ドラマ『Берёзка』(ベリョースカ)

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ロシアのチャンネル1で放送のドラマ、「ベリョースカ」、全16話を見終える。

"Берёзка" 2018

режиссер -- Александр Баранов

<Cast>

Надежда Петровна СВЕТЛОВА - Лидия Вележева
Варвара ГОРШКОВА - Любовь Константинова
Эдита ТАММ - Алена Коломина
Маргарита Павловна ФОМИЧЕВА - Мария Порошина
Анатолий Борисович КОЖЕВНИКОВ - Алексей Серебряков
ЛАРИСА АЛЕКСЕЕВНА - Нина Усатова
Алексей ПОКРОВСКИЙ - Петр Рыков
Борис ЕВСЕЕВ - Дмитрий Щербина

ベリョースカとは白樺のことですが、ロシアを代表する民族舞踊の団体の名。ソ連時代の1948年にボリショイ・バレエ出身のナジェージダ・ナジェージディナが創立、今でも続いている。わたしも昔、見たことがあるような気がする。当時はありがたさがわからなかった、もったいない。

細いマトリョーシカみたいな可愛い女性陣が、床をすーっと滑るように動くのが印象的。お掃除ロボットのルンバを履いているみたいだ。

ドラマは創立70周を記念して作られた。実在のナジェージダをモデルにしたナジェージダ・スヴェトロワを中心に、伝統芸能に新たな生命を吹き込んでヨーロッパやアメリカ遠征も果たした舞踏団の姿を描く。

なので踊りがたっぷり見られると期待したんだけど、若いダンサーたちの恋愛や家庭問題、文化省のお役人とのごたごたがメインでちょっとがっかり。

人物もあまり深みがない、というより、失礼ながら、紙のようにペラペラ。ヒロインのワルワーラ(上の写真で泣いて化粧が崩れてるひと)は田舎の工場勤めだったが当時テレビでもよく見られたベリョースカにあこがれ、父と姉を捨ててモスクワに乗り込むも、あっさり入団試験に落ち、それでも夢を捨てきれずに掃除係りとして潜入(?)、夜にこっそり練習――昭和のマンガちっくな展開。しかも団員のトップダンサーの男とか、友達の旦那とか、怪我した足を看た医者までみーんなワルワーラに惚れる。何なんだ?笑

唯一奥行きのある人間らしいキャラは、ディレクターのナジェージダ(リディア・ヴェレジェワ、『白痴』でナターシャを演じたひと)。

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現役ダンサーたちがわんさかいる舞踏団の中なのにダントツで美しく貫録がある。見惚れます。

彼女が面倒くさいお役人や、「アメリカ仕込みのニューウェーブのダンス」などの圧力をうまくあしらいながらロシアの魂を踊りで表そうとする姿が凛々しいです。

恋人役は、珍しくギャングじゃないのねセレブリャコフ♡

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人物紹介のページ

盛り過ぎ感のあるストーリーはちょっとアレですが、たまにあるダンスや練習シーンは面白いし、ソ連の生活も垣間見られる。こういう芸能団体が海外公演するとき、危ないのは団員の亡命ですよね。帰ってから団員ほか、亡命した人の関係者全員が取り調べを受けるのがリアルでおそろしかった。本当はもっとおそろしかったのだろう。

現実のナジェージダさんは70年代に亡くなったはずだが、ドラマではゴルバチョフの時代も、その後も描かれるので、フィクションの割合が高い、軽いエンターテイメント。「使えそうな男」を色じかけで次々に落として出世していくビッチなライバル役もいるけど、けっこう憎めないキャラに仕上がっていたり、深刻にならないのが気楽かも。

「ロシアの魂」のプロパガンダかもしれないですけどね、なにしろロシア1チャンだから。

1,2話のトレイラー:

 

本物の踊りはこれだ!

 

 

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ときどき夏

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やっと衣替えをするくらい暖かくなった。ちょっと前までレインコートでマフラーまいて自転車に乗っていたのに、週末の気温は5月初旬としては記録的だったそうで、ロンドンでは28℃。地元は田舎なのでもっと涼しく、23〜25℃と適温。そよ風が気持ち良い!

これは先週の八重桜。

忘れな草が群れている。

もちろんこの部分は人間が人工的に植えたもの。向こうの駐車場はカット(笑)。

周囲の普通の芝生には人間が行き倒れのようにごろごろ横になって日光を浴びている。わたしは直射日光は苦手なので日陰を選び、帽子をかぶってます。

別の日に上からスマホ撮影。

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小さくて可憐、好きな花です。

あまり強い蚊はいないし、めったに30℃を超えないし、5、6月は天国のように快適。1年のうち8か月くらいこうだと良いのに、あっという間に去ってしまうのよね。すでに今週後半はまた気温が下がってくるらしく。なので今を楽しむ。

 

 

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ロダンと古代ギリシャ展@大英博物館

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The Kiss, 1901–4

プーシキンハウスはBritish Museumのすぐ近所。「三人姉妹」上映の前にロダンと古代ギリシャをテーマにした展覧会に寄る。

Rodin and the art of ancient Greece

オーギュスト・ロダン(1840 - 1917)は近代彫刻の父、巨星ですね。彼はルーヴル美術館などでもギリシャ彫刻に触れていたけれど、本格的にパルテノン神殿の彫刻群を目にしたのは1881年、ロンドンに来て大英博物館を訪れたとき。均整のとれた理想的な美とともに、歳月で破壊されて手や首がもげちゃった姿にもインスピレーションを得て、自分でもわざと胴体だけの彫刻を造ったりと影響を受けた。またアンティークの彫刻やその部分を買い取り、コレクションもしたそうだ。

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Pallas (Athena) With the Parthenon, 1896

女神が頭にパルテノンを載せてる…。

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Thought (La pensée), c.1895

モデルはカミーユ・クローデル。美しい、けど石の塊から突然出ている頭が異様な感じもする。

2000年以上の時をへだてた彫刻が並んでいるのを見比べるのは面白い。

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Figure K of a goddess, c. 438–432 BC; and Auguste Rodin, The Walking Man, 1907

ギリシャの神々に対してロダンの作はあくまでも人間。人間くささが細やかに表現されている。

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Nude Pierre de Wissant, 1886

表情筋から手の指まで、まるで血管や神経が通っていそうだ。

ギリシャ彫刻は馬もすごい。

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Head of a horse of Selene, 438BC-432BC

実物大かちょっと大きいくらいなので実に迫力がある。

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Marble relief, Slab XLII from the North Frieze of the Parthenon

この馬の脚のつくるリズムがすばらしい〜。

ロダンがこうした彫刻やレリーフに魅せられた気持ちがよくわかる。

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Illusion: Sister of Icarus, 1894-6

イカルスに妹もいたのか(笑)。だから兄ちゃんの真似するなと…。大理石の白さがきれい。

「考える人」「カレーの市民」など大物も来ていて、天井の高い広々した展示室に置かれている。入場時間指定制チケットなのでそれほど混まず、じっくり見られます。大英博物館は手荷物検査の列がとても長いが、チケットがある人は博物館のメンバー同様、専用の速い列に入れて、待たずに済むのも便利。

 

 

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チェーホフ「三人姉妹」手話版・RED TORCH THEATREの録画

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久々にロンドンのプーシキン・ハウスまで出かけ、チェーホフ「三人姉妹」の中継録画・鑑賞会に参加。ノヴォシビルスクの«Красный факел»(赤い松明って意味かな)劇場、32歳の若手チモフェイ・クリャビン監督の野心作。すごいです。

何がすごいかというと、セリフがほぼ全部手話です!ロシア語字幕つき。

«Три сестры»

Режиссер-постановщик — Тимофей Кулябин
<Действующие лица и исполнители>
Соленый Василий Васильевич — Константин Телегин
Прозоров Андрей Сергеевич — Илья Музыко
Тузенбах Николай Львович — Антон Войналович
Наталья Ивановна — Клавдия Качусова , Валерия Кручинина
Ольга — Ирина Кривонос
Ирина — Линда Ахметзянова
Маша — Дарья Емельянова
Кулыгин Федор Ильич — Денис Франк
Федотик Алексей Петрович — Алексей Межов
Вершинин Александр Игнатьевич — Павел Поляков

話はご存じのとおり、モスクワ育ちのオリガ、マーシャ、イリーナの三姉妹(一番下に弟アンドレイもいる)は、軍人だった父の赴任で田舎町に住むに移ってきた。その父が亡くなり、退屈な町に埋もれる生活を味気なく思っている。姉弟全員が3〜4ヵ国語を話し音楽を愛し、教養があるのに、というか教養がありすぎて、町の人になじめず友達もできない。

オリガは教師の仕事に疲れ、早まって結婚したマーシャは夫を尊敬できずに悩み、世間知らずのイリーナは最初のうちこそ人生に希望を持っているが、働き出してみると職場に合わず、辛くてたまらなくなる。いつかモスクワへ戻ることだけを夢みている3人に、しかし現実は厳しい。

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左からオリガ、イリーナ、マーシャ。

これを手話でやります。もちろんロシアの手話、さっぱりわからん。ロシア語字幕だけが頼り。全部は読めないけど、話は知っているので何とかついていく。そのうち(拳を2つ作って合わせるのは「働く」って意味だな)とか、「わたしは」「知っていた」など手話も慣れてくる。(ああ、あと「自殺」は胸のところでハラキリみたいな真似していた)みんな喋れないけど笑ったり、あまりコントロールできない声は出すことができる。

いかに静かな舞台だろうかと想像していたのとは違って、音がいろいろある。みんな耳が聞こえないということは、自分のたてる音にも気を使わないということ、足音やラジオやヴァイオリンなど、家のどこかで音がしている。けっこううるさい。

振動は感じることができるので、ラジオに触ってみたり、テーブルの上の独楽を聴くために卓上に耳をつけたりするシーンが面白かった。

言葉を話せず手話だから、自分の内部を表現しきれないもどかしさ、伝わらない絶望が胸に響いてくる。この作品には合う演出かも、と思った。「モスクワに行きたいなら行けばいいじゃん」と今ならつい考えてしまうけど、20世紀になったばかりの頃は女性が自立して生きていくことすら難しかったのだ。ということを、想像するのでなく実感できた気がする。

それにしても俳優がプロだ。手話を1か月くらい特訓して身につけたそうで、きちんと自分のものにして、迫真の演技になっていた。休憩をはさみながら、正味4時間、いつもより集中して見てへとへと、でも感動した舞台。

映画館中継のトレイラー:

 

 

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BBCドラマ、クリスティーの『Ordeal by Innocence』

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そして誰もいなくなった」以来、アガサ・クリスティー原作のドラマで外れなしの脚本家サラ・フェルプス。第3弾『Ordeal by Innocence』はタイトル同じの1958の作品(日本語の題は「無実はさいなむ」だそう)を元にしている。

Ordeal by Innocence

Screenplay by    Sarah Phelps
Directed by    Sandra Goldbacher

<Cast>

Bill Nighy as Leo Argyll
Anthony Boyle as Jack Argyll
Anna Chancellor as Rachel Argyll
Morven Christie as Kirsten Lindstrom
Crystal Clarke as Tina Argyll
Christian Cooke as Mickey Argyll
Alice Eve as Gwenda Vaughn
Matthew Goode as Philip Durrant
Ella Purnell as Hester Argyll
Eleanor Tomlinson as Mary Durrant

Luke Treadaway as Doctor Arthur Calgary

地方の豪邸で資産家のレイチェル・アージルが殺された。子供のころから反抗的な問題児だった養子のジャックが殺人犯として逮捕され、その後彼は刑務所内のケンカで死亡する。レイチェルの5人の子供たちは全員養子だった。自分の子がいない彼女が孤児を引きとり、自ら教育係りとなって育てたのだ。家族はレイチェルの死を悼むが、それから1年半、夫のレオが元・秘書のグェンダと再婚する準備をしているころに、アーサー・カルガリー博士と名のる人物が訪ねてきて、ジャックの無実を証言したい、という。レイチェルがまだ生きていた時間にジャックが外出していたことを証明できる、と主張するのだ。ジャックが死んでしまったのに今さら…と家族の反応は薄かった。

回想シーンもまじえ、慈善家として讃えられていたレイチェルが、子供たちには厳しい教育としつけをしていたことがわかる。お陰で成長してからも”母”に愛憎混じった複雑な感情を抱いていた子供たち。

夫のレオには金はなく、裕福な妻がいたから好きなエジプト学の研究をしながら暮らせていた。そして妻の死後2年もたたないうちに若いグェンダと再婚、早すぎないか?

しかしジャックの証人だというカルガリー博士も精神的に不安定な様子で危なっかしい。実は彼にも、無実の人を救わなければいけないという強迫的願望があった。罪ほろぼしのためだ。

50年代で物理学者(原作の地理学者と変えてある)なら、ピンときます。冷戦の中、かなりリアルに核戦争の恐れがあった時期、イギリスでは政府が国民向けに、「核攻撃が予測されたときの行動」を指導していた。余裕がある家では核防空壕を用意したり。核兵器開発に携わるうちに頭が壊れちゃう人が出るのは想像できる。この人物の設定変えはうまいと思う。ちなみに博士がホテルで読んでいたのがジョン・ウィンダムの『The Chrysalids』(「さなぎ」)、ディストピアSFの古典だ、芸が細かい。

もう終わったことだから古傷に触らないでという家族を無視して、何とかジャックの無実を証明しようとするカルガリー、最後に意外な犯人が明らかになる。

実はわたしは原作を読んでいなくて、フランスのドラマで見ただけ。その犯人と違っていたのでびっくり。原作を変えたのはBBCの方だった。むしろこの方がしっくりくるかもしれない。レイチェルが次々に何人も養子を迎え、自分の理想とする家族の形を無理矢理作ろうとしていた動機もうまく説明できるのだ。お見事。

クリスティーはコージー・ミステリの元祖ともいわれるが、ダークなときは実に深い闇を描く。この改変には「そういう手もあるわね」と賛成してくれるのではないかな。

 

 

 

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スティーヴン・チェンバース『The Court of Redonda』展

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ケンブリッジ大学ダウニング・カレッジのHeong Galleryで、ロイヤルアカデミー会員Stephen Chambers (1960 - )の作品『The Court of Redonda』が展示されている。

レドンダ島はカリブ海にある小さな島というより岩礁、人は住めない。が、19世紀に王国を(勝手に)宣言した人がいて、今でも王位が続いているそうだ。また芸術家などが爵位を与えられて貴族になっているとか。想像上の遊び、ジョークですね。チェンバースがその王国の宮廷の人々を、少数の例外をのぞけばモデルなしで空想で描いたポートレートが101枚。壮観だ。

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そして1枚1枚は細かく詳細に描かれている。

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The Very Decent Harlot

さまざまな人がいるが、やはりクリエイター系に見える。

色の使い方がよく、各ポートレートを並べることで、また色の組合せの面白さが出ている。

ちなみにレドンダ王国の国旗は:

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あはは…。

カレッジの講堂でチェンバース本人と美術評論家のアリステア・スークがトークをするというので出かけた。

この作品がヴェネツィア・ビエンナーレに展示されたときも見たというスークが、制作の裏話などを聞き出す。そうそう、チェンバースのレドンダ王国での称号はビエンナーレ子爵だったとか? 数枚、知り合いの芸術家をモデルにした作が混じっているそうだ。

2人の座ったステージ上のスクリーンに作品が映し出されるが、大きな3連作が面白かった。

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State of the Nation, 2016-17, Oil on linen 

これは3枚目で、1枚目は不安定な格好で馬に乗っていて、2枚目は落ちそうに、そして最後がこういうことになっている。欧州連合からのイギリス脱退を決めた国民投票にインスパイアされたそうだ。情けない、が絵は面白い。

「アートは常にideaからdecisionをしていくこと」という言葉が印象に残った。他の仕事にも共通するけど、それの連続ですね確かに。

小さいギャラリーだが通常はそれほど混んでいない。ふらっと入っていってベンチに座ってじっくり見られる。展覧会は無料、5月20日まで。

 

 

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ベルナール・ミニエ『Le Cercle』、のロシア語訳

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フランスのミステリ作家ベルナール・ミニエ(Bernard Minier, 1960 〜)の『Le Cercle』( 2012年)をロシア語訳で。

フランス人の友達が「わたし英訳で読もうとしたけど挫折した」といっていた長編。和訳だと1000ページになるみたい。

ロシア版はБернар Миньер作、「Круг」と直訳タイトル。

フランス南西部が舞台。サッカー・ワールドカップ南ア大会が開催中なので2010年の話だとわかる。ブブゼラが懐かしい(笑)

優秀な高校・大学のある学園都市で雷雨の夜に、高校の女性教師が殺害される。彼女の家に居合わせ、容疑者になってしまったのが成績もよく人気者のイケメン高校生ユーゴ。

トゥールーズ署の警部セルヴァズに、「息子を助けて」とユーゴの母マリアンヌから直接電話が入る。実はマリアンヌはセルヴァズが高校時代につき合って親友に取られちゃった元カノだった。

つい駆けつけてしまうセルヴァズ。ユーゴの高校には自分の娘マルゴも行っている。なんかいろいろと近い。

そのうちシリーズ第一作(わたしは読んでないが)に出て来た連続殺人犯が怪しく思われ、しかし被害者の美人教師は地元の某有力者の不倫相手だったかもしれず。さらにアフリカから難民として来て清掃業をしている人物がからんできたり、高校でユーゴの友人の生徒数名が夜中に不審な動きをみせ、その上、監禁されているらしい女性のエピソードが合間にはさまれ…話が広がるー。

なかなかついて行くのが大変だ。しかも主役セルヴァズ警部は昔、文学の分野で将来有望と誰もが認めていた才能の持ち主で、身内が被害者となったある事件をきっかけに警察に進路を変えたという人物。好きな音楽家はマーラー。ラテン語なんか軽く読めます。彼の昔の回顧とか内省が長い。1000ページのうち200ページはあれこれ悩んでいるかも。考えてないで捜査しろ。こういうタイプが好きな人なら楽しめそう。

話は後半さらに思いがけない方向に進むが、全部をたくみにつないで結末に持って行く、作家の力技。「犯人」も裏をかかれた。ロシア語で読み通せたのは、やはり興味をそらさずに引きつけるストーリーなのだと思う。

ところでフランスのエリート高校って、「来週までに『アンナ・カレーニナ』と『ボヴァリー夫人』と『〇〇(忘れた)』を比較してエッセーを書いてこい」なんちゅう宿題が出るんですか、すごいね。

面白かったが、そろそろ外国語作品をロシア語訳したものでなく、ロシア作家の作品にもどろうかな。という訳で今、ホラーの中編を1つ読了したところ。

和訳タイトルはやはり”抒情的”?

死者の雨 上 (ハーパーBOOKS)

 

 

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オスカー・ワイルド『LADY WINDERMERE’S FAN』@シネマ

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すっかり春になった。夕方のベランダのチューリップ。

映画館でオスカー・ワイルド作「ウィンダミア卿夫人の扇」の劇場中継を観た。1892年にロンドンで初演された作品。2018年の上演はVaudeville Theatreで。

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『LADY WINDERMERE’S FAN』 By Oscar Wilde

<CREATIVES & PRODUCTION>
KATHY BURKE DIRECTOR
PAUL WILLS DESIGNER
PAUL KEOGAN LIGHTING DESIGNER
SHANE CULLINAN COMPOSER
DOMINIC DROMGOOLE ARTISTIC DIRECTOR

<Cast>
Samantha Spiro (Mrs Erlynne)
Kevin Bishop (Lord Darlington)
Jennifer Saunders (Duchess of Berwick)
Joseph Marcell (Lord Lorton)
Joshua James (Lord Windermere)
Grace Molony (Lady Windermere)

若く美しいレディ・ウィンダミアは最近子供も生まれて幸せ。自分の誕生パーティを楽しみにしている。が、嫌な話を聞く。夫のウィンダミア卿が年上のアーリン夫人と懇意だというのだ。誰?そんな女性、親戚でもないし。さらに、夫本人が、誕生パーティにアーリンさんを招いた、というではないか。

会いたくない、と思っていても夫人は来てしまう。

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何か訳あって久しく社交界から離れていた彼女、最近また復帰したいと思っていて、それを夫が助けようとしているらしい。アーリン夫人を丁寧にもてなす夫を見てショックをうけたレディ・ウィンダミア、別の男に走ってやれ、と自棄を起こす。

ヴィクトリア時代に人妻が浮気したら上流社会から締め出されます。事態を察したアーリン夫人、「別の男」の家に乗り込む。そして自分の名誉を捨ててウィンダミア夫人を救おうとする。実はアーリン夫人の正体は…、という、ドタバタ喜劇仕立てで、お上品なヴィクトリア朝貴族社会を皮肉る、ワイルドらしいストーリー。

古風な劇場、衣装も昔風。ギリシャ悲劇でもシェイクスピア劇でも現代風の服装なのに慣れているので、逆に新鮮。

明るく軽いタッチで、笑える。有名なコメディエンヌのジェニファー・サンダースがベリック公爵夫人役でウケていた。みんな「あー面白かった」と劇場を去るわけですが、初演当時の19世紀なら、もっと鋭い社会批判になっていて、観客の胸に残るものは違っていたのかも。堅苦しい階級社会で足を踏み外すとどうなるか、ありあり実感ができたかもしれない。しかもその「踏み外し」には、たとえば男ならいいが女はダメとか、不平等な基準があった。

現代に共通するものもまだあるけれど、深く感情移入して見る感じではない。それでもワイルドのシャープなセリフをきれいな発音・発声で聴くのは楽しい。今年は「ワイルド・シーズン」として2作上演を予定しているVaudeville Theatre、中継も映画館で観られます。

トレイラー:

 

 

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セザンヌのポートレート展@National Portrait Gallery(覚え書き)

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Madame Cézanne (Hortense Fiquet, 1850–1922) in a Red Dress, 1888–90

モディリアーニをアップして思い出した。セザンヌのポートレート展をポートレート・ギャラリーに見に行って、下書きしたまま放置していた〜。

National Portrait Galleryで『Cézanne Portraits』を見たのは…去年の暮れかも。今さら済みません。自分の記憶のために書いておきます。

「近代絵画の父」と呼ばれるポール・セザンヌ(Paul Cézanne、1839 - 1906)といえばまず風景や静物が思い浮かぶが、人物ばかりを展示。

初期の頃、周囲の家族や友人などをモデルにする。

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Uncle Dominique in Smock and Blue Cap, 1866-7

黒が効いている。ドミニクおじさんとは仲がよかったらしく、何度かポーズしてもらっている。新聞を読んでいる銀行家の父の大作も有名。

あと、文句をいわずにじっとしてモデルになれるのは、自分だ。自画像も何枚かあり。

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Self-Portrait with Bowler Hat, 1885 - 6

自分の絵には、より内面が出ているような。セザンヌは実家が裕福だったから絵が売れなくても生きてはいけたが、少数の印象派仲間など以外からはなかなか認められなかった。パリのサロンでは落選することも多かった。時代を先取りしすぎていたんですね。

印象派展覧会のころの自画像:

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Self-portrait, Rose Ground,  c.1875 

父親からの金銭的援助がなくなるのを怖れて、階級が下の恋人オルタンスの存在をかなり長い間、隠していたそう。息子が生まれたが、2人が結婚したのはその14年後。芸術家を自由にさせてくれる、働き者のいい奥さんだったとか。1890年代にはパリとエクスで別居生活になったが、それも仲が悪かったわけではないそうだ。

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Madame Cezanne in a red armchair, 1877

彼女のことは何枚も描いている。が、どういう顔なのかはっきりしない。似せることよりも、その絵を構成する上で必然的な姿であることが大事なのかも。

とはいえ人間なので、見る者はつい人間性を読み取ろうとしてしまうが。

ズビャギンツェフ監督の「イェレーナ」を思い出した↓1枚。

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Madame Cezanne in a Striped Dress, 1885-6

一番上のも合わせて3枚、みんな顔が違うわ〜。

気に入ったのはこのおじさん(笑)かな↓。その辺の町の人を描いたものに味がある。注文を受けて有名な人の肖像を描く、というのはあまり興味がなかった。

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Man with Crossed Arms ( Homme aux bras croisés ), 1899

晩年には、珍しく子供を柔らかく描いた作品も。

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Child with Doll, c.1902

山も人間もリンゴも、同じように大事に描いていたセザンヌだ。人物画も、「背景」と「人」ではなく、それぞれ同等な要素。

セザンヌに影響をうけたモディリアーニも、あんな細長い人間はいないしモデルに「似ていない」けど、あれが必要だったのだ、というのがセザンヌを見ても納得できる。

会場にはエクサンプロヴァンスの風景や彼の仕事場の映像も。南仏は光が違う。たぶん夏は暑すぎなので、春先に一度行ってみたいと思う。

アリステア・スークがキュレーターと語りあっている:

 

 

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モディリアーニ展@テート・モダン

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Nude, 1917

テート・モダンでのモディリアーニ展『Modigliani』、ぎりぎり終了間際に見てきた。イタリア生まれのAmedeo Modigliani(1884 - 1920)がアートのキャリアを積むべく、21歳でパリに移ったのが1906年。惜しくも35歳の若さで亡くなってしまい、長くない活動期間だが、20世紀の絵画を変えた画家のひとり。

モンマルトルにアトリエを得て、ピカソやアポリネールと交流し、セザンヌの回顧展に衝撃を受けたりしながら、自分のスタイルを作っていく。見たことのない珍しい作品も。

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Nude Study, 1908

ロートレックの影響が見られるとのこと。ムンクかと思った。

一時期、彫刻をめざしたが、材料費がかさんだのと、粉を吸うのが健康に悪影響があって断念。若いころ結核を患ってから、体が弱かったようだ。

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Head, 1911-1912

展示作品はほとんど人物像、人間が得意だった。

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Portrait of a girl, 1917

この女性はスタイリッシュな髪型などから、パリの芸術家仲間かもしれないそうだ。はきはき喋りそうな人だね。

戦争が始まって南に疎開したときにも、せっせと地元の人たちを描いた。

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The Boy, 1919

これは何となくセザンヌの影響があるのではないだろうか。

ヌードにも大きくスペースがとられていた。一番上のとか、体温を感じそうな暖かさ。パリのプロのモデルはこんな健康的な肌色してないと思うけど、思わず故郷イタリアの色が出たのかな。戦争のおかげで女性の役割が広がり、女性のパワーが増してきた時代でもあった。が、絵では「ヘア」がダメで、展覧会から外すように言われたこともあるとか。

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Reclining Nude, 1919

最後の部屋は特に親しい人たちのポートレートなどが並ぶ。モデル兼パートナーで、婚約もしていたジャンヌ・エビュテルヌ(Jeanne Hébuterne、1898 – 1920)は多数。

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Jeanne Hébuterne, 1919

青をめったに使わないモディリアーニ、彼女の目を描くときはちゃんときれいな青を使っている。

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Blue Eyes, 1917

シンプルな構図と色づかいなのに、いつまでも見ていられますね、不思議。

全部で100点ほど、油絵やデッサン、彫刻が見られ、当時のパリの映像なども上映、そうそう、長蛇の列ができていてわたしは試さなかったけど、モディリアーニのアトリエを完全再現してバーチャルリアリティで体験できるというコーナーもあり、楽しめる展覧会だ。見逃さなくてよかった。

 

 

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