ロイヤル・バレエ『Les Enfants Terribles』(恐るべき子供たち)

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ロイヤル・バレエの『Les Enfants Terribles』は同名のジャン・コクトー原作(1929年)のバレエ・オペラ。会場はいつものオペラハウスでなく、バービカン劇場だった。

Credits

Director -- Javier De Frutos
Choreography -- Javier De Frutos
Music -- Philip Glass
Designer -- Jean-Marc Puissant
Conductor-- Timothy Burke

-Dancers-
Zenaida Yanowsky
Edward Watson

Kristen McNally, Thomas Whitehead, Gemma Nixon, Clemmie Sveaas, Jonathan Goddard      

-Singers-

Jennifer Davis, Emily Edmonds, Paul Curievici, Gyula Nagy

-Piano-

Kate Shipway, Robert Clark, James Hendry

隔絶された環境で暮らしていた姉弟エリザベートとポールの世界が、外の世界とぶつかることによって崩壊していく姿を描く。

舞台にはオペラ歌手と、ダンサーが混じって存在する。しかもダンサーは、主役の2人を踊るのがそれぞれ4人もいる!ポールが4人、エリザベートが4人。もちろんメインはプリンシパルのエドワード・ワトソンとゼナイーダ・ヤノウスキーですが、他のメンツも常にいる。「まともな人」である友人のジェラールは1人で、語り手をつとめる。彼だけ人格が統一されているということでしょうか。

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ヤノウスキーとワトソン

全員がざわざわ動き回るとかなり忙しいことに。しかも背景に映し出される映像も自己主張する。

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その上、歌はフランス語なので、英語字幕は舞台の上を見ないといけない。幸い話は知っているから、ときどきチラ見するだけにしておいた。上向くとダンサーが見えなくなるんだもの。

この情報量の過剰さが21世紀かも?

想像力にあふれる天才的な美しい姉弟が、繭にこもったように2人だけで完結していたのに、普通の世界と接しなければならない。そこに侵入してくるのは凡庸な、仕事とか結婚とか、ありふれた三角関係だ。硬い宝石のような2人は他人を傷つけるが、お互いも傷つける。悪夢と現実が混ざって悲劇・あるいはカタルシスなラストへ。

コクトーは言葉が大切なので歌を入れるとわかりやすくなる。バレエだけでも表現できたような気もするけど。フィリップ・グラスの音楽は繊細できれいだった。さすがズビャギンツェフ監督の「エレーナ」や「リヴァイアサン」の音楽を作った人。

やはりヤノウスキーとワトソンの強靭かつ細やかなボディの動きが一番の目のご馳走。本当はとっくに”大人”にならなければならない年齢になりながら子供の純粋さと残酷さを保っている異様な姉弟、踊り甲斐がありそう。

今回は戻りチケットをゲットして、前から5列目の真ん中で見られて至福。オペラハウスではなかなかこういう席は取れません。

 

 

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アクラム・カーンの「ジゼル」、ENB

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金曜は仕事休んで朝からロンドンへ。午前中はイングリッシュ・ナショナル・バレエの朝のクラスを描かせてもらうLive Drawingのワークショップ、その夜に、朝練習していた人たちの出るバレエを観るという贅沢をした。まずバレエ、アクラム・カーンの「ジゼル」から。

<Creative Team>
Direction & Choreography -- Akram Khan
Music, after the original score by Adolphe Adam -- Vincenzo Lamagna
<Cast>

Alina Cojocaru -- Giselle
Isaac Hernández -- Albrecht

Oscar Chacon -- Hilarion
Stina Quagebeur -- Myrtha

ロマンチックで可憐だがあまり現実味のない「ジゼル」をどうするのかと思いましたが、いやすごい。さすがアクラム・カーン。

舞台はインドの服飾工場。しかし今は閉鎖されてしまい、働いていたカースト外の人たち=アウトカーストは失業し困窮している、というさらに暗い設定。ブルジョワ階級のアルブレヒトはジゼルに逢うために粗末な服を着てまぎれこむが、ジゼルのことが好きなヒラリオンに疑われ、さらにアルブレヒトの婚約者である工場長のお嬢様などが突然訪ねてきて彼の身分がばれる。基本ストーリーには沿っている。

抽象化された最低限の舞台に、時に容赦なく人をシルエットにするライティング、地響きのしそうな、カタックのような重厚な音楽。簡素な服(ブルジョワ以外は)の人間は肉体がより生々しく感じられる。

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ジゼルの心臓が破けそうになるとき、アウトカースト仲間は人間のかたまりとなって心臓を表しているかのように脈打つ。

ジゼルの死には疑惑があって、どうも工場長が邪魔な女の除去を部下に命じたようだ。現場は誰にも見えず、気づいたら彼女は床に倒れ、死んでいた。恐ろしい。

2幕はオリジナルにはない、アルブレヒトが工場長たちに叱責されるシーンから始まった。そうだよ、そこ見たいよね。婚約中に浮気した彼がどういう目に遭ったか。でもこのアルブレヒトは浮気というより元々フィアンセが嫌で、ジゼルへの気持ちは真実のようだったので気の毒ではある。

カーンのウィリはオリジナルより恨みが深い(一番上の写真)。しいたげられた者の怨念を感じた。ウィリの女王ミルタが、死にたてのジゼルの遺体をずるずる引きずって登場し、フランケンシュタインが怪物に生命を与えたごとく、死者をウィリとして蘇らせる。不気味だが現実的、というのは変だが、妙にリアル。ジゼルはゾンビよりは小ぎれい、くらいの様子で動き出し、ふわっふわの白いウィリとは違う。わたしはなぜ、こんなに若くて死ななければいけなかったの、という慟哭を体で表す。

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だからこそ彼女がアルブレヒトを許すことに重みが出る。

ジゼルに許されても彼女は生き返らないし、アルブレヒトには現実の罰も待っているという結末。ずっしり来ます。

ストーリーをより納得できるように直し、へなちょこな音楽(アドルフ・アダンごめん)が大改善され、踊りはモダンで途切れることなく驚かせてくれる。文句ない傑作。

この作品、観たいと思ったときにはとっくに全回売り切れていて、キャンセル待ちをしつこく狙ってやっとチケットが取れたもの。非常に評価が高く、人気も出て、もう来年の予約すらどんどん埋まりつつある。とりあえず来年の9月の予約を取ってしまった。ヒラリオンがセザール・コラレスくんの回を見たいが、彼に当たるかはまだ不明。

レビュー入り:

 

 

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ロイヤルバレエ@シネマ『Anastasia』

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先週はニールのスタジオのデッサンをさぼって映画館でバレエ鑑賞。ロイヤルバレエの「アナスタシア」。

CHOREOGRAPHY -- KENNETH MACMILLAN
MUSIC -- PYOTR IL’YICH TCHAIKOVSKY AND BOHUSLAV MARTINŮ

<Cast>

TSAR NICHOLAS II -- CHRISTOPHER SAUNDERS
TSARINA ALEXANDRA FEODOROVNA -- CHRISTINA ARESTIS
GRAND DUCHESS ANASTASIA/ANNA ANDERSON -- NATALIA OSIPOVA   
RASPUTIN -- THIAGO SOARES
MATHILDE KSCHESSINSKA -- MARIANELA NUÑEZ
KSCHESSINSKA’S PARTNER -- FEDERICO BONELLI  
THE HUSBAND -- EDWARD WATSON

(キャスト表のPDFをコピペしたら全部大文字になっちゃって、読みにくくてすみません)

ロシア革命で退位させられた最後のツァーリ・ニコライ2世とその家族は、裁判もなしにボリシェビキに処刑されてしまった。

ただ、末娘のアナスタシアだけは生き残って逃げのびた、という噂がなかなか消えなかった。一家が一人残らず銃殺では悲惨すぎる、という世間の願望もあったのかもしれない。

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写真右から3人目がアナスタシア。

1960年代に創られたこのバレエは、(わたしはアナスタシア)と名乗り出た、実在した女性アンナ・アンダーソンのアタマの中を描くという野心作。

1幕は1914年、第一次世界大戦が勃発、という直前に、楽しく舟遊びをする呑気なロイヤルファミリーとその友人たち。アナスタシアはまだ子供で元気いっぱい。

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Ryoichi Hirano, Valeri Hristov and Alexander Campbell

平野くんの海軍士官が素敵。

2幕でも革命が迫っている中、現実が見えずにアナスタシアの社交界デビューの舞踏会。

招かれたバレエダンサー役のヌニェズとボネッリのパ・ドゥ・ドゥが豪華。

クラシカルな踊りの世界に、不穏な空気はすでに混じりつつある。音楽はチャイコフスキーで失われた過去への哀悼を響かせる。

3幕はもうその世界が消えうせた、アンナの収容されている精神病院。

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音楽もガラッと変わってチェコのボフスラフ・マルティヌー。

アンナ(アナスタシア?)は過去を切れぎれに思い出している。処刑の場から助け出された。確か結婚した(旦那は一番上の写真のエドワード・ワトソン)、子供がいたような。でももう誰もいなくて、みんなはわたしがアナスタシアではないという。でもわたしは覚えている。でも・・・。とぐるぐる。自分が誰だかわからない。

ダンスは一変してモダン、リフトされながら痙攣したり、ナタリア・オシポワの身体能力が冴えます。精神が不調な人はまず姿勢がおかしくなる、というのを体現していて痛々しい。壮絶だった。

「マクミランは大好きです、真の女優になれるから」とインタビューで言っていたオシポワ、さすがの出来だ。

ラスプーチンのソアレスも、いつも舞台のどこかにどんより立っていて気持悪くて最高だった。当たり役だ。

今でこそDNA鑑定でロマノフ家7人全員の死亡が確認されているが、60年代だと(ひょっとして?)という疑惑はあった。謎の部分がさらにバレエに深みを加えていただろう。

そういえば今年のロシアのバレエ・コンテスト番組(各地バレエ団の若手が出場)でマクミランの「冬物語」を踊ったペアが、普段から厳しめの審査員に、

「こんな振付はダメです。ロシアのバレエじゃない」とバッサリ切られていた。題材はチェーホフなんだけど、それがさらに気に入らなかったのかも。

オシポワはロシアでは決してアナスタシアを踊れなかったことだろう、ロンドンに来て良かった。

 

オシポワほかのインタビューやリハーサルなど:

 

 

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ボリショイ・バレエ@シネマ「黄金時代」

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ボリショイ・バレエの映画館中継、今シーズン第一弾は『Золотой век』(Golden Age)。音楽ショスタコーヴィチ、振付ユーリー・グリゴローヴィッチというソ連黄金コンビ。

Дмитрий Шостакович ”Золотой век”

Хореограф-постановщик — Юрий Григорович

<Cast>

Рита, молодая девушка — Нина Капцова

Борис, молодой рыбак — Руслан Скворцов

Яшка, главарь банды — Михаил Лобухин

Люська, сообщница и подружка Яшки — Екатерина Крысанова

1920年代のソ連南部の港町、ナイトクラブが舞台だというので想像していた話と・・・全然違った。

クラブ「黄金時代」で踊り子をしているリタが町で漁師のボリスと知り合い、親しくなる。働く時間帯が違う二人だけど(笑)恋仲に。

しかしクラブ経営者でそのへんのヤクザの元締めでもあるヤーシカがリタを離そうとせず、それにヤーシカを好きなリューシカが加わってもめる。

健全な働く青年に対する退廃したブルジョワ世界のクラブの闇、っちゅう話だった!

地引き網をバレエで表現するのを初めて見た。すごい。

踊りはもちろんスリリングで大胆、パワフル、愛のパ・ドゥ・ドゥはやさしく細やか、言うことはない。

主役のニーナが可愛く、リューシカのエカテリーナ・クリサノワはコケティッシュで素敵。漁師ルスランがダイナミック。ヤーシカのロブーヒンも乱暴者の踊りが得意で体がキレていた。

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ニーナ・カプツォワとルスラン・スクヴォルツォフ

ストーリーはちょっと単純すぎるというかソ連臭がきついかな。音楽も、2幕の見事なタンゴ以外はショスタコーヴィチの不況和音が耳にひっかかる。

まったく好みの問題だし、ロシア人が見たら納得する展開なのかもしれません。ボリショイ劇場の観客には非常に受けていた。

美術・衣装は20年代テイストが美しく、楽しめました。

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本日ニーナの誕生日だったとのこと。バースディにボリショイで主役を踊って世界に中継されるなんて、すばらしい。おめでとうございます♪

ダンサーのインタビューなど:

 

 

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「三文オペラ」ナショナル・シアター・ライブ@映画館

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ナショナル・シアターからライブを映画館で鑑賞。ベルトルト・ブレヒト1928年の「三文オペラ」(Die Dreigroschenoper、英題The Threepenny Opera)。

ハンサムとはちょっといえないが、声がよく演技がめちゃうまい、ハムレットもイアーゴーもこなしてしまうロリー・キニアが主演。

Director -- Rufus Norris

Designer -- Vicki Mortimer

キャスト:

Captain Macheath, AKA 'Mack the Knife' -- Rory Kinnear
Polly Peachum -- Rosalie Craig
Jonathan Jeremiah Peachum -- Nick Holder
Celia Peachum -- Haydn Gwynne

Chief Inspector 'Tiger' Brown -- Peter De Jersey

Jenny Diver -- Sharon Small

舞台がロンドンなのはなぜかと思ったら、これは元々イギリスのジョン・ゲイの『The Beggar's Opera』(乞食オペラ, 1728年)を下敷きにしているですね、知らなかった。

悪名高い犯罪者のマック・ザ・ナイフ、女好きでたーくさん恋人がいる。ある日頭のいいポリーにわりと真剣に一目ぼれ、その日のうちに結婚しちゃう。

ところがポリーは「乞食の元締め」ピーチャムの娘だった。貧しい乞食から金をしぼり取って自分は豊かに暮らす、とんでもないピーチャムのくせに、可愛い娘は不良とは結婚させられん、とポリーを取り戻そうとする。警察に圧力をかけてマックを監獄にぶちこむも、マックの元カノのひとりが乱入し、その隙に彼は脱獄・・・などなどドタバタのような、全編貧民街で展開するダークでパワフルな音楽劇。真面目に見たのは初めて。

オペラのパロディなのですね。中流以上のリッチな人々が楽しむオペラ -- 特に20世紀初頭まではクラス分けが顕著だったろう -- をどん底まで落としてみた。登場人物はみんな社会の底辺やら周辺にいる。それでも人間の喜怒哀楽は同じ、オペラと変わりない。めちゃくちゃなラストもオペラっぽく強引。

第一次大戦に負けて経済制裁が重く、どうしようもなくなった人達が続出した20年代のドイツで受けたのが理解できます。貧しい人がさらに搾取されている構造、ブレヒト、怒ってたんだよな。時代背景と合わせて考えて、この作品の意味がわかりました。

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現代のロンドンにも、通ずるものがある。

ピーチャムが乞食たちに向かって、

「いいか、乞食のタイプは、まず移民、それから家出少年少女、頭の✖✖なやつ・・・」と説明する。これはブレヒトが書いたセリフなのか、アレンジしたのか、と迷うほど、移民難民問題でごたごたする今のイギリスにそのまま当てはまる。そういえば物乞いする人が、田舎のうちの周辺はさすがにいないが、ロンドンでもケンブリッジでも明らかに増えている現状だ。

キニアもちゃんと歌っていた。元々声がいい上に、特訓したのだろう。根性ある。見ているうちに、ハンプティ・ダンプティみたいな顔の彼が、女性にモテまくりのセクシーな悪人と思えてくるのがすごい。

一番歌がうまいなーと思ったのはポリーのロザリー・クレイグ(「お気に召すまま」のロザリンド)、テクもしっかりして、美声がよく通った。彼女はわざとモサっとした格好にしていたが、キリッと男前なポリーだった。

舞台の後、家路につきながら気持ちが高揚するとか爽やかになることはたぶんない。でも一度は観て置くべきかも。キニアで観られて良かった。

 

トレイラー:

 

 

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ボリショイバレエ「The Taming of the Shrew」@ロイヤル・オペラハウス

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Nina Kaptsova & Artem Ovcharenko

ずいぶん時間が空いてしまった。ロンドンに来ていたボリショイ・バレエ、今月上旬にもう一つ行ったのが、1月に映画館の中継を観た「じゃじゃ馬ならし」(Укрощение строптивой)。

もちろん原作はシェイクスピアの『The Taming of the Shrew』。振付はフランス人のジャン・クリストフ・マイヨー。

Jean-Christophe Maillot and music by Shostakovich

<Cast>は前回のオリジナル・キャストと違い:

Katharina -- Kristina Kretova
Petruchio -- Denis Savin
Bianka -- Nina Kaptsova
Lucentio -- Artem Ovcharenko
Hortensio -- Igor Tsvirko
Gremio -- Denis Medvedev

比較的少人数でシンプル、でもハードに踊るスリリングな振付け。気の強いカタリーナが、それよりもっと強い男ペトルーキオに出会い、すったもんだの末にめでたく手なずけられるハッピーエンドのコメディ。笑える。

主役の2人は、前回見たクリサノワとラントラートフのペアに比べてあまりアクが強くないような気がしたが、それはクローズアップで細かいところまで見られた映画館と、天井桟敷からオペラグラスで鑑賞する距離感の違いもあると思う。

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(クリスティーナ・クレトワとデニス・サヴィンは共にリーディング・ソロイスト)

妹のビアンカ役のニーナ・カプツォワのファンとしては、久々に実物を見られて嬉しかった。 (一番上の写真)

実はビアンカ、なよなよしているようで、けっこうしたたかな子。

「えーんお姉ちゃんがいじめる!」とお父さんに言いつけて姉を叱ってもらうが、後で舌出しているくらいの。

ぶりっ子(死語?)に騙されて求婚する男が続出する中で、しっかり一番いいのを選ぶ。上のアルチョーム。一応候補者の中でベストということで。

結婚したら手ごわい妻となり、旦那のわがままを、

「はあ、何言ってるの」と一蹴したりする。わはは。表現はどうであれ、どっちにしろ女性は強いの。ニーナが踊ると嫌味もなくて可愛い。

この作品は短め。ダンサーが少ない分きつくて、あまり長くはできないと思う。その分ロンドンから早めに帰れて、田舎から出て行く身には助かる。

あとは当分、映画館でのボリショイ鑑賞だ。来年の春ですが「現代の英雄」早く見たいなー。

初演時のオリジナルキャストのときのカルチャー・ニュース。

 

あと、おまけ。そこらへんに生えている木の実を撮った。

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ボリショイ・バレエ@ロンドン「ドン・キホーテ」

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ボリショイ・バレエがロンドンに来て、ロイヤル・オペラハウスで公演している。

まず「ドン・キホーテ」(Дон Кихот)を観た。新プロダクション。

Music: Lugwig Minkus

Choreography: Marius Petipa, Alexander Gorsky
New choreographic version: Alexei Fadeyechev
Conductor: Pavel Sorokin
Designer: Valery Leventhal
Costume Designer: Elena Zaitseva

<Cast>

Kitri -- Maria Alexandrova
Basil -- Vladislav Lantratov
Don Quixote -- Alexei Loparevich

Sancho Pansa-- Roman Simachev
Friends to Kitri -- Xenia Zhiganshina, Yanina Parienko

Gamache, a wealthy nobleman -- Denis Savin
A Street Dancer -- Angelina Karpova    
Espada -- Vitaly Biktimirov  

2013年8月のロンドン公演、舞台上で負傷してしまったマリア・アレクサンドロワが、手術、療養、リハビリを経て、時間をかけて復帰を果たしたのは知っているが、まだ実際にこの目で見ていない。元気な彼女の姿を見たくて、前売りで買っておいたチケットの日付を変更して出かけた。

セルバンテスの古典小説「ドン・キホーテ」の一部だけを拡大、床屋のバジルと宿屋の小町娘キトリの恋の顛末の話にしてしまった、にぎやかで明るいバレエ。

スペインの町の広場に赤い衣装のキトリが颯爽と登場すると、それだけで大拍手。ロンドンの観客みんな、心配したもんね。

柔らかく軽やかに跳ぶアレクサンドロワ、スターのオーラがまぶしい。本当に復帰したんだなあ、としみじみ嬉しかった。大変だったことだろう。

彼女は細すぎず、きれいに均整のとれた筋肉があって健康的、喜怒哀楽が顔に出る屈託のないキトリを自然に表現する。

相手役バジルはラントラートフ(3年前、舞台でぶつかっちゃった人ね)。

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息がぴったり合っていた。

ついマーシャにばかり目が行くが、彼もソロを踊らすと完成度高い。脚さばきがシャープ。

キトリの頑固おやじに「娘さんと結婚させてくれないなら、死んじゃいます」とわざとらしい演技をするところも笑わせてくれた。

↓のインタビューでもマーシャが言ってますが、「ドンキはお祭り、生きている喜び」のバレエ。主役以外にもジプシーや闘牛士、ストリートダンサーなどなど、それぞれ実力あるキャストが次々に高度な踊りを披露、幻惑され、酔っぱらいそう。

ダンサーも観客もテンション高く、終演後はちょっと呆然とするほど盛り上がった舞台。観られた幸運と幸福を感じました。

今年初めの、新プロダクション披露のニュース。やっぱり馬はコントロールが難しいそうだ:

 

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バレエ「フランケンシュタイン」@映画館

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しつこく映画館でのライブ中継でも見た、リアム・スカーレットの『Frankenstein』。

<Cast>
Victor Frankenstein -- Federico Bonelli
Elizabeth Lavenza -- Laura Morera
The Creature -- Steven McRae
Alphonse Frankenstein (Victor’s father) -- Bennet Gartside
Caroline Beaufort (Victor’s mother) -- Christina Arestis
William Frankenstein (Victor’s younger brother) -- Guillem Cabrera Espinach
Madame Moritz (The frankensteins’ housekeeper) -- Elizabeth McGorian
Justine Moritz (Madame Moritz’s daughter) -- Meaghan Grace Hinkis
Henry Clerval (Victor’s friend) -- Alexander Campbell
The Professor -- Thomas Whitehead

今回の主役3人はファーストキャストというんでしょうか、彼らのために創られた役ということで、やはり貫録があった。カメラでどれほどアップに迫っても、良さが際立ちこそすれ、アラが見えたりはしない。さすが。

ボネリのヴィクター・フランケンシュタインは気品ある学者肌。でもヘタレ。捨てて来たと思った怪物が自分を追いかけて来て近くにいると気づいて愕然とした表情、細かく震える指先まで、演技がうまい。
ラウラ・モレラはエリザベスの暖かい人柄をしっとりと表現。

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「怪物作っちゃう前」の屈託ない二人のパ・ドゥドゥでは、ヴィクターが、
「今日こそプロポーズするぞ!」と、彼女に話しかけるタイミングをどきどきしながらはかる。
それが、「怪物後」、心を閉ざしたヴィクターに、いったい何があったのか聞きたい、けど聞けない、とエリザベスがためらうのと、対をなしている。変わってしまった二人の関係がより明らかになる、心憎い演出だ。

マックレーも壮絶な怪物っぷり。つぎはぎの体で怖いし、裏切られて憎悪のかたまりになってしまい、でも子供のようなあどけなさが顔に残っているのが可愛く可哀そう。

幕間には世界の映画館で見ている人からのツイッターが映される。
「誰か怪物をハグしてやって〜。それとジュスティーヌも」と言っている人がいた。

ジュスティーヌ・モーリッツはフランケンシュタイン家の家政婦さんの娘。ヴィクターたちと同世代で、子供のころにはいっしょに遊んだこともある。でも身分はあくまでも召使い。

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エリザベスだって元は孤児なんだけど、娘同然に育てられたから教養あるレディ。
でもジュスティーヌの方は、舞踏会でついお客様と踊ってしまっただけで、母の家政婦・マダム・モーリッツに厳しく叱られる。
ふて腐れて家を飛び出している間に、運悪くヴィクターの幼い弟が怪物に殺される事件が起き、ジュスティーヌが犯人だと疑われる。

ヴィクターが、
「違うんだ、実はぼくが大学で造った化け物が・・・」と言えなかったばかりに、彼女は処刑されてしまうのだ。

不当な扱いを受けた不幸な娘が同情的に描かれていて、スカーレットのこの世を見る目が広くて深いなあと感心させられる。
こういう部分を決して見逃さずに的確にひろっていくところ、シェイクスピアが王侯貴族から墓掘り人まで、あらゆる人間たちに声を与えていたのを思い出す。すごい振付家だー。

この作品、今後も長くロイヤルのレパートリーとして踊られ、古典になるのでは、と個人的に思います。


またまた解剖学教室ですみません。好きなんだもの。ジョン・マクファーレンがより詳しく語る。



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BBCドラマ『The Hollow Crown』第二シーズン
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シェイクスピア・シリーズ続き、『The Hollow Crown』。 2012年の第一シーズンはジェレミー・アイアンズやトム・ヒドルストン、ベン・ウィショーなど豪華キャストで楽しめた。
第二シーズンも負けず劣らず優秀な役者ぞろい。薔薇戦争の時代を描いた3作。
最初が「ヘンリー六世 第一部」。

The Wars of the Roses, Henry VI Part 1

<Credits>
Producer    Rupert Ryle-Hodges

Henry VI -- Tom Sturridge
Margaret -- Sophie Okonedo
Gloucester -- Hugh Bonneville
Somerset -- Ben Miles
Plantagenet -- Adrian Dunbar
Mortimer -- Michael Gambon
Talbot -- Philip Glenister
Eleanor -- Sally Hawkins
Warwick    Stanley Townsend
Joan of Arc -- Laura Frances-Morgan

シェイクスピアの比較的初期の史劇。
ヘンリー六世といえばケンブリッジ大学のキングス・カレッジやイートン校を創設した方ですね。

偉大な父・ヘンリー五世の急死によって王位を継いだのが生後10か月に満たないころ。
軍人としてフランスの土地をがんがん勝ち取っていた父に対し、平和主義?の六世はフランスに巻き返されて領地を失った。さらに彼をとりまく貴族たちの政権争いで国のまとまりが崩れ、いわゆる薔薇戦争へとなだれ混む原因も作った。

同じ王族の家系でもいろんな人物が現れて時代の流れを変えていく。まだまだ序盤だが、今も昔も、権力や個人的な感情をめぐっての骨肉の争いは尽きず、画面も美しく、引き込まれるドラマ。

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フランスの場面ではジャンヌ・ダルクも登場。魔女としてイギリス側に火あぶりにされる。

若い王を演じるトム・スターリッジ、初々しく、よく言えば柔和、悪く言えば優柔不断な性格をよく表していた。
サマセット公がフランスで見つけて来た美女マーガレット・オブ・アンジュー(仏王妃の姪にあたる)がすっかり気にいって結婚、フランスと和解する、というより領地をあっさり返上しちゃう。

マーガレットのキャストがソフィー・オコネドーというのが画期的。

おとなしい王に対してマーガレットがきびきび物を言うので宮廷の人が驚く。
実は彼女、出会ったときからサマセット公と相思相愛だった。二人は手を組んで、政敵である護国卿グロスター公の追い落としをもくろむ。彼の妻エレノアから崩しにかかる。

子供のころから信頼してきたグロスターに同情的な王だが、マーガレットの泣き落としに負け・・・イングランドは今後ますます混乱することに。

最後にちらっと、ヨーク公の息子リチャード少年(後の三世)も出て来た。次はいよいよ、ベネディクト・カンバーバッチのリチャードが登場か。

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楽しみだ〜。


王妃マーガレットがグロスター公の奥さんエレノアをひっぱたく。気の強い同士。



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ロイヤル・バレエ「フランケンシュタイン」
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(三幕目の幕)

新進気鋭の振付家リアム・スカーレットの新作、全幕バレエ。もちろん駆けつけます。
ロイヤル・オペラハウスで一度観て、別キャストの映画館中継も予約済み。

<Credits>
Choreography -- Liam Scarlett
Music -- Lowell Liebermann
Designer -- John Macfarlane
Lighting designer -- David Finn
Projection designer -- Finn Ross

ロンドンで観たのは初日の翌日、ヌニェズ&ムンタギーロフの予定だった。が、あらら、配役が変わってラム&ダイアーに。
故障などではないようで、何かよんどころない事情があったんでしょう。
”怪物”が平野亮一くんだからまあいいか、と思って会場に着いたら、これもキッシュに変わっていた。彼はその後の配役には入っているので、体調の問題だったかも。

<Performers>
Conductor -- Koen Kessels
Concert Master -- Sergey Levitin

Elizabeth -- Sarah Lamb
Victor -- Tristan Dyer
The Creature -- Nehemiah Kish
Justine Moritz -- Francesca Hayward
Henry Clerval -- James Hay

予想キャスト全員に振られたわけですが、みんなプロですから大丈夫。その人の個性を活かして役を作り上げている。

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ラムとダイアー、リハーサル風景

それにしても「フランケンシュタイン」をバレエにしようとは、何たる野心。
「みんな映画のイメージばかりで原作をちゃんと読んでない」という原作ファンのリアムが、オリジナルを愛と裏切りの物語ととらえ、作者メアリー・シェリーの波乱に満ちた人生にも思いをはせつつ、大切に作ったバレエだ。

ヴィクター・フランケンシュタインは格のあるお屋敷の息子。幼いころ自宅に引きとられていっしょに育った孤児のエリザベスと恋仲。彼女に、立派な医者になって帰るよと約束し、大学へ出発する。
母が自分の弟を出産した際に亡くなった事件から、生命の謎にとりつかれたヴィクターは、熱心に勉強する。

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解剖学の講堂がバレエに出てくるとは・・・すばらしい〜。

そして実験の結果、死体の寄せ集めから本当に生命を作ってしまう。しかし生まれた”怪物”の醜怪さに恐れをなして、そいつを捨てて逃げる。
家へ帰ってからも自分のしでかしたことの重大さに苦悩し、別人のようになってエリザベスを心配させる。
一方”お父さん”に捨てられた怪物は、必死にヴィクターを追いかけてくる。

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この写真は別キャストのスティーヴン・マックレー。

よそで子供作って知らん顔している父親みたいなヴィクター、だめじゃん。
この世で生きていくすべも教えずに遺棄したら、そりゃあ追いかけて来るでしょう。
いったいなぜフィアンセが心を開いてくれなくなったのか、エリザベスも悩む。
三人三様の苦しみが、ローウェル・リーバーマンの沈んだ、優しいがひんやりした音楽にのせて描かれる。
もちろんラストは悲惨。

サラ・ラムのエリザベスが可憐だった。孤児だけど愛情を受けてきちんと教育された結果、才色兼備のお嬢様に育った感じ。
キッシュの怪物は、突然強制的にこの世に生まれ、人に化け物と怖れられ、創り主には拒否されて憎しみを知るようになるのが悲しい。
怪物は悪くありません、全部ヴィクターのせいだ。
でも18世紀の先端技術を暴走させた科学者の逸る気持も理解できる。
ダイアーのヴィクターはやや地味だが、原作でも一番分かりにくい難しい人物だそう。

ヴィクターが自分の殻にこもってしまい、エリザベスが理解できずに苦しむパ・ドゥ・ドゥは、共に踊りながら別々の思いで別の世界にいる二人を描き、複雑で美しい。
二十代でどうしてこういう踊りを創れてしまうんですかねリアムは。天才ですね。
演劇的なバレエに強いイギリスの伝統を、しっかりと受けついでもいる。

来週ボネリとモレラのキャストで観るのが、ますます楽しみ。


リハーサル風景が、1時間超えですがこちらで見られます

セットと衣装がまた豪華。デザイナーのジョン・マクファーレンの話。



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