーポイントは色々と使えそうですね。
紙の色を変えるだけでも、雰囲気が変わって面白そう。

最後のエリーさんの絵、素敵ですね。
彼女のちょっとふくよかな女性らしい雰囲気が素敵です。
* Kiki * 2017/07/29 6:50 PM
Kikiさん、シルバーポイントはわたしの性格に合ってないような気もしますが(ミスなく丁寧に重ねていかないとダメ)、ちょっと練習してみたいです。
鉛筆だと楽に描けるのが実感できました。
* Loki * 2017/07/30 3:58 AM
シルバーポイントって、紙の方を加工して描けるようにしているんですね。昔の画材って、いちいち手間がかかっていて貴重。

失敗できない分、画家も線1本描くのも真剣だったでしょうね。スケッチブックに、消しゴムで消せる柔らかい鉛筆で描いているのとは気合いが違う。

エリーさんは美人でどちらも素敵ですが、シルバーポイントで描いたのは緊迫感があって引き込まれます。
人物に深みを感じますね。
* B * 2017/07/30 8:17 AM
Bさん、本当にいちいち手間がかかって、職人ワザですね。すごいわー。

エリーさんは先生に言わせると「1950年代の顔」だそうです、褒めているんですが。美人だし雰囲気があった。
* Loki * 2017/07/30 7:48 PM
Comments: