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『Время первых』@ロシア映画祭

JUGEMテーマ:映画

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今年の自分にとってのベスト映画がたぶん決まりましたが、その前に、ロシア映画祭で見たもう1本。

『Время первых』(2017)、英題は「The Spacewalker」となってましたが、もう1つのバージョン「The Age of Pioneers」(パイオニアたちの時代)の方が原題に近い。

主演がエヴゲーニー・ミローノフとコンスタンチン・ハベンスキーだから駆けつけただけですが、面白かった。冷戦時代にアメリカと宇宙開発を競っていたソ連で、初宇宙遊泳をなしとげた飛行士たちの話。

Режиссёр -- Дмитрий Киселёв

<Cast>

Евгений Миронов    -- космонавт Алексей Леонов
Константин Хабенский -- командир «Восхода-2» Павел Беляев
Владимир Ильин  --  генеральный конструктор Сергей Королёв

冷戦のさなか、宇宙開発競争は軍事競争でもあった。ソ連は世界で初めて人工衛星スプートニク1号を地球周回軌道にのせたり、ユーリイ・ガガーリンが初めて地球軌道を周回するなど、アメリカをリードしていた。次なる目標は、人間が宇宙空間に踏み出すこと。

ボスホート(Восход=夜明け)2号に乗り組むべく選ばれたのが、優秀で無茶なパイロットのアレクセイ・レオーノフ(1934- )と、優秀で冷静な先輩パーヴェル・ベリャーエフ(1925-1970)。

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本物のベリャーエフと、ハベンスキー。

性格が正反対の2人、最初はなかなかうまくいかない。

「お前は恐れを知らない。そんな危ないやつといっしょに飛びたくない」とベリャーエフがいったりする。が、とにかく猛追してくるアメリカに勝たなければならない。プロトタイプの打ち上げが失敗したのに、本番を飛んでしまう2人。無理矢理だー。

アメリカを出し抜いてレオーノフが宇宙遊泳に成功したのはいいが、宇宙服内の気圧が上がりすぎてパンパンに膨らみ、身動きできなくなったり。

やっと船内に帰れたと思ったら酸素が漏れ出したり、危機の連続。おそろしい。

ボスホートは軌道をちょっとだけ外れてしまい、どこに着地するか計算できない状態に。上部は「敵国に落ちて機密がバレるくらいなら、そのまま回ってろ」(=2人には死んでもらう)というが、開発責任者の天才科学者セルゲイ・コロリョフは宇宙飛行士たちを救おうとする。手動で大気圏再突入するのを許可。

どこに落ちるか分からないって、非常にまずい。ソ連は国土が広くてよかった。日本だと外れる可能性高いよなー。と感心している間もなく、今度は広すぎがアダになり、針葉樹の雪深い森の中に着地して、見つけてもらえない!!

せっかく任務を果たしたのに、こんなところで死んでは浮かばれない。でもマイナス30度、宇宙服に防寒機能はない。そのままだと確実に死ぬ。この最後のダメ押しのピンチがすごかった。彼らがアマチュア無線の民間人に発見されたエピソードも興味深かった。

わりと涼しい顔をして「勝った〜」なんていってたソ連、一歩間違えば大失敗の局面がかなりあったことがわかり、そんな中で沈着かつ大胆、時にはヤケクソで生きて還った2人がすばらしい。ピンチでもジョークを言ったり、性格が違ったから補い合ってうまくいったのだな、と映画を見たかぎりでは思った。

キセリョフ監督がゲストとして、まだ生きていて頭も冴えているレオーノフ本人に長時間インタビューして映画を作っていったなど、裏話を話してくれた。大気圏外から見た地球の非常に美しい映像は、大部分CGだそうだが、モスクワのソフトウェア・チームは、地球の位置と宇宙船の位置、そして星の配置を正確に再現しているのだそうだ。そんなところ観客は誰も気づかないだろうに、こだわっている。

あと、宇宙遊泳が成功しているときにはテレビでライブ中継し、まずいことが起きるといきなり「ボリショイ・バレエ」に画面が切り替わったのが笑えた。都合悪いとバレエ、よくあることだったそうだ。

観客とのQ&Aも盛り上がり、「あのブレジネフ書記長はどうなの?」と主としてロシア人が議論。「卒中前だからあのしゃべり方でOKなんだ」と細かいところで結論が出ていた。眉毛以外にもポイントあるのか。

この作品、もちろんロシアではウケたが、イギリスでは劇場公開予定はないそうで残念。でも今後、ソ連とアメリカの宇宙船が初ドッキングしたエピソードを撮る計画があるそうだ。これも期待できそう。

トレイラー:

 

 

 

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| ろき | 映画 | comments(2) | - |
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Comments:
アメリカでもそれほど人の命を大切にしませんが
ソ連だったら隠ぺいし放題だから人の命を軽く見ていたのでしょうね。
なんでしょう、そのアクション映画のような危機一髪の連続は。
しかも実際に会ったこととは。
最後に民間のアマチュア無線に助けられるなんて、運が強いんですね。

アポロ11号が月に行ったときのコンピューターは
ファミコン並だったそうですが
「行くぞ〜!」とか「やるぞ〜!」とかの関係者の念で
やり遂げたような気がします。

困ったときのボリショイバレエ!
面白いわ〜。
* はむはは * 2017/12/08 7:45 AM
はむははさん、宇宙開発はいいけど、国同士のパワーゲームのコマにされてはたまりませんよね。
米ソ双方で犠牲者いますね。この2人は帰ってこれて良かった。
ファミンコン並みの計算機に、ソ連なんか実はまともなコントロールセンターもなかったそうです(映画では作ってた)。ノリと根性で打ち上げてたのですね。

画面がバレエ(石の花だったかな)に切り替わったとたん、家族が「何かあった・・・」と緊張していたのが気の毒でしたが、観客としては笑っちゃいました。
* Loki * 2017/12/08 9:58 PM
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