ボリショイ・バレエ@シネマ「黄金時代」

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161016-1

ボリショイ・バレエの映画館中継、今シーズン第一弾は『Золотой век』(Golden Age)。音楽ショスタコーヴィチ、振付ユーリー・グリゴローヴィッチというソ連黄金コンビ。

Дмитрий Шостакович ”Золотой век”

Хореограф-постановщик — Юрий Григорович

<Cast>

Рита, молодая девушка — Нина Капцова

Борис, молодой рыбак — Руслан Скворцов

Яшка, главарь банды — Михаил Лобухин

Люська, сообщница и подружка Яшки — Екатерина Крысанова

1920年代のソ連南部の港町、ナイトクラブが舞台だというので想像していた話と・・・全然違った。

クラブ「黄金時代」で踊り子をしているリタが町で漁師のボリスと知り合い、親しくなる。働く時間帯が違う二人だけど(笑)恋仲に。

しかしクラブ経営者でそのへんのヤクザの元締めでもあるヤーシカがリタを離そうとせず、それにヤーシカを好きなリューシカが加わってもめる。

健全な働く青年に対する退廃したブルジョワ世界のクラブの闇、っちゅう話だった!

地引き網をバレエで表現するのを初めて見た。すごい。

踊りはもちろんスリリングで大胆、パワフル、愛のパ・ドゥ・ドゥはやさしく細やか、言うことはない。

主役のニーナが可愛く、リューシカのエカテリーナ・クリサノワはコケティッシュで素敵。漁師ルスランがダイナミック。ヤーシカのロブーヒンも乱暴者の踊りが得意で体がキレていた。

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ニーナ・カプツォワとルスラン・スクヴォルツォフ

ストーリーはちょっと単純すぎるというかソ連臭がきついかな。音楽も、2幕の見事なタンゴ以外はショスタコーヴィチの不況和音が耳にひっかかる。

まったく好みの問題だし、ロシア人が見たら納得する展開なのかもしれません。ボリショイ劇場の観客には非常に受けていた。

美術・衣装は20年代テイストが美しく、楽しめました。

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本日ニーナの誕生日だったとのこと。バースディにボリショイで主役を踊って世界に中継されるなんて、すばらしい。おめでとうございます♪

ダンサーのインタビューなど:

 

 

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「三文オペラ」ナショナル・シアター・ライブ@映画館

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270916-1

ナショナル・シアターからライブを映画館で鑑賞。ベルトルト・ブレヒト1928年の「三文オペラ」(Die Dreigroschenoper、英題The Threepenny Opera)。

ハンサムとはちょっといえないが、声がよく演技がめちゃうまい、ハムレットもイアーゴーもこなしてしまうロリー・キニアが主演。

Director -- Rufus Norris

Designer -- Vicki Mortimer

キャスト:

Captain Macheath, AKA 'Mack the Knife' -- Rory Kinnear
Polly Peachum -- Rosalie Craig
Jonathan Jeremiah Peachum -- Nick Holder
Celia Peachum -- Haydn Gwynne

Chief Inspector 'Tiger' Brown -- Peter De Jersey

Jenny Diver -- Sharon Small

舞台がロンドンなのはなぜかと思ったら、これは元々イギリスのジョン・ゲイの『The Beggar's Opera』(乞食オペラ, 1728年)を下敷きにしているですね、知らなかった。

悪名高い犯罪者のマック・ザ・ナイフ、女好きでたーくさん恋人がいる。ある日頭のいいポリーにわりと真剣に一目ぼれ、その日のうちに結婚しちゃう。

ところがポリーは「乞食の元締め」ピーチャムの娘だった。貧しい乞食から金をしぼり取って自分は豊かに暮らす、とんでもないピーチャムのくせに、可愛い娘は不良とは結婚させられん、とポリーを取り戻そうとする。警察に圧力をかけてマックを監獄にぶちこむも、マックの元カノのひとりが乱入し、その隙に彼は脱獄・・・などなどドタバタのような、全編貧民街で展開するダークでパワフルな音楽劇。真面目に見たのは初めて。

オペラのパロディなのですね。中流以上のリッチな人々が楽しむオペラ -- 特に20世紀初頭まではクラス分けが顕著だったろう -- をどん底まで落としてみた。登場人物はみんな社会の底辺やら周辺にいる。それでも人間の喜怒哀楽は同じ、オペラと変わりない。めちゃくちゃなラストもオペラっぽく強引。

第一次大戦に負けて経済制裁が重く、どうしようもなくなった人達が続出した20年代のドイツで受けたのが理解できます。貧しい人がさらに搾取されている構造、ブレヒト、怒ってたんだよな。時代背景と合わせて考えて、この作品の意味がわかりました。

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現代のロンドンにも、通ずるものがある。

ピーチャムが乞食たちに向かって、

「いいか、乞食のタイプは、まず移民、それから家出少年少女、頭の✖✖なやつ・・・」と説明する。これはブレヒトが書いたセリフなのか、アレンジしたのか、と迷うほど、移民難民問題でごたごたする今のイギリスにそのまま当てはまる。そういえば物乞いする人が、田舎のうちの周辺はさすがにいないが、ロンドンでもケンブリッジでも明らかに増えている現状だ。

キニアもちゃんと歌っていた。元々声がいい上に、特訓したのだろう。根性ある。見ているうちに、ハンプティ・ダンプティみたいな顔の彼が、女性にモテまくりのセクシーな悪人と思えてくるのがすごい。

一番歌がうまいなーと思ったのはポリーのロザリー・クレイグ(「お気に召すまま」のロザリンド)、テクもしっかりして、美声がよく通った。彼女はわざとモサっとした格好にしていたが、キリッと男前なポリーだった。

舞台の後、家路につきながら気持ちが高揚するとか爽やかになることはたぶんない。でも一度は観て置くべきかも。キニアで観られて良かった。

 

トレイラー:

 

 

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ボリショイバレエ「The Taming of the Shrew」@ロイヤル・オペラハウス

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180816-1

Nina Kaptsova & Artem Ovcharenko

ずいぶん時間が空いてしまった。ロンドンに来ていたボリショイ・バレエ、今月上旬にもう一つ行ったのが、1月に映画館の中継を観た「じゃじゃ馬ならし」(Укрощение строптивой)。

もちろん原作はシェイクスピアの『The Taming of the Shrew』。振付はフランス人のジャン・クリストフ・マイヨー。

Jean-Christophe Maillot and music by Shostakovich

<Cast>は前回のオリジナル・キャストと違い:

Katharina -- Kristina Kretova
Petruchio -- Denis Savin
Bianka -- Nina Kaptsova
Lucentio -- Artem Ovcharenko
Hortensio -- Igor Tsvirko
Gremio -- Denis Medvedev

比較的少人数でシンプル、でもハードに踊るスリリングな振付け。気の強いカタリーナが、それよりもっと強い男ペトルーキオに出会い、すったもんだの末にめでたく手なずけられるハッピーエンドのコメディ。笑える。

主役の2人は、前回見たクリサノワとラントラートフのペアに比べてあまりアクが強くないような気がしたが、それはクローズアップで細かいところまで見られた映画館と、天井桟敷からオペラグラスで鑑賞する距離感の違いもあると思う。

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(クリスティーナ・クレトワとデニス・サヴィンは共にリーディング・ソロイスト)

妹のビアンカ役のニーナ・カプツォワのファンとしては、久々に実物を見られて嬉しかった。 (一番上の写真)

実はビアンカ、なよなよしているようで、けっこうしたたかな子。

「えーんお姉ちゃんがいじめる!」とお父さんに言いつけて姉を叱ってもらうが、後で舌出しているくらいの。

ぶりっ子(死語?)に騙されて求婚する男が続出する中で、しっかり一番いいのを選ぶ。上のアルチョーム。一応候補者の中でベストということで。

結婚したら手ごわい妻となり、旦那のわがままを、

「はあ、何言ってるの」と一蹴したりする。わはは。表現はどうであれ、どっちにしろ女性は強いの。ニーナが踊ると嫌味もなくて可愛い。

この作品は短め。ダンサーが少ない分きつくて、あまり長くはできないと思う。その分ロンドンから早めに帰れて、田舎から出て行く身には助かる。

あとは当分、映画館でのボリショイ鑑賞だ。来年の春ですが「現代の英雄」早く見たいなー。

初演時のオリジナルキャストのときのカルチャー・ニュース。

 

あと、おまけ。そこらへんに生えている木の実を撮った。

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ボリショイ・バレエ@ロンドン「ドン・キホーテ」

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300716

 

ボリショイ・バレエがロンドンに来て、ロイヤル・オペラハウスで公演している。

まず「ドン・キホーテ」(Дон Кихот)を観た。新プロダクション。

Music: Lugwig Minkus

Choreography: Marius Petipa, Alexander Gorsky
New choreographic version: Alexei Fadeyechev
Conductor: Pavel Sorokin
Designer: Valery Leventhal
Costume Designer: Elena Zaitseva

<Cast>

Kitri -- Maria Alexandrova
Basil -- Vladislav Lantratov
Don Quixote -- Alexei Loparevich

Sancho Pansa-- Roman Simachev
Friends to Kitri -- Xenia Zhiganshina, Yanina Parienko

Gamache, a wealthy nobleman -- Denis Savin
A Street Dancer -- Angelina Karpova    
Espada -- Vitaly Biktimirov  

2013年8月のロンドン公演、舞台上で負傷してしまったマリア・アレクサンドロワが、手術、療養、リハビリを経て、時間をかけて復帰を果たしたのは知っているが、まだ実際にこの目で見ていない。元気な彼女の姿を見たくて、前売りで買っておいたチケットの日付を変更して出かけた。

セルバンテスの古典小説「ドン・キホーテ」の一部だけを拡大、床屋のバジルと宿屋の小町娘キトリの恋の顛末の話にしてしまった、にぎやかで明るいバレエ。

スペインの町の広場に赤い衣装のキトリが颯爽と登場すると、それだけで大拍手。ロンドンの観客みんな、心配したもんね。

柔らかく軽やかに跳ぶアレクサンドロワ、スターのオーラがまぶしい。本当に復帰したんだなあ、としみじみ嬉しかった。大変だったことだろう。

彼女は細すぎず、きれいに均整のとれた筋肉があって健康的、喜怒哀楽が顔に出る屈託のないキトリを自然に表現する。

相手役バジルはラントラートフ(3年前、舞台でぶつかっちゃった人ね)。

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息がぴったり合っていた。

ついマーシャにばかり目が行くが、彼もソロを踊らすと完成度高い。脚さばきがシャープ。

キトリの頑固おやじに「娘さんと結婚させてくれないなら、死んじゃいます」とわざとらしい演技をするところも笑わせてくれた。

↓のインタビューでもマーシャが言ってますが、「ドンキはお祭り、生きている喜び」のバレエ。主役以外にもジプシーや闘牛士、ストリートダンサーなどなど、それぞれ実力あるキャストが次々に高度な踊りを披露、幻惑され、酔っぱらいそう。

ダンサーも観客もテンション高く、終演後はちょっと呆然とするほど盛り上がった舞台。観られた幸運と幸福を感じました。

今年初めの、新プロダクション披露のニュース。やっぱり馬はコントロールが難しいそうだ:

 

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バレエ「フランケンシュタイン」@映画館

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しつこく映画館でのライブ中継でも見た、リアム・スカーレットの『Frankenstein』。

<Cast>
Victor Frankenstein -- Federico Bonelli
Elizabeth Lavenza -- Laura Morera
The Creature -- Steven McRae
Alphonse Frankenstein (Victor’s father) -- Bennet Gartside
Caroline Beaufort (Victor’s mother) -- Christina Arestis
William Frankenstein (Victor’s younger brother) -- Guillem Cabrera Espinach
Madame Moritz (The frankensteins’ housekeeper) -- Elizabeth McGorian
Justine Moritz (Madame Moritz’s daughter) -- Meaghan Grace Hinkis
Henry Clerval (Victor’s friend) -- Alexander Campbell
The Professor -- Thomas Whitehead

今回の主役3人はファーストキャストというんでしょうか、彼らのために創られた役ということで、やはり貫録があった。カメラでどれほどアップに迫っても、良さが際立ちこそすれ、アラが見えたりはしない。さすが。

ボネリのヴィクター・フランケンシュタインは気品ある学者肌。でもヘタレ。捨てて来たと思った怪物が自分を追いかけて来て近くにいると気づいて愕然とした表情、細かく震える指先まで、演技がうまい。
ラウラ・モレラはエリザベスの暖かい人柄をしっとりと表現。

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「怪物作っちゃう前」の屈託ない二人のパ・ドゥドゥでは、ヴィクターが、
「今日こそプロポーズするぞ!」と、彼女に話しかけるタイミングをどきどきしながらはかる。
それが、「怪物後」、心を閉ざしたヴィクターに、いったい何があったのか聞きたい、けど聞けない、とエリザベスがためらうのと、対をなしている。変わってしまった二人の関係がより明らかになる、心憎い演出だ。

マックレーも壮絶な怪物っぷり。つぎはぎの体で怖いし、裏切られて憎悪のかたまりになってしまい、でも子供のようなあどけなさが顔に残っているのが可愛く可哀そう。

幕間には世界の映画館で見ている人からのツイッターが映される。
「誰か怪物をハグしてやって〜。それとジュスティーヌも」と言っている人がいた。

ジュスティーヌ・モーリッツはフランケンシュタイン家の家政婦さんの娘。ヴィクターたちと同世代で、子供のころにはいっしょに遊んだこともある。でも身分はあくまでも召使い。

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エリザベスだって元は孤児なんだけど、娘同然に育てられたから教養あるレディ。
でもジュスティーヌの方は、舞踏会でついお客様と踊ってしまっただけで、母の家政婦・マダム・モーリッツに厳しく叱られる。
ふて腐れて家を飛び出している間に、運悪くヴィクターの幼い弟が怪物に殺される事件が起き、ジュスティーヌが犯人だと疑われる。

ヴィクターが、
「違うんだ、実はぼくが大学で造った化け物が・・・」と言えなかったばかりに、彼女は処刑されてしまうのだ。

不当な扱いを受けた不幸な娘が同情的に描かれていて、スカーレットのこの世を見る目が広くて深いなあと感心させられる。
こういう部分を決して見逃さずに的確にひろっていくところ、シェイクスピアが王侯貴族から墓掘り人まで、あらゆる人間たちに声を与えていたのを思い出す。すごい振付家だー。

この作品、今後も長くロイヤルのレパートリーとして踊られ、古典になるのでは、と個人的に思います。


またまた解剖学教室ですみません。好きなんだもの。ジョン・マクファーレンがより詳しく語る。



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BBCドラマ『The Hollow Crown』第二シーズン
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シェイクスピア・シリーズ続き、『The Hollow Crown』。 2012年の第一シーズンはジェレミー・アイアンズやトム・ヒドルストン、ベン・ウィショーなど豪華キャストで楽しめた。
第二シーズンも負けず劣らず優秀な役者ぞろい。薔薇戦争の時代を描いた3作。
最初が「ヘンリー六世 第一部」。

The Wars of the Roses, Henry VI Part 1

<Credits>
Producer    Rupert Ryle-Hodges

Henry VI -- Tom Sturridge
Margaret -- Sophie Okonedo
Gloucester -- Hugh Bonneville
Somerset -- Ben Miles
Plantagenet -- Adrian Dunbar
Mortimer -- Michael Gambon
Talbot -- Philip Glenister
Eleanor -- Sally Hawkins
Warwick    Stanley Townsend
Joan of Arc -- Laura Frances-Morgan

シェイクスピアの比較的初期の史劇。
ヘンリー六世といえばケンブリッジ大学のキングス・カレッジやイートン校を創設した方ですね。

偉大な父・ヘンリー五世の急死によって王位を継いだのが生後10か月に満たないころ。
軍人としてフランスの土地をがんがん勝ち取っていた父に対し、平和主義?の六世はフランスに巻き返されて領地を失った。さらに彼をとりまく貴族たちの政権争いで国のまとまりが崩れ、いわゆる薔薇戦争へとなだれ混む原因も作った。

同じ王族の家系でもいろんな人物が現れて時代の流れを変えていく。まだまだ序盤だが、今も昔も、権力や個人的な感情をめぐっての骨肉の争いは尽きず、画面も美しく、引き込まれるドラマ。

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フランスの場面ではジャンヌ・ダルクも登場。魔女としてイギリス側に火あぶりにされる。

若い王を演じるトム・スターリッジ、初々しく、よく言えば柔和、悪く言えば優柔不断な性格をよく表していた。
サマセット公がフランスで見つけて来た美女マーガレット・オブ・アンジュー(仏王妃の姪にあたる)がすっかり気にいって結婚、フランスと和解する、というより領地をあっさり返上しちゃう。

マーガレットのキャストがソフィー・オコネドーというのが画期的。

おとなしい王に対してマーガレットがきびきび物を言うので宮廷の人が驚く。
実は彼女、出会ったときからサマセット公と相思相愛だった。二人は手を組んで、政敵である護国卿グロスター公の追い落としをもくろむ。彼の妻エレノアから崩しにかかる。

子供のころから信頼してきたグロスターに同情的な王だが、マーガレットの泣き落としに負け・・・イングランドは今後ますます混乱することに。

最後にちらっと、ヨーク公の息子リチャード少年(後の三世)も出て来た。次はいよいよ、ベネディクト・カンバーバッチのリチャードが登場か。

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楽しみだ〜。


王妃マーガレットがグロスター公の奥さんエレノアをひっぱたく。気の強い同士。



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ロイヤル・バレエ「フランケンシュタイン」
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(三幕目の幕)

新進気鋭の振付家リアム・スカーレットの新作、全幕バレエ。もちろん駆けつけます。
ロイヤル・オペラハウスで一度観て、別キャストの映画館中継も予約済み。

<Credits>
Choreography -- Liam Scarlett
Music -- Lowell Liebermann
Designer -- John Macfarlane
Lighting designer -- David Finn
Projection designer -- Finn Ross

ロンドンで観たのは初日の翌日、ヌニェズ&ムンタギーロフの予定だった。が、あらら、配役が変わってラム&ダイアーに。
故障などではないようで、何かよんどころない事情があったんでしょう。
”怪物”が平野亮一くんだからまあいいか、と思って会場に着いたら、これもキッシュに変わっていた。彼はその後の配役には入っているので、体調の問題だったかも。

<Performers>
Conductor -- Koen Kessels
Concert Master -- Sergey Levitin

Elizabeth -- Sarah Lamb
Victor -- Tristan Dyer
The Creature -- Nehemiah Kish
Justine Moritz -- Francesca Hayward
Henry Clerval -- James Hay

予想キャスト全員に振られたわけですが、みんなプロですから大丈夫。その人の個性を活かして役を作り上げている。

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ラムとダイアー、リハーサル風景

それにしても「フランケンシュタイン」をバレエにしようとは、何たる野心。
「みんな映画のイメージばかりで原作をちゃんと読んでない」という原作ファンのリアムが、オリジナルを愛と裏切りの物語ととらえ、作者メアリー・シェリーの波乱に満ちた人生にも思いをはせつつ、大切に作ったバレエだ。

ヴィクター・フランケンシュタインは格のあるお屋敷の息子。幼いころ自宅に引きとられていっしょに育った孤児のエリザベスと恋仲。彼女に、立派な医者になって帰るよと約束し、大学へ出発する。
母が自分の弟を出産した際に亡くなった事件から、生命の謎にとりつかれたヴィクターは、熱心に勉強する。

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解剖学の講堂がバレエに出てくるとは・・・すばらしい〜。

そして実験の結果、死体の寄せ集めから本当に生命を作ってしまう。しかし生まれた”怪物”の醜怪さに恐れをなして、そいつを捨てて逃げる。
家へ帰ってからも自分のしでかしたことの重大さに苦悩し、別人のようになってエリザベスを心配させる。
一方”お父さん”に捨てられた怪物は、必死にヴィクターを追いかけてくる。

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この写真は別キャストのスティーヴン・マックレー。

よそで子供作って知らん顔している父親みたいなヴィクター、だめじゃん。
この世で生きていくすべも教えずに遺棄したら、そりゃあ追いかけて来るでしょう。
いったいなぜフィアンセが心を開いてくれなくなったのか、エリザベスも悩む。
三人三様の苦しみが、ローウェル・リーバーマンの沈んだ、優しいがひんやりした音楽にのせて描かれる。
もちろんラストは悲惨。

サラ・ラムのエリザベスが可憐だった。孤児だけど愛情を受けてきちんと教育された結果、才色兼備のお嬢様に育った感じ。
キッシュの怪物は、突然強制的にこの世に生まれ、人に化け物と怖れられ、創り主には拒否されて憎しみを知るようになるのが悲しい。
怪物は悪くありません、全部ヴィクターのせいだ。
でも18世紀の先端技術を暴走させた科学者の逸る気持も理解できる。
ダイアーのヴィクターはやや地味だが、原作でも一番分かりにくい難しい人物だそう。

ヴィクターが自分の殻にこもってしまい、エリザベスが理解できずに苦しむパ・ドゥ・ドゥは、共に踊りながら別々の思いで別の世界にいる二人を描き、複雑で美しい。
二十代でどうしてこういう踊りを創れてしまうんですかねリアムは。天才ですね。
演劇的なバレエに強いイギリスの伝統を、しっかりと受けついでもいる。

来週ボネリとモレラのキャストで観るのが、ますます楽しみ。


リハーサル風景が、1時間超えですがこちらで見られます

セットと衣装がまた豪華。デザイナーのジョン・マクファーレンの話。



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Shakespeare 400
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今年はエリザベス女王90歳に加えてもう一つ、シェイクスピア没後400年という節目でもある。
ウィリアム・シェイクスピアは1564年生まれ、1616年4月23日没。
誕生日はわからないが、洗礼が4月26日という記録があるので、23日くらいでいいんじゃない?ということになっているらしい。つまり彼は誕生日に亡くなったと。52歳というのは、戯曲37作に多数の詩という業績を考えると信じられない若さ。

今年いっぱい記念イベントが催される中、命日(&たぶん誕生日)である4月23日は特に盛大に祝われた。

ロンドンではグローブ座を中心に、いくつも屋外スクリーンが置かれて無料映画鑑賞ができたり、お祭り状態。

テレビでも多彩な催しを中継。ライブで見る暇のないわたしも、オンラインのiPlayerで当分楽しめる。
ロイヤル・オペラハウスのバレエやオペラのリハーサル、イアン・マッケランの講演はすでにチェック。

夜には、生誕地のストラトフォード・アポン・エイヴォンを拠点にしたロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの舞台から中継。

デヴィッド・テナントとキャサリン・テートが司会をつとめる。



実力ある俳優たちが名場面を見せたり、パロディを演じたり、バレエや歌が披露され、出演者のあまりの豪華さにあっけにとられた。

ウケたのが、「ハムレット」”To be or not to be ...”のセリフ、どの単語を強調するかでもめるコント。
ハムレットを演じたことのあるカンバーバッチやテナント、ロリー・キニア(わーい)らが好き勝手に持論を展開しているところにイアン・マッケラン、ジュディ・デンチも乱入、最後に本物の王子まで出てくる。



カンバーバッチがエディ・レッドメインに間違われてムッとするところが可愛い。

(追記)見られない場合は、チャールズ皇太子が出てくるところだけちょこっと:



もちろん真面目なシーンも多くあり、中でもロリー・キニアのマクベスは迫真の演技で秀逸だった。ハムレットもイアーゴーもうまかったが、マクベスもぜひ全幕演じてほしい。

蜷川マクベスの魔女のシーンの上映などもあり、世界のあらゆる舞台で演じられ続けている劇作家の偉大さがわかる。こういうスターがいるというのは誇りですね。
誇れる文化を思いきり豪華に祝うことは、世の中を明るくする。

↓ ロイヤル・オペラハウスからの中継は長いのがまるごとアップされている。
エドワード・ワトソンの「冬物語」のリハーサル風景が見られて感激。




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ボリショイ・バレエ@映画館「ドン・キホーテ」

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ボリショイ・バレエの映画館ライブも今季最後、「ドン・キホーテ」で締めくくり。
馬とロバが出た!(笑・上の写真)
大人しくておりこうだった。

宿屋の娘キトリと床屋のバジルという若い恋人たちが主役。
そうそう、ドン・キホーテとサンチョ・パンサも登場します。

Людвиг Минкус
『Дон Кихот』

Либретто Мариуса Петипа по мотивам одноименного романа Мигеля де Сервантеса

Хореография — Мариус Петипа, Александр Горский

<Cast>
Китри -- Екатерина Крысанова
Базиль, цирюльник -- Семен Чудин
Дон Кихот, странствующий рыцарь -- Алексей Лопаревич
Санчо Панса, его оруженосец  -- Роман Симачев
Подруги Китри Жуанита -- Ксения Жиганшина
Пиккилия -- Анна Окунева
Гамаш, богатый дворянин  -- Денис Медведев
Уличная танцовщица -- Анна Тихомирова
Тореадор -- Руслан Скворцов

スペインの町中のうるさいほど色彩にあふれた広場のシーンから、あっけらかんと明るく元気な舞台が展開する。

キトリは一時、金に目のくらんだ父に金持ちのおっさんと結婚させられそうになるが、駆け落ちしちゃって、最後は赦してもらうから大丈夫。

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キャストは、先日観た「じゃじゃ馬ならし」のチームが活躍。
キトリのエカテリーナ・クリサノワ、好き嫌いのはっきり顔に出る、素直でパワフルな娘。
バジルのセミョーン・チュージンはハンサムな王子顔ではない分、庶民らしくて良い。テクは完璧。

幕間インタビューに、就任して数週間しか経っていない新芸術監督のマハール・ワジーエフ(Махар Вазиев)。サンクトペテルブルクのマリインスキー・バレエで踊り、芸術監督も務めた人。

「ドンキはモスクワ(ボリショイ)のバレエと言われますが、どうですか?」との司会者の問いに、
「たしかにマリインスキーを表すのが『白鳥の湖』とすれば、ボリショイは『ドン・キホーテ』でしょう。でも2つのバレエ団も根っこは同じですから、それほど違いはないんです。
ペテルブルクではワガノワが活躍し、モスクワにはプリセツカヤがいた。その伝説は受けつがれていた方がいいですね」のようなことを言っていた。
これから芸術監督としてがんばってください。

気品と優雅のマリインスキーに、パワーとエネルギーのボリショイ、というイメージはある。屈託のないドンキは楽しい。

主役たちに加え、闘牛士たちの男性群舞、町の人、ジプシーのキャラクターダンスもそれぞれきっちり仕事していた。

ストリートダンサーのアンナ・チホミロワ、相変わらず目立つね、この人。

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可愛くて色っぽいのよね。

最初から最後までパワー前回でぶっ飛ばすパフォーマンス、ボリショイを観るには体力がいる。終わった時には気分爽快。

夏にはボリショイのロンドン公演がある。一般売り出し日の今日、「ドンキ」と「じゃじゃ馬〜」のチケットを予約した。楽しみ。


ドンキのトレイラー:クリサノワはいないが、マリア・アレクサンドロワが美しいので貼っておきます。他にチホミロワとデニス・ロヂキン:



最後に良いニュースがあった。来シーズンの映画館ライブのプログラム、正式発表はまだだが、チラ見せのトレイラーによると、やりますね、レールモントフ原作「現代の英雄」。わーい。

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(コーカサスの軍服〜!・・・とか言っているダメな観客)


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ナショナル・シアター・ライブ『As You Like It』

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映画館で演劇のライブ鑑賞、ナショナル・シアターの『As You Like It』(お気に召すまま)はシェイクスピア中期の明るい喜劇。
劇中の「この世は舞台。男も女も役者にすぎない」というセリフでも有名。

<Cast>
Philip Arditti -- Oliver
Joe Bannister -- Orlando   
Mark Benton -- Touchstone
Paul Chahidi -- Jaques
Rosalie Craig -- Rosalind   
Patsy Ferran -- Celia
John Ramm --  Duke Senior 
Leo Wringer -- Duke Frederick
       
<Production team>
Director: Polly Findlay
Set Designer: Lizzie Clachan
Lighting Designer: Jon Clark
Music: Orlando Gough


ヒロインのロザリンドは追放された前公爵の娘。追放した本人・現公爵フレデリックの娘シーリアと仲がよかったため屋敷に残され、いっしょに育てられた。

ヒーローのオーランドは父の死後、長兄のオリヴァーに差別待遇を受けている。
この二人がレスリング大会の場で出会って互いに一目ぼれ。

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(右端の赤毛の女性がロザリンド)

セットも服装も現代風。大企業のトップが公爵で、その役員の一人がオリヴァーというところか。オーランドは人が帰った後のオフィスの掃除をさせられていた。

ある日(もうこの娘に用はない)と思ったのか、フレデリック公爵がロザリンドに、屋敷から出ていくよう言いわたす。身を守るために男装したロザリンド、追放された父が住んでいるアーデンの森をめざす。
実の姉妹くらい親しい友と離れたくないシーリアは、庶民の格好で同行。
ちょうどオーランドも、このままでは未来がない、と忠臣をつれて家出し、森の中へ。

森で再会するが、オーランドはロザリンドが男装しているのに気づかず、この辺で育った少年だと思いこむ。
「稽古台になってやるからさ、おれをロザリンドと思って口説いてみろよ」という少年を相手に恋の練習。あはは。

森の中で羊飼いの恋愛騒動に巻き込まれたり、前公爵がオーランドを助けたりといろいろあるが、最後は好きな同士が結ばれ、悪い奴は改心し、前公爵は元の地位にもどる。めでたしめでたし。

森のセットに一番おどろいた。

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現代的なオフィスのセットから森の場面への移行はどうするのかと思ったら、オフィス家具がすべてワイヤでつながっていて、ずるずる引っ張られ、空中に吊り上げられた。少しでも間違うと、家具が落ちたり、ワイヤーがからまったりするじゃないの。全部見事に宙づり、驚愕。

鬱蒼と暗く、上の方からさしてくるライティングは木漏れ日のよう。高い場所にすわって鳥の声やアカペラのコーラスを担当する森の精みたいな人もいる。
美しいアートがちゃんと森を表現していた。

ロザリンド役のロザリー・クレイグは骨格のしっかりした顔で、ショートヘアの男装が似合う。おしとやかに育ったレディが、少年として言いたい放題できるのが楽しくて止まらない!みたいな勢いが可愛い。
シェイクスピアの時代は女性は少年が演じていたから、少年が「少年のふりをする女性」を演じていたわけで、ややこしいな。

とぼけたシーリアもいい味を出し、例の「この世は舞台」のセリフを言うジェイクイズ(前公爵についている臣下)を演じたポール・チャヒーディがクレイジーで面白い。

劇の主題として若々しい恋の騒動が盛り上がっているところに、
「ふ、芝居さ」と言い放ってしまう人物をすべりこませる。つくづくすごい作家だ。

キャストが粒ぞろい、それぞれ個性的で楽しいし、白いセーターを着た人間が羊を演じるなど、画期的な演出。全編とおして笑わせてもらった。

ナショナル・シアターでこの作品を上演するのは30年ぶりとのこと、凝った舞台を作ったものです。


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