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『All Too Human』展@テート・ブリテン

JUGEMテーマ:アート・デザイン

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Lucian Freud
David and Eli, 2003–4

コンサートの前に行ったテート・ブリテン美術館の展覧会。

ALL TOO HUMAN - BACON, FREUD AND A CENTURY OF PAINTING LIFE

20世紀初頭から現代まで、イギリス(と在住の)画家による「人間」の描かれ方を、時には人間以外(風景とか)の作品も含め、いろんな角度から見せる。

スタンリー・スペンサーやウォルター・シッカート(切り裂きジャックではありません)から始まり現代作家まで。展示作品の多いスターは上のフロイドさんとか(わんこのエリちゃん、その態勢で大丈夫か)、フランシス・ベーコンですが、他にも面白い人がたくさん。

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Francis Bacon
Dog, 1952

ベーコンのわんこはナワバリ意識が強そう…。

わたしのお目当ては、Sladeの先生であったウィリアム・コールドストリーム(1908 – 1987)。スレード美術学校といえば、ユアン・ウグロー(1932ー2000)の影響が強い。先日のクラウディア先生も、何度かワークショップでお世話になったアンディ先生も、ウグローに直接習ったし、直接の指導は受けなかったダニエル先生にも精神が引き継がれているのが見える。そのウグローの先生がコールドストリーム。この人が、「生きたモデルを前にして描くこと、きちんと測って正確に対象をとらえること」を提唱したのだそうだ。

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William Coldstream

Seated Nude, 1952-1953

モデルは1回90分のセッションを60回こなしたそうで、まことにお疲れさまでした。

これと同時期の若いウグローの作:

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Euan Uglow

Woman with white skirt, 1953

「はい、測ればいいのね」と素直に?徹底的に追求した20歳くらいの学生の野心作。彼の方が先生より良いのでは?バックもちゃんと描いてるし。

ウグローはこの手法を研ぎ澄まして独自のスタイルを極める。

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Euan Uglow
GEORGIA 1973

ジョージアさん、完成まで5年かかった。生身のモデルだから毎回違う。歳もとる。どこで決定とするか、探りつつ描いていったのかな、と想像する。

スレードの伝統に反対し、測るなんてことはしなくてよろしい、と生徒に教えたデイビット・ボンバーグとその生徒たちも面白かったけど、やっぱり好みでないので今回はカット。

知らなかった個性的な画家がたくさん。

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Paula Rego
The Family, 1988 (Acrylic on canvas backed paper)

ポーラ・レゴ(1935 - )はポルトガル人、スレードで学び、イギリス人と結婚してロンドンに住んだ。

わ。何だこれは。一家のお父さんに応急処置を施しているのか、襲っているのかわからん。実生活では旦那さんが病気でもう長くないという時期に描かれた作だそうです。ううむ。彼女はパステルで大作も描いていて、強い強烈をあたえる。

最後の部屋の現代作家も、活きが良い。

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Lynette Yiadom-Boakye(1977 - ) 
The Host Over A Barrel, 2014

かなりの大作ですが、1日で描いちゃうんだそうです。構図のセンスといい、色使いといい、すごいわ。

とても紹介しきれない多彩な作品群。100年前の画家の影響・伝統が枝分かれしつつ現代にもつながっているのが見えて興味深い。

8月27日までなので、もし機会のある方はぜひ行ってみてください。

レビュー:

 

 

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| ろき | 作品・習作 | comments(8) | - |
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Comments:
一番上のフロイドさんの絵、時節柄
「暑くてやってらんね〜よ」に見えてしまいます。

ベーコンのわんこ、
ん?
どこがどうなっているの?

ウグロー、いいですね。
白いスカートの、すてきだわ。

一番下の絵、一日で描いたと言われればそうかもと思います。
スピード感があって、それでいて無駄がなく、気持ちのいい絵ですね。
* はむはは * 2018/08/11 11:12 AM
レビュー拝見しました。
英国のアートって、独自の方向に行ってるんだなあ、と思いました。
なんというか、日本のアートって、どんどん抽象的でシンボリックなほうに行きがちな気がするんですね。
で、リスキーな表現を避ける傾向があるんじゃないか、と。
でも、英国のアートは、生身の苦悩に肉薄するパーソナルな視点のものが多いのかな、という印象を受けました。
人間という厄介なものから逃げない勇気がすばらしい。
生で見てみたいです。
* みか * 2018/08/11 1:51 PM
はむははさん、確かに〜フロイドさんの、ダレてるみたい。
ベーコンのわんこは「こっち来るんじゃねーよ」って顔してこっち見てません?

ウグローは若い時からずば抜けてたんですね。

リネットさんの作はもう1枚あり、どちらも爽快でカッコよかったです。
新発見がたくさんあって面白かった。
* Loki * 2018/08/11 8:11 PM
みかさん、英国ってコンセプチュアル・アートも盛んですが、人間をテーマにしてこれだけ集めると壮観でした。
パーソナルな視点、その通りだと思います。人間は厄介、だけどやはり、つくづく、面白いものですね。

>日本のアートって、どんどん抽象的でシンボリックなほうに行きがち
そうなんですか。それも波みたいなもので、また揺り返しが来て変化していく気もします。
* Loki * 2018/08/11 8:23 PM
エリちゃん、ズルズルと落っこちそうですね。
ま、怪我はしないだろうから、いいか。

ベーコンの犬は、イキがっています。
この態勢をとっている犬は、いくら可愛くても「おいでー」とかいって呼んではいけません。

5年かけた絵もあれば1日で仕上げた絵もあって、それぞれ味があって面白いですね。

レゴさんの作品は不気味。家族経営の殺人ホテルに泊まってしまったビジネスマン?
* B * 2018/08/14 9:33 AM
Bさん、エリちゃん、にゅるーんと落っこちてもキョトンとする程度でしょう。ベーコンの犬、落着け!

やっぱり人間を描いた作は画家の人間性も出て、面白いですねー。

レゴさんの、そうだったら残念ながらこの男性、人生終わりです。怖っ。
* Loki * 2018/08/14 9:03 PM
Tate Britainはフロイドとベーコンに強いですよね。
強烈な絵やコレクションが得意。

彼らの絵って、普段全く感じることがない五感や感情を刺激させられる。この不思議な感覚は何なのだろう。

アートは言語化されるものではなく、やはり感じるものですね。彼らの絵を見ると実感します。


* Kiki * 2018/09/02 10:00 PM
Kikiさん、やはりこの2人は重鎮ですね〜。

>普段全く感じることがない五感や感情を刺激
これが巨匠たるゆえんなのでしょうね。揺さぶりをかけてきます。それが面白くもあって、何度見ても新鮮ですね。
* Loki * 2018/09/05 12:13 AM
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