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ミーガン・アボット『You Will Know Me』

JUGEMテーマ:読書

You Will Know Me (Tpb Export)
You Will Know Me (Tpb Export)

Glen Erik Hamiltonお勧めの現代の「ロマン・ノワール」のリストの中で読みたい作が2つ、前回は図書館で別の作品に行きついちゃいましたが、今度はちゃんとAmazonで買った。

アメリカの作家Megan Abbott(1971-)による『You Will Know Me』、2016年作。

これは面白い。体操の天才少女とそれを支える両親の話だが、ひとりだけ突出した存在があるために家庭が緊迫し、アンバランスな状態のままどんどん圧がかかってくるのがリアルに感じられる。

3歳のときから体操を始めたデヴォンは最初から異彩をはなち、群を抜いていた。見る見るうちに上達する。

体操の経験はない両親のエリックとケイティ夫婦、娘の成長が嬉しくて、全力でサポートする。トレーニングに週何日も通い、レベルの高いジムに移し、必要な設備を新設するよう資金集め運動をし、地方の大会に出場させ、もう家なんか抵当に入れちゃう。デヴォンの下に弟もいるが、科学好きのこの子がおとなしいのでほとんど放置。

もう町とその周辺では並ぶもののない選手になった15歳のデヴォン、周囲の期待も集め、オリンピックを目指す資格を得るために猛練習中。

ところがそんな時に、交通事故がおきる。ジムの従業員の、ハンサムで気さくな青年ライアンがひき逃げで亡くなった。ジムの女子たち(とお母さんたち)の半分以上があこがれの目で見ていた人気者の彼は、コーチのひとりヘイリーの恋人だった。ヘイリーはジムのカリスマ?コーチであるテディの姪でもある。ジムは大揺れ。

心の中では(もうすぐ大事な大会なのに、ろくに練習にならなくて困るわ)としか思えないケイティたち。しかしその事故から、ジムだけでなく、友人関係、家族の間もおかしくなる、あるいは隠していたものが暴かれ、見ないようにしていたものが見えてきて・・・。

その中で娘を守ろうとあらゆる手段を尽くそうとするケイティとエリックの夫婦、しかし二人の間にも秘密がある。そして15歳の娘が本当のことを言っているかどうか。

というサスペンスに満ちた緊迫したストーリー、先が気になって350ページを2日で読んだ。

オリンピック選手になるのはどこでも大変だが、アメリカだとまず国の代表になる競争が熾烈だろう。お金もかかる。過酷だなー、と知らない世界を垣間見て興味深い。

ミーガン・アボットはこれが8作目、伏線の貼り方も巧妙、うまい。犯人はわかっちゃいますが、ポイントは心理バトルでしょう。ハラハラした。

アボットは日本では初期の2作ほど翻訳されているようです。

そろそろロシア語(巨匠とマルガリータとか)にもどる予定。その前にポアロを1つ読もうかな。

 

 

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| ろき | word, word, word(読書) | comments(4) | - |
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Comments:
親が平等にしようと気を配っていたとしても兄弟関係は難しいものですよね。
あからさまに差別されると、期待された方も無視された方もいろいろ傷つきます。

子供の可能性に夢中になった親の、嫌な面も見てしまうだろうし、才能ある子って大変。

ミーガン・アボット作「さよならを言うことは」を読んだはずだけど、見事なくらい何も覚えてません。…
* B * 2017/08/10 12:58 PM
Bさん、アボット読んだことあるのですね。あまり印象に残らず?

この作では弟が聞き分けがいいのが気の毒です。
でも彼は見ていた・・・!

ロンドン世界陸上を見てきまして、(この人たちもいろいろあるのかしら)と思っちゃいましたw
* Loki * 2017/08/11 8:43 AM
ちょっとしたボタンの掛け違いで運命が狂うような、そんな小説ですね。

頂点を極める人には、それに匹敵するぐらいのバックグラウンドがあるのかな。ある意味バランスがとれるのかもしれない。

もしオリンピック選手の自伝を集めた本があったら面白いでしょうね。
* Kiki * 2017/08/12 9:49 PM
Kikiさん、元々体操を始めたのにも事情があって、そこから加速した感じです。小説としては面白い、でも当事者にはなりたくないー。
今は自然の才能に恵まれた人がコーチなどとのチームワークで技を磨かないとトップになれませんよね。やりがいはあるでしょう、でも大変〜。
* Loki * 2017/08/13 5:41 AM
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