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バレエ「カラマーゾフの兄弟」

JUGEMテーマ:エンターテイメント

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かれこれ2か月前にロンドンのプーシキンハウスで見た、Stage Russiaによる舞台録画の上映。「THE BROTHERS KARAMAZOV」、サンクトペテルブルクのEifman Ballet のパフォーマンス。

<Creative Team>
Choreographer, director and producer – Boris Eifman
Sets and costumes – Vyacheslav Okunev

<Cast>
Alexey Karamazov – Dmitry Fisher
Ivan Karamazov – Sergey Volobuev
Dmitry Karamazov – Oleg Gabyshev
Grushenka – Maria Abashova
Fyodor Pavlovich Karamazov – Igor Polyakov
 and the dancers of Eifman Ballet of St. Petersburg

原作はもちろんドストエフスキーの長編。犯罪小説としても読めるが、テーマは宗教や哲学、家庭問題から恋愛まで多岐にわたる。昔、一度読んだけど理解したと思えず、その後ときどき読み返しても同じところをとばす(誰かが延々何ページもしゃべっているところとかw)ので、いつまでも全貌をつかんだ気がしない。

これを2時間以内のバレエにするのだから、かなりテーマをしぼり、枝葉は切ってある。重点は親子の確執と…人間の苦悩とその救済かな。

上映前にちょっとびっくりしたのは、レイフ・ファインズが来てちょこっと挨拶して行ったことだ。あなたがなぜここに?プログラムにも書いてなかったし。なんでもボリス・エイフマン氏と友達らしい。彼のモダンな舞踏が大好きだそう。プーシキンハウスに出現することもあるのか。ちょっと得したかも。

さてテーマを絞った舞台、まずは父親フョードル・カラマーゾフの金に飽かせた放蕩・傍若無人ぶりが描かれる、同じ女性(グルーシェンカ)を長男ドミートリイと取り合って、対立。

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真ん中がフョードル、超元気。フェッテでぐるぐる回転していた。

次男イヴァンと三男アレクセイはドミートリイと母親が違うためか、気質も(たぶん知能も)違う。イヴァンはインテリで無神論に傾いている。一方アレクセイは修道士の修業中、家庭不和に心を痛めている。

その困った父・フョードルが殺された。激しく対立していた長男ドミートリイが疑われ、逮捕される。

ご存じのとおり、真犯人は彼ではなく「もうひとりの息子」なのだが、バレエではその人物が活躍せず、注意して見ていないと見逃してしまう程度。原作を知らなければ(ドミートリイ有罪でいいんだよね)、と思ってしまう気がする。しかしロシアならみんな知っているので大丈夫なんだろう。(イギリスでは、後のQ&Aで、原作読んでないから話がさっぱりわからなかった、と文句言っていた人はいた)

後半は監獄とシベリア送りがメイン、人間の苦しみの象徴としての巨大で冷たい監獄のシーンが迫力あった。

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僧衣姿でよく踊れるな、アリョーシャ。ちょっとオーランド・ブルーム顔で、きれいなダンサーだ。

最後は宗教?というよりやっぱり「愛」が人間を救う可能性はある、ということを示唆。そのため明るさがある。

踊りがすばらしいです。クラシックを基礎としながら自由、アクロバティックな動きも見せ、スピーディでエネルギーがあって、どんどん進むので、見ていて脳の処理が追いつかない。舞台か同じ録画をもう一度か二度、見ないと。

印象深かったのは、イヴァンとアレクセイが死んだ母を偲ぶシーン。清らかな白い衣装の若い女性の姿、優しいお母さんだったことがわかる。なんでフョードルなんかと結婚しちゃったんだろう。

グルーシェンカは獰猛だった。

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Q&Aタイムで、解説のゴールドスミス大学のマリア・シェフツォワ教授がこのグルーシェンカを「ドミナトリックス・タイプ」なんて言っていた。ははは、確かに鞭が似合いそう。

上映後に話す時間があるのは、他の人がどう思ったかも知ることができて面白い。先ほどの「話がわからない」という観客の発言に対してマリア先生は、ちょっと概略を説明すると共に、「知らないものを見るときは、ストーリーは気にせずにそのまま鑑賞するといい」と言っていた。わたしもそう思うけど、この作品は特に複雑だから、知識ゼロだと厳しいかなとも感じる。

先生、「真犯人はスメルジャコフ」とネタバレしていた。あわわ、と言いながら自分でもここで書いている。みんな知ってるよね。ひねくれた彼のキャラがけっこう好きなのだが、バレエでは軽い扱いだった。

再来年くらいにペテルブルクで舞台を見たいなー。

Stage Russiaの短いトレイラー:

 

 

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| ろき | 演劇・ダンス他 | comments(14) | - |
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Comments:
みんな飛んだり跳ねたり、元気ねぇ。
よくあの理屈しかこねない地味な話をバレエにしたものだわ。
ロシアが誇る小説を大々的に表現したかったのね。
アリョーシャ、ちょっとヒロイン・ポジションじゃない?
スメルジャコフ、やっぱり扱いが難しかったのねぇ。
そうよねぇ。
* はむはは * 2019/12/15 5:31 PM
はむははさん、元気でしたー。これができるなら本当に何でもバレエになりますね。ロシアの得意ワザですし。
アリョーシャは健気で可愛い。最後に重要な役割をさらってた。
スメルジャコフはこちらが気づかないうちに鍵となる動きをしていたのかもしれない…やっぱりもう一度見たいです。
* Loki * 2019/12/16 7:02 AM
はじめまして。英国在住のバレエ、クラシック音楽、アートをこよなく愛する者です。しばらく楽しく盗み読みしておりました。夫がロシア語(日本語も)を勉強しており勝手に親しみを感じておりました。レイフファインズはツルゲーネフ原作の田園の出来事の映画版(ロシア映画)や最近ではヌレエフの人生を描いたWhite Crowという映画にもロシア語で出演していてロシア語が達者です。昔英語でですがオネーギンにも出演しておりロシア文学にも詳しいようです。ロシア文学も音楽も美術もなぜあれほど哀愁があるのでしょうか。惹かれます。失礼致しました。
* Tomoko * 2019/12/19 12:20 AM
Tomokoさん、コメントありがとうございます。イギリスにお住まいなんですね。旦那さん、ロシア語と日本語を勉強とは、チャレンジャーですね。
「田園の出来事」ってアシュトンのバレエにもなったやつ?見逃しました。言われてみればレイフ・ファインズはロシアに縁がありますね。オネーギンもなかなか渋かった。
ロシアの芸術、独特ですよね。気候が厳しく、歴史的にも激動が多かったロシア人、奥が深いと思います。
* Loki * 2019/12/19 6:28 AM
はい、ロンドン寄りハンプシャー在住です。
ファインズの映画はタイトルTwo Womenでした。ご覧になったことあるかもしれません。田園の出来事は、そうです、アシュトンの一幕バレエにもなっています。音楽はショパンの作品を使っています。わりと好きなバレエですが私はマクミランとクランコのバレエの方が好きで特にオネーギンは大好きです。オネーギンはプーシキンのストーリー自体好きなのでオペラもよく見ます。泣けますよね。
* Tomoko * 2019/12/19 7:24 AM
有名な文学作品って、読まなくてもあらすじくらいはボヤッと頭に入っているものですが、カラマーゾフの兄弟は。…重たくて長い話という知識しかないです。

そんなのがバレエになるんですね。
どの写真も「これがバレエの動き?」とのけぞるようなのばっかり。
グルーシェンカさんと彼女に踏まれているお兄さんは圧巻。舞台を見たいような気もする。
怖い物見たさですね〜
* B * 2019/12/19 8:21 PM
Tomokoさん、ハンプシャーですか。少し暖かそうで、いいな。東部は北海からの風が強くて!
Two Womenですね、探してみます。
「オネーギン」もいいですね。やはりプーシキンの原作がしっかりしているからでしょう。ストーリーもですが、脱線が面白かったり、豊かですよね〜。
* Loki * 2019/12/19 9:06 PM
Bさん、重たくて長い話で合ってると思います。一度読んでみてソンはないよ。
エイフマンは「白痴」や「巨匠とマルガリータ」まで振付けている凄い人です。
機会があったらぜひ舞台を見てみて。ダンサーたちのエネルギーが感じられると思います。
* Loki * 2019/12/19 9:11 PM
確かにハンプシャーはイングランド東部より暖かいかもしれません。意外に冬は雪が多いんですが。
先のトピックに関してですがケンブリッジのフィッツウィリアム美術館大好きです。ちょっと遠いのでコンサートで出かける時だけに寄るのが定番になってますが。フードの企画展おもしろそうですね。クリスマス休暇中に行けたらいいなと思ってます。あの美術館でのフェルメールの女性たちとか言う企画展も素晴らしかったです。フェルメール作品は刺繍をする女がルーブルから一点来ていただけですが。
* Tomoko * 2019/12/21 1:07 AM
Tomokoさん、フィッツウィリアムいいですよね!わりと近いので、けっこう行きます。エジプトのミイラ棺からマイセンの磁器や人形まで、コンパクトにいろいろあって楽しい。
フェルメール展のときでさえ無料なのが太っ腹だった。
実は館内ですれ違っていたりするかもしれませんねー。
* Loki * 2019/12/21 1:52 AM
そうそうフェルメール展も無料でしたね。普段より混んでいて開館前から列があって展示室も混雑してましたが。イギリスってロンドンはどこの美術館も観光客も多く混んでますが地方ってだいたいすいてますよね。私はそういう地方の美術館が大好きです。大都市では考えれない画家の絵を独り占めできます。(地方ではないですがロンドンのケンウッドハウスもすいていて好きです)カーディフのウエールズ国立博物館いらしたことありますか?あそこは私の愛するグエンジョンの絵がたくさんあるだけでなくゴッホの雨の絵があって大好きなのですがすいていてゆくり観賞できて大好きなのです。ゴッホの雨の絵はアムステルダムのゴッホ美術館でのゴッホと日本展で初めて見たのですがカーディフ所蔵だとは知らなかったです。後はバーミンガムのバーバー美術館とか素晴らしいなと思います。
* Tomoko * 2019/12/23 11:04 PM
Tomokoさん、そうそうケンウッドハウスもいいですよねー、レンブラントと好きなだけ向き合える。
うちから行きにくいロンドンの美術館では、ダリッジ・ピクチャー・ギャラリーも好きです。

カーディフ、バーミンガムはまだ行ったことありません、お勧めですか。近々訪ねてみたいです。静かに鑑賞できる環境はうれしいですよね。
* Loki * 2019/12/24 6:35 AM
ダリッジ確かに行きにくいですよね。バスも地下鉄も通ってなくて車でしか行けないような。私はロンドン内を運転するのが恐いのでヴァネッサベル展に行ったのが最初で最後です。あそこはよくおもしろそうな企画展をやっているのでもっと便利な場所だったらいいなあと思います。
* Tomoko * 2019/12/28 6:59 AM
Tomokoさん、わたしも「ロンドン越え」が無理で、車では行けません〜。電車の駅(West Dulwichとか)からけっこう歩くんですよね。なので行くのはもっぱら夏。先日友達を誘ったら断られた(笑)。
レンブラント展が2月2日までなので、がんばって出かけようかなー。
* Loki * 2019/12/28 7:53 PM
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